表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第六部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

322/327

第317話 訓練、鍛錬、トレーニング

「いいですね! その調子で倒しちゃってください!」

「ったく、注文が多いのよ!」


 銃声こだまする【管理区域B】。

 今日、俺は月見里(やまなし)さんの確かな成長を目撃していた。ホブゴブリンを倒し、倒し、倒す。

 数十メートル離れた個体の眉間に、1発、また1発と撃ち込まれる銃弾。

 やはり、スカウト班で有望だっただけに、非常に良いセンスを持っている。

 また、【脚力SS】の恩恵もあり、動体視力もよく高速で動き回る中、しっかりとモンスターがどこにいるのか把握し、立ち回りも、位置取りも完璧と言って過言ではない。

 これはおそらく、たっくんの指導によるものだろう。

 翔も関わってるのだろうが……、


「集中……集中でしょっ!」


 あのたまに出る「集中」発言は誰から真似たものなのか。


「……うん、いいじゃないですか」


 ホブゴブリンの死体の山が築かれる中、俺は月見里(やまなし)さんにそう言った。


「ふふん、でしょ? もっと褒めてもいいのよ?」

「そうですね。それじゃあ、ゴブリンジェネラルやグレーターデーモンクラスを相手に上手く立ち回れるようになったら、契約書の見直しをしましょう」


 魔石を回収しながら言うと、月見里さんは一気に俺に肉薄してこう言った。


「ホントッ!? そ、それってお給料の見直しって意味で合ってるわよねっ!?」


 正に現金な性格である。

 まぁ、俺も似たようなものかもしれないけど。


「そ、そうですよ……」

「Bランクのゴブリンジェネラルとグレーターデーモンね? 前にぶっちぎった事あるし、楽勝よ、楽勝!」

「逃げるのと戦うのは違いますからね。くれぐれも命を大事にしてください」


 俺がそう言うと、月見里さんはニコリと明るく笑って言った。


「わかってるわよ。お金よりも命、ね!?」


 妙にものわかりがいいな。


「命よりもお酒! ふふふ」


 そうでもなかった。


「それじゃ、これ」


 そう言って、俺は月見里(やまなし)さんの前に一枚の紙を出した。


「え? これって、前に書いた借用書じゃない?」

「そうです。26530円」

「26530円……」

「じゃあこれを……」


 言いながら、俺はその場で借用書を魔法で燃やした。


「え、えぇ? い、いいの……?」

「今回の討伐で、返済出来るので問題ありません」

「マジ!? やったぁ!」

「これで月見里さんが抱えてる債務はなくなりました。先に渡しておいてくれた請求は全て四条さんに処理してもらいましたので」

「え? も、もしかしてそれで歩合制にしたの?」

「それだけじゃないですけどね」

「……それって何でよ?」

「歩合制だと信用が低いですからね。これ以上請求先(カード)を増やさないため、作らせないため……というのが、川奈さんからの提案でした」

「マジ? ららちゃんも絡んでたのっ?」


 驚く月見里(やまなし)さん。

 確かに、川奈さんの名前は意外だったのだろう。

 しかし、仲間、友人ながら……恐ろしい事を考えるものだ、川奈さんは。

 天才派遣所の調査課で月給制だった月見里(やまなし)さんは、信用という面では保証されている。つまり、それでは月見里さんの金遣いは加速されてしまう。


「道理で……新しいクレカの申請が通らない訳よね……」


 しかし、クラン所属となり、完全歩合制という信用、実績も薄い観点からならば、しばらくクレジットカードを作る事は出来なくなる。たとえ今一番勢いのあるクラン【命謳】のメンバーだとしても、だ。

 その助言を川奈さんから聞いた時は、少し恐怖を感じたものだ。

 ていうか、この人、やっぱり新しいカード作ろうとしてたのか。


「もう、以前のカードが使えるはずです……が――」

「――が?」

「さっきの話、条件をもう一つ追加します。『もし、以降、月見里さんの金回りに異常を感じ取れば、都度契約の見直し。注意勧告の後、改善が見られなければ、契約解除。1度でも契約の見直しが起これば、Bランク以上のモンスターを手玉にとったとしても、給料アップは無し』です」

「えっ!? ちょっと冗談でしょ!?」

「別に、問題を起こさなければいいだけじゃないですか?」

「そ、それはそうだけど……」

「勿論、お酒関係も同じ事ですからね」

「ぐっ!?」


 月見里さんは若干表情を引き()らせながらも――、


「わ、わかった! わかったわよ、もうっ!」

「もし、そういった兆候が見られれば、俺や四条さんから適宜牽制を入れますから。いきなり契約見直しが起こる訳じゃないので、そこはご安心を」

「それが何気に一番怖いんだけど……?」

「任務中のお酒は絶対禁止ですからね?」

「…………オ、オーケーボス……顔が怖いのよ、もうっ」


 月見里さんから最後零れた言葉は、聞こえなかったふりをしよう。

世界天才会議(WGC)】まで残り約2ヶ月。

 クラン活動も安定してきたし、最近はモンスターパレードも起きていない。

 とはいえ、あくまで関東近郊の話である。

 先日の青森の一件もある。油断は出来ないだろうな。

 そんな事を考えていると、四条さんからToKW(トゥーカウ)が入った。


 四条棗――きゅーめー。

 玖命―――どうしました?

 四条棗――月刊Newbieから取材依頼がきてるぞ。12月号、伊達玖命オンリーで一面を飾りたいって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ