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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第四部

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第170話 米原の助言2

「えーっと……確定ってどういう事ですか?」


 俺はすぐにそれを確認するように聞いた。

 すると、米原さんはキョトンとしながら小林さんに目をやった。

 するとすると、小林さんが俺に言った。


「伊達さん、さっきいっちゃんが言ったじゃないですかー」

「さっき……ですか?」

「番場は低ランクでも強い天才を集めてるって」

「なるほど?」

「今、僕の目の前にいるでしょう? 低ランクでも強い天才」

「……なるほど?」

「番場が伊達さんに接触してくるのは必然ですよー。絶対、【インサニア】への勧誘があるでしょうねー」

「…………な、なるほど?」

「【大いなる鐘】も大きく動くでしょうねー。そろそろ越田さんから勧誘連絡があるのではー?」

「………………なるほどぉ」


 俺はそう言いながら、スマホを取り出してみる。

 そこには、何故か水谷さんからの着信と、越田さんからのメッセージが届いていた。

 あと、何故か山井拓人さんからも。

 小林さんと米原さんは見合ってくすりと笑う。

 そして、米原さんが俺に言った。


「既に接触が始まっているようですね。【天武会】では三つの部門があります。一つ【新設クラン部門】、二つ【クラン部門】、三つ【個人部門】。伊達殿は集団戦でも個人戦でも活躍が期待出来るでしょうし、大手クランが動くのは必然」

「な、何てこった……」


 俺が頭を抱えていると、米原さんは嬉しそうに俺に聞いた。


「【ポ()ット】に入るのも、一つの手ですよ?」


 何という女王スマイル。

 確かに、大手クラン【ポ()ット】の庇護下に入れば、そういったしつこい勧誘も断り易くなるだろうし、きにくくなるだろう。だが――、


「すみません、それはお断りします」

「あら、それは残念です」


 この目は諦めていない目だ。

 彼女からのアプローチにも気を付けたいところだ。


「俺は、自分のクランを創るつもりですから」


 そう、俺は、一昨日の一件から、川奈さんと翔と一緒に道を歩む事を決めていた。だから、俺は大手クランには入らない。そう決めたのだ。

 俺の覚悟に驚いたのか、米原さんは目を丸くして俺を見た。


「【インサニア】のクラン潰しは性質(たち)が悪いと聞きます。どうか、心健やかにしてくださいね」

「…………ク、クラン潰し?」

「ご存知ありません? クランが契約している企業を、強引な手法でことごとく切り替えさせたり、架空の依頼を発注したり、事務所にやって来て直接嫌がらせしたり……」


 き、聞きたくなかった……。

 完全に俺が住んでた世界とは別世界かもしれない。

 クランって色んな問題が起こるんだな……さて、どうしたものか。


「伊達殿が望むのであれば、【ポ()ット】の傘下クランにする事も可能ですので、困った際はいつでもご相談ください」


 言いながら微笑んだ米原さん。

 さっき諦めた目をしていなかったのは、こういう意味があったのか。傘下クラン……そういう道もあるのか。

 だが、これは断らねば……そう思った矢先。

 応接室の扉が開かれた。

 現れたのは、川奈さんと、小指で耳をほじってる翔。


「ウチは、どのクランの傘下にも入りませんっ!」


 聞き耳でも立てていたのだろうか。

 川奈さんが断ってしまった。


「おう、嬢ちゃん。逆だ逆ぅ」


 翔の言葉に、小林さんと米原さんが目を丸くする。


「ウチの傘下クランになりたかったら、いつでも玖命んとこ連絡してきな! 守ってやんぜ! カカカカカッ!!」


 大言壮語(たいげんそうご)……咄嗟に浮かんだ言葉だったが、それが口に出る事はなかった。

 何故なら――、


「ぷっ、あはははははっ!!」


 女王が爆笑し始めたのだから。


「ははははははははっ!!」


 小林さんもお腹を抱えて笑っている。

 やはりそうだろう、そういう反応にもなるだろう。

 俺たちはまだ、クラン創設すらしていないのだから。

 だが、そうではなかった。そうではなかったのだ。

 目に涙まで溜めた米原さんは、俺を見据え、耳を疑うような事を言ったのだ。


「ふふふふ、確かにそれは面白いかもしれませんね」

「へ?」

「こちら、私の名刺です」

「あ、これはご丁寧に……」

「伊達殿の連絡先はこばりんから共有しても?」

「あ、どうぞどうぞ……」

「では、時が来た際、傘下クランの件、詳しくお話しさせて頂きたく思います」

「はぁ………………はぁ?」


 そんなやり取りの後、俺たちは【ポ()ット】の事務所を後にしたのだった。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「カカカカカッ!! ありゃ本気の顔だぜ、玖命ぇ!」


 バシバシと俺の背中を叩く翔と、


「大丈夫! 【ポ()ット】より有名になる要素は充分にあります! いけます! ふんふんっ!」


 鼻息荒く意気込む川奈さん。


「いやいや、そんな訳ないでしょう。あれは俺たちをからかってただけですよ」

「カカカカッ! ま、いいんじゃねーの? 玖命はそれで!」

「そうです! 伊達さんはそのままでここまで来たんですから、そのままでいいんですよ! うんっ!」


 どこか馬鹿にされているような気がするのは気のせいだろうか。

 そんなやり取りの後、俺はスマホを取り出した。

 先程の水谷さん、越田さん、山井さんの連絡を思い出したのだ。

 一番古い連絡は……山井さん?

 ToKW(トゥーカウ)を起動し、彼からのメッセージを見ると――、


 たっくん――玖命、聞いてよ! 番場にやられちゃったよー!

 たっくん――昨日付けで【インサニア】辞めちゃったー!

 たっくん――もう関西は堪能したから明日から東京行くねー^^

 たっくん――いおりんに聞いたけどクラン創設するってホント?

 たっくん――たっくん今フリーでーす^^

 たっくん――履歴書とかあった方がいい?

 たっくん――職歴は一つなんだけど、経歴が大変な事になるかもー

 たっくん――お、既読付いた!


「……………………既読付けちゃった」

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