表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/365

第52話 妹を取り巻く環境1

 天才派遣所に戻り、チームでの清算を終えた後、俺は立川まで足を延ばした。

 (みこと)と待ち合わせをしている駅である。

 ToKW(トゥーカウ)で連絡を取りながら、辺りを見渡す。


 ――着いた。どこにいる?

 ――改札横

 ――右? 左?

 ――右

 ――改札を背にして右?

 ――前にして右

 ――つまり左だな

 ――それ、確認いる?


 そんなやり取りの後、俺は改札左(、、、)にいる(みこと)を発見した。

 制服の腰元まで伸びた黒い髪。大きくくりっとした瞳。

 道行く人が皆(みこと)を見、進み、また振り返って見ている。

 いつもの(みこと)だが、外で見ると余計に目立つ。

 雑踏の中にもそりゃ美人も美少女もいるだろう。

 だが、(みこと)のソレは一枚も二枚も違う。

 隣に立つ俺が、モブキャラにすら見えない程に。


「右でしょ」

「いや、左だろ」

「お兄ちゃんは、もう少し妹目線の世界を見るべきだと思うの」

「妹は、もう少し背伸びしても構わないと思うんだ」

「んもう、しょうがない兄を持つと大変よね、私って」

「ところで、何で立川なんだ?」


 立川は栄えてこそいるものの、買い物をするのであれば新宿まで出てしまった方がいい。


「決まってるでしょ」

「何か理由があるのか」

「お兄ちゃんと私の電車賃を考えたら、どう考えても立川が限界よ」

「流石は伊達家の金庫番だな。でも、買い物はOKなんだ?」

「交通費は伊達家から、買い物はお兄ちゃんのお財布から。これが最善で最適な今日のプランよ」


 キメ顔で言ってるが、ここは人がごったがえす駅の改札前である。


「それじゃあ、まずはどうするんだ?」

「決まってるわ、まず、KWBOY(カウボーイ)に行きましょ」


 KWBOY(カウボーイ)……KWNが親会社の西部劇をコンセプトにしたウェスタンカフェである。

 カウガールの衣装が人気で、アルバイト募集はすぐに埋まってしまう程だとか。

 当然、見る側としても人気のお店である。特に男。

 がしかし、男女問わず家族に至るまで人が集まる人気店。

 見栄えの良い飲み物やスイーツ、更にはお酒におつまみまで基本的なメニューは全て揃っている。

 普段はあんな商品単価の高い店には行けないからな。

 (みこと)が行きたがるのもわかってしまう。

 昼過ぎという事もあり、店もそこまで混み合ってなく、少し並んだだけで受付までやって来る事が出来た。


「……で、何を頼むんだ?」

「ペコス・ビルをください」


 ペコス・ビル……アメリカの伝説上のカウボーイ。

 まぁ、とはいってもホラ話に出て来る架空の人物である。


「お客様はどうされますか?」


 そう言われても、俺もこの店の何がいいかはわからない。

 という事で、


「同じものをください」


 これしかないだろう。


「かしこまりました」


 会計を済ませると、


「あちらのアープ君の前でお待ちください」


 アープ君……リボルバーを構えたKWBOY(カウボーイ)のマスコットキャラ。その前で待ってると、隣の(みこと)が心配そうに聞く。


「ねぇ、ペコス・ビルってどういうのか知ってるの?」

「いや、知らないけど?」

「架空の人物がモデルって事で、飲み物自体も架空なのよ」

「架空ってどういう事?」

「店員さんの気分で飲み物が出て来るのよ」


 そんな飲み物があっていいのか?

 いや、バーテンダーみたいなものか?

 カフェでこんな事が出来るなんて、やはりKWNは凄いんだな。


「「お待たせいたしました~」」


 店員二人の声が揃う。

 どうやら呼ばれているのは俺たちのようだ。

 ……だがおかしい。


(みこと)

「何よ、お兄ちゃん」

「受け取りカウンターに飲み物が一つなんだが?」

「それに、ずいぶん大きいわね」

「生クリームが俺の胸元くらいまであるんだけど?」

「アイスもいっぱいだね」

「「お客様方二人分のペコス・ビルでございます」」


 もしかしなくても、どうやら俺は地雷を踏んでしまったようだ。


「ちょっとどうすんのよっ……!」


 店内だからか、いつもの(みこと)の勢いがない。


「どうするも何も、合体して出て来ちゃったんだからしょうがないだろう」

「私は一人分の飲み物が飲みたかったのっ……!」

「何で?」

「この店のペコス・ビル(おまかせ)はすっごく()えるって聞いてずーっと楽しみにしてたんだから。なのに、こんなんじゃ皆に写真も送れないわよ……!」

「別にこのまま送ればいいだろ? まだ手を付けてないんだし」

「二人分のハート型のストロー……! ハートに盛り付けられた生クリーム……! どう見ても恋人と一緒みたいなドリンクでしょ……! こんなの友達に送れる訳ないじゃない……!」


 小声で怒鳴る(みこと)の肉薄に恐怖を感じるも、今の俺にはどうしようも出来ない事だ。


「生クリーム、垂れてきてるぞ。飲むのか? 飲まないのか?」

「こ、こんなの……どうすればいいのよ……! こんな……も、もう仕方ないわねっ!」


 ぷんすこと起こる(みこと)をよそに、俺は二つで一つのハート型ストローに口を付けた。

 彼女と飲む訳でもあるまいし、妹とこんなもの飲んだところで……むぅ!?


「……な、何よっ?」

「あの、顔、近いんだけど?」

「近くしないと飲めないじゃない」


 いや……これは、かなり恥ずかしいぞ?

 俺は今、何故こんなところで、こんな飲み物を、実の妹と飲まなければならないのか。

 顔を真っ赤にしながらストローに口を付ける(みこと)は、ある意味見物かもしれないが、今はそうじゃない。

 俺もまた見世物になっているようだ。

 周囲の視線に晒されながら、俺は架空の人物――ペコス・ビルに恨み節を呟くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ