表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

332/365

第327話 ◆KWN株式会社の会議室にて2

「……困ってません」


 御剣が絞り出した答えは、玖命の意図にそぐわないものだった。

 だが、玖命は怒る訳でもなく、呆れる訳でもなく、ただ――、


「そうですか、それならよかったです」


 笑って御剣に言った。

 そして、今の話題などなかったかのように、別の話題を振ったのだ。


「そうでした、クランの件でも相談があったんですよ」


 そう言って玖命は、一心(いっしん)と命が選んで買ってきたノートパソコンをリュックから取り出したのだ。


「え、ク、クランの件ですか……? 私でわかるかどうか……」

「実は、今度の【世界天才会議(WGC)】に出席する事になりまして、世界のクラン情勢なんか詳しく聞けたらなーと」


 それを聞き、御剣は立ち上がる。


「だ、【WGC】に出席されるんですかっ?」

「えぇ、先日、荒神さんと越田さんが事務所(オフィス)にいらっしゃって、お誘いを受けました」

「そ、それってお誘いじゃなくて説得なんじゃ……?」

「どうでしょうね。でも、行くからには色々調べておこうと思って」

「それ……私に話して大丈夫なんですか……?」


 御剣がそう聞くのも無理はなかった。

 伊達玖命が【WGC】に参加する。これは今、どこのメディアも入手していない情報である。それを、玖命があっけらかんと御剣に話した。雑誌記者といえど、スクープはスクープ。御剣にとって大きな収穫とも言える。

 それを、玖命が話した。話してしまった。

 御剣は、メディア側だというのに、そう感じざるを得なかった。


「御剣さんだから話したんですよ」

「……え?」


 そんな玖命の言葉に、御剣が硬直する。


「月刊Newbie10月号の記事、とても良かったです。あんな記事を書ける人なら、そう思って、ちゃんと荒神さんや越田さんにも了解を得てますから、安心してください。ちゃんと話していい情報です」


 そう言われ、御剣はボッと顔を赤らめた。

 だが、玖命にそれを悟られる訳にはいかない。

 そう思い、御剣は顔を隠すように深々と頭を下げた。


「あ、ありがとうございますっ!」

「月刊Newbie12月号の表紙、楽しみにしてます」

「はい! が、頑張りますっ!!」


 精一杯、御剣が出せる目一杯の声での感謝。

 だが、それ以上に、御剣は自身の記事を褒められた事に感謝していた。


(う、嬉し過ぎるぅううう……! 伊達君に褒められたぁああああっ!!)

「荒神さんと越田さんも、御剣さんは信用出来る人だっておっしゃってました。俺もこの目でちゃんと見て、そう思っただけですから……そんなにかしこまらないでください、ははは……」

「はい!」

「あ、でも、海老名の時みたいに戦闘の場には出ないで欲しいかな、と……ははは」

「先日はご迷惑をお掛けしましたっ!」

「いや、謝らせようと思った訳じゃないので……」

「精一杯書きますっ!」

「あ、ありがとうございます……し、信用してますから、御剣さんの事……」

「はい! 命まで助けてもらって、ホントありがたい限りですっ!」


 感極まった御剣の圧に押されるも、玖命はすぐに平静を取り戻した。


「はははは、困った時はお互い様ですから……御剣さんも、困った事があればいつでも頼ってくださいね」

「っ!?」


 それが何を意味する言葉なのか、御剣はすぐに理解した。

 そして、嬉し泣きしていた涙を指で拭い、玖命に言ったのだ。


「ふふ……意外にズルいんですね、伊達さん」

「俺は思った事を言っただけですよ」


 玖命は珍しくおどけて見せるも、御剣はそれを見て笑いはしなかった。

 そして、改めて玖命を見据え、再び言ったのだ。


「困ってません」


 そう、ハッキリと、明確に。

 それ以上の事は玖命も何も言わず、聞かず。

 ただ「そうですか」とだけ零し、元の話題へと戻った。

【WGC】に出席が決まっている天才、出席が濃厚な天才、それら天才が所属するクランの情報を御剣の知る限り、玖命に渡す。

 それは、信頼の証であり、信用の表れであり、玖命のため、日本のためと言えた。

 密度の濃い時間を2人は過ごし、御剣がKWN本社ビルを出る頃には、既に陽も暮れかけていた。

 御剣が来た時と同様に、本社ビルを見上げる。

 そして、会議室のある階付近を指差し、小さく言ったのだ。


「イイ男……! うん!」


 そう呟くように言った後、御剣は晴れやかな表情でKWN堂へと戻ろうとした。

 池袋駅に近付き、大通りの信号を待つ。

 しかし、そこには御剣の意図しない事が起こったのだ。

 御剣の前に停まる、数台の高級車。

 内装と外装にこだわり、兎に角派手さが際立つ車。

 それを見た瞬間、御剣の晴れやかな表情は消し飛んだ。

 能面のような真顔になり、車の窓から顔を覗かせる男を見る。


「やぁ麻衣、こんなところで奇遇だね」


七海(ななうみ)総一郎そういちろう】……七海建設の若社長にして、天才主義国家【パラティア共和国】との繋がりを持つ男。


「……七海社長……」


 呆れた様子すら見せず、ただ事務的に返答する御剣。


「ははは、大学の時みたいに七海君と呼んでくれたまえ。ここだと他の方に迷惑になるだろう? さぁ、乗りたまえ」


 この言葉に、流石の御剣も、眉間をピクピクとさせる。


(大通りで勝手に停めたのはそっちでしょうが……)


 しかし、相手は大企業の社長。

 自分の会社、仕事、プライベートまで握っているといっても過言ではない相手。

 御剣が反抗出来る相手ではなかった。


「………………」


 肯定の返事さえも出せないまま、御剣は車に乗り込むのだった。

本年もよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
七海社長が車から離れていれば駐車違反で 切符を切られて最悪レッカー移動される 自分の車を追いかける姿を見た後 御剣さんはそのまま帰れそうです。 これからも応援しております。
本年もよろしくお願いします。これからも応援しております。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ