表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/327

第25話 剣皇の力2

 右、左……ここで右? いや、これはフェイントで突き!?


「ガッ!?」


 何で横から蹴りがとんで来るんだ……?


 ――【探究】の進捗情報。天恵【剣豪】の解析度25%。天恵【上級騎士】の解析度4%。天恵【腕力C】の解析度17%。天恵【頑強E】の解析度7%。


「なるほどね。確かに戦闘系の天恵を複数所持しているようだね。こんなに硬いランクGを、私は知らない……!」


 くそ、また消えた!

 背後? いや、上か!?


「下だよ、玖命クン?」


 直後、地面スレスレから木剣を突きあげてくる水谷。


「くそっ!」

「へぇ、かわすか。反応速度も凄いね……剣豪時代の私並みかも」


 実際【剣豪】の天恵は持っているが、こちらは【上級騎士】の天恵まで持ってるんだぞ? 彼女の反応速度は天才たちの中でも突出していると言える。


「なら、じゃんじゃんいこう」


 どうしてそういう結論になったのか(はなは)だ疑問である。


「これはどう!?」

「初手下段!?」

「違うよ」


 馬鹿な、俺の正面から側面に回って縫うように上段に切り替えた。狙いは……首か!


「ふっ!」

「そうだね、そうやって円を描きながら側面にかわすしかない。だから、私はそれを予測してこう動く」


 身体を(ひね)った。ま、またあの蹴りがくる……!


「っ!? くぅうううう……いてぇ……!」

「硬い硬い……! 本当に防具着けてないんだよね?」

「Tシャツ姿の俺を前にして聞く事ですか?」


 俺がジト目を送るも、水谷は快活にケラケラと笑うばかり。

 しかし、流石は【剣皇】。余力どころか実力の底さえ見せてくれない。それだけ、この世界で倒し、磨き、生き抜いてきたという事。

 だから、もっと彼女の動きを見て、観て、視なければ……!


 ――【探究】の進捗情報。天恵【剣豪】の解析度30%。天恵【上級騎士】の解析度6%。天恵【腕力C】の解析度20%。天恵【頑強E】の解析度10%。


「集中……集中しろ……!」

「いいね、その気迫……玖命クンがどれだけ自分を磨いてきたのかがわかるよ……!」

「次は、こちらからいきます……!」

「キミの全てを見せてよ」

「ハァアアアアアアアアアアアッ!!」


 気合いの声を置き去り、先程の水谷の動きを真似る。


「なっ!?」


 背後に回り、反転して回転斬り。


「意趣返しかなっ?」


 軽々と受けるも、本当の狙いはコレじゃない。


「背後、上、そして下だねっ!」


 水谷はこれも全て受け切り、


「ここで下段を匂わせる……っ! なっ!?」


 水谷の意識を強制的に正面に引っ張る。


「これは【騎士】のヘイト稼ぎ!? ま、まずっ!?」


 正面からの攻撃はしない。何故なら水谷は正面に引っ張られているから。

 だから、俺は本当に下段攻撃に回るのだ。


「くっ! まさか意趣返しをフェイントに使うなんてね! 忘れていたよ、【騎士】の天恵をキミが持っているって! ハァッ!」

「んな!? 気合いで外した!?」

「何事も経験だよ、玖命クン?」


 こうなれば、俺の奇襲の下段攻撃は、ただの下段攻撃となる。

 水谷はこれを足で受け、それを土台として俺の顎先に――、


「うごっ!?」


 とてもイイ膝が入ってしまう。


「あ、ごめん……つい」


 ――【探究】の進捗情報。天恵【剣豪】の解析度37%。天恵【上級騎士】の解析度8%。天恵【腕力C】の解析度23%。天恵【頑強E】の解析度20%。


【頑強】解析の上がり幅がなければ悪態を吐いているところだ。


「くぅ……やっぱり経験値が違い過ぎるなぁ……」

「何を言ってる」

「え?」

「玖命クンは、天恵が発現してからまだ一週間も経っていないんだよ? それなのに……既にランクB程度の天才と渡り合える力は持っている……いや、ランクA……かな?」


 何となく、水谷が今以上の情報を求め出したのがわかった気がした。やはり、俺から渡した情報だけじゃ納得しないようだ。

 だが、流石に教える訳にもいかないのだ。


「もう一度、お願いします……!」


 そう言って、俺は水谷を強引に戦闘の場へ戻した。


「ふーん、何か誤魔化された気もするけど……戦いでしか得られない情報もある。そういう事にしておくよ」


 言いながら、水谷はウィンクして見せた。

 なるほど、とても絵になる。

 と思ったら絵のモデルが消えた。


「あいっつ!?」

「隙アリだよ、玖命クン?」


 コツンと脛に一撃を当てられ、俺は悶絶しながら水谷を見上げる。そう、恨めしそうな目で。


「ふふふ、面白いなぁ玖命クンは……その目。もう少し頑張れそうだね?」


 ちょこんとしゃがみ、俺の押さえる脛を……つんつんと押す。


「おぉ!? おう!? ちょ! 痛い! 痛いですって!?」

「大丈夫大丈夫、その敵対心が力になる時もあるんだよ」

「何が大丈夫なもんですか!」

「わかる、わかるよ~」

「水谷さんに俺の何がわかると!?」

「今、知ろうとしてるんだよ」


 くっ、このドSには何を言っても伝わらないようだ。


 ――【探究】の進捗情報。天恵【剣豪】の解析度45%。天恵【上級騎士】の解析度11%。天恵【腕力C】の解析度26%。天恵【頑強E】の解析度40%。


 こりゃ、今日中に【剣聖】を得るのは難しいかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ