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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

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第346話 ◆宗頼と賢二……そして一心2

「かねてより御社TLE株式会社の技術には驚かされて参りました。一重に穂積社長の手腕と、伊達さんのような優秀な社員による切磋琢磨(せっさたくま)の成せる(わざ)。先日発表された【堅牢アミアミバズーカ】も素晴らしい。魔石事業を始めて一年程であの洗練された製品を世に出すとは本当に脱帽です」


 川奈宗頼(むねより)がそう言うと、穂積もKWNに対し所見を述べる。


「KWN重工の重火器の発表にはこちらも驚きました。この時代故の難しさではあるが、【KW-00A(ラプトルA)】や【KW-00T(レックスT)】。それに【KW-00K(コアトルK)】については荒神氏や越田氏が関わっているので?」

「勿論、天才を代表される方々にも意見を頂き、完成したものです。ただ、この結果に甘えず、常にバージョンアップ目指していきたいですね。当然、それには伊達玖命(きゅうめい)さんの協力も欠かせないと思っています」


 言いながら川奈が一心に目を向ける。

 すると、一心は少し考えた後、言葉を選ぶように返した。


「……わかりました。ですがそれは御社と玖命の事。深く踏み込めば、私の感情が

 入ってしまう可能性もあるので、発言は控えさせて頂きます」


 それを聞き、川奈は少しだけ驚いたように目を丸くするも、すぐにくすりと笑って穂積に言った。


「そういう面では、私も伊達さんを見習わなければなりませんね」

「ふふふ、彼、本当に追い込まれたり、何かキッカケがあったりすると、こっちがビックリする事するんですよ」

「ほぉ、それは興味深い」

「昨日は先日御社が【命謳(めいおう)】にリースした【KW-ZXM(ズィクシム)】、あれを運転したそうで」

「なんと、伊達さん自ら運転を?」


 その質問に、一心は恥ずかしそうに答える。


「は、はぁ……いつ必要になるかわかりませんから、予め軍用走行車両の癖を知っておこうかと思いまして……」

「なるほど、実に献身的でいらっしゃる。確かに、【命謳(めいおう)】の利用範囲を考えれば、玖命さんの父君――伊達さんが運転する可能性も十分にある。確かに私も…………うん、そうですね」


 途中まで言いかけるも、川奈はそれ以上言う事はなかった。

 それを察してか、穂積が話を元に戻す。


「それでは、今回我が社を選ばれた理由。我が社と組む事によって見える御社の展望をお聞かせください」


 そう言われ、川奈はコクリと一つ頷いた。

 そして立ち上がり、自身の机からファイルをとり、再び席へと戻った。

 それを見て、穂積と一心は顔を見合わせる。


(天下のKWNの社長が……?)

(アナログのファイルなんて珍しい……?)


 デジタル化が進んだ昨今でも、資料をアナログ資料を作成し、見せる事はある。

 しかし、最先端を行くKWNともなれば、疑問が浮かぶのである。

 そして二人は行きつく、その理由。


(つまり、自社のファイルじゃない?)

(借り受けたもの。そして、それをデータとして残したくない可能性……!)


 川奈がファイルを開いた時、二人はその答えを前に目を丸くする。


「「こ、これは……!?」」


 二人の驚きは予想していたのか、川奈は反対に落ち着いた声で言った。


「これは、Japan(ジャパン) Creative(クリエイティブ) Arms(アームズ) Factory(ファクトリー)……のカメラ映像の一部を写真に起こしたものです」

「それって確か……」


 穂積が思い出しながら一心を見る。


千歳(ちとせ)の工業地域……玖命と鳴神君、それに……」


 一心が川奈の方を見る。


「そう、我が娘、川奈ららが対応した【はぐれ】たちのアジトです」

「確かここには人工(ポータル)が三つもあったって」


 穂積の言葉に川奈が頷き、ファイルの次のページをめくる。


「ゴルフ場……ですかな?」

「ずいぶん寂れてますね。もしかして旧ゴルフ場……?」


 そう言われ、穂積が思い出す。


「あれ? 確か玖命君が赤鬼エティンを倒したのって……ゴルフ場跡じゃなかった?」

「そ、そうです……相模原(さがみはら)の……っ! も、もしかしてここもっ!?」


 何かに気付き、一心は川奈を見た。

 一心が正解にたどり着いたと理解した川奈は深く頷き、次のページをめくる。


「八王子の大災害時の写真です」

「むぅ……」

「KWN銀行海老名支店の防犯映像を写真に起こしたものです」

「これも……人工(ポータル)……」



 険しい顔をした穂積が、写真に写る目出し帽の男を見る。

 そして、一心はついに聞いた。


「……つ、つまり、川奈社長は……――」

「そう、私がTLEと目指す未来は人工(ポータル)の謎を解明し、実証する事」

「「っ!!」」


 驚きを隠せない二人は言葉を詰まらせる。


「勿論、悪用する訳ではない。都合の良い(ポータル)を発生させ、ゴブリンの【管理区域】のように魔石を乱獲するというものはありません」


 川奈の慎重な説明に、穂積と一心が耳を傾ける。


「はぐれが持つこの技術を再現する事が出来れば……防ぐ事も可能だという事」


 そして、実証のその先にある真実を川奈が述べた時、穂積と一心の顔に理解が宿ったのだ。


「これは、人々を守るためのもの。未来の我々を救う技術。そして何より、我が子の未来を守る技術……!」


 その時、川奈の言葉、表情は大企業の社長のものではなかった。

 ただただ娘の安全と、未来を願う父親の顔が……そこにはあった。


「穂積さん、伊達さん……どうか、ご協力頂きたく……!」


 深々と頭を下げる川奈宗頼。

 それを目の当たりにした穂積が言う。


「これ以上なくTLE(ウチ)向きの仕事だと思うけど、伊達君、どう思う?」


 自社の社長にそう言われ、息子のクランメンバーの父親に頭を下げられ、一心は覚悟を決めたように「うん」と唸った。

 そして、穂積に対しいつもの調子で言ったのだ。


「やるに決まってるじゃないですか、社長!」


 声高らかに、鼻息荒く。

 それを見てくすりと笑った穂積。

 ゆっくりと頭を上げた川奈に対し、穂積は言った。


「ウチの部長も乗り気なんで……まぁ、とは言っても一度自社に持ち帰らなくちゃ……ねぇ、伊達君?」

「そうだ、社長! お土産!」

「あ、そうだね。川奈社長、これ。好きだって聞いたので」

「こ、これは【んめぇ棒】に【練り飴】!? 更に【薄焼き玩太郎】まで!?」


 好物を前に喜ぶ川奈。

 一心は【んめぇ棒】を持ち、穂積に言った。


「役員は今日全員出社してます。だからこの場でリモートで決めちゃいましょうよ! ね、社長っ!」


 そんな一心の押しに、


「ね? ビックリでしょう?」


 そう川奈に言いながら、一心を指さすのだった。

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