折り合いが付く
その言葉に僕はギクリとした。何て勘の良い奴だ。僕の狼狽ぶりがよほどハンパなかったのだろう。プリンは明らかにあざ笑っている。
「૮₍ - ⤙ - ₎აお前もやっぱり人の子やな?単純思考で結構な事だわ♪けどそれはNGやで!」
「…!?∑(OωO; )なっ、何で判ったんだ?それに何で出来ないんだ??」
「૮₍⇀‸↼‶₎აバレバレやろ…あんさん涎が出とるで!それにおいらは楽して儲けようなんてのがいっちゃん嫌いなんや!」
「(๑´❛ ᗜ ❛)੭ ੈ手短かに済ませるけどダメ?」
せっかくの機会だから僕は少々粘ってみる。
「ꉂꉂ૮₍ - ⤙ - ₎ა当ったり前や♪つ~かあんさん善人やなかったんかい!それでよく奈落が解放したな?」
プリンは嫌悪感をあらわにした。
そりゃあ僕だって、自分が善人だとは想ってるし、自信もある。けど判断は相手がどう思うかもあるからね。
『こいつ…✧(°ᗜ°´٥)かなりの潔癖症なのかな?』
僕は想う。だとしたら、ここはプリンの意向に沿っておかなきゃちと面倒だ。
何しろせっかく時空を超えられる滅多に無いチャンスなのだ。こんな機会を自分の不始末で逃がす手はない。
『✧(o'д'o)まず行ってしまえばこっちのもんだ♪後は現地でおいおい考えればいい。別行動になる時を狙う手もある…』
僕はそう考えると、宥めにかかった。
「(´⸝⸝• •⸝⸝)੭⁾⁾いやいや、君の言う通りだよ♪僕の考えが浅かった。僕はどちらかというと、過去をこの目に焼き付けたいんだ。歴史は良いよね。昔っから好きでね♪よろしく頼むよ♡」
少しざ~とらしい言葉運びになったが、嘘は言ってない。僕は子供の頃から歴史が好きだ。
これなら文句あるまいとプリンを見る。ところがプリンは黙ったままじっとこちらを見つめている。
「"૮₍⇀‸↼‶₎აお前、何や怪しいな…急にお口が滑らかになり過ぎなんや?嘘じゃないけど諦めとらんやろ!根性腐っとるな。そんなに儲けたいんか?金の亡者がっ!」
「ꉂꉂ(°ᗜ°´٥)ちょっと待ってくれ!それは言い過ぎだよ?僕は歴史を体験したいんだ♪これは素直な気持ちだ。ただそれだけだよ♡」
僕は真険な眼差しで訴えた。
『Σ(๑°ㅁ°๑)こいつは厄介だ!一旦、金儲けは忘れよう…どうも僕は正直者すぎて顔に出る。しばらくは様子を見た方が良かろう♪』
そう想い直したのである。プリンもその言葉で一旦、矛先を収めてくれた。けれども多少の疑いは残った事だろう。
「૮๑ˊᯅˋ๑ა判った!おいらも少々言葉が過ぎた。すまん。でも初めが肝心だからね♪悪さが過ぎると時空の彼方から、しっぺ返しが帰って来る。おいらはお前の相棒として、心配しているんやから、良く肝に命じておいてくれ!」
プリンはいやにあっさりとそう述べた。けどある意味その方がよほど堪える。僕は急にドキドキしてしまった。
「(。゜ɷ゜)しっぺ返しって?」
そらぁ想わず口に出るよな、仕方無い。
「ああ…૮₍ ᴗ ̫ ᴗ ₎ა善意の行いならお前の恐れは奈落が食ってくれる。勇気が湧く事だろう。けどな、反対に欲望にまみれると大恐慌が鼻を効かせて近づいて来る…」
「…欲を食われると真人間になるどころか、生きる意欲を失うぞ!人の欲は何も悪い事ばかりに働いている訳じゃない。たとえ真っ当な生き方をしていたとしても、衣食住でさえこれも欲求だ…」
「…そして愛した女性を幸せにしたいと想う、そのひたむきささえ、ある意味は欲求なのだ。だから言うておる。欲求を失うと生きる屍となるぞ。それにもっと悪い事も起きる…」
「(๑°⌓°๑)そ、それはいったい何だい?」
僕は恐る恐る尋ねた。ここまでの話しの内容ですら真実ならばかなりエグい。
でも大恐慌の存在は奈落から聞いているから、事実なのだろう。奴がそんなにえげつない輩だとは想わなかった。
それに立ち去ったと想い込んでいた奈落がまだ僕とつながっていた事も新しい発見である。僕の恐怖を食らった事で、奴は僕が恐れを抱く度にその恐怖の味に有りつける。
そして僕はその恩恵で、恐れが消えて勇気が湧くのだ。話しを聞いてみると、奈落の嘘と本音が見えて来た。
落語家の話しを覚えていたのは、その落語家がまだ生きている証である。彼はなるべく多くの人の恐怖を食らうために、相手を殺さないのだろう。
その変わりとして、相手に勇気を与えるのだから、まさに等価交換。完全に悪い訳でも無いのだ。
その奈落に等価交換についてウンチクを垂れた僕は少々お恥しい限りだ。奴は腹の内で可笑しかった事だろう。
『やれやれ…(٥˙࿁˙ )』
僕は想わず苦笑いだ。僕の悪い癖はすぐに妄想逞しくしてしまう点である。
それはたとえ目の前の相手だろうが、構わず置き去りにしてしまう。プリンは僕とさっき出会ったばかりだと言うのに、長年の知己のように既にそこら辺りは心得ていて、気がつくと、ブツブツと文句を垂れていた。
「૮₍ ˃̵ࡇ˂̵ ₎ა人に物を尋ねておいて、けしからん!優柔不断、ギャンブラーな上、妄想癖まであるとはな…」
「( •̀_₍•́٥)いやいや、それは誤解ですって!僕も現実と掛け離れた物事の数々に驚いちゃって、理解が追い着かないだけですって!ちゃんとしっかり聞くので、少し手加減願えますか?」
そう言うので精一杯だった。どうも高ピーな性格には敵わない。
しかも御説ごもっともな点は覆す事すら難しい。僕は冷汗を垂れながらも食い下がるほか無かった。
「૮₍ ᴗ ̫ ᴗ ₎აまぁ気持ちは判るけどな!奈落に食われたんもそうやろうし、解放されたんも先程やん?落ち着かんとしてもしゃあないやろう…判った!許したる!で、続きやが…」
プリンは少し流し目になって遠くを眺めるような素振りを見せた。考えをまとめているのかも知れない。
「૮₍´。• •。`₎ა大恐慌に欲を食われた者は、文字通り無欲となる。無欲な魂は蟒蛇の大好物だ。しかも生きる意欲を失っているから無駄な抵抗すらしない。蟒蛇に魂を抜かれると、その身体は砂のようにパラパラと崩れ去る。そしてこの世に居た存在そのものすら忘れ去られる!」
僕はゾクゾクっとしてしまい、垂れた冷汗に想わず触れる。単に汗が肌を伝っただけである。
けれども何かに肌をなぶられた感覚がしたのだった。あいつは、"そうなったらどうする?"てな顔でこちらを覗き込んでいる。
僕は白旗を掲げた。
「。:゜( •᷄ʚ •᷅ )゜:。判りましたよ♪心を入れ替えて良い子にしてますって!歴史が好きなのは嘘じゃないから、せいぜい歴史探訪に専念する事にします。ついでに一日一善でも目指しますかね?これで納得いただけます?」
「૮₍˶ᵔ ᵕ ᵔ˶₎აうん♡そう言う事ならおいらも協力させて貰うわ♪」
「(○˘▿˘)♫•*¨*•.¸¸♪じゃあ取引成立だね♪」
こうして僕とプリンは意気投合したのである。そうなると、今後はその道に詳しいこいつに指導を仰ぐほか無い。
僕は旅の注意点について説明を求めた。そして以下が彼の説明である。よ~く御覧いただきたい。
「૮₍´。• ᵕ •。`₎ა人の欲望が集まるところ、大恐慌の狩り場となる。そして蟒蛇や。けどそれはまだ大した修羅場や無い。本当に怖いのはクエと口裂け鬼や…」
「…クエがなぜ人を襲うのかは、未だ謎に包まれておる。クエが出現したエリアは血みどろの沼地となる。それは奴が群れで飛来して来ては、人をのべつまくなしその嘴でつつくからや。大惨劇となるで!…」
「…そして口裂け鬼は突如、暗闘から現れて、棍棒で人を叩く。叩く叩く、容赦無く叩く。頭蓋を割られた人々は、一瞬であの世行きや。だからこの二つにも気をつけなあかん!…」
「…後、人の記憶を吸い取る青ヒルも生息しとる。コイツらは普通の人間にはなかなか察知しずらい。クエは時空の狭間に潜んどるし、口裂け鬼は影に潜む。青ヒルは地中深くに姿を隠しているから厄介な事この上無い♪…」
「…だが心配せんでいい!このおいらの保護フィルターに入っている間は安全なんや。無敵薬を飲んでいれば、奴らにも手出しは出来んし、おいらはこう見えて治癒のまじないも出来る…」
「…まぁ色々と制限事項もあるから、それはおいおい伝えて行くとしてやな、૮˃̵֊ ˂̵ ა取り敢えず試しにどっか行ってみるかい?」
プリンはかなりドロドロとした凄みのある話しをした割には、いやにあっさりとお試し期間無料ぐらいの勢いで勧める。僕は参ってしまった。
「(⊙⊙)え~今から?」
「૮₍˶ᵔ ᵕ ᵔ˶₎აうん♡もちろん♪」
「( •̀_₍•́٥)山から普通に帰って来ててもしんどいのに、あんな後にすぐ勧めます??」
「૮₍˶ᵔ ᵕ ᵔ˶₎ა治癒の呪文で回復出来るけど?」
「(⊙⊙)えっ?そうなん…ならいいか!でも週明けは仕事なんだけど大丈夫かな?」
「ꉂꉂ૮₍˶ᵔ ᵕ ᵔ˶₎ა今の時間に戻ってくれば平気でしょ?帰りの時間で調整するから問題無いけど?」
「(٥˙࿁˙ )…あっそう✧」
こうして僕ら2人の時空転移の旅は始まったのである。その行く手に待ち受ける運命はまだ知る由も無かった。