第2話 発明ラッシュ
俺は、届いたUFOの部品リストを広いガレージに並べ、リリーと一緒に組み立て始めた。
大電流を発生させる人類最高のバッテリーから直流をON⇔OFFさせたONOFF波を、チタン酸バリウム強誘電体でなるコンデンサー、そのコンデンサーとテスラコイル3セットでなる⊿結線をのせたプラットホーム、これにぶち込む。プラットホームは円盤状で、UFOと同じく下方に3つの半球ドーム形状を突き出している。
するとプラットホーム全体が強烈な光を発し、ON⇔OFF波のDUTY50%で空中に浮く。さらにDUTY100%にすると、地球と反対方向に落下し、ガレージの天上に落ちた。そして徐々にDUTY0%に戻し、ふわりと地上に着地させた。
「やっぱりな。思った通りだ。ここまでは!!!」
「リリム様、凄いですわ。人類初の反重力機関の完成ですね。」
「ふむ、、、これで、船体の物性転換用反重力機関は完成だ。」
俺は、さらに組み立てたエンジンをそのプラットホームに装着し、プラットホーム上に鉛を鉄で覆った船室を作る。そしてさらに船室の物性を正物質⇔中間物質⇔反物質に転換させる第2の反重力機関を組み上げて、宇宙船を完成させる。船室には空気を充満させ、テスト用のマウスを乗せる。
船体は、着陸、離床、ホバリングさせる都合上、それぞれ、着陸が正物質、離床が反物質、ホバリングが中間物質化させる必要がある。しかしながら広大な宇宙空間を航行させるには、ほんの数分で光速に達するような超加速が必須である。ところがそんな加速をしようものなら、たちまち乗員の体はペシャンコになってしまう。UFOのインターネット上の動画を見ると確かに一瞬でUFO船体が見えなくなってしまうような加速をしている。何か乗員を守る為の秘密があるに違いない。で、俺は気が付いた。中間物質状態であれば、ペシャンコに潰れてしまうような加速でも、乗員は潰れないのだ、と。であれば船室の中だけ中間物質にしてやればよい、と。そこで着陸、離床、ホバリングをなす為に、正物質、反物質、中間物質化する必要のある船体とは別の船室内の物性を中間物質に保つための第2の反重力機関が必要なのだ、と。
組み上がった宇宙船を見上げながら俺はリリーに言った。
「さて、テスト飛行と行こう。一応何か見落としがあればテストは失敗するので無人遠隔操縦とする。」
「なんでここで反物質反応エンジンのテストしないんですか?」
「放射能が出る。だから宇宙空間に出たらテストだ。」
「なるほど。」
組み上がった宇宙船は、船体が反重力に物性変換され、軽々と上方に落下する。実験用マウスは船室が中間物質化されているので元気だ。次いで、3つある半球ドームの内一つを下方に突き出し、他の2つの半球ドームを宇宙船側に収納方向に引っ込み、それぞれDUTYを0%、100%にすると、宇宙船は傾いて水平方向に移動する。そしてそのまま宇宙船と地上の相対距離を高度10000mに保ったまま地球を70分で一周させるテストが成功する。
次いで、宇宙船を宇宙空間に進出させ、例のエンジンをテストする。燃料として質量の低い緩加速用の水素ガス、質量が中間的な中加速用の鉄微粒子、質量の思い急加速用のウラン微粒子にした燃料タンクからコックを切り替えて選択的に吸い出し、第3の反重力機関、反物質銃で、この微粒子を反物質化し、正物質である固定された鉄球に当てて、正物質と反物質を衝突させて対消滅させることで推力を得て、めちゃくちゃな高機動で飛行させる。まさにUFOのパッ、パッ、パッ、と動く様が再現される。
「どうやら実験用マウスは中間物質化しているので、こんな高機動に関わらず、運動エネルギーは無効
となり、無事のようだ。」
「なるほど。」
「さすが高い理解力だ、リリー」
「お褒めいただき嬉しいです。」
「さて燃料としてウラン微粒子を使って最大加速で、火星に行ってみようか。」
実験宇宙船は、プログラムに従い、3分で0.8光速に達し、反対方向に宇宙船を減速させる為、噴射方向を180度変えて相対速度0にて火星に着陸、さらに10分後には地球の静止軌道に戻る。船体の噴射部は、放射能汚染されているので、そのままリリムのガレージに戻すわけには行かない。
そして更に、人間自体を浮遊させる反重力機関をベルトに仕込み、自由自在に空中を飛行できるようにもなった。『反重力ベルト』の完成も得た。
また、閃いたワープ航法のテストを行う。この場合、宇宙船の船体を中間物質化させて、超光速100倍まで加速させ、中間物質⇒正物質、といきなり物性転換させることで、正物質化した宇宙船がこの宇宙に留まれず、全銀河で構成される第一宇宙球から飛び出してしまいそうになるを、その瞬間反物質化させ、元の宇宙に戻し、戻った空間は元の空間から数光年先という『ワープ航法』と、反物質化させる時間を正物質化させる時間より少なくすることで過去にタイムワープさせたり、反物質化させる時間を正物質化させる時間より長くすることで未来にタイムワープさせる『タイムマシン』の完成も得る。このワープ航法はアインシュタインの特殊相対性原理に基づき、正物質が光速以上の速度をだせないことに対応して超光速を出している中間物質の宇宙船を正物質化させて、この宇宙に留まれなくなる物理現象を利用したものだ。
次いで、AI搭載の万能型ロボットを作成する。プログラムは予めリリムがここ数年作って来たものだ。この万能型ロボットは、反重力で空中を移動し、8本のタコ足状のアームの先端に、それぞれ16本の多関節触手を備え、人間のできることなら自在に何でもこなす。ピアノの演奏等もいきなり練習などしなくてもこなすことができる。このロボットの名は試作ロボット『プー=プロト』である。
一連の成功を得たリリムとリリーは、プー=プロトとともに反重力船の10台の製造に勤しみ、ロボット操縦で近隣の恒星系から探索を開始、第2の地球と言うべき惑星や、資源惑星、超文明惑星を次々発見していった。そしてほぼ1年後、人類初の恒星間宇宙旅行にチャレンジするのであった。その途中事故にあって戻れなくなる可能性もあるので、この宇宙船に関する資料は10年後に開く時間錠で厳封された金庫に保管され、その金庫はリリムの父親に届けられた。