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天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~  作者: 壱弐参
第三部

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第162話 ◆樹子姫のGoTo天チャンネル3

「こんな事あります……?」


 玖命が月見里(やまなし)に聞く。


「モンスターや【はぐれ】の被害なんて、当事者にならない限りはこんなものよ。彼らにとってこれは娯楽の一つ。日常にいながら非日常を味わえるちょっとしたエンターテイメント。それがこの時代の一般市民」

「で、でも――」

「――わかってる。勿論、それが全てとは言わないわよ。でも、一定数いるのは事実。それは猫ニ……伊達にもわかるでしょう?」

「今、猫ニキって言いそうになりましたよね?」

「……それが何か?」

「あ、ずっる~……」


 開き直った月見里(やまなし)に何も言えず。

 玖命は動画の続きを観る。


『困りましたねー、僕、カメラマンなんですけど……』

『逃げるなんて寂しい事言わないですよね……?』

『勿論、逃げますよー』


 ――寂しい猫ニキwwww

 ――猫りんwwwwww逃げるのwwwwwww

 ――猫ニキ振られたwwww


『だけど、逃げ道がないのが現状ですね……それまでは共闘という事でよろしいですかー?』

『それって……逃げ道が出来た瞬間に逃げるって意味であってます?』

『アレを前に最後まで戦うなんてナンセンスだと思いませんかー?』


 ――猫りんを戦力として考えてるwwww

 ――間違ってるけど間違ってない

 ――俺もいつか自然に「ナンセンス」って言える人間になりたい。

 ――↑来世でどうぞ

 ――↑オマエモナー


『キミたちぃ? そんな争いはナンセンスだよぉ~?』


 ――いっちゃん、それはちょっと……

 ――便乗感が強すぎて……

 ――可哀想ないっちゃん……


『むぅうう!? ぷんぷん! ぷんぷんだからねっ!!』


(はん)、そこを守ってろ』

『言われなくてもそうするっすよー』

『【剣聖】小林と……あぁ、お前、羽佐間と八神をやった奴か』


 ――若い男剣士→ハン。どういう字当てるんだろ?

 ――ハザマとヤガミって誰?

 ――これわかれば、猫ニキの正体わかるんじゃね?

 ――検索かけたけどわからん。【はぐれ】の情報はあまり表には出ないからな~……


『となると、二人共厄介だな……米原(よねはら)(いつき)でも動けば(こと)だろうしな』

『僕が死ねばいっちゃんが許しませんよー?』


 ――猫りん、こすいww

 ――でも、これって重要な交渉材料だよね

 ――生き死にが関わってくるなら当たり前

 ――いっちゃんの名前は世界的に有名だからね


阿呆(あほう)が、その暗視ゴーグル。逐次動画データを拠点に送れるタイプだろ? LIVE配信だろうがそうじゃなかろうが、どの道この工場は終わりだ。だが、その前にお前らを殺す事は何ら問題ない』


 ――猫りん、あうとー!

 ――猫りん、良い奴だった…


『ところで、あの(ポータル)は一体何ですか?』

『確かに、ここまで潜ったのだ。アレを見ているのは仕方ない。だが、それを答える義務がこちらにあると?』

(ポータル)を発見したら通報する義務が一般市民、天才にはあるはずですが?』

『はははは、面白い事を言う餓鬼(がき)だ。だが、こうしている間に対策を打たれる訳にはいかないのでな。まぁ……死ぬといい』


 ――流石に(ポータル)の情報は出さないか。

 ――この爺さんから見てガキっどれくらいだろ?

 ――確かに、それがわかれば猫ニキの年齢が出そうだよな

 ――猫ニキ、結構頭キレるな。少しでも相手から情報を得ようとしてる。


『まっず!? ぐっ!?』

『ほぉ、耐えたか』


 ――今の絶対痛いやつ

 ――大盾ひしゃげてるやん…

 ――え、無理


『それ、プラチナクラスの大盾ですよね?』

『今、そんな情報……聞きたくなかったです』


 ――マジかよ!?プラチナ大盾ひしゃげたの?!

 ――猫りん、猫ニキに嫌われたww

 ――(´・д・`)ショボーン


『…………援護してくれれば、何とか(ふところ)に入ってみせます』

『いけます? あ、でも抜け駆けして逃げるつもりでしょう?』

『嘘は吐きたくないので、言っておきます。そうですね』


 ――もはやコントだろこれwwwwww

 ――猫りん正直wwww


『ふぇぇ、どっちも無事に戻って来て欲しいよ~!』


 ――いっちゃん可愛い。

 ――あざと姫。でもそこにシビれる!あこがれるゥ!


『ハッ!』

『既にお前の情報は手の内にある! カッ!』


 ――やっぱ魔法だよ!

 ――すっご!刀だって使ってるのに!マジで何なん猫ニキ!?


『よっ!』

『上手い!』

『そうそう、僕は褒められて伸びるタイプなんですよっ!』

『なら合わせてください!』

『おーけーボス』

『『ハァ!』』

『しゃらくさい……!』


 ――二人の愛の攻撃でも届かない。

 ――この爺さんめっちゃ強いwwww


『『っ!?』』

『くっ、もう一度!』

『わかってますって!』

『甘い!』

『そこっ!』

『むっ!? ガッ!?』

『よし!』

『ハハハハ! これが噂の魔法剣か! だが――』

『ぐっ……!』

『――私の今の防御力を甘く見るんじゃない』


 ――猫ニキの鎧がぁあああああ!?

 ――あれ、100万円くらいするだろ……

 ――可哀想に。

 ――猫ニキ心痛のお知らせ。


『ハハハハ! 何を震えている! 初めての修羅場でもないだろう!?』

『だ、大丈夫ですか!?』


 ――いや、何でこの爺さん猫ニキが震えてるのわからねぇんだよ。

 ――どう見ても、100万円がゴミになった瞬間の哀れな存在だろ。

 ――猫りんにも届いてないみたい。

 ――猫りんはAランクだしなぁ。100万円なんてはした金なんじゃね?

 ――という事は、猫ニキは低ランクなのでは?

 ――そういやいっちゃんが「新人」って言ってたよな。

 ――え、低ランクでこの実力?化け物じゃん。


 震える玖命。

 再び月見里(やまなし)の口が開く。


「どうした……猫ニキ?」

「み、皆が……」

「ん?」

「皆が俺の気持ちを……代弁してくれています……99万円だけど…………」


 玖命の情報が徐々にバレつつある中、当人はそれを気にする事なく、ただ、同情のコメントに感動しているのだった。

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