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12/22

第12話 リリー、地球を徹底的に征服する

 リリーは、皇帝リリムの命によって地球を征服する為、トリニオン帝国超ド級戦艦タイタンに座乗し地球に赴いた。


 まずタイムワープして3000年前の太陽系各惑星に、試作ロボットピーをばら撒いた。その数は、各惑星を最適な居住空間でもあり、戦闘可能な宇宙戦艦に改造する為に必要な数である。ばら撒かれた試作ロボットピーは、各惑星の原子や分子素材を利用し、自身のピーのコピーを無限に生産していく。やがて3000年間かけてその惑星を宇宙戦艦に改造可能なまでに増殖すると、同じく各惑星の原子や分子素材を利用して、テラフォーミングをして地球環境とするとともに、硬い戦艦の船体を、原子分解再構築をなして構築していく。こうして西暦2000年には、太陽系の惑星、水金地火木土天海冥は、内部に居住可能な区画化された空間と、各区画毎に異なる地球型の各地の環境と、地球に生きる全生命と、大気、海、を備え、惑星級宇宙戦艦として必要な反重力反応エンジンと反重力機関、各種攻撃、防御兵器、重力制御装置を備えるに至った。

 なお、試作ロボットピーと、後程詳述する思考サポートロボットプーは、反重力で宙を移動することができ、試作ロボットピーは、原子分解再構築可能なカメラ付き16本の触手を有し、その16本の触手の1本にはさらに細かい同様の16本の触手を有し、そのさらに細かい触手にもさらにさらに細かい同様の触手16本があると言う設計だ。これらこそナノテクノロジーの粋と言うべき技術であった。


 リリー達は、3000年前の太陽系から西暦2022年に戻ると、月の隣に宇宙戦艦タイタンを停めて、1500年から現在2022年の地球全土であってかつ毎年4月1日において、それぞれの各言語で、空に大きな自分の映像を流した。そしてその映像に写されたリリーが「こんにちは、皆さんこの映像を見てください。」を繰り返して大きな音声でしゃべり始める。(地球を離れることを最後まで忌避した者は毎年この放送を見ることになる。)


 その後10分後、リリーは以下を語り始める。

 「ハロー、地球人の皆さん、私は地球人のリリー=ルモンド男爵と申します。この度、新たにこの銀河の最大勢力、トリニオン帝国の皇帝リリム=トリニオン=大アース1世陛下より男爵位を賜り、この地球を統べるよう命じられてきました。この地球の征服は、地球人から搾取が目的ではありません。むしろトリニオン帝国民と同じ、健康的で文化的生活が送れるよう、衣食住に困ることのない、環境を提供する為です。税金は無税、永遠の生命の付与を約束しましょう。


 また、今迄地球の各国を治めている政府は残念ながら解体となります。これについてはいろいろと反論もありましょうが、残念ながらあまりに稚拙、あまりに野蛮、あまりに無知、あまりに不健康、不経済と言わざるを得ない政治体制です。戦争は繰り返され、不当に搾取されたり命を奪われる、そして各国を統べる政治家は、民衆と為ではなく、自分の為に、民衆から搾取する為に存在している。民主的選挙で選ばれた政治家でも、我々が持っている『過去映像投影装置』で成された犯罪行為を洗い出すと、汚職や、受託収賄により一部の不当受益者への特権付与ばかりです。そんな罪を犯した政治家、及び犯罪者は、その国の法や過去の同様の犯罪への刑の執行結果に則り裁かれるでしょう。


 また、化石燃料を燃やして動力を得る、今の文明の行き付く先の未来映像はこの通りです。」


 2500年、地球温暖化の影響により、干上がった海、温度が150度となった地球を映す。今の地球で生き残っている生命はなかった。


 リリーは続ける。

 「民主主義を標榜する国家も一見理想の国家に見えますが、財政的な実力不相応の国民への奉仕によって財政赤字が累積されるので、そのような国家は無理があるのです。2022年のアメリカ合衆国の赤字は総額5000兆円、中華人民共和国が3000兆円、日本が1000兆円ですね。これではだめです。


 また2022年現在の一部の国では、政府の考え方と意見が異なると言う理由で死刑になっている。これはその国のトップが、殺人者であると言うことです。


 トリニオン帝国皇帝リリム=トリニオン=大アース1世陛下も私と同じ地球人であり、数々の功績が認められトリニオン帝国皇帝に就任した者です。そんな陛下が地球の現状に憂いてそれを解決すべく私を派遣した、と言うわけです。


 今から流すビデオは、このまま地球が放置された場合、未来にはどうなるか、を、我々の技術であるタイムトラベルによって調べた結果です。そして私の公約である、トリニオン帝国の一員として、地球人全員に付与される生活、環境、法律、帝国の紹介と言った内容となります。とくとご覧あれ。


 なお、2022年の強国と言われる国は、月に隣接するエリアに在り、私の座乗する宇宙戦艦タイタンに向けて、地球人の持つ最終兵器、水爆ミサイルを発射するようですが、そんなちゃちい兵器が我々に通用するはずもない様も、放映することとしましょう。きっとこれらの国のTOP達は、自分の犯した罪で裁かれるのを怖れてそのようなミサイル発射を決意したのでしょうね。ではまた後程、迎えのロボットを地球人一人一人に赴かせるのでよろしく。」


 各年代の地球全土の大空を覆った映像は、2022年の現在の米国、ロシア、中国から水爆を搭載したICBMが次々発射される様、発射後全てのミサイルが、その進行方向に出現したリング、ワープゲートに突入すると、全機ワープして、太陽の中に突入して消失する様、を映しだす。

 

 「私達の技術は、あなた方の遠く及ばないレベルにあるので、地球最終兵器と言えどもまるで通用しないことをご理解ください。」


 まず、このまま地球が放置された場合の未来の地球がどうなったかの映像が流される。未知のウイルスの度重なる発生、化石燃料を燃やして動力を得ることを継続した結果のどんどん上昇する地球温暖化現象の進行、年々巨大化する台風、2100年から始まる火山活動の活発化、ロシアの永久凍土層のメタンの大気放出、海底のメタンハイドレードの大気放出、太陽の核融合活動の活発化に伴う度重なる太陽風嵐、耕作地の減少と第三次世界大戦の結果、水爆を撃ち合って滅んだ地球の様を映しだす。つまりは地球は結局生命のいない無味乾燥な死んだ惑星となってしまった。


 次いで、公約としての地球人全員に付与される生活、環境の説明映像が流れる。


 その映像は、試作ロボットピーが6LDK380m^2の居住空間を備えた反重力と反物質反応エンジンで飛ぶ自宅宇宙船を作る所から始まる。衛生的なキッチンを備えたダイニングには自動調理装置ラストが次々と料理を作り出し、食べ終われば家事ロボットが食器を洗ってくれる。リビングルームには座り心地の良さそうなソファーと、こたつ、過去映像投影装置付きテレビ(AIを搭載し、鑑賞者の要望に沿った時空の映像を見せる。もちろん個人のプライベート映像<裸やセックスシーン>はカット)、音響装置、好きな種目のスポーツトレーニング可能なシミュレーター、ゲームを備える。また時代宇宙船の壁の中の素粒子の中の無数の銀河の一つのとある惑星にテラフォーミングによって、好きな環境を設定でき、ドアを介して中に入ることができる。そのようなドアは6つ設置される。この設定した世界の例として、例えば、1つのドアが雪山にスキーやスノボができる雪山世界、1つのドアが熱帯の海水浴ができるビーチ世界、1つのドアが温泉や渓流世界、1つのドアが美味しいフルーツで満たされた世界、また1つのドアが架空の物語の剣と魔法の世界、1つのドアが恐竜の跳梁跋扈する世界、さらにその6つのドアそれぞれに、複数の設定した世界を任意に無限につなげることもできる。これら箱庭的世界はほぼ地球規模の大きさを誇り、流れる時間は元の世界の1億分の1秒がこの微小世界の1億年というふうに非常に引き延ばされた時間になるのだが、元の世界の人間の寿命100年分は担保されるので、箱庭世界でほぼ無限に存在できるというわけだ。


 これが国民1人当りに付与されるので、4人家族の場合、この自宅宇宙船がドッキングされ、4倍の6LDK380m^2×4人分となる。

 

 また試作ロボットピーは、言語の異なる種族と会話可能にテレパシーで補間して会話可能となり、かつ知能を最大限伸ばし、膨大な世界知識を即座に自分の知識として取り出せる思考サポートロボットプーを作る。この思考サポートロボットプーは行うべき仕事への意欲を抱かせたり、脳を鍛えたり、精神的ストレス緩和をなす。そして違法行為を人間が無理にしようとすればそれを警告し、違法行為を強行すれば、残念ながらピーはそれを強制的にやめさせる。


 また自宅宇宙船を、その人間のどこの時代のどこに向かうとかの決定に従い、思考サポートロボットプーが自宅宇宙船の操縦機構に指示する。自宅宇宙船の操縦に関しては、超光速で移動する宇宙船の人間による主導操縦などは人間の反射神経では不可能なので全て自動操縦であり、このため自宅宇宙船には宇宙空間の銀河の偉容を眺める為のモニターと現在位置と存在時代が表示されるのみで操縦管や攻撃防御兵器のスイッチやレバーの類は一切ない。異種族の敵対行動に対する攻撃防御や、隕石等の危険回避は、自宅宇宙船の管理AIが自動で行う。従って人間の意思で、例えばこの自宅宇宙船を使っての海賊行為や、とある惑星のとある生物をいじめるなどの目的で危害を加えることはできない。またタイムワープしてその時代の歴史を変えることは、皇帝以外は禁止されており、思考サポートロボットがその歴史改変を違法行為として承諾しないので人間は歴史改変することができない。


 また試作ロボットピーは、あらゆる細かい作業が実施可能なようにする為、自身の中に1/20の微小サイズ-1のプーを16機搭載し、その微小サイズ-1は、さらにその1/20微小サイズ-2を16機搭載し、さらにその1/20微小サイズ-3を16機搭載し、原子核と同等の大きさの微小サイズのピーまで搭載する。その最小微小サイズのピーが原子分解、再構築、分子生成をなして、人間の体の中に侵入し、健康診断するとともに、脂肪の除去、血管清掃、腸内環境の整え、癌細胞や、細菌、ウイルス除去、正常細胞の増殖をすることで病気で死ぬこともなく老化も起らない為、永遠の生命を得ることができる。


 また試作ロボットプーは、人間の創造したものを形にする。大まかな人間の指示を、必要に応じて帝国のAIポジトロン脳まで動員して補間し、形を成すことができる。その際の知的創造の結果は、思考サポートロボットピーを介して、その内容を知るとともに、特許権、意匠権、商標権もその人間の成したものを自動で取得することができる。初めてなされた創造の結果は、他の者がその実施(使う、製造する、貸す、広告する)をすると自動的に、その実施をした者の口座からその創造を成した者へ報酬が支払われることになる。例えば新しい料理のレシピを、他の者が『自動調理装置ラスト』で使えば、その代価の支払いが当事者間で行われることになる。


 つまり、他人の創造の結果を実施する一方であり、自分の創造の結果のない者は、自動的にその口座は借金として増えるのみとなる。しかしながら借金が増えたからと言って利子が増えるわけでもなく、特段生活が変わるわけでもない。つまり借金による経済的破滅はないと言うことだ。

 但し、一緒に子孫を作る相手として、このような借金ばかりの人間は優秀でないと言う理由で忌避される傾向にある。その場合、試作ロボットピーの作ったその者の好みの性格や容姿のアンドロイドがその者の子孫を作り、育てるようにすることもできる。結婚制度は1夫1婦制ではなく、男女共何人でもその伴侶を登録することができる。基本、セックスをして子ができれば結婚したものとされて登録される。子が幼い内は、父、母の少なくとも一方と生活することができる。でも子の面倒は、試作ロボットピーと思考サポートロボットプーが見るので親の負担は実質ない。妊娠して妻となった女性は、自分で出産することもできるが、多くは妊娠初期に保育装置に子を移して苦労なく育てることができる。


 このようにした目的としては、液体生物ギラーミンに負けない人口増を成すことであった。つまり月経周期で排卵のたびに妊娠して、毎月子を増やすことができるのだ。従ってフリーセックが基本であり、気に入れば皆気楽にセックスをして一緒に生活し、気が変われば他の者と同居することができる。この方が無理がない。女性の中には、積極的に月1回子をなし、子が幼い内は一緒に生活し、多くの試作ロボットピーを得て、一大事業を成す者も多い。この社会では試作ロボットピーの保有数が、謂わば権力であると言えた。


 試作ロボットピーは、人一人当り1台が無償で付与される。しかし2台目以降は、有償でありバカ高い借料が必要である。最もある人間の事業プラン等が帝国にとって有用であると認められれば何台でも無償で借り受けられる。例えば地球の元住んでいたラーメン屋の運営に、1台試作ロボットピーを帝国に申請すればだいたい認められ、試作ロボットピーが、必要なアンドロイドを作成して経営し、訪れた観光客にラーメンを振るまうようなことができる。


 試作ロボットピーは、こうした個人への貸与の他、地球環境を何時までも現在のまま維持し、綺麗な状態に保つ為、公的事業にも従事する。道路や鉄道、建物の保守修繕に、ゴミの除去、オゾン層の補充にメタン等のオゾン層破壊物質の除去等を行ったりする。


 また帝国の政治システムとしては、先に説明した通り、立法権は関心のある人間が必要な知識を催眠学習にて得れば、誰でも参加可能であり、参加した分の報酬は出る。行政と司法についてはAIポジトロン脳が行う。2022年に役所等が行う行政については、AIポジトロン脳と、保有する思考サポートロボットプーがその任に当たる。また政府に対し何か要望や質問、政策提案があれば、いつでも思考サポートロボットプーを介して申したてることができた。 

 なお、『リリム皇帝陛下の成した一大産業革命への対応法案』に基づいて、リリー男爵領をはじめ全ての貴族領地は、それぞれの貴族のポケットマネーによって運営されるのではなく、AIポジトロン脳と、トリニオン帝国の物質資源から製造ラインに経て無限に生産される試作ロボットピーの大群とが、政府官僚機構を構成して無税で運営されることになる。銀河系宇宙の各貴族領は、各貴族が君臨すれども統治せず、と言う政治体制に移行していた。つまりここは〇〇貴族領です、と言う住所のような区分を指すもので、各貴族は実質、トリニオン帝国からでる年金と言う名のサラリーが収入と言うわけである。けしてリリーが好き勝手に地球を扱っていいものでもない。

 このように帝国では、功績があれば貴族の地位が下賜されて年金が付与される。しかしその子供は新たな1段階落ちた貴族地位が世襲されることとなった。これは有限な帝国財政が法衣貴族(領地を持たない貴族)への年金によって圧迫されることなく、新たに功績のあった者を貴族として年金を支払うことに躊躇いをなくす目的のためになされたものであった。


 地球人及び帝国人は、自宅宇宙船を手に入れると、危険のない限りどこで過ごそうと自由である。水金地火木土天海冥のいずれの惑星内の作られた地球環境内で過ごそうと、もはや環境破壊される怖れのなくなった観光地化した地球で過ごそうと、トリニオン帝国のどこで過ごそうと自由であり、アンドロメダ銀河に観光旅行することもできるし、過去や未来を旅することもできる。

 

 次いで、地球人リリム=クルム=エグゾセが、リリーとともに恒星間飛行可能な宇宙船を発明し、とある惑星でポヨヨンと出会い、トリニオン帝国を訪れて、不倶戴天の敵であった液体生物ギラーミンを下して属国となすとともに、一大産業革命と言うべき数々の素晴らしい発明を成して、AIポジトロン脳に認められて皇帝に就任し、リリーを男爵となし、地球の統治を任せた経緯をビデオが伝えた。




 以上のビデオがリリーが地球を統治した際にもたらされる1500年以降の地球人全員が受益する公約であり、これまでの経緯や、所属するトリニオン帝国の説明であった。大多数の地球人はこの受益を歓迎した。


 そして1500年以降の地球に存在した人間全員に、その人間が生まれた時に試作ロボットピーが赴き、必要とあれば説得し、地球の極貧生活というべき環境から救い出してリリー男爵領の帝国民としていった。また殺人や犯罪がなされた時点に、ロボットが赴き、その国の法律によってその犯罪者は裁かれた。もっとも、その人物の生まれた時には試作ロボットピーが赴いて、犯罪を犯した人間とは別人になっているので、歴史の関係継続性と言う観点からはめちゃくちゃになっていた。


 このように地球においては、1500年以降に存在した地球人全員に試作ロボットピーを派遣することで皇帝の権限である歴史改変がなされ、非常に多くの人間が不本意な死を迎えることなく未だに全員が存命し、多くの子をなしたので、地球人の人口は爆発的になった。これは液体生物ギラーミンの人口の多さに対抗した皇帝勢力の増強と言う意味があった。そしてこの一大勢力の長が、皇帝リリムの忠実なる部下、リリー男爵と言うことであった。

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