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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第五部

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277/327

第274話 ◆天恵展覧武闘会3

 ◇◆◇ 10月10日 8:50 ◆◇◆


 東京都千代田区に建てられたKWNドーム。

 出場者枠として招待席に座っている乙女四人。

 伊達家の金庫番【伊達(だて)(みこと)】、クラン命謳の事務兼【天眼】保有者【四条(しじょう)(なつめ)】、(みこと)のクラスメイトであり、玖命に命を救われた過去を持つ桐谷(きりたに)明日香(あすか)山下(やました)(れい)


「本当に良かったの? 私たちなんか……」


 山下の言葉に、(みこと)が頷く。


「うん。お父さん、仕事で来られなかったし、チケット余っちゃうのは勿体ないからね」

「でも、招待は1人1枚でしょ? て事はもう1枚は……?」


 桐谷の問いに四条が答える。


「私のだよ」

「うぇっ? 棗ちゃん良かったんっ?」

「らいよーぶらいよーぶ」


 言いながら四条がドリンクのストローに口を付ける。


「うん、ありがとう!」


 桐谷の言葉に、ほんの少し耳を赤くさせた四条の隣で、山下が(みこと)に言う。


「お兄さん、凄く強くなったよね! 海老名の事件、テレビで観て驚いちゃった」


 そう言って、(みこと)の前に月刊Newbie10月号を差し出す山下に、(みこと)が小首を傾げる。

 それを見て、思い出したように桐谷も月刊Newbie10月号をバッグから取り出す。


「……これは何?」

「「お兄さんにサインもらって! お願い(みこと)っ!」」


 揃うクラスメイトの声。呆れる(みこと)


「アンタたち、クラスで皆が私にサイン強請(ねだ)ってる時は守ってくれてなかった……?」

「いや、それはそれ、これはこれといいますか……」


 恥ずかしさを誤魔化す山下と、


「いや、それはそれ、これはこれっていうか……」


 恥ずかしさを誤魔化す桐谷。

 それを横目にくすりと笑う四条。


「頼まれてやりなよ、(みこと)

「え、いいのかな……?」

(むし)ろ、きゅーめーなら喜んで書くだろ」

「むぅー……確かに」


 そんな(みこと)の納得を見、桐谷と山下は顔を綻ばせる。


「「やったぁー!」」


 手を合わせ、喜びを見せる二人から3冊(、、)の雑誌を受け取る(みこと)


「……ん? 1冊多くない?」

「あ、うんと……お父さんが欲しいって……うん」


 山下の言葉に「ふーん」と零す(みこと)と…………うんうんと頷く四条(、、)


(よし……きゅーめーのサインゲットだ)


 そんな四条の企みをよそに、ひと際歓声が大きくなる。10万人を超える観客が立ち上がり、8時59分になって華やかに演出される電光掲示板を見つめる。


「おー、豪華だね……」


 (みこと)が零すと同時、桐谷と山下が立ち上がる。


「うぉおおおおおっ!!」

「お兄さぁああああんっ!!」


 クラスメイトの感極まる行動に、引き気味の(みこと)


「いや、招待席ならタブレット付いてるじゃん……」


 そう言って、(みこと)と四条は、座席に備え付けられている端末を見る。

 電光掲示板の表示がカウントダウンに切り替わる。

 それと同時、歓声が更に大きくなる。

 それに便乗する桐谷と山下。


「10! 9! 8! 7! 6! 5! 4! 3っ! 2!! 1っ!! ……0ぉおおおおっ!!!!」


 直後、大きな音楽と共に花火が打ち上がる。

 今日一番の歓声と共に、電光掲示板が切り替わる。

 そこには2人の女。

 天才派遣所統括所長兼日本支部支部長――【荒神(あらがみ)(かおる)】、そして先の海老名の一件で一部ながら名を上げたKWN堂の記者【御剣(みつるぎ)麻衣(まい)】。

 解説席からの実況映像を電光掲示板に映し、スピーカーから御剣の声が響く。


「さぁ、待ちに待った【天恵(てんけい)展覧てんらん武闘会ぶとうかい】! 10月10日はクラン団体戦! 司会はKWN堂より御剣麻衣がお送りします。そして、今年の解説には何と! 日本天才事業の母! 天才派遣所統括所長、荒神薫さんにお越し頂きました!!」

「よろしくお願いします」


 割れんばかりの歓声が会場を埋め尽くす。


「マジか、いつもは顔すら見せないのに……」


 四条が驚きを露わにする中、御剣の言葉が続く。



「例年とは違い、今年は何故ここへ?」

「毎年打診はあるんだけどね、忙しくて。でも、今年は何とかスケジュールをこじ開けて来ました」

「何か心境の変化があったという事でしょうか?」

「旧友のたっくん……山井は勿論だけど、【命謳】が気になってるんだよね」

「やはりそうですか! かくいう私も【命謳】に命を救われた身! 個人的には応援したいクランなんですよ!」

「あなた司会者だよね?」

「そ、そうでした!」


 小さな笑いも、10万規模となれば会場に響く。


「ご安心ください! 審判は私ではありませんので! 出場する全天才、全クランの魅力をしっかりお届けできればと思っております! さぁ、第1回戦の準備も整いつつあるようです! 両クランの入場までもう少々お待ちください! 入場までの間、トーナメント表を見つつお話したいと思います」


 そう言うと、御剣と荒神の映像が右上にワイプされる。その下には計31ものクラン名がずらりと並ぶ。


「初戦は【命謳】と【インサニア】。東北を拠点にする【業炎(ごうえん)】や、九州で活動する【別府(べっぷ)猪共(いのししども)】、北関東で活動する【ポチズリー商店(しょうてん)】などなど、高名なクランの参加が目立ちますが、一番の目玉はやはり、トーナメント表の一番下! 前回覇者のクラン【大いなる鐘】がシード枠として参加しております!」


 御剣の説明の後、荒神が締める。


「楽しみだね。健闘を祈ります」

「さぁ、いよいよ第1回戦が始まります! クラン入場ですっ!!」


 10月10日9時5分、今日この時、この瞬間、クラン【命謳】が、日本に、世界に……強烈な印象を叩き付けるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さて注目の初戦! [気になる点] ……… カマセバンバ… なんか普段聞かない国の伝統的なダンス名みたいだな
[一言] クラン名におかしいのあるな……?笑 ポチがいるんかなぁ……。いてほしいなぁ……。 ハスキーかなぁ、何かの犬型モンスターかなぁ……。 多分出番はないのだろうけど気にならないわけがなかった笑
[一言] 北関東では愚者とワンコが暴れているんですね
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