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第11話 皇帝としての素養の習得と、銀河帝国の国の形の玉成

 俺は、皇帝としての必要な素養、リリーとポヨヨンは男爵として必要な素養の習得に励むことになった。まず俺達は、カプセル睡眠学習と肉体改造を施し、皇帝として必要な技能、男爵として必要な技能を手に入れる準備をなしていく。脳の容量と発想力とレスポンス力の増大、老化防止、筋力増強、超能力可能な魔法脳への改造、機器の使用、AIポジトロン脳との協業方法、これらのレッスンと言う素養を寝ながらにして得る。


 次いでその得た知識の習熟を目的とした実践を帝国教育機関、『トリニオン超能力魔法大学校』への入門となった。ここで力を付けて、帝国臣民を統べることや奉仕、君臨、摂取、命令をなすことができるようにする。具体的には、多岐に亘る政治各分野関連業務、テレパシーによって人の心を読むこと、ピュップノによって人の心を制御し、言うことを聞かせ、励まし、希望を与え、喜ばし、断念させること、ケアルによって怪我を治癒すること、リカバリーによって病気・毒・五感異常等を治癒すること、テレポテーションによって空間転移すること、カーゴによって異空間収納すること、テレキネシスによって物体に力を加え自在に操ること、エクスプロージョンによって物体を爆発させること、タイムリープによって時間を移動すること、ファイアによって物質を燃焼させること、メルトによって物体を溶かすこと、ウインドによって風を操ること、などを可能な限り習熟するのだ。まずカプセル睡眠学習の効果を試す。なんの習熟訓練なしで、その実力テストをする。この実力テストで習熟なしで技能単位を獲得した者はその単位において『超能力魔法大学校』をめでたく卒業できると言うわけだ。一方、各超能力それぞれについて、何の萌芽もない者は、その超能力の習熟をなしても無駄と言うことで『大学校』におけるその超能力の習熟レッスンは行われない。全ての超能力において何の萌芽もなければ即退学、と言うわけだ。


 その実力テストの結果、俺は、テレパシー、ピュップノについてはCレベルで習熟期間は1年、ケアルについてはノー萌芽、リカバリーについてはCレベルで習熟期間は1年、カーゴがCレベルで習熟期間は1年、テレポテーション、テレキネシス、エクスプロ-ジョン、タイムリープ、ファイア、メルト、ウインドはノー萌芽であった。


 リリーはいずれの単位もノー萌芽であり俺の『超能力魔法大学』の在学期間中ほぼ遊んで暮らすことになった。


 またリリーとポヨヨンは、銀河帝国全体、地球等の統治をする為に必要な知識を睡眠学習にて獲得し、1日2時間程度俺同様に統治シミュレーターによって習熟訓練を行うことになった。


 またポヨヨンは全ての技能についてSSSレベル(宇宙最高)で習熟なし、さすが銀河一とも言うべきスーパーエスパー様だ。この為皇帝である私の専属お抱え講師に通常の100倍の報酬で雇われることになった。そして『超能力魔法大学校』の名誉教授に選出される。

 かくして超能力魔法大学としての授業が始まった。ポヨヨンが大学の用意したカリキュラムに則り、俺を教え導く。



 『トリニオン超能力魔法大学校』の構内をとびきりの美人が歩いてる。

 彼女は、耳の上端がとがったエルフとも言うべきトリニオン人の女子生徒の一人、ランサム辺境伯の次女タミルである。美人であり完璧なプロポーションを誇り、その露出の多い服装に魅かれてかか近づいてくる男性生徒も多い。だが伴侶とすべきターゲットを絞り込んでいるタミルは、思考サポートロボットプーがそのターゲットであると教えて来ない男には見向きもしない。タミルの実家の財政は火の車であった。ゆえに金持ちの伴侶を得て、実家にその金蔓の一端をもたらさなければならない。タミルの実家は私設軍団、もう既に中古とも言うべき戦艦、巡洋艦、駆逐艦3万隻を有し、伯爵としての矜持を満足するに足る生活を維持しなければならない。30万人都市程度の規模の屋敷の維持し、多くの召使いを雇い、伯爵領の行政組織を維持する為の費用は全て伯爵のポケットマネーから出ていた。加えてタミルの父親は、骨董収集家であり、まったく何の役に立たない骨董品が30万都市規模の屋敷に飾られ、時とともにその数が増えている。集めた骨董品の展示の鑑賞をさせてその入館料を得ることを執事が伯爵に提案したものの、それは伯爵によって却下された。「盗まれたらどうする?」とのこと。そんな伯爵と伯爵領の収支は、年間100億トリ(1000兆円相当)の赤字であり、累積1兆トリ(10京円相当)である。


 そんな伯爵領の税率は本来トリニオン帝国全土あまねく税率0%の無税のはずが、なんと違法に85%、さらに税率が高いからと言って何の社会保証もない。老いて働けなくなれば食べられなくなり自殺するしかない。湧き上がった事業計画もどうせ頑張って成功してもその利益は伯爵のもの、領民のやる気はでない。ゆえに産業は育たず、無気力に生活することになる。領民達の夢と言えば伯爵領を脱出して、他の税率の低い貴族領の領民になること、願わくは税率0%の皇帝直轄領の領民になること、のみであった。これでは領民に元気はでない。


 タミルはそんな現状を打破したいと願うようになっていた。その為に美しく生まれた自分を最大限に利用するのだ。そして金持ちの男の満足を得る為に努力に没頭するのだ。


 その努力の結果、超能力と魔法の成績がこの大学において総合1位、全科目が10位以内、武術や軍隊の指揮に優れ、男のご機嫌の取り方から、料理、科学、家計や貴族領の領地経営における政治経済財政、果ては男性アンドロイドに仕込まれたHの時の腰の使い方に至るまで完璧超人である。


 そんな彼女のターゲットには、当然、皇帝リリム=トリニオン=大アース1世が含まれる。


 そしてそのターゲットである皇帝が、素養習得修行の為、『トリニオン超能力魔法大学校』に在籍していると言う。彼のリリム皇帝は、現在8歳であり、到底彼を男性として見ることはできないのだが、彼の皇帝の大発明「永遠の生命」の実現により、知性が年齢差など気にするなと彼女に語りかけている。何としても大皇帝リリムのお近づきになり、何としても知己を得て、何としても私の体の虜にして、何としても子をなすのだ。と決心している。何しろ大皇帝である所以の、数々の文明加速させた彼の大発明の結果、彼の財とその3割が税としての歳入となるトリニオン帝国は、合計1分間に100兆トリ(1000京円)の増加である。巨大大口顧客に、皇帝リリムが属国化させた、液体生物ギラーミンの人口はとてつもなく、彼の皇帝の成した発明の「自動調理装置ラスト」は、そのギラーミン人口の箍であった食料不足と言う問題を解決して、凄い勢いでその人口が増加しまくり、将来の売上増加も果てしない。皇帝リリムが一言言えば、ランサム辺境伯領の赤字など一瞬でなくしてしまうだろう。


 タミルは、リリーに自分を売り込んだ。

 「リリー男爵閣下(タミル自身は伯爵の娘と言うだけでなんの貴族位もない)、私は役に立ちますよ。是非雇ってください。皇帝陛下の大偉業に私の心は打ち震えております。皇帝陛下の御為、命を投げうって何もかも差し出す所存です。」

 「正直、貴女のような売り込みは、非常に多いです。ですが、貴女の才能や能力には見るべきものがあります。して皇帝陛下に何をしていただけるのですか?」

 「これは提案になりますが、常に皇帝陛下のおそばにあり、皇帝陛下の表と裏のお仕事から雑用までをその命を懸けて成す近衛騎士団を創設し、そして私はその一員になりたいと思っています。あと封建制に基づく多くの貴族領、恥ずかしながら我が伯爵領を含めてですが、本来トリニオン帝国では税率ゼロのはずが、貴族の多くの贅沢な生活を維持する為その多くが莫大は借金となっており、その借金返済の為違法な高税率となっております。その為領民に元気がありません。これを打破しない限り、帝国の多くが死んだようなものです。私の第2の提案としては、貴族領の帝国の買い上げとその貴族の借金の返済を帝国がなして全て帝国の直轄領となし、貴族は法衣貴族となさしめることです。さすれば陛下への領民と貴族からの感謝と尊敬、その恩顧に報いる気持ちは絶大なものとなります。」

 「なるほど、それはおもしろい。前皇帝、今の上皇様から引き継いだ部隊として、暗部はおりましたが、近衛騎士団の方がかっこいいですね。皇帝陛下に是非提案してみましょう。また貴女の第2の提案は行政の長であるAIポジトロン脳に相談してみましょう。皇帝陛下との面談日時が決まりましたら連絡します。」


 次の日、タミルはリリーに呼ばれて皇帝リリムの前に膝をついて傅いた。

 「タミルさんの提案を是とし、暗部を「近衛騎士団」とし、広く人材を集めようと思う。要するに私にとっての何でも屋と言うわけだ。総務大臣アトラン、リリー、そして君で諮ってそれを成すように。そして貴女の第2の提案については、AIポジトロン脳から答えさせよう。」


 「第1の提案の採用についてはありがとうございました。」


 続いてAIポジトロン脳の重々しい言葉がその場に響く。

 「タミルよ。貴女の第2の提案は、帝国にとって実に好ましい。リリム皇帝陛下の各種大発明により、帝国は一大産業革命がなされた。その結果、帝国におけるものの生産は、全て物質分解再構築をする試作ロボットピーの成すところとなり、旧来の人の手によってなされる製造はもはや不要となった。人が売るべきものは、試作ロボットピーが製造する新たなるものの設計図のみとなったのだ。今迄多くの貴族領や会社がなすものが無価値となり、売れなくなる。つまり人はこれまでの経済活動を全て停止させられ、試作ロボットピーによって等しくなされる製造物によって養われることになる。これによってもたらされる失業と金融不安による混乱は絶対に避けなければならない。


 であれば、これまでの全ての負債、つまり貴族領統治の結果もたらされる領地、会社の資本金、家のローン等を全て含めて帝国が買取り、全帝国民へ、最低1台の試作ロボットピーを貸し出し、本来惑星にあるべき居住空間である家を『反重力と反物質反応エンジンで駆動する宇宙船』としてピーに作らせて、衣食住を提供させる。これしかあるまい。そして人はこれから試作ロボットピーの成す創造物の設計図を提案すればその報酬が得られるようにする。私はこれを効率的になす為のチーム化等の組織作りや、その構築をする環境作りやアイデアを形にする各工程の仕組み作り、それぞれの人の成した知的作業に対しその者の権利を保護するとともに報酬を出す仕組みは構築した。これを我が帝国の全領民に提案し、法制化しようと思う。今の帝国は皇帝陛下リリムによってかつてない程財政的裕福になったので、このような全負債の買取りを含めた施策が可能となったのだ。


 して貴女の第2の提案は、私によって完全な形に創造されたが、そのトリガを与えた貴女の功績を称え、これに見合った報酬、金100兆トリ、が与えられることになった。どうする?貴女に実家に借金も返済でき貴女は自由に暮らせるようになったのだが引き続き近衛騎士になることを希望するかね?」


 「希望します。何より皇帝陛下の御為。」

 「よろしい。」


 後日、かくしてトリニオン帝国では、『リリム皇帝陛下の成した一大産業革命への対応法案』が全領民の圧倒的支持により成立し、タミルはその報酬、金100兆トリを手に入れた。


 やがて皇帝リリムと行動を共にするギラーミン皇国皇帝クセルクセスも、その法案を、自らの皇国においても施行した。


 

 ちなみに現在のトリニオン帝国においては、行政権と司法権はAIポジトロン脳が有し、皇帝及び大臣達はその相談役と言うわけだ。既に既存の法律の範囲内で決断される重要なことは、トリニオン帝国のそれぞれの大臣、皇帝の問題提起がもしあればその解決の後その承認を形式的に得て、AIポジトロン脳が施行する。

 一方、立法については、民は一定の各分野の専門知識の持った者であれば、皇帝リリムや各貴族、行政の長であるAIポジトロン脳と同様に、新たな法案の提案権と承認権でなる立法権を有する。専門員は、希望すれば誰でも催眠カプセル学習を受けて専門知識を得ることができ、その立法権の資格が得られる。立法の過程で、AIポジトロン脳や他の専門員の問題点提起とその解決案が示され、その立法される法案は完全なものになっていく。その問題点提起が解決できない場合、その立法はできない。そして立法に携わった者も例の『リリム皇帝陛下の成した一大産業革命への対応法案』では報酬を得ることができる。


 これがトリニオン帝国における、いわゆる直接民主主義である。

 

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