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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第二部

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第98話 合同訓練2

 まさか、Aランクの一色がこんな言葉を吐くとは思わなかった。

 ブロンズ(まみ)れ……いや、確かに越田に貰った風光以外はブロンズクラスの装備だが、これでも可能な限り上質なものを選んでいるのだ。

 ……セール品の中で。


「一色君、今の発言はいただけません。彼の装備は……アイアンランクでしょう?」


 越田のフォローが逆に刺さる。


「いえ……全部ブロンズです……」

「こ、これは……わ、私とした事がとんだ勘違いをしてしまい申し訳ない。いや、最近のブロンズクラスも悪くない出来のようですね」


 流石の越田も慌てているような表情だ。


「代表、そのブロンズ男に俺らの訓練見せて、何かメリットがあるっていうんですか?」


 ブ、ブロンズ男……これは中々に効く。

 しかし、一色め……俺を煽って何が楽しいのか。


「一色君、彼は私が招いたゲストです。これ以上場にそぐわない口を利くのであれば、退室してもらいますよ?」

「はいはい……じゃあさ、こうしましょうよ?」

「というと?」

「ブロンズ男にも訓練に交ざってもらうというのはどうでしょう?」

「何を失礼な事を、そんな無茶が通るはずもない。ですよね、伊達殿?」


 爽やかな笑みの奥に見える、悪い顔……これってもしかして。

 いや、ここで訓練に交ざる事は、俺にとって悪い事ではない。

 ただ、その場合制限が出来てしまうだろう。


「いえ、それでしたら一緒に参加させてください」

「いけません。今日はあくまで見学だというのに……」

「俺も出来ればトップレベルの連携を体感してみたいので、是非」

「伊達殿がそこまで仰るのであれば……仕方ありませんね。私の根負けです」


 あからさま過ぎて清々しい程だ。

 これは勿論……越田の仕込み。

 一色は越田の指示で俺を煽ったのだ。まぁ、ブロンズクラスの防具をアイアンクラスと間違えたのは本当みたいだったけど、それ以外はこの部屋に入るまでに全て打ち合わせしていたのだろう。

 何故なら、俺が『参加させてください』と言った直後、一色と前園がホッとしたような表情を見せたのだ。


「では、こちらを」


 越田は用意していたかのように木剣を差し出した。

 しかも、100万円もする魔力コーティング仕様。

 俺がその剣をまじまじ見ていると、越田はくすりと笑って言った。


「よろしければ差し上げますよ?」

「い、いや、大丈夫ですっ! ちゃんと、自分で買いますから」


 そうだよな、いずれこういう備品も買わなくちゃいけないんだろうな。


「でも俺、まだ皆さんの動きがわからないので――」


 そこまで言うと、越田がポンと手を叩いて答えた。


「――では、1対1の勝負、その後、2対2の勝負と増やしていきましょう。そうすれば、伊達殿も多くの知見を得られるのでは?」

「確かに……」


 相手の動きがわかれば、相手がチームメンバーになった時、どんな動きが出来るのかがわかる。

 越田の言う通り、その方式は面白いかもしれない。


「ではまず一色君と伊達殿……という事でいかがでしょう?」

「ふっ、いいね! やりましょうよ、ブロンズさん」


 サハギンとリザードマンの報酬を使って、防具一式をゴールドクラスで揃えようと思ってたが、早々にアイアンクラスで固めてしまおうか……?

 いや、そうなると一色にアイアン呼ばわりされてしまうだろう。

 だったら多少背伸びしてでもゴールドさんと呼ばれたい。

 しかし、大丈夫か?


「えっと、一色さんは【聖者】でしたよね? 大丈夫なんですか?」

「あのね、ブロンズさん? 【聖者】ともなればそんじょそこらの【剣士】や【戦士】よりも動けるようになるんですよ。それに、自分に回復魔法も使えるのでじゃんじゃん打ち込んでもらって構いませんよ。ま、打ち込めるならですけど?」


 なるほど、越田の仕込みがなくとも中々……。

 というより、自分の仕事が終わった途端、素が出たというところか。

 俺はちらりと越田を見ると、彼は肩を(すく)めた。

 ……なるほど、それ(、、)も視野に入れてるのか。

 俺がレンタルルームの訓練スペースに入ると、後ろから一色が入って来た。

 Aランクの【聖者】……か。

 正面に立った一色は、若いながら優秀なヒーラー。

 ヒーラーにはヒーラーの立ち回りがある。何よりも重要なのは、的確なタイミングで的確な回復。それと共に味方の邪魔にならない事が大切だ。

 だからこそ、それなりの体術は求められるし、それに耐えうるだけの体力も必要だ。

 そして、彼の実力は越田に紹介された事で証明されているようなものだ。大口こそ叩くものの、それに見合うだけの実力を有している。

 越田含む8人はそれを認めているのだろう。


「それじゃあ、いっちょやっちゃいましょうか」


 剣をくるりと回し、肩に置き、腰を落とす。

 悪くない……隙も出来にくく、あの構えなら一撃も重いだろう。


「合図は?」


 一色がちらりと訓練スペースの四隅にあるスピーカーを見る。


「なるほど、ブザーね」


 レンタルルームには確かそんな機能があったはずだ。

 俺が構えると、数秒の後、スピーカーから低いブザー音が鳴った。

 直後、一色がニヤリと笑う――


「ガッ……ふ!?」


 ――と共に、顔を歪めたのだった。

 一色の腹部にめり込んだ俺の右手。【拳聖】の具合を見ようと思ったのだが、相手が【聖者】だと試すのも難しかったか。

 一色から拳を放すと、彼は腹を押さえながら、そのまま倒れてしまった。

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