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アキラ君の立身出世  作者: Mick
アルバイト編
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始めの一歩

 テレビで見るS級探索者に憧れて18歳で専門学校探索者コースに入学した。2年間、学年順位は10位前後だったので、自分でもよく頑張った方だと思う。

 ただ、同じ学校の200人の卒業生のうち探索者として就職できるのは1人か2人の狭き門。

 TOMスコアが425点では履歴書をかろうじて受け取ってもらえる程度。どうしても探索者になりたくて一縷の望みをかけて就職活動してみたけれど、自衛隊、四大新財閥を初め、30社を超える企業からお祈りメールを受け取り自信をすっかり無くしてしまった。しかし同級生の多くは探索者になるのを諦めて他の業種で就職するなか、俺だけはずるずると就職活動を続けた。

 そして2020年4月下呂ワンダーランドのアルバイトとして新しい生活を始めることとなった。


 俺が生まれた西暦2000年。生まれた年のことなので聞きかじった知識だがノストラダムスの大予言や、2000年問題など、西暦2000年に何が起こるというのは噂されていたらしい。

 歴史の教科書で習った2000年6月のハワイのキラウエア火山での魔素の発生が、初めて人類が目にした魔山化だったらしい。


 それまで火山としてマグマが発生していた山から魔素が吹き出し、想像上のモンスターが人々を襲い出した。人体に悪影響を及ぼす程の濃い魔素に苦しむ中で、従来の重火器でモンスターと戦うハワイのアメリカ軍は多くの犠牲をだした。

 人類にとっての救いは魔山から離れて魔素が少なくなるとモンスターが弱体することだった。それにより魔山から一定距離に立ち入らなければ人類は街を確保できたのだった。


 その後次々と火山は魔山化して行き、人々の恐怖の対象となったが、2005年に突如発表された、魔法利用方法とその体系化、魔石のエレルギー利用についての論文により状況は一変した。

 発表者のウィリアム・グラント博士が謎の人物で、表舞台に出てこないことを怪しむ人々は多かったが、魔法利用がもたらす利益に、そういった声は徐々に少なくなっていった。


 魔石はエネルギー効率の高さと排出ガスがないことで、それまでの化石燃料にとって変わっていき、魔山の多い国々は好景気に沸いていた。


 下呂ワンダーランド、略して下呂ワンは、かつての下呂温泉に湧いた魔素を利用して作ったテーマパークだ。

 安定して湧く低濃度の魔素は低レベルモンスターを生み出し、そのモンスターを狩るのが子供から大人まで楽しめるエンターテインメントとなっている。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 今日は2020年4月10日記念すべきバイト初日だ。オープン1時間前の9時に下呂ワンのエントランスに集合することになっている。

 下呂ワンは下呂駅からバスで10分ほどの距離にあり、8時40分の下呂駅発のバスに乗れば十分間に合う計算だ。ただ、初日から遅刻は不味いだろうなと、気が焦って一本早いのバスに乗ってしまった。


 バスは下呂ワンの従業員だろう人や家族連れが何人か乗っていたけど、立つほどでもなく座ることができた。

 従業員っぽい一人で乗った人達はエントランス一つ前のバス停で降りていったので、従業員出入口はそちらが近いのだろう。

 エントランスに着いたが、平日のオープン1時間以上前からすでに5〜6組ぐらいの家族連れが並んでいた。


 集合場所はどこだったっけ?

 メールを確認するとチケットブース横の従業員出入口の扉前だった。


 まだ30分ぐらいあるので、なんとなく待っていると、次のバスが到着した。


 ボブカットで度のキツイ眼鏡をかけた同い年ぐらいで大人しい感じの女の子が降りて、周りをキョロキョロ見た後こちらに向かってきた。

 微妙な距離のとこで立ち止まったが、なんとなく目があったので、お互い軽く会釈しあった。


 なんとなくチラッとみると、度のキツそうな眼鏡が目立つけど、目鼻立ちはくっきりしていて可愛い系の顔だ。


 向こうもチラチラとこちらを伺っている気がするけれど、言葉を交わすこともなく待っていると、ガチャッ!扉が開き、下呂ワンの制服を着た30歳前後の男性が出てきた。


「えーっと、鈴木明君と、名瀬瞳さんかな?」


「はい。鈴木です。」

と答えると、続けて

「名瀬です。」

と女の子が返す。


「僕は倉田です。君たちの教育担当します。じゃあ行きましょう。」


 軽く自己紹介をしたあと、倉田さんが中に入っていくので、レディファーストということで、名瀬さんにお先にとゼスチャーで入ってもらう。


 そして俺も下呂ワンでのアルバイトに一歩を踏み出した。


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乱筆ですが、読んでいただきありがとうございます。 評価、ブックマークいただけると励みになりますので、よかったらお願いします。
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