表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第四部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

194/327

第191話 ◆野郎共

「おう、センパイ」


 顎先から垂れる汗、


「何じゃ後輩」


 震える手で振るう双剣。


「何か嬢ちゃんからToKW(トゥーカウ)きてんぜ?」

「何? まことか?」


 Rala――伊達さんが剣皇の水谷さんを倒しましたー!


「おいおい、何かおもしれー事やってんな?」

「【剣皇】を降したか。やるのう、玖命」


 血みどろ――KWNの社長と会うって話じゃなかったか?

 たっくん――玖命すごーい^^


「おい、センパイ」

「何じゃ後輩」

「何でさっきの『やるのう、玖命』って打たねーんだよ?」

「異な事を? 打ってるではないか?」


 そんな山井の反応に、翔は目を丸くする。


「お、おう……?」

「おかしなヤツじゃな?」

「それにしても、随分とガンバってるじゃねーか?」

「何をじゃ?」

「それ、もう腕が上がらねぇんじゃねーのか?」


 翔は山井の素振りを見ながら、指差した。


「これまた異な事を……現に振れているではないか? それよりも、後輩だって最近の頑張りは目を見張るものがあるぞ? ほれ、足がプルプルじゃ」


 そう言って、山井は蹲踞スタイルの翔を指差した。


「プルプルしてねーよ」

「しとるじゃろうに」

「してねーって」

「痩せ我慢め。一日に1000km近く走っとるじゃろ?」

「カカカカッ、そんな走ってねーよ」

「八王子は1周60km近いんじゃ」

「なら走ってねーよ。ノルマは8周だかんな」

「ほぉ? では昨晩走り込んでる後輩を見た我が目が節穴だという事か」

「コ、コンビニに行ってたんだよ! つーか、何でセンパイはそれ知ってんだよ!?」

これ(、、)を振ってたんじゃ」


 二本の剣を振りながら、山井が言う。


「はん、センパイもかよ」

「『も』ってどういう事かの? 儂ゃコンビニには行っとらんが?」

「あいや!? いや、うん……最近のコンビニ飯の味もあなどれねーなと思ってよ、色々試し食いしてんのよ」

「ほぉ、おすすめは?」

「エナジードリンク」

「コンビニ飯の話じゃなかったのかの?」

「ありゃ飯みてーなもんだろーが!」

「ほっほっほ、呑み過ぎはいかんぞ?」

「わーってるよ! つーか、俺様が聞きたいのはセンパイがそんなにガンバってる理由だよ!」


 翔が言うと、山井は素振りを止め、、血にまみれた剣を大地に付き刺し、肩にかけていた手拭いで顔を拭く。

 そして翔に言ったのだ。


「無論、玖命――代表の指示だからだ」

「そんくらいで俺様が納得するとでも?」

「…………ふむ、後輩の天恵が【拳皇】、儂の天恵が【二天一流】。そしてKWN(カウン)の令嬢――ららちんが【天騎士】」

「ららちんって何だよ、おい」

「ららちんのランクはD。しかし、既にSS(ダブル)の攻撃すら耐えうる【天騎士】を有している。聞けば、ららちんは玖命の指示に従っていただけと言う。後輩、お主はこれをどう見る?」

「すんげー結果だと思うぜ」

「ならば、この常軌を逸した訓練にも、意味があると思うのは、老人の幻想だとでも?」

「そりゃぁ…………ねーな」

「そういう事じゃ。玖命の話では、儂が技術リソース、後輩は体力リソースが足りぬと言っていた。なら、それを鍛えるのみじゃろう」

「なりてーかよ? 第5段階」


 翔がそう聞くと、


「っ!?」


 山井から闘気が溢れ出る。

 かつて感じた事のない気迫に、翔が目を見張る。


「へっ、78の爺さんが出す気合いじゃねーだろ。そーかよ、なりてーかよ」

「諦めていた道半ば、儂は自分の才の限界を感じておった。がしかし、玖命は言った。まだ駆け上がれると」

「多分、言ってねーと思うぞ」

「儂に道を示したのだ。そう言ったも同義というもんじゃろ」

「なってどーすんだよ、第5段階」

「決まっておる」

「ぁん?」

番場(ばんば)にリベンジマッチじゃ……!」


 先程以上の気迫に、驚きつつも呆れる翔。

 しかし西の大手クラン【インサニア】の代表の名前に、翔も聞かずにはいられなかった。


「そんなにつえーかよ、【番場(あつし)】ってやつは?」

「強いな、北の【ポ()ット】の女狐はわからぬが、番場は近い将来、間違いなく第5段階への領域に足を踏み入れるじゃろ」

「確かあいつは【戦士】系だから……第4段階だとすっと……?」

「【戦王(せんおう)】……正に力の化身よ。儂の剣技も全て力任せに破られてしもうた。後輩より乱暴者じゃぞ?」

「俺様は乱暴じゃねーよ」

山井意織(いおりん)ボコボコにして乱暴じゃないとはこれいかに?」

「あん時ゃ頭に血が上ってたんだよ!」

「じゃあ儂からアドバイスじゃ」

「ぁんだよ?」

「そういう現場を目撃したら、まずは一言――」

「――一言?」

「『何があった?』そう考え、そう聞け」

「『何しやがった』」

「違うのう。アドバイス一瞬で歪んでしまったのう」


 そんな話をしていると、二人のスマホに川奈から連絡が入る。


 Rala――朗報です!伊達さんが早速お父さんから三つの契約取りましたよ!私もアーティファクト買ってくれるそうです!


「おー、すげーすげー。ウチの(ヘッド)は仕事もはえーな」

「ほっほっほっほ、やりおる!」


 血みどろ――すげーじゃねーか!詳しく聞かせろ!

 たっくん――玖命すごーい^^


「おい、センパイ」

「ちゃんと打ってるぞ、後輩」


 最早(もはや)何も言うまいと思った翔だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓カクヨムにて先行掲載中↓
『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。
↓なろうにて連載中です↓


『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~』
おっさんは、魔王と同じ能力【血鎖の転換】を得て吸血鬼に転生した!
ねじ曲がって一周しちゃうくらい性格が歪んだおっさんの成り上がり!

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ