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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第二部

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第85話 棗ちゃん

「お、おい……本当にいいのかっ?」

「す、すべては(みこと)様の御心のまままままにまに?」

「超キョドってるじゃねーか! しかも何だ最後の『まにまに』って!」

「神のまにまに……?」

菅家(かんけ)かよ!」


 若いながらも教養のある四条さんには驚きである。

 しかし、今回もっと驚くべき事が起こった。


「いらっしゃい! 伊達家へようこそ、棗ちゃん!」


 遂に(みこと)が四条さんを「ちゃん」付けで呼び始めた。

 それはつまり、(みこと)の中で四条さんが友人という事になったという証拠なのだ。

 相田さんとの事情聴取のタイミングで、(みこと)から連絡が入った。

 内容は夕飯で使う調味料が切れるから買って来て欲しいというとるに足らない事だった。

 だから俺はそこで(みこと)に相談してみたのだ。

 当然、通話は切られた。何故なら、通話料がかかるから。

 だったら何故(みこと)は電話してきたのか。

 だが仕方ないのだ。たまに、意味のない電話をしてくるのが(みこと)なのだから。

 だから、俺は一旦二人を応接室に残し、トイレに行くふりをして(みこと)ToKW(トゥーカウ)で会話したのだ。


 強心臓――さっきの話、四条さんの事だよね?

 玖命―――そう。今話してて、どうも四条さんの護衛を雇うのが難しいみたい。

 強心臓――はぁ!?何でそんな事になるのよ!そういう時に助けるのが親元でしょ!

 玖命―――仰る通りで。一応出来はするみたいなんだけど、そのお金が出るまではちょっと時間がかかりそうでね。

 強心臓――お役所って感じね。仕方ないんだろうけど……で、どれくらい?

 玖命―――相田さんの話だと1ヶ月くらいだって。

 強心臓――ふーん……じゃあウチに来れば?

 玖命―――は?

 強心臓――だって四条さん困ってるんでしょ?

 強心臓――死んじゃうかもしれないんでしょ?

 強心臓――助けないの?

 玖命―――いや、いいのかな?

 強心臓――昔のお兄ちゃんじゃないんでしょ?

 強心臓――今はその力があるんでしょ?

 強心臓――お兄ちゃんが出来ないなら、そりゃ仕方ないけど?

 玖命―――でも、守り切れるかどうか

 強心臓――それを決めるのは四条さんでしょ?

 強心臓――お兄ちゃんが言って、断ったらそれは四条さんの責任だけど、何もしないでそのままってのは違うんじゃないの?

 玖命―――その通りです。

 強心臓――なら聞くだけ聞いてみて。お父さんには私から説明するし、納得させるから。

 強心臓――部屋も一部屋余ってるし、布団もある。大丈夫。

 玖命―――わかった。ありがとう。聞いてみる。

 強心臓――よろしい。醤油とマヨネーズ忘れないでね。いつものお店で必ず買う事。間違えたらお兄ちゃんのおかずは無し。

 玖命―――わかってるよ。ところで今更なんだけどさ

 強心臓――何?

 玖命―――(みこと)KW(カウ)ネームの「強心臓」って、何?


 そこから、ToKW(トゥーカウ)の返信は来なかった。

 その後、トイレから戻った俺は、四条さんに(みこと)とのやり取りを説明した。

 すると、四条さんはポカンとしていたが、何故か相田さんもポカンとしていた。


「うぅ……あの時の相田ってやつの目……凄く鋭かった……」


 伊達家のリビングにあがるなり、四条さんは自身の肩を抱え、思い出したようにそう言った。


「え、そうかな? 気付かなかったけど……?」

「へっ、そりゃそうだろうよ」

「何? お兄ちゃん、今回の話、相田さんの前でしたの?」

「え、まずかった?」

「「はぁ~」」


 何故か(みこと)と四条さんの溜め息が揃う。

 そして、二人は口元を手で隠し、なにやらコソコソと話している。こういう時【超集中】を使えば聞けるのだろうが……あれはそれを絶対に許さない目である。怖い。


「……ふんふん、なるほど。伊達の男は鈍感家系なんだな」


 心外である。


「あ、そうだ。棗ちゃん、連絡先教えてよ」

「あぁ、べ、別にいいけど……」


 恥ずかしそうに連絡先の交換をする二人。


「それにしても、よく父親が許してくれたな?」

「お父さん? (むし)ろ大歓迎だったよ?」

「一ヶ月とはいえ、家に他人が住むんだぞ? 結構なストレスになるだろう?」


 四条さんがそう言うと、(みこと)がくすくすと笑い始めた。


「な、何だよ……?」

「肩ひじ張ってても、そういう風に気遣い出来る棗ちゃん、私好きだよ」

「んなっ!? ば、ばっかじゃねーの! ばーかばーか!」


 四条さんの語彙が消失したところで、俺は彼女に確認をした。


「そういえば、仕事の件は?」

「へ? あぁ、ちゃんとリモートワーク出来るようにしてもらった。しばらくは鑑定業務じゃなくて事務作業ばかりだな。だからこの家の無線LANを貸して欲しいんだけど……」

「無線……」

「らん?」


 (みこと)と俺の捉え方は違っていた。

 深刻そうな顔をしたのが(みこと)で、首を傾げたのが俺である。


「え、それじゃあLANケーブルを……」

「LAN……」

「けえぶる?」


 深刻そうな顔をしたのが(みこと)で、反対に首を傾げたのが俺である。


「お、おい……この家ってまさか……いや、そういえばそういう家だったな」


 何かの諦めがついたらしく、四条さんはそれ以上何も言わず、電話を掛け始めると共に廊下へ向かった。

 そして、戻って来ながら、


「はい、はい……では、メールした住所に……はい、それまでは報告書をまとめておきます。では失礼します」


 電話を切り、再びリビングの席に着くと、彼女が言った。


「派遣所のモバイル端末を使わせてくれるってさ。それまではネット無しでPC作業だな」

「ご、ごめんね……そっか、そういう事も考えておかなくちゃいけなかったのね」

「別にお前が気にする事ないだろ。あ、あとこれ」


 そう言って、四条は一枚の封筒を差し出した。

 俺と(みこと)は見合ってそれを受け取り、中を確認する。


「「こ、これはっ!?」」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 命狙われてる人間を 家に匿う、、、 非戦闘員ばかりの家に、、、 そんなリスクを家族に負わせるよりもまだ借りを作っても 例のトップクランの人らに力借りた方がまだ理解できる
[良い点] 1話で強心臓17回も見るとは よくツッコミいれた 偉いぞきゅーめー
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