ネプチューン
「はじめましてになるかな?我々はネプチューンというチームで一応、三宅島のホルダーだ。社内的には私が専務になる。」
原田専務の声とともに各々挨拶をする。
「一旦状況を説明させてください。この二人は社内政治に疎いので。」
真理子さんが、まだ状況が理解できない俺たちに説明してくれた。
「今会社はいくつかの派閥に分かれているの。主に二つ。山田派と稲口派、それ以外は無派閥ね。
山田派は山田専務を筆頭に、S級がアルゴン、レリウム、A級が山田ジュニアのオキシジェンがいます。
はっきり言ってアルゴン、レリウムはS級にしがみついているだけで、実力的にはオキシジェンのほうが上と見ていいわね。
ホルダーはいないけど、山田専務が会社の事務方を抑えているのが強みね。
稲口派は浅間山のホルダーリクシルズのリーダー稲口専務を筆頭に探索者が多くいる派閥です。ただし、多くがB級以下で構成されていて、手駒が少ないのが悩みみたいね。
無派閥は会社の政治が苦手か嫌いで距離を置いている人たち。特にまとまっているわけではなくばらばら。でもその中で一番偉いのは間違いなくネプチューンね。
今回の状況的には、ランドリーズをいじめていた山田派を横からネプチューンが張り倒してくれた。
だけどその失敗を横から期待している稲口派といった感じね。」
「丁寧な説明ありがとう。その通りの状況だ。
あと補足があるとすると知っているかも知れないが我々は水中戦でしか力を発揮できない。
ということで実質は君たちのサポートを私がすることになる。」
「でもどうして?」
ネプチューンは原田夫妻と妻の弟の3名のチームで水中戦が有名なチームだ。
今まで絡んだこともなく、なんで助けてくれたかがわからない。
「どうして助けたか?という質問でいいかな?
君たちとは話したことはなかったが、うちの子供達のユウキとコウキが春に下呂ワンでお世話になったろう。
子供達が君たちの話をするのが楽しそうでね。興味があって気にしていたんだよ。」
確かに二人は重役の子供達と言っていたが、原田夫妻の子供だったのか!それで繋がった。
「まぁ君達の活躍を期待しているよ。不甲斐ない結果だと奴に責任取らされちゃうからなぁ。」
稲口さんの発言のことだろう。
「えーと原田専務は、、」
「ややこしいから、我々は正樹、海咲、真司の名前で呼んでくれ。面倒だから役職もいらんよ。」
「わかりました。楽で助かります。正樹さん達でなくて俺たちランドリーズがアタッカーするというのはいいんですか?」
「知っているかもしれないが、我々の魔法について説明しよう。私は水から生物を作り出すことができる。」
三宅島の火口モンスターとの戦いで水龍を作り出して、それに乗り移って戦ったタイトル戦は超名場面だ。海では唯一無二の超強力な魔法だ。
「私は水から無機物を作り出すことができるわ。こんな感じでね。」
海咲さんが、呼水から鞭を作りだして見せてくれた。これも超強力な魔法だ。
「俺は水から自分自身の水分身を作り出すことができる。水分身は基本的には武器を持たせることが出来ないから基本は素手で戦う。例外は姉貴の作ったものだけだ。」
「ただ知っての通り、大量の水がないと我々は役立たずというのは否定できないのさ。」
真司さんに続き、自虐的に正樹さんが語る。
「それにしてもこの状態でサポートチームが一つ我々だけだと苦しいな。」
それに関してはある程度なんとかなる気がする。瞳ちゃんにアイコンタクトする。
「ちょっと試してみてもいいですか?」
瞳ちゃんが魔法回路を描き、呼水から大量の水を生成する。
溢れる水は25mプール一杯分を超えてるんじゃないだろうか?
「す、すごい量だな。こんな大規模な魔法は今まで見たことない。水に含まれる魔素が足りないから、全力を込めることはできないが、これだけの水があったらサポートはなんとかできるぞ。」