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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

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第351話 ◆痛恨の後手1

「うぉ!? もう終わったのか!?」

「凄いっ、入ってから3分も経ってないよ!」


【大いなる鐘】の第4班が騒めく中、(ポータル)に異変が起こる。

 バチンバチンと(ポータル)が光ると共に、伊達玖命が飛び出て来る。

 玖命が(ポータル)の外に出ると、そこで待ってたのは――、


「やぁ、伊達殿。ご協力感謝します」


 笑顔と共に、握手を求めてくる男――【大いなる鐘】代表、越田(こしだ)高幸(たかゆき)

 玖命は一大事の最中(さなか)、越田がこれまで悠長な事をする人物ではない。

 そう判断し、すぐにその手を取り、目を伏せてから言った。


「微力ながら協力させて頂きました」


 越田の右手をとると、その右手はそのまま【天獄(てんごく)】内の通路へと向けられた。

 玖命はその意図に気付き、そのまま足を通路へ向けた。


(なるほど、俺を早急に別の場所へ移動させるためのポーズか。相変わらずだなぁ……)


 半ば感心、半ば呆れながら、越田の誘導に従う玖命。

 トップ会談――他の天才たちにはそう見えるような構図で、誰にも口を挟ませない誘導。

【天獄】の通路を数歩歩くと、そこには既に二人の人物が玖命を待っていた。


「山井部長……それに、荒神所長……!」


 待っていたのは、日本の天才派遣所のトップ。

 二人は何も言わず、進行方向へ歩き出す。

 越田と玖命は見合ってから二人に続き、やって来たのは――、


「看守の休憩室……ですか」


 越田はくいと眼鏡を上げながら言った。

 しかし、次の瞬間、越田と玖命は驚きを見せる。


「「っ!?」」 


 壁一面に広がる夥しい量の血液。

 ランクC以上でないと就けない【天獄】の看守という仕事。

 その天才たちの無残な死体だったのだ。

 険しい顔を見せる越田、その現場を知っている荒神と山井でさえ眉をひそめている。

 しかし、その場ですぐに動いた者がいた。

 それが玖命だったのだ。

 周囲を見渡しながら、死者の前に膝を突き、目を伏せると共に手を合わせる。

 その後、その死体の状況を事細かに見る。


「首元を正面から。返り血を浴びない自信と共に、攻撃の直前まで相手に警戒させてない。実行犯ははぐれが扮した看守。だけど、相手が油断していないところを見ると、仕込み期間はかなり長いですね……」


 一瞬の洞察。

 これには山井も目を見張る。

 越田は肩を(すく)めて荒神を見る。


「やれやれ、これからそれを荒神殿や山井殿が説明しようとしてたんじゃないのかい?」

「あ、すみません。勝手に動いちゃって」


 越田の言葉に反省を見せる玖命だったが、口の端を上げた荒神が軽く言う。


「いいよ別に。二人に意見を聞きたくてここに連れて来たんだから」

「いやいや、中々の洞察力。流石は【無恵の秀才】だな」


 腕を組み感心する山井を前に、玖命は思い出したように言った。


「あ、そうだ。荒神さん」

「どうしたんだい?」

飯田(いいだ)(はじめ)と……おそらく八神(やがみ)右京(うきょう)が脱走しているかと」

「あぁ、たっくんから報告を受けてるよ。八王子で二人と接敵したそうだ」

「っ! そうだ御剣さん!」


 言いながらポケットからスマートフォンを取り出そうとする玖命。

 しかし、荒神の言葉がそれを止めた。


「既に御剣(みつるぎ)麻衣(まい)(さら)われた後だった。おそらくそんな連絡が届いてるだろうね」


 難しい顔をしながら言う荒神を見て、玖命はぎゅっと口を結んだ。


「…………そう、ですか…………」

「すまなかったね、伊達。わざわざ警告までしてくれたってのに、この(ざま)だよ」

「いえ、流石に看守にはぐれの仕込みがされてる上、【天獄】内に人工(ポータル)を発生されては、こちらも後手に回るのも無理はないかと……それで、その他の被害は?」

「幸いと言ったら悪いかもだけど、一般人の被害は御剣だけ……とはいえ、天才の被害がかなりのもんだろうね」


 休憩室にある死体は五体。

 更には玖命が駆け抜けた廊下にも多くの遺体があった。


「おそらく……50人は超えてるだろうね……」


 困った様子の荒神が零すと、越田が険しい表情で言う。


「それは、頭の痛い話ですね。脱走者の方はいかがです……?」

(ポータル)から出てきた越田がそのまま第1班~第3班を手配してくれたおかげで、バンバン捕まってるよ。厄介なのは伊達の口から出た二人くらいだろうね」

「なるほど、【将校】飯田一と……城田……いや、【道化師】八神右京ですか。何とも厄介ですね」

「あぁ、伊達の情報が正しけりゃ、八神はこの【天獄】で多くの天才を殺した。おそらく【将校】の飯田と組んでね」


 それを聞き、玖命が立ち上がる。


「そ、それってつまり……!」


 玖命がそう言った瞬間、越田が遅れて気付く。


「……なるほど……いましたね。【天獄】にも、世紀の大犯罪者と言われた大悪党共が……!」


 越田が語気を強めて言うと、山井が難しい顔をしながらその先を続けた。


「あぁ、日本史上初の第五段階と言われた【神聖騎士】、そして【大将軍】の天恵に至った二人の天才……【(にのまえ)零紀(れいき)】と【桜田(さくらだ)厳斎(げんさい)】。この二人の死体が【天獄】内で確認されている」

「つまり、八神右京はその二つの天恵を得たと見て間違いない、と?」


 越田の問いに、山井は首を縦に振る。


「老いても天恵は天恵……(よわい)八十を超える二人を八神と飯田で倒すのは……そう難しい事ではないだろうな」


 より強化された八神の情報を聞き、玖命は拳を強く握るのだった。

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