26・アリサVSファイヤーナスビ
アリサとファイヤーナスビさんは私とユウガが戦っていたところまで移動していた。
ていうかファイヤーナスビって何?
とても英雄の名前とは思えないんだけど。
まあいいや。
それにしてもすごい人の数だな。
軽く100人は超えてるんじゃないかな。
気にしてなかったけど、私の時もこのくらい人がいたんだろうか。
「戦い方はどうするのかしら?」
「俺は決着式を希望する。倒した相手のアイテムを自分の物にする趣味は無いのでね」
「そ。異論は無いわ」
ちなみにユウガのドロップアイテムは私がアイテムボックスに入れて保管している。
後で本人に返すつもりだ。
それにしても決着式か。
決着式とは、決闘式とは違い、相手を殺すか降参させるまでが勝負となる。
決闘式と違い、殺す以外にも、降参させるという選択肢があるわけだ。
そして、決闘式と最も違う点は殺してもアイテムがドロップしないという点だ。
だから、ドロップアイテムを相手に奪われるなんて事はない。
「開始の合図は••••••さっきの魔王と聖騎士の戦い同様、コインが落ちたらでどうだ?」
「構わないわよ」
え?あの戦い見られてたの?
まあいいか、そんな事。
「じゃあ••••••ナーナ!」
「は、はい」
急にアリサが私を呼んできた。
「コイントスを頼めるかしら?」
「分かったよ」
なんだそんなことか。
いきなり呼ばれたからびっくりしちゃったよ。
「それじゃあ始めますよ」
「ええ」
「ああ」
チンと音を立てて私がコインを上げた。
そしてチリンとコインが地面に瞬間ーー
ブォンという音を鳴らして2人が消えた。
正確には普通のプレイヤーでは目で追うことすらかなわないほどのスピードで両者がぶつかり合っていた。
ま、私は見えてるけどね。
このゲームでは、敏捷値が高くなり、速く動けるようになるにつれ、思考スピードも速くなるのだ。
この機能が無ければレックスの『能力身体付与』での雷速なんて制御しきれるはずがないからね。
キン、キン、ドコンと甲高いながらもドスの効いた音を発しながらエクスカリバーとファイヤーナスビさんの二刀流の剣がぶつかり合う。
アリサのスピードとパワーについて来れるなんて、ファイヤーナスビさんってレベルいくつなんだろう。
少なくとも100は超えてそうだね。
「流石は勇者ってだけあってそこそこはやる様だな」
「そっちこそね!」
2人とも、まだ軽口を叩く余裕があるみたいだね。
ていうか、この戦い、観客の大半が理解できてないでしょ。
この戦いはそれだけハイレベルなのだ。
「その余裕、いつまで持つかしらね!!!」
「こっちのセリフだ!!!」
2人のスピードが一段階上がった。
これはいよいよ理解できる人はいなくなっただろうね。
私は平気だけど。
アリサは技なんて考えずにただひたすらに力を込めて剣を振ってるのに対して、ファイヤーナスビさんは1撃1撃に集中して技を披露している。
多分、ファイヤーナスビさんが技を使うのをやめた瞬間、アリサの攻撃を受け流せなくなり、アリサの勝ちが確定するだろうね。
そう考えると、アリサよりファイヤーナスビさんのレベルの方が高いってことは無さそうだね。
私がそんな事を考えていると、2人の動きが止まった。
見たところ、2人とも致命的なダメージは負ってないみたいだね。
そろそろ2人とも切り札を切るって感じかな。
「さて、こっからが本番だぞ!『神速』!!!」
「こっちのセリフよ!『全ステータスアップ』!!!」
お!2人とも切り札を切っあみたいだね。
ファイヤーナスビさんの『神速』。
さっきとは比べ物にならないスピードだ。
まさに神の速度だね。
アリサの方は『全ステータスアップ』発動させた上に、多分だけど『神威』を連発させているね。
いつの間に連発できるようになったんだろう。
2人のハイレベル具合に、段々観客の顔が引き攣ってきてるね。
逃げ出してる人もいる。
まあ無理もないか。
普通の人ならあと少しでも近づいたら爆風で吹き飛ばされるだろうからね。
ていうか砂埃すごいな。
私も段々と2人の姿が見えなくなった。
1分間に渡り、剣を振り続けていた2人。
最後に立ち、砂埃の中から姿を現したのは、アリサだった。
その顔はどこか楽しげな表情をしていた。
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