第一章32 静かな日常と覚醒
全面的に自己責任でお願いします。
スマホと鑑定士 第三十二
王都への旅
◆◆◆
領都から王都までは、約一週間。
改造した馬車は相変わらず調子がいい。
以前作ったものに、座席と荷物の配置を少し変えただけだが、長距離でも疲れにくい。
「……やっぱ正解やな」
揺れの少なさに、ユーリは一人で頷いた。
◆◆◆
王都に入った瞬間、空気が変わった。
人が多い。
建物が高い。
音が、絶えない。
「これが……王都か」
馬車を降り、入寮の案内に従って列に並ぶ。
その途中――
「あ、ユーリ」
聞き慣れた声。
振り向くと、カルロス、ハイネス、ゴードンがいた。
「早かったな」 「馬車、やっぱ速い?」 「静かそうだよね」
「普通に快適やで」
本当に、それだけの会話。
でも、それで十分だった。
◆◆◆
寮の部屋は、質素だが悪くない。
机、棚、寝台。
最低限だが、生活には困らない。
「……まぁ、学園の寮やしな」
荷物を置き、一息つく。
◆◆◆
夕方。
寮の共用スペースで、また顔を合わせる。
「明日、入学式やな」 「緊張する?」 「ちょっとだけ」
そんな、どうでもいいような話。
でも――
この「どうでもいい会話」ができる相手がいるのは、少し心強かった。
◆◆◆
夜。
ベッドに横になり、目を閉じる。
明日は、入学式。
ここからが本番だ。
「……よし」
小さく息を吐き、ユーリは眠りについた。
――第三十二章・完
読み終わってのクレームは、お止めください。
自己責任です。




