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6.白昼夢の正体

 静緒さんの旦那さんは、名前を福良孝道(ふくらたかみち)という。

 静緒さんは、孝道から度々暴力を受けていたらしい。

 濡れた傘を玄関に置いていたら靴が濡れると言って平手打ちをされたり、洗った食器を拭いて棚に仕舞ってないだけで駄目な女だと言って口汚く責められたりしていた。

 孝道が深夜迄帰って来なかった時も、何をしていたのか聞いただけで、苛ついて本を投げつけてきた。

 ところが直ぐに謝ってくるし、普段は洗濯物を取り入れたり、たまに食事を作ってくれるので、本当は優しい人だと静緒さんは信じていた。

 また、孝道は自分は束縛されるのは嫌うのだが、静緒さんの行動はいちいち監視していた。

 静緒さんが昼間何をしていたか分かっていないと気がすまないので、静緒さんを問い質したりスマホをチェックしたりしていた。

 しかし、それも静緒さんは愛されているからだと思っていた。


 だが、孝道は他に女がいた。何度か帰宅が深夜になったり帰って来なかったりしたのは、浮気をしてたからだった。


 そして、そんな孝道にとっては放ってはおけない由々しき事態が起きた。

 静緒さんに子供ができたのだ。

 子供ができてしまうと、もう今までの様に自由に振る舞う事が出来ない。まして他の女と一緒になる時に足枷になってしまう。

 孝道は何とか流産させようと画策する。

 静緒さんを階段から突き落としたり、わざとぶつかってお腹からこけるようにしたがうまくいかなかった。

 そして、ついにふとした口論を切っ掛けに静緒さんのお腹を蹴った。

 静緒さんは、孝道がお腹の子供を殺そうとしてるのに気付いて抵抗すると、孝道はゴルフのドライバーを持ち出して静緒さんのお腹を殴ろうとした。

 そんな事をすれば、お腹の子だけでなく静緒さんもただで済むはずがない。

 僕が白昼夢の中で助けを求められたのはまさしく静緒さんがドライバーで殴られそうな時だった。


 僕はガラスを割って部屋に入って、何とか最悪の事態は避けられた。

 そして、あの後大家のおばさんが警察を呼んで孝道は逮捕されたが僕も一緒に警察に連れていかれた。

 僕は器物損壊、不法侵入の罪を犯していたが静緒さんを助けた緊急避難と言う事でお咎め無しですみそうだ。

 心配なのは静緒さんだ。

 静緒さんは信じてた孝道に酷い目に会わされて、すっかり笑顔を失くしてしまった。

 静緒さんは普通の生活が送れるようにDV被害者支援センターに助けてもらうことになった。


 それにしても、あの白昼夢は静緒さんの胎児が見ている景色だったのだろうか?

 あの時聞こえた声は、水の中で聞く様にくぐもっていた。羊水の中で聞いていたからだろうか。

 それに母体の中で胎児が聞いてる母の血液が流れる音は、風が吹いているような音がするという。

  

 今おもえば、象に踏まれる悪夢を見た時からおかしかった。

 あの時、すでにお腹の子は危険を感じていて誰かに助けを求めていたのでは。

 それが僕の心とシンクロした。

 それで静緒さんが見ていた『エレファントマン』の話が胎児を通して直接僕の心に入って来て、象に踏まれる夢を見たのだろうか。

 ギロチンの話にしても、静緒さんが聞いていたラジオの『ヴェルサイユのばら』の話が僕の心に入って来てギロチンの夢を見たのだろう。


 事件以来、静緒さんはアパートに帰って来ていない。

 とにかく一目でも早くまた、静緒さんの笑った顔が見たいものだ。

 

 

 





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