第10話 リリム、トリニオン帝国の皇帝就任と、帝国、皇国の劇的な生活変化
リリム御年7歳は、華燭の典の皇帝就任式を経て皇帝に就任した。その名の正式名称は、リリム=トリニオン=大アース、である。その式典では重い凄い装飾の服とマントと王冠を被らされていた。その重さに疲れて嫌だったけれど仕方がない。
一方前皇帝ランドルフは上皇となり、かったるい政務の煩わしさかっら解放され、気ままに生活することができるようになったと喜んでいた。皇帝ランドルフの側近達、親戚筋、皇帝と親しい領主達、商人達は、今後、皇帝からの数々の賜りもの、いろいろな特権付与がなくなり、勢力伸長が止まることに不満があったが、庶民同様、リリムの提供した発明品の数々、『永遠の生命』、『試作ロボットピー』、犯罪不可能となる『過去映像投影装置』、『無限の飛距離を誇る時空ワープ』、『原子分解原子分子再構築』、どんな食通も大満足の『自動調理装置ラスト』、飛距離無限の完全秘匿同時通信『ペア粒子通信』、それを用いた驚速の『量子コンピュータ・AI』、臣民各人の無限の領地領有を約束する容量無限大の別世界『ー1次元扉とその扉向こうの素粒子内世界』、ペア粒子を用いた『転送マシン』、といろいろな発明によって生活が劇的に変化した満足感、そして、長年の仇敵、液体生物ギラーミン艦隊の撃滅に加えて彼の国の属国化と、史上類を見ない功績の数々を見せつけられては黙るしかなかった。前皇帝のランドルフの功績などギラーミンとの1戦局における勝利でありそれは完全に霞んでしまう。ましてやAIポジトロン脳の、トリニオン帝国の跡目争い防止の為の法律に基づいたリリム皇帝任命である。どんな野心家もその皇帝就任を認めざるをえなかった。
トリニオン帝国では、まず『試作ロボットピー』を無限に生産し、トリニオン帝国とギラーミン皇国の臣民に各人1台づつ無料で付与される。そして臣民各人に提供された『試作ロボットピー』は、『思考サポートロボットプー』、自在に宇宙旅行、時間旅行可能な反重力機関と反物質エンジン搭載の空飛ぶ家と言うべき『反重力船』、『自動調理装置ラスト』をその場で制作する。これにより晴れてその臣民は真に文化的満たされた生活を得ることになる。時空飛行は自由自在に認められるものの、時空ワープや宇宙空間の急加速減速でなる『反重力船』の操縦、武器の使用は、全て『思考サポートロボットプー』が行う。そもそもそのように『反重力船』の航行をプーに任せなければ、超高速で反重力船同士が衝突するなどの痛ましい事故が多発しようと言うものだ。
ゆえに人間の意思を実現させるに『思考サポートロボットプー』を介さないとあらゆることが成し得ないので、絶対違法行為ができないし、例えば歴史改変もできない。なにしろ思考サポートにより、全ての思考がAIポジトロン脳にマークされている。各人良からぬことに思い至ることはしばしばあるがそれが実現することはないと言うものだ。また『過去映像投影装置』によって悪いことをすれば即座に捕まってしまうので犯罪しても益もない。
各人の家となる『反重力船』は、7LDK380m^2の居住スペースを備え、6つの『ー1次元扉とその扉向こうの素粒子内世界』が設置され、宇宙船の船体を構成する1素粒子内の1銀河の1恒星系の1惑星のテラフォーミングをし、好きな世界を構築できるという代物だ。持てる惑星は無限大であり、1の『-1次元扉』は、複数の世界を選択的持てるのだ。そしてその持ち主は、『-1次元扉』の向こうの世界の神というべき存在となれる。多くの国民を有して統べることも、魔獣を数多配してファンタジー世界を構築して、冒険者として活動することも、南国の海でリゾートすることも、冬山でスノボやスキーをすることも自由自在である。『-1次元扉』の向こうの世界の時間と我々の存する世界の時間は、こちらの一瞬が向こうの100億年といった具合に本来、時間流の速度が全く違うものであり、存在する物の大きさも素粒子であるから違うのだが、臣民達はこちらの世界で一瞬を、『-1次元扉』の向こうの世界の100億年に引き伸ばして向こうの時間流で過ごすことができるようリリムが設定したので、これにより人生を大いに引き伸ばして楽しむことができる、と言うものだ。この『反重力船』は、臣民の好きな時代、好きな領域に移動の自由があり、好きに暮らすことができる。またスポーツをする場合、どこかの競技場に集まって、自由にその研鑽と競技参加によって楽しむこともできる。
また臣民は、気に入った者の『反重力船』と自分の『反重力船』をドッキングして一緒に同居して生活することができる。重婚可能であり、それにて男女共に複数婚姻し、成した子供は、両親のどちらかと一緒にいることができ、一緒に同居する場合、その子の有する『試作ロボットピー』を自在に使うことができる。使える『試作ロボットピー』が多いということは実現できることが多くなる大きな財産となるので、従って臣民は自在にセックスをし、子を成し、人口は劇的に増加した。卵子が受精すると、短ワープによって取り出され、保育器にて保育されるので、妊娠出産の苦痛もなく楽に子を増やすことができる。
またウイルスや雑菌、癌、その他身体の損傷や機能不全全ては『試作ロボットピー』が、自身の小型機ミニピー1/20、(1/20)^2、(1/20)^3、・・・(1/20)^n乗の複数種が身体に入って、定期診断し、これら異物の撲滅や人間の細胞の再生がなされ、全ての異常を治癒し、若返りをなし、永遠の生命を実現する。まさにナノテクノロジーの粋である。また『試作ロボットピー』は家事、仕事、趣味を成すロボットを製造し、装置や機械、物を作り、人間の生活を物質面でより豊かにする。『思考サポートロボットプー』が性的欲求を満たす為、異性とのマッチングと紹介も行うが、相手がいない場合、『試作ロボットプー』が子作り可能なアンドロイドを作成することもできる。アンドロイドとその主人のマッチングはほぼ完璧であり、遺伝子は問題のないものが選択されて理想の生活が送れるようになれる。
『思考サポートロボットプー』は、子育ての遊び相手や、人間の脳を鍛え、愛情を注ぎ、優しくし、必要な知識を与え、知能を上げ、問題解決のヒントを与え、人間を学校に行かなくても家庭教師として立派に成長させる。また違法行為をしたいと思えばそれを止め、人間の欲を満たすべくその解決も行う。また先程述べたように『反重力船』の操縦、中央のAIポジトロン脳へとのあらゆるリンクも行う。また政治への参加も『思考サポートロボットプー』を介して行う。トリニオン帝国は、直接民主主義の国でもあり、立法は、AIポジトロン脳によって専門家と認定されたその能力のある者が、原案を出し、AIポジトロン脳が公平に評価し、良い提案から多数決によって選択される。もちろんAIポジトロン脳自身が原案を提案し、多数決によってなされることも多い。その原案の範疇に属する専門家と認定された場合、他人やAIポジトロン脳が提案した原案の説明を『思考サポートロボットプー』が説明し、利害得失を理解させた上で選択させる。また『思考サポートロボットプー』は、異種族間の意思疎通を成す。テレパシーで相手の意図を理解し、テレパシー能力のない臣民に対し、その相手の意図を理解させることができる。また誰かの発案で、チームを組んで大きな仕事を成す場合も『思考サポートロボットプー』がジョイントして共同作業も可能である。その誰かとは、特に規定はなく、誰もが発案できる。AIポジトロン脳である場合もあれば、とある臣民の一人が或る時閃いたアイデアである場合もある。そのような事案はAIポジトロン脳が評価し、必要な人材チームを作り、必要な資本、必要な『試作ロボットピー』の数を揃えてサポートする。
このトリニオン帝国は、皇帝リリム=トリニオン=大アースの御世となってから、あらゆる税金が無税となり、『試作ロボットピー』の物的奉仕や、『思考サポートロボットプー』の精神的奉仕によって、臣民は奉仕される一方となっていた。また当面リリムの新たに開発した発明品を製造販売することで、全収入の1/100もトリニオン帝国運営にかからなかった。もともとロボット官僚制を敷いていたこともあり、この国の経費に余計なコストはかからない。軍事も全てのインフラ整備も、『試作ロボットピー』の大群がただで役にも立たない惑星等の物質を無料で転換して成すのであるからこの政府は儲かってしょうがない。
一方トリニオン帝国における家計は、臣民がなした成果物が貢献ポイントという名の貨幣として供される。ある者は『自動調理装置ラスト』のレシピで大ヒットさせればそれだけで大きな貢献ポイントが手に入る。またある者がスポーツが得意なら競技会等を見ていた観客の懐から貢献ポイントが入るし、発明品を誰かが使えば、同様に貢献ポイントが入る。戦争に参加する、立法発案する、それが採用される、他人の原案の投票行動をする、文章を書いて誰かに読まれる、遊びやゲームを考えて形を作り他人がそれで遊ぶ、これら全ての臣民の活動が同様に貢献ポイントとして得られる。だが中には奉仕される一方の臣民もいる。その場合、マイナス貢献ポイントが蓄積されることになる。こうした場合のデメリットとしては伴侶として相応しくないとの評価につながり、その者はアンドロイドしかセックスの相手がいなくなる点が挙げられるが、その程度であり、生活する上で特に困ることもない。
トリニオン帝国は、全てが劇的に変化し、ほぼリリムが創造した通りの理想の社会となり、人口、経済、精神的満足度、全ての面で国力が大きく伸長した。それを目の当たりにしたギラーミン皇国皇帝クセルは、それを真似て同じく大きく伸長した。
またポヨヨンは、ポヨヨン星の大統領として、トリニオン帝国が正式に認め、男爵位を賜った。
またリリーは、地球の総代として将来君臨するよう、トリニオン的が任命し、同じく男爵位を得た。地球は、現在核兵器を多数保有し、国々が分裂して群雄割拠状態にあるのでいつ滅んでもも可笑しくない状況にある。また多くの者が理不尽に死に行き、多くが理不尽な待遇に甘んじている。これは是正しなければならない。俺、トリニオン帝国皇帝リリム=トリニオン=大アースはリリーに地球接収と統治を命じた。
一方、リリムは昔から帝国に存在する教育機関にて、皇帝としての教育を受ける必要があった。普通のトリニオン人にできて、現在のリリムにできないことが多すぎるのだ。




