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第16話 キャラじゃない

召喚されてから3日


「なんか、快適」

 ゴロゴロと豪華なソファーで横になるミサ。


「こういう一昔前の世界ってご飯美味しくないイメージだけど…美味いよな。トウヤいらねぇんじゃね?」

っと、タクミがトウヤの方を見る

「えぇ?料理人の俺いらねぇの!?」


「ま、まぁ…料理人の職は美味しい料理を作ってそれがバフになるわけだから…」

っとマリコがなだめる


「でも、いつまでここにいればいいんだろう。帰る方法も知りたいし…まさかこのまま魔王討伐にいけって放りだされたり…」

っとユイがヒィっと顔を青くさせる


 そこへ


「失礼します」

「あー!あの時のお姉さんだ」


 扉を開けた鬼髪族のリタにタクミがデレっと顔をゆがめる

「ちょっと!タクミ浮気なんですけどぉ」

 っとアイコがタクミの頬を引っ張る


だが、リタは反応せず大量の荷物を持ってきた。

「あるじ…女王陛下が謁見を承諾しました。正午までにご準備を」


 荷物の中身は正装だった。


メイド達により正装に着替え、髪も整える

「み、みんないい?大丈夫よ!」っと生徒達の前を歩く担任のカオリ。その前にはアルデンが案内をしていた。

 それにゾロゾロと生徒たちは少し緊張した様子でついて行く。


 大きな大きな扉。

王宮のどの扉よりも豪華で、マリコ達はゴクッと固唾を飲み込む。

アルデンが後ろを振り返る

「いいですか?女王の前で無礼は許されません()()()

 いつものニコニコした顔ではなく、とても真剣な顔であった。

「必ず膝をつき許可が得られるまで口を開くことも顔を上げることも許されません。もし、女王陛下の反抗的な態度を得れば、女王もそうですが、他の偉い方々があなたを国に仇なすものと判断致します。そうなれば__」


 アルデンはその先は言わなかったが、生徒たちはコクリと頷く。


そしてギィ__っと音を立て扉が開いた。


「異世界人御一行到着致しました」


扉を開けた先は大きなステンドガラスが飾られ陽の光が差し込む。レッドカーペットの先にはひとつの玉座(ぎょくざ)


壁際には騎士が等間隔に配置されていた。

 アルデンが少し歩いたところで立ち止まると膝をつき頭を下げる、それに続き生徒たちも真似をした。


「女王陛下!ご入場」


 コツコツとヒールの音を鳴らし別の扉から騎士と共に入ってくるリリアン


「表をあげよ」

 女王ではなく、男の声が響く。

 マリコ達は顔を上げる、階段を登った玉座(ぎょくざ)座っている女王

 女王は何故か少し冷たい目をしているようにも見える


「アルデン・グリーンリーフ、発言を許可する」


「リーフネレスの加護があらんことを。女王陛下。召喚された異世界人御一行計20名をお連れ致しました。」

 

リリアンは頷き口を開いた

「異世界人達よ。よくぞ参った、私に何か聞きたいことがあるらしいな。答えれることは答えよう。代表者の発言を許可する」


 すると、担任のカオルが声をあげる

「あ、あの…!元の世界の帰還方法を教えてください!女王陛下なら何か知っているのではないかと」


 すると、一瞬鋭い目をしたリリアンはすぐに目を逸らし顎に手を添えて考える仕草をした。


「すまぬな、詳しい文献は過去、魔王の配下に奪われた状態なのだ。その文献を手に入れればもしかしたはわかるかもしれぬ」


「つ、つまり…その魔王の配下とやらを倒せば…」

 こくんと頷くリリアン

 

 すると__


「ざけんじゃねぇ!!」


「ちょ、タクミ!」

 タクミが声を荒らげて立ち上がる。アイコの静止も聞こえていないようで、顔を赤くしていた。


「俺は!大会があるんだよもうすぐ!!魔王だか勇者だかなんだか知らねぇけど!さっさと帰りてぇんだよ!ざけんじゃねぇ!!俺らより年下だろあんた!年下がなんでそんなに偉そうなんだよ!あぁぁ!イライラするぜ!どうせ返したくないから嘘ついてんに決まってる!ここの城中探せばあんだろ!」

ガン!っと苛立ったように地団駄を踏むタクミ。

 

「タクミくん…!落ち着いて!」


「うるせぇ!ガリ勉やろう!てめぇらもなんでこんなんに従ってんだよ!俺らは被害者だろ!?」

タケルの声に更に怒り始め、クラスメイトを見ながら同意を求めるタクミ。


「無礼な__捕らえよ!」

 リリアンの横に控えていたノーチェがそう命令すると等間隔に配置されていた騎士がタクミに剣を向ける。


 本物の剣に顔を青ざめ固まるタクミを騎士が扉の方に引きずっていく


「ま、まって!まってください!カワシマ君は…ひっ」

 カオリが立ち上がると騎士が剣を向け、カオリは動けなくなった。


 クラスメイトが見守る中、タクミはどこかに連れていかれてしまったのだ。


 〇執務室


「はぁぁ、つーかーれたぁ」

 ポイッと投げる王冠と杖を慣れたように地面に落ちる前に拾うテオ


「リリアン様、大切なものでしょう、投げないでくださいと何度言ったら…」

「わかったよノーチェ。はぁ…」

ぐったりした様子でソファーに身を沈めるリリアン


「あの異世界人なんなんだよ、リリアンに向かってさ!」

「お前も敬語」

 っと手の甲でテオの頭をコツンと小突くノーチェ


 コンコンっと言うノックと共にノーチェが扉を開く。

「失礼します、リリアン様お疲れ様でした」


「アルデンもお疲れ様。悪いね異世界人を任せちゃって」


「いいえ、いいのですよ。」

「あの形式をいちいち取るのめんどくさいんだけど…疲れるし。」

疲れたように手の甲で額を抑えるリリアン。


「女王としての自覚を持ってください、あなたは頂点なのですよ。めんどくさいのは分かりますが今回は、他の家臣達へ異世界人の紹介も兼ねていたのですから。」


「はいはい、自覚ね。今回はちゃんとやったわ。まぁ…他の家臣は異世界人に不満を持っただろうけれど」

 

 ソファーの肘掛から足を放り投げてプラプラと足をばたつかせるリリアンは先程までのキリッとした女王像はどこへやら、普通の少女のようだ。


「手筈通りですね」

「その異世界人は?」

「地下へ投獄しています」


ノーチェの手を借りて起き上がったリリアンがティーカップを手にする。

「アルデンの言ったようにしただけよ。」

 

 リリアンは誰かが反発することは予想していた。

 だが、ただ捕まえて投獄するだけでは異世界人の不興を買うだけだ、命を脅かして脅してもまともに働いてくれるとは思わない。

だからアルデンと相談した上で計画を立てた。


 彼らは女王がどれぐらいの地位にいるのか、どのような影響を及ぼすのかを理解していない。

 だから女王に反発すればこうなるというのを知らしめるために、彼らが反発したとしてもリリアンはその場で決して許してはいけないとアルデンが指示した。召喚者達に絶対の権力を見せつける。

 そして次に女王からの信用を取り戻すためという(てい)で異世界人に試練を課す。

 ダンジョンへ送り世界の現状、そして命とのやり取りを学ばせる。きっと彼らはダンジョンへ行き世界に貢献することを承諾するはず、なぜなら彼らは利用価値というものを見出さないといけないから。価値がなければ投獄され捨てられ危険な場所に放り出される、帰る方法さえ__。

 

 だから彼らに我らを敵に回すことがどれだけデメリットになるかを身をもってわからせる。

 価値があると証明するために彼らはきっと働く__。

そう、アルデンとリリアンは計画したのだった。


「でもそれとこれとは別!ほんと疲れるし、後で大臣にグチグチ言われるんだろうなぁ、処刑大好きだからあの人たち。」

私のキャラじゃないんだけど…っと言いながらボソボソとクッキーを口に含む。

 

「はは、僕がなんとか言っておきますので__それはそうと、リリアン様?竜神族の話はどうなったのですか」


「ゲッ」

 そう話を変え仕事の話を振られ明らかに嫌そうな顔をするリリアン

「竜神族?」

 そう首を傾げるテオにノーチェが説明する


「竜神族とはドラゴンと人との血を引いた一族だ。数は少ないが、膨大な魔力と知識を有している。」


「へぇ〜その竜神族がどうしたんだ?」


「竜神族の国がようやく見つかってね。調べたら特有のダンジョンがあるのよ。だけど国の圏内だから勝手に入ると敵だと思われるかもしれないし。近くのギルドから出陣させるには遠すぎる。だから竜神族の国と友好条約を組んでギルトを建てようかと。そうすればいつでもダンジョンに入ることが出来るし。竜神族が冒険者になってくれる可能性もあるから。竜神族は技術力もあるし知識もあるしねぇ」


「ふぅん?」

「まぁ、やることが沢山あってね、あぁ、そうだテオちょっと召喚者達の様子を見てきてくれない?気づかれないようにね」


「おう、任せとけ」

 そう窓から出ていくテオ


「こら!テオ!また窓から……ってはぁ」

 顔を押えてため息をはいたノーチェが開いた窓を閉める


「それで、リリアン様、話は戻りますがダンジョンでの召喚者達の引率はいかがなさいますか」


「そうね。冒険者ギルドに連絡して予定の日に出陣できる冒険者Dランク以上のパーティを揃えて。人選はレイセンに任せてあげて欲しい。あの子人を選ぶ目があるから」


弟であるレイセン王子はは姉であるリリアンの補助、そして冒険者ギルドの管理を行っていた。

 レイセンなら詳しく説明しなくても適任を選んでくれると判断したのだ。


 けど___遠距離から魔法で見てるだけはつまらないし。なるべく無惨に恐怖を味合わせてやりたい。


「アルデン、やっぱり私も行くわ」


「…はい?」

 

 

 

 



 

 

 

 

 








 

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