表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鑑定士は表に出ない  作者: 南月 阿鬼羅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/40

第一章12 静かな日常と覚醒

全面的に自己責任でお願いします。


触れてはいけない文字

~教えられる境界と、残された可能性~


◆◆◆


古代文字の学習は、独学では進めないと決めていた。


理由は単純だ。

――危険だから。


だから僕は、レオン先生の前で、正直に切り出した。


「先生、古代文字を、学びたいです。」


一瞬、空気が変わる。


「……どこまで、知っていますか?」


「前に先生に教えてもらったものだけです。鑑定で、意味と危険度が視えます。前に教えてもらった、【月露草、日陰好、乾燥魔力無】を鑑定しました。」



誤魔化さない。

理解している“つもり”が、一番危ないと分かっている。


◆◆◆


レオン先生は、深く息を吐いた。


「いいでしょう。ただし、作る前に学ぶ。これは絶対です」

「はい!」


机の上に、数枚の木札が並べられた。

刻まれているのは、単純な古代文字。

『火』『水』『風』『土』

「これらは、基礎概念です。今の魔法陣にも残っていますね」


先生は、次の札を伏せたまま言う。


「問題は、ここからです魔法陣は線でしたが、それとは違い、古代文字ではこれらを文章であらわします。」


羊皮紙を出し書き込む。


「たとえば、水を出したい時魔方陣はこうですが、古代文字ではこうなります。」


書き込まれた文字をみる。


【水、○、出、○、止】


「初めのは、水ですよね?」

「そうです。次に○の部分に量を書きます。」

「出は、出るという意味で、また○、最後の止は、止めると言う意味なら、二個目の○は、止めたい水量でしょうか?」

「素晴らしい。そのとうりです。これらを組み合わせてつかいます。」


先生は、一つづつ詳しく教えてくれた。


◆◆◆


「古代文字には、“触れていいもの”と、“まだ触れてはいけないもの”があります。そして、まだわからない未知な文字。」


先生は、ゆっくりと説明した。


「危険なのは、力が強い文字だけではありません。意味が、世界そのものに干渉する文字です」


そして、紙に書かれた一覧。


『命』

『死』

『支配』

『代償』


「これらは、現時点では禁止です」


(……やっぱり)


「一文字で完結し、解釈の幅が狭すぎる。使った瞬間、世界が“答えてしまう”」


だから危険。


◆◆◆


僕は、少し迷ってから聞いた。


「……『契』は?」


レオン先生は、少しだけ驚いた顔をした。


「よく気づきましたね」


すぐに首を振る。


「いいえ。『契』は、禁止しません」


(……!)


◆◆◆


「『契』は、縛る文字ではありません」


先生は、はっきりと言った。


「これは、双方の意思と条件が揃わなければ成立しない文字です」 「強制ではなく、合意を刻む概念」


だからこそ、


「使い方を誤れば危険」

「だが、正しく使えば、秩序になる」


(……誓約、契約、約束事だな。)


「ただし」


先生は、僕を見る。


「七歳の君が“刻む”段階ではありません」

「今は、理解までです。」

「はい」


◆◆◆


その日の実習は、危険文字を使わない範囲だった。


刻むのは、すでに扱った文字。


『光』 『微』


意味を確認し、組み合わせ、効果を限定する。


「大きく光らせようとしない“何をしないか”を決める」


(……香りと同じだ)


強くしない。 主張しすぎない。


◆◆◆


完成した簡易灯火を見て、先生は頷いた。


「及第点です」


それだけ。

でも、その言葉が重い。


「覚えておきなさい、ユーリ」 「古代文字は、力を得るための学問ではありません。責任を理解するための学問です」


◆◆◆


夜、ノートに、今日のことを書き留める。


・古代文字:正式学習開始(指導者あり)

・禁止文字:命/死/支配/代償 ・条件付き理解可:契(刻印は将来)

・今は、意味を壊さず、限定する練習


(……まだ、先でいい)


力を持つ必要はない。

約束を守れる人間になる方がずっと大事だ。


七歳の僕は、“使えない文字”を知り、“使わない選択”を覚え始めていた。


それは、きっと、強くなるための、正しい遠回りだ。


――第十二章・完

読み終わってのクレームは、お止めください。

自己責任です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ