第14話 地球平定、とある地球人のトリニオン帝国へのスカウト
1501年、とあるスペイン人、ウーゴ・リオスの家、6人家族のお宅において。
カンカン、とその家の呼び鐘がなる。その家の者が応対する。
「はじめまして。私は試作ロボット、ピー189968978403090958・・・・・・・・・・号です。先に空に投影した映像で宣言した通り、あなた方をトリニオン帝国にスカウトすべくやってきました。あなたに空飛ぶ家をプレゼントしますよ。」
「断る。ワシらは栄光あるスペイン王国に所属する忠実なる臣民なのじゃ。」
「まぁそう言わずに、とりあえず、空飛ぶ家を見てみませんか。美味しい料理も出せますよ。」
「むむむ、お、美味しい料理とな!?そういうことならその空飛ぶ家をみせてもらい、料理をふるまってもらおうか!?」
家の前に、試作ロボットピーが予め作って来た球形の自宅宇宙船が停留している。他の家の前も同様に何台もこの自宅宇宙船が停留しているのが見て取れる。遠くの家では、実際離床し、試しの小旅行にでかけたようだ。
ウーゴ・リオスとその家族は、恐る恐るその自宅宇宙船に乗る。すると部屋の電気が点灯し、入口から階段を上がるとリビングダイニングの大きな部屋があり、上下東西南北全ての全球方向のこの宇宙船の壁面がモニター外部の風景を映し出す。そこにはダイニングテーブル、ソファー、椅子、過去映像投影装置付きテレビ、ゲーム等が宙に浮いたように、下方の風景が見える透明度を有しながら、わずかに床面を認識できる面の上に備えられており、ピーに促されてそのダイニングテーブルの椅子に座る。
「場所を移動して素晴らしい風景を見ながらの食事にしますか?テレビにその候補を映しますね。」
テレビにはこれから向かう素晴らしい風景の候補地、太陽系の他の惑星を一望できる場所、地球のアマゾン川と巨大な滝のある場所、海の中や、スイスのアルプス、ビーチ、等が次々映し出される。
「うん、このビーチの場所がいいな。」ととある無人島の真っ白な砂浜に、遠くの岩礁で波が砕ける地点がを指定する。
と、自宅兼宇宙船は、軽々と飛び立ち、その地点に反重力推進で向かう。
到着するまでの30分程度でほぼ地球を1/4の外周部大気圏を移動する。
「す、すばらしく美しい。地球って青いんだぁ。そして地球はやっぱり丸いんだぁ!!! それにこの船も素晴らしいな。あっと言う間にこんな遠くに、、、。」
目的地に着くと、ピーが自動調理装置ラストで提供できる食事のメニューをテレビに映し出し、ウーゴとその家族に選択させる。次々に選択されたメニューが自動調理装置ラストで供される。
選んだメニューは無難に食べなれたスペイン料理から選ばれ、スープ料理のソパ・デ・アホ、スペイン風サンドイッチ(Bocadillo/ボカディージョ)、スペイン風オムレツ(Tortilla de patatas/トルティージャ・デ・パタタス)、生ハムのハモン・セラーノ(Jamón serrano)、ピンチョスのセット、いわしの酢漬け(Boquerones en vinagre/ボケロネス・エン・ビナグレ)、仔豚のロースト(Cochinillo asado/コチニージョ・アサド)、パエリアであった。食べてみると驚くほど美味しい。
「う、うまい、なんだこれ、こんな美味しいもの食べたことがないぞ。」
「日本料理の特徴である、出汁をきかせましたから。」
「なんだその日本料理って、野蛮人の国の料理方法か!?」
「この出汁は、今から422年後で一般的になった料理方法であり、油を使わなくても美味しい、健康的で太らないのが特徴な料理ですよ。それに我がトリニオン帝国においては、『野蛮人の国の料理方法か』と言う発言は差別発言。いけません。言語を話す知性体に対し、姿形やその性格が好みにあわないとか、例えそれが敵であるとか、如何なる理由であっても罪に問われます。もしトリニオン帝国と関りを持つなら気を付けてくださいね。」
「ふ~ん。わかったよ。で、この料理の材料ってやっぱりどこかで買ってくるんかい?」
「いや食材の調達は不要です。純粋物質から原子分解再構築によって作られた人口食材からできています。従って基本収入がなくても暮らしていけます。」
「そいつはすごい。、、、、決めた。俺、トリニオン帝国民になるよ。差別がないならこんな俺でも馬鹿にされはすまい。」
「有難うございます。では、頭を良くし、誰とでも話せるようになる思考サポートロボットプーと、この自宅宇宙船と、私、試作ロボットピーを、今から6人分作ります。」
で、わりとすぐにこれらが作られて引き渡される。自宅宇宙船はドッキングされて、6LDK380m^2×6機のわりと大きいものとなった。
ウーゴ・リオス家は、帝国民となった。これで好きな場所で好きなように生きることができるようになった。しかも無税。
「良かったね。これで飢えなくて済む。」
ウーゴの妻、ラミルがリオス家自慢の料理を作ってプーに見せ、自動料理装置ラストのレシピに追加する。たちまち10万人の新たにトリニオン帝国民となったスペイン人がこの料理を試し、15トリ(150万円)が儲かった。評価は上々であった。ネットでつながった自動料理装置は、誰かがレシピを追加すれば誰でも利用でき、レシピを入れた者に報酬が出る。
次の日、ウーゴは、思考サポートロボットプーを頭に乗せ言う。ウーゴはこのプーのおかげでトリニオン帝国について広範な知識を手に入れている。
「昨日食べた日本の料理方法ってのが気になる。なにかお薦めして食べさせて。」
「なら人気順に、少量ずつ御提供しましょう。」
と言うと、自動調理装置ラストが、次々料理を提供する。
日本茶
「おお、食前のお茶かい。適度な苦味がいいね。」
ナメコに豆腐に小松菜の入った八丁味噌の味噌汁
「まずはスープか、、、う~ん、深い味わい! このきのこのとろみがいいね。この深い味わいは昨日食べた出汁の影響かい。」
「よくわかりますね。科学的には、カツオを乾燥させたカツオ節からとったイノシン酸と言う旨味成分と、乾燥させた昆布からとったグルタミン酸と言う旨味成分、干しシイタケからとったグアニル酸と言う旨味成分が黄金比で溶き入れてあるのです。」
「そんな食べ物文化の奥義があるとは、いやはやこれは驚いた。」
ここで神の雫、日本酒の大吟醸が熱燗で
「うわ~、この酒旨い。」
りんごを熟成させたウスターシャーソースをかけたとんかつにキャベツの千切り数切れ
「これもうまい、ドイツのシュルニッツルに似ているが周りの衣のサクサク感がおいしい。」
かつおの表面を藁で焼いたかつおのたたきと、鯛の皮を軽くあぶった刺身と、油の乗った寒ブリ、深い味わいのアカイカの刺身、魚の中で最も旨いと言われる天然者のキジハタの刺身、これら刺身に微塵切りしたネギと大場とカイワレ大根にブロッコリースプラウトとみょうが、これに玉葱と醤油とごま油ベースのドレッシングをかけたお魚アラカルトのマリネと、これらの握り寿司
「こ、これも美味しい。このスペインでは海沿いの街でしか食べられないマリネだが、こうもいろいろなお魚がサラダのように食べるとは。素晴らしい。それから酢っぱい米に乗せた生の魚が最高に合う。これは最高だ。」
甘い醤油とみりんベースのタレをかけた焼き鳥、焼きトンとして、肉、レバー、タン、白モツの串焼き
「これも素晴らしい味、世界一美味しい鶏と豚の食べ方であるな。それに日本酒大吟醸をちびちびやりながらのこれら少量づつのお食事は素晴らしいですのぉ。」
同じくタレをかけたウナギを皮目をカリっと焼いたウナギにご飯
「く、くちの中が天国だぁ~。」
絞めのとんこつ醤油味の麺硬ラーメン
「こ、こんな旨いブイヨン食べたことない。」
食事が終り、ほうじ茶を飲むと、
「に、日本と言う国に行ってみたい。」
「すぐに行けますよ。温泉や遊びものも豊富な国ですね。」
「あぁ連れて行っておくれ。しばらくそこで遊んで暮らすよ。でもそれにしてもトリニオン帝国ってなんていい国なんだ。この地域の名目領主のリリーさまさまだね。皇帝リリム様とご領主リリー様に乾杯!!!」




