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鑑定士は表に出ない  作者: 南月 阿鬼羅


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第一章13.5 静かな日常と覚醒

全面的に自己責任でお願いします。

第十三・五章(閑話)踊った後に残るもの ~それぞれの立場で測られる、七歳の価値~


◆◆◆


令嬢・マリア視点(ユーリと踊った少女)


最初に声をかけられた時、正直に言えば、驚いた。


それが、最初の感想だった。


七歳なのに、落ち着きすぎている。

こちらを「見る」目だった。


(……年上の子かと思った。それに、可愛いのにカッコいい。反則かしら。)


踊りは完璧じゃない。

でも、合わせようとしてくれる。


(……主導してるのに、怖くはない)


手を引かれた感覚が、強くない。 それなのに、迷わない。

転びそうになると、自然に支えてくれる。


(……この子、大きくなったら、絶対モテるだろうな。)


そう思った。

後から聞いたら、まだ七歳だった。

(私は九歳だしギリギリ婚約者候補に入れるかしら?)


◆◆◆


令息・エリオット視点(リナと踊った少年)


正直、最初は緊張した。

クロスフォード伯爵家の令嬢。 噂通り、綺麗で、隙がない。


そして、姉弟は、完成されすぎている。


令嬢リナは、社交の見本。

踊り始めてすぐ分かった。


(……上手い)


主導権を奪わないていどに、こちらを立ててくれる。

周りの視線が集まるのも当然だった。


弟ユーリは、将来の主役。


(……並ぶと、説得力がある)


ダンスを見て、確信した。

あれは「教育」だけじゃない。 本人が、場を理解している。


七歳で、あの落ち着き。

堂々と令嬢を誘い、踊る。


(……あれ、次男だよな?)


後で聞いたが、母方の伯爵位を継ぐらしい。


(……なるほど)


納得した。 あれは、そういう器だ。


正直、同じ伯爵位を継ぐものとしては、脅威だ。

ご近所さんとして、ぜひお友達になろう。

僕のほうが年上だが、幸いリナ嬢とは同い年だ。


◆◆◆


やんちゃそうな令息・カルロス視点


すげぇ、って思った。

七歳で、あんなにちゃんとしてるの、反則だろ。

同い年って後から聞いて悔しく思った。


俺は剣は得意だけど、ダンスは苦手だから、今回は、踊ってない。

母上にダメって言われたから。


でも、あいつは違う。


(……逃げない)


誘う時も、踊る時も、堂々としてた。


(……貴族って、ああいうのか)


ちょっと、悔しかった。


(……俺も、ちゃんとやるもっと頑張ろうとおもう。。)


剣だけじゃダメだな、と思った。

学園では、同級生になるし、仲良くなりたい。


◆◆◆


姉・リナ視点


(……ちゃんと、誘えたわね。ふふふ。キリッって感じで可愛カッコいいわ!流石私の弟ね。)


遠くから、ユーリを見ていた。

手を差し出す所作。

声の落ち着き。

相手を見て、間を取る。


(練習した通りできてるわ!)


でも、それ以上だった。


(うん。ユーリ、とても楽しんでるみたいね。)


義務じゃない。

緊張はしていても、怖がってはいない。


(……よかった)


弟が、社交を嫌いにならなくて。


(あの子なら、これからも、大丈夫そうね。)


姉として、それが一番嬉しかった。


◆◆◆


母・アリア視点


庭園に、風が通る。

花と香草と、子供たちの緊張。


(……あの子、ちゃんと呼吸してるかしら。あっ、ちゃんと誘ったわね!)


無理はしていなさそうね。背伸びは少ししてるかも緊張してるのがわかる。


(でも、自分の足で立ってるわね。周囲の視線を一身にうけながらでもちゃんと立ってる。)


踊る姿を見て、安心した。

才能は、もう分かっている。

でも、社交は違う。


壊れやすい。


(ユーリは、大丈夫そう。安心したわ。)


それが、何よりだった。


◆◆◆


父・アーサー視点


(…及第点。いやそれ以上だ。)


そう、静かに評価した。

誘い方。 踊り方。 終わり方。

すべてが「次につながる」。


(……目立ちすぎない。いや、容姿は仕方ない。愛する私のアリアにそっくりなんだから、皆注目するだろう。しかし、それ以外は、少し優秀そうな子の許容範囲内だ。)


それが重要だ。


あまりに派手すぎ、優秀すぎれば、警戒され、足を引っ張られる。


未熟なら、侮られる。


今のユーリは、そのどちらでもない。


(……いい位置だ。そのまま、仲間を増やせ。それが一番だ。)


伯爵位を継ぐ者として、 今、一番安全な場所に立っている。



◆◆◆


周囲の大人たちの感想


「……あの子、母方の伯爵位を継ぐそうだぞ」

「ほぉ、なるほど、納得だな」 「七歳で、あの所作はなかなかだだが、ハーフとはいえエルフだしな。」

「エルフにしては、早熟だが、特に焦りはないな」

「家族が、ちゃんと守っているんだろう。」


別の輪では。


「婚約は、まだ先だろうが……」 「“覚えておく”価値はある」

「将来、争奪戦になるかもな」 「今は、静かに見ておくべきだ」


さらに低い声で。


「……危うさがないのが、一番怖いな」

「才がある子ほど、崩れるものだが」

「……あれは、長く残りそうだ。」


◆◆◆


庭園には、まだ音楽が流れている。

子供たちは、楽しかった記憶として。

大人たちは、可能性として。


同じ光景を、違う重さで見ていた。


ユーリ・クロスフォード、七歳。


彼が踊った一曲は、 すでに社交界の片隅で、「将来、覚えておく名前」


として、静かに刻まれていた。


――第十三・五章(閑話)・完

読み終わってのクレームは、お止めください。

自己責任です。

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