第5話 魔法というもの
「ノーチェが、守護騎士?」
「はい。」
私のことをよく知っているし、剣術も子供にしては群を抜いていて上位の騎士と渡り合えるほどらしいので総団長直々に守護騎士の称号を与えられ、私の専用守護騎士になったという。
守護騎士はアメジストの称号を与えられ大変栄誉らしい。ノーチェの服にはアメジストの宝石バッチが着けられていた。
「私は貴殿に忠誠を誓い、命を懸けても貴殿の身を守り抜きます」
そう、私の手の甲に唇を落とすノーチェ。
「ええ、よろしくノーチェ!」
そう、ノーチェのように将来私がクラスメイトを召喚したとして信用できる家臣は多い方がいい。
外堀を埋めなければ。
そして知識と剣術、次は魔法だ。
魔法とはこの国、いや世界に浸透するものであり誰もが魔力を有している。使えるかどうかは才能の問題になるけどね。
もちろん私も例外では無い。
シルバーリーフ王国の初代女王は伝説の魔道士と呼ばれるほどに膨大な魔力と上位の魔法を使いこなし圧倒的な力で国を作り統治した。その血を引く女は膨大な魔力を持っていて、だから女である女王が国を収めると言われているほどに。
そして私は1度幼い頃魔法を大大大暴走させるほどに暴れたことがある。それからというもの魔法を使うことを禁じられていたが…
○王座の間
「お願い、お母様、お父様…」
王族である証の宝石のようなキラキラした瞳を使い、うるうるさせて上目遣い。
そうすれば…
「まぁ…仕方ないわねぇ…」
「だ、だがマリエット、前みたいに…」
「あなたは黙ってなさい」
「はい。」
母にピシャリと言われてしゅんっとする父。それでいいのか父よ…
「いいこと?リリー、専属の魔道士を付けるわ。貴方が魔法を克服して使ってみたいと言ってくれるなんて…感激だわ」
っと愛称をよぶ母は私の頭を優しく撫でる。
そうして王宮専属の魔道士がつくことに
○ 魔導訓練所
「アルデン・グリーンリーフです。王女様お目にかかれて大変光栄でございます」
ニコリと笑ったアルデン。
特徴的なとんがった耳。切れ長の目
そう、彼はエルフ族でゲームで魔法のレベルを上げるために色々スキルを教えてくれるプレイヤーのお助け役!!
身長は大人ほどだが女王の10代目ぐらいからずっとこの国に仕えている。人間にしたら長寿だが、エルフにとったら若造らしい。
そして昔私が暴走させた時にそれを止めたのと、馬車で引かれた時に身を削って回復してくれた一人でもある。
国に忠実なこの人を味方につけるのはとても有効的だと思う!
「アルデンまずは私を助けてくれてありがとう、暴走した時も、馬車の時も」
「いいえ、勿体ないお言葉でございます。王女様が魔法に興味を持ってくださるのは嬉しいですね」
っと笑う、うーんノーチェに負けず劣らず美形。
魔法には適性というものがある。
一通りなんでも使えはするけれど威力も魔力消費量も違うのだとか。ゲームではそんなのなかったけど…
それを測る魔法の水晶に手を添えると神々しい光が包む
「これは…!!」
アルデンは驚いたような声を上げた。
「ほとんどの属性に適性が…!さすがは王女様、初めて見ました」
風・火・雷・地・氷・光・闇と大きく別れていて、私は炎と光以外に適性があった。
母も雷と風のみで、ほとんどの人が1つ、または2つだけらしい。やったね
心の中でガッツポーズするとアルデンが私に手を差し伸べる
「では、私の上に手を、まずは魔力を感じ放出する練習です、王女様が幼き頃暴走したのは放出量が調節できなく、また止める方法も分からなかったからです」
そう、無知が災いを引き起こす。無知は己を殺してしまうかもしれない。真剣にやらなければ
「はい!」
私はアルデンの上に手を添えると暖かいものを感じる、手が温かいとかじゃなくてそう、指先から身体全体に巡る何かを…
「これが魔力。やはり王女様は魔力量が多いですね。次は放出の練習をしてみましょう」
っと私の手を離すと指を立てる
「放出とは魔法の基礎です、どの魔法も己の魔力を放出します。今回やるのは魔力の放出」
「魔力の…放出?」
魔法の放出とは違うのだろうか。
「魔力の放出はその名の通り己に巡る魔力を放出するだけ。そして放出する際に属性に変換する。それがスキルなのです。」
「なるほど!」
「では、魔力の放出をやりましょう」
アルデンの人差し指からキラキラしたようなものが出て空気中に散る
「これが私の魔力です。先程巡らせ覚えた魔力の流れを逆に外側に押し出すイメージで」
外側に…押し出すイメージ
すると、私の体からアルデンとは違うキラキラしたような光がでてきた。
「わぁ…」
「さすが覚えがいいですね。王女様、次は押し出すイメージから、体の中に抑え込むイメージをしてください」
「抑え込む…」
すると直ぐに光は収まった
「まさか1度で出来るようになるとは…才能がありますね!これは…過去の女王陛下を凌ぐ魔法使いになるかもしれませんね」
こうして私の魔法訓練も始まった。
また、復讐への第1歩