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第21話 デス・トリニオン、超文明を探査する、その1

 デス・トリニオン率いる三万隻がリリム皇帝を凌ぐ超文明種族を求めて単艦個別に独行して天の川銀河の大海を進む。ワープに次ぐワープ、文明の痕跡である電波やインフラレイ(下位光線)の発信源を見つけるのだ。表向きの目的は、その超文明星系をトリニオン帝国に忠実な民として平和外交を成すこと、これを装い訪れるのだ。電波やインフラレイは文明の証し、宇宙のどの場所にいようと数多の種族が存在する星々の発する電波やインフラレイを受信することはできる。しかし10万光年離れた惑星から届くこれらの波動は10万年前のもので、その過去の波動をもって現在の文明レベルを推し量ることはできない。しかもどこに向けて耳を澄ませて注視してよいかもわからない。だからその文明星の近傍を訪れて耳を澄ますというわけだ。このように本気で超文明星を探すとしたら3万隻をもって絨毯爆撃的に洗いざらい探るしかない。


 超文明の第一候補であったロボット生命体ボロトン族は、事前に『過去映像投影装置』にて観測していた通り大した科学力ではなかった。ボロトン族は古く高い文明を誇る種族であると知られており、もしや『過去映像投影装置』の監視が届かない隠された何かがある可能性もあったので探査は行った。しかし結果は残念なものに終わった。(『過去映像投影装置』とは現在から過去に至る望む時空間の映像を投影することができると言うもので、これが有効である限りリリム皇帝とAIポジトロン脳に全てを知られてしまうので、リリム皇帝とAIポジトロン脳を追い落として自分がトリニオン帝国皇帝につくことなどできないのだ。)


 ボロトン族の次は、未知の進んだ超文明種族をゼロから探して見出さなければならない。デス・トリニオンは艦載AIポジトロンが選択したエリアに可能な限り広範囲にデス艦隊3万隻を派遣することにした。特に古い古い赤色巨星の多い大マゼラン星雲や、小マゼラン星雲は、その古さから超文明を見い出す期待が持てる。それにしてもワープ飛距離が事実上無限大のリリム皇帝が発明した新式ワープは凄い。デス艦隊旗下の1隻がただ1回のワープで大マゼランのとある外縁空域に到達する。


 すると、大マゼラン星雲にて多量のインフラレイの発生源を発見する。船載AIポジトロン脳が『過去映像投影装置』で確認したところ、約13億年前から隆盛を誇った文明を発見、デス・トリニオンはあまりの文明の古さに驚いた。だが現在の状態を『過去映像投影装置』しかも現在から約三万年の間の状況を『過去映像投影装置』で見ることができないとわかる。何等かの阻害要因があるらしいのだ。デス・トリニオンは即座に決断し、大マゼラン星雲の外縁に在るその文明星に向かうことにする。


 デス・トリニオン艦隊3万隻が集合し、その超文明星らしき星にワープした。するとワープした先は、目標星の遥か手前のエリア、3000光年であり、その内側は実質ワープ阻害領域になっていた。目の前には大きな直径3000光年からなる球状バリアーが存在している。内側に反物質エンジンを吹かして侵入することもできない。艦載AIポジトロン脳に聞いても、旗下の科学者に聞いても首をかしげるばかりだ。観測の結果、球状バリアーの中心には褐色矮星と呼ばれる地球程度の大きさの超々寿命の恒星が多数存在し、その不自然さは何か意図的計画的な居住空間の存在を予期できる。


 デス・トリニオンは躊躇しなかった。彼はベア粒子通信機と取り、リリム皇帝にテレビ電話をかけた。

 「リリム皇帝陛下、我々は超文明らしき文明エリアを発見したものの、直径3000光年からなるバリアーによって侵入不可能です。この為内部に友好使節団を派遣することができません。どうしたら良いでしょう。」

 「データは見せてもらった。対策はできている。そちらの艦載AIポジトロン脳に指示を送った。デス君はただ単にバリアーの向こう側へ行けと命令すればいい。」

 「わ、わかりました。さすが皇帝陛下、もう対策ができているなんて驚きです。」

 「まぁね。じゃあ頑張って。」

 「では、AIポジトロン脳よ!!!バリアーの向こう側へ行ってくれ。」

 命じられたAIポジトロン脳は返答する。

 「まずはバリアーなどない時代にタイムワープし、将来のバリアー領域に侵入。さらに現在にその時代からタイムワープして戻ります。」

 「おいおいそんな裏技ありかよ!!!」

 こうしてデス・トリニオン艦隊は未知の進んだ存在のいる大マゼラン星雲の領域への侵入を果たした。

 

 

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