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彼は跳んでいた。深い闇の中を、雲の切れ間から漏れる月明かりだけを頼りに。
彼は祈っていた。いつの日か、この世界が平和になりますようにと。
……また、彼は辟易としていた。この生ぬるく、呆けきってしまった世界に。
だから彼は祈っていた。もっと強く、己の生を実感できる世界の到来を。
……。
…………。
………………。
彼の祈りは幸か不幸か、現実のものとなる。
彼がそう願ったからなのか、そんなものはわからない。
しかしながら、彼はそれを喜んだ。
そしてまたは、酷く後悔した。
――世界が一つになる。
始めに宣言しておこう。
これは言うまでもなく、悪夢である。
文字数約100,000字の完結済み作品です。
何日かで分けて投稿していきます。
よろしくお願いします。