↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカンな幼馴染と内気な僕  作者: 久野真一
第四章 交換学生しよう
60/71

第60話 共学と男子校と



 7月6日の月曜日の朝。



「東西と東津の違いってなんだろう?」



 早いもので編入してもう1週間が経つ。すっかり定位置になった座席に座りながら、隣の真澄に問いかける。



「どうしたんや。やぶからぼうに」


「何かあるわけじゃないけどさ」



 と前置きをする。



「僕らは、共学化のモデルケースとして来てるわけだよね」


「そやね」


「東西が共学化したときに、どこが問題になりそうかなって」



 もちろん、色々共学で新鮮なことはあったけど、どの辺りが問題になるかというと、なかなか思い浮かばない。



「共学化しても、女子はたぶん少しだろ?その辺りが問題になるんじゃねえか?」



 と後ろから答えたのは正樹。



「男女比率か。なるほど」



 確かに、数年後の共学化を目指すとして、いきなり男女同数というわけにはいかないだろう。女子はクラスで数人といったところか。それで思いつくところと言うと…



「男子による女子争奪戦、とかかな?」


「ありそうだな。それ」



 こっちに編入してきて実感したのだけど、男女が同じくらい居ても、男子だけの場になると、お前は誰狙いだとかそういう会話がよく聞こえてくる。



「男子校のノリはわからんのやけど。それやったら、女子連中は固まりそうやね」


「わかるわかる」



 と真澄の意見。確かに、こっちでも、仲が良い男子がいない女子は女子同士でグループを作っている印象だ。



「というか、体育はどうするんだろう?」



 こっちは体育は男女別だけど、数人の女子のために別の授業をするのだろうか。バスケやバレーとか人数が必要なスポーツはつらそうだ。



「女子だけ、学年で合同とかやない?」


「そうなるのかなあ」



 一クラスだけだと人数が足りないのだったら、そうなりそうだけど。



「真澄の立場ならどう?周りがほとんど男子のとこに入学するとしたら」


「うーん。せやな……」



 腕組みをして考える真澄。



「視線は気になるかもなあ」


「視線?」



 言っていることの意味がよくわからないので、問い返してみる。



「ウチらの立場からすると、男子の視線って気になるもんなんよ。顔はともかく、胸とか太腿とかな」


「僕、そんなに見てたっけ?」



 普段、そういうところを見てた覚えがないのだけど。



「コウはおいといてな。普通の男子はって話や」


「まるで僕が普通の男子じゃないみたいな言い方だね」



 そこは強く抗議したい。



「東西でも、コウは下ネタとか、女子がどうとか、食いつき悪いよな」


「正樹まで!?僕だって健全な男子高校生なんだけど」



 まるで、僕が仙人か何かのような言い様だ。



「そういうのがコウのええところやから」



 真澄にポンと肩を叩かれて、諭される。



「褒められてるのか、けなされてるのかわからないんだけど……」



 納得がいかない。



「コウがずっとウチにアプローチしてたのに気づいてなかったって話あったよね」


「うん。毎月少なくとも2回は遊んでたと思うよ。それで気づいてくれないんだし」



 昔の話だけど、やっぱり真澄が天然だったからだと思うんだけどな。



「コウは凄いあっさりしとったんよ。ウチも、意識してもらおうと思て、時々肌を強調する服とか着たんやけど、無反応やったし」



 じと目でそんなことを言われる。



「いやいや。それは僕にも言い分があるよ。可愛いとは思ったけど、どう褒めればいいかわからなかっただけでさ」



 思い返せば、いつもと違う服を着てるなと思う時は度々あったけど、自意識過剰かと思って言い出せなかっただけなのだ。



「それはもうわかっとるよ。ウチが言っとるのは視線の話」



 苦笑いをしながら、そんなことを言う真澄。



「そこがよくわからないんだよね」


「たとえばや。今、コウはどこを見とる?」


「うん?真澄の目を見てるけど」



 目を見て話すのは普通の事だと思うんだけど。



「コウはそうやろね」


「普通の男子は違うってこと?」


「男子連中、話しながらも、胸とか太腿とか、そういうとこに視線行っとること多いんよ。露出多い子やと特にな」



 初めて知る事実だ。



「コウは、視線が全然反応せえへんかったからな。やから、ウチとは昔馴染みとしての好意から付き合ってくれとるんかな、てよく思っとったよ」



 懐かしそうに語る真澄。



「それはごめん」



 そんな意外なところで誤解があったとは。



「別に謝らんでええけど。コウがそういうんやったから、ウチも好きになったんやし」


「そ、それはどうも」



 唐突にそんなことを言われ、顔が熱くなる。



「お熱いのは結構だけど、脱線してるぞ」



 正樹の言葉で、真澄も気がついたのか、頬を赤らめて俯いてしまう。



「そ、それでや。話戻すとな、男子ばっかやと、女子はやっぱ視線が気になるちゅう子はいるんやないかな」


「なるほどねえ」



 視線、というのは完全に盲点だった。考えてみると、付き合ってからも、服とかをあまり褒められていない気がするのも、そのあたりに原因があるのだろうか。



「あとさ。クラスに女子が4人とか居ればいいけど。1人とかだったら、かなり気まずくねえか?」



 と正樹。



「すっごい気まずそう。男子一人が女子の園にってのはよくお話であるけどね」


「主人公がそれでモテモテとか、女装してとか、よくある話やな」


「主人公はよく気まずくならないなーってよく思ってたよ」



 女子の園に男子が一人とか、普通に考えるとかなりつらいよね。 



「それが男女逆になるわけやから、女子にしてみれば気まずいやろな」


「納得」



 その後も、共学化したときのことを延々と話していたのだが、結論として。



「男子はともかく、女子の方がつらそうだよね」


「せやな……」



 ということになったのだった。東西が共学化するのは、僕たちが卒業した後だけど、ちゃんとやっていけるのかな。そんなことを思ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。