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3/5

押し問答

自宅付近までひとっ飛びでやって来た奈落(ならく)は、玄関の眼の前で「ウェッ!」と僕を吐き出してくれたので、どうやら五体満足で帰宅する事が出来た。


奈落は消え去る前にこう忠告した。


「(*゜ε´*)もう二度と会う事も無いだろうが、一つ言っておく。(わし)の存在を、もし誰かに(しゃべ)ったら、お前は身体の有りとあらゆる穴から出血して死ぬ事になる。だから絶対に口外してはならない。良いな!」


「ああ…(。-∀-)心配ない♪どうせ言っても誰も信じないさ!それにこんな事をまともに話した日には、気が触れたと思われて、即刻病院送りに成っちゃうからね?」


「( ̄~ ̄;)そうなのか?」


「そりゃあそうさ(>д<*)!五百年前とは訳が違うよ!今はそういう御時世なの♪」


「随分、変わり果てたんだのぅ…色々教えてくれて感謝するぞ(´_`。)゛♪」


「いやぁ~(。-∀-)♪自宅まで律儀に送って貰ったお礼だよ!後、ついでにもう一つ教えようか?」


「何だ(*`艸´)?」


「( ・∀・)僕が身体中から血を流して死ぬのはやめた方が良い!」


「何でだ( `ー´)!さてはお前この(わし)(だま)すつもりじゃなかろうな?」


「違う(。-∀-)!そんな死に方したら…今時、司法解剖されて大事件になる…つまりは大騒ぎになるよ!騒ぎは君も嫌なんだろう?」


「そうだな…(* ̄◇)=3 それは困る!どうすれば良い?溺死とかはどうじゃ??」


『(-∀-`; )…どうしても殺す気だな!いったいどうしよう?喋らなきゃ良い話しだけど、僕も人間だからな…ついつい口に出る可能性が無いとは言い切れない。困ったな…』


私は少し悩んでしまった。第一、五体満足の僕と会った時の友人のリアクションも気になる。こちらもポロッと口に出しかねない。


「(^。^;)溺死も司法解剖されるよ…」


「じゃあ、どんな死に方が良い?お前が言ってみろ!参考にしてやろう( *´艸`)♪」


『(^。^;)(いや)に上から目線だな…まぁ相手はこの世の者じゃ無い存在だからね…仕方無い!』


私はしばらく考え込んでいたが、結局こう提案した。


「(。-∀-)…いっその事、僕の記憶を消すとか♪その方向は駄目(ダメ)かな?でもそれが一番安全なのでは?」


「ε- (´ー`*)まぁ、それでも良いが、そうすると葛籠(ツズラ)も消えちゃうだろうがな!それで良ければ…」


「(〃´o`)=3 それは困る!あれは当価交換したものなんだから、それじゃあ(ずる)いじゃん♪」


「(´・ω・`; )(ずる)っ…小僧、お前言う事がどぎついのぅ…じゃあやはり死に方を決めてもらおう!」


「判った(;´∀`)!但し、こちらも条件があるよ♪それも君にとって有利な条件だけどね!」


「( `ー´)ほぅ~では聞こうか?」


「(。-∀-)♪それはね…」


私は説明した。山登りに行った関係者の記憶を消す事の安全性を、とても丁寧に、そして為るべく恩着せがましく、切々と説いたのであった。


奈落はとても感心している。


「成る程…(*`艸´)判った!その方がお前も、うっかり口に出す事が無いと言うのならば協力しょう♪だが、死に方は決めて貰うぞ!」


「え~(^。^;)やっぱり(まか)らない?」


「当たり前だ( `_ゝ´)!」


「チェッ(*゜ー゜)!」


私は再び考える。しかしまともな精神の持ち主ならば、自分の死に方を考えろと言われて、はいそうですかと答えられる訳がない。


そもそも死に方って何?…て感じだ。死とは…ある日突然やむ得ず降って沸いてくるから、受け入れるしか無いものであって、予め定まっているもんじゃあない。しかも自分で決めるものでは、尚更無い。


『(^。^;)記憶を素直に消してもらうか…?』


でもそれでは葛籠(ツズラ)も消える。しかもその葛籠(ツズラ)の中身もまだ確認すら出来ていない。もし仮に、つまんない物なら、記憶消して貰った方が良かったと、後で後悔する事に為るかも知れない。


「(〃´o`)=3 あのう…」


「何だね…( `ー´)?」


「(^。^;)私は本来、雪山からの転落死だったんですよね?」


「(*`エ´*)それで良いって事かね?」


「えぇ…(´_`。)゛それならば仕方ないかと?運命には逆らえませんからね!これはあくまで、本来の流れならば受け入れ易いだけですが…」


「判った(*`艸´)!では(うけたまわ)ろう♪」


「あのぅ…(;´∀`)これって(しゃべ)らなきゃ良いんですよね?」


「まぁそうだな…(*`艸´)それが条件だと言ったろう?」


「(;´∀`)でも、考えてもみて下さい!関係者の記憶を消す事が出来るんでしたら、その時に消せば済むのでは?」


「(*`エ´*)ナヌッ?この(わし)に、お前のうっかりの尻拭(しりぬぐ)いをしろという事かな?」


「(^。^;)まあ、そうはっきりと言ってしまうと身も(ふた)も無いんですけどね!」


「(*`エ´*)それは駄目(ダメ)だな!」


「( ゜∀゜)面倒臭(めんどうくさ)いとか?」


「( ;゜皿゜)ノシ 言い難い事を堂々と(のたま)(やから)だな…」


「まあ…(^。^;)命が掛かってますからね…」


奈落は厄介な事になったと嘆息する。すると"瓢箪(ひょうたん)から駒"というが(ごと)くに、クスッと笑った。


「(*`エ´*)この(わし)は人も喰わぬし、全くと言って良い程に善良だ!けれどもお前の期待に答えてやりたいが、それは必然的に出来ぬ相談だな!」


「その心は(*`▽´*)?」


「何だ!今度は落語の掛け合いかね?」


「落語なんて知ってんの?」


「まあ…落語家の恐怖を喰った事があるからな…」


「へぇ~その人はどうなったのかな?」


「文字通り、落伍したな…徳を積むのを忘れたようだ♪"落ち"が好きなんだろう?」


「それは気の毒…で答えを聞いてないけど?」


「ああ…我らは恐怖を消化したら、当該者の記憶は残らぬ…つまりお前の事は忘れるゆえ、その都度は助けてやれぬ!そう言う事だ♪」


奈落はそう宣うとドヤ顔を決め込む。してやったりという確信の顔である。


「( -_・)?嘘臭さいね…」


それはそうだろう。記憶が残らないなら、落語家の事を覚えている訳が無い。正に馬脚を露すという奴である。


私がそれを指摘してやろうとした時に、丁度 奈落も自分の失言に気づいた様で、突然ガッハッハと笑い飛ばすと、「この世に未練があり過ぎて未消化の欠片(かけら)でも残っていたんだろう!」と大胆にもそう(うそぶ)いた。


「割といい加減なんだな…」とふと想った瞬間に、マシンガンの如く矢継ぎ早に事は進む。


「御主は先程、死を受け入れ、それを承諾したのだ。請け負ったものはもう変えられぬよ!儂は確認したな?そうだな?」


奈落はひつこく迫って来る。その態度には辟易(へきえき)してくる。私はつい鬱陶(うっとう)しくなって口走る。


「(^。^;)まぁ確かに言いましたけど…」


私がそう答えた瞬間に彼はニタッと笑った。


「そうだ(*`艸´)!お前は確かにそう言った♪これで話しは決まったな、じゃあな!」


奈落はそう言い捨てると、(またた)きする間も無く、消え去ってしまった。


「えっ…(◎-◎;)早やっ!おいちょっと待ってよ!話し終わってない…」


私は慌ててそう叫ぶも、既にそこにはつむじ風のなごりさえも、もはや残ってはいなかったのである。

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