ウンコおじいさんの冒険 〜流された先〜
むかしむかし、おじいさんは巨人に食べられてウンコになってしまい、おばあさんにトイレに流されてしまいました。
ウンコおじいさんの旅立ちの続編です。
ウンコになったおじいさんがトイレに流され、流れついた先はウンコの村人たちが住むウンコの村でした。
「ウンコばっかりの村じゃなあ。」
ウンコになったおじいさんはつぶやきました。
「あら、あなただってウンコじゃないの!」
女の子のようなウンコがいいました。
「わしは元は人間じゃ!」
ウンコになったおじいさんがそう言うと、
「じつは、わたしたちも始めからウンコだったわけじゃないんですよ。」
と村長のようなウンコがやってきて話し始めました。
「村のはずれにある小屋に住むまじょにだまされて、村人ぜんいんが洞窟にとじこめられるという事件がありましてね。」
「それで、どうなったんじゃ?」
「村のみんなで力をあわせて、入った所とはちがう出口を見つけ、なんとかぬけ出したんですが…。なんと、村人ぜんいんがウンコになってしまっていたのです。」
「なんと!そんなことがあったのか。」
ウンコになったおじいさんは、おどろきました。そして、こうも思いました。
「もし、この村人たちを人間にもどす方法がわかれば、わしも人間にもどれるかもしれん。人間にもどれば、もうばあさんにトイレに流されずにすむ!」
ウンコになったおじいさんは、村人たちを助けることにしました。
「そのまじょが、人間へのもどしかたを知っているかもしれん。村長さんや、わしがちょっくら行ってきいてこよう。」
ウンコになったおじいさんは言いました。
「気をつけてください。かのじょはきょうあくなまじょですから。」
村長が言いました。
村人全員に見送られて、ウンコになったおじいさんは村のはずれに住むまじょに会いに出かけました。
トントン
「すみません、まじょの家というのはここかね?」
ウンコになったおじいさんは、村はずれの家の扉をたたきました。
「はいはい、ちょっとまってください。」
そういってでてきたのは、すこしいじわるそうな、ふつうのおばあさんでした。
まじょはおじいさんをみてこういいました。
「なんだい、村人か。なんのようだい?」
「ワシはウンコじゃが、村人ではない。旅のものじゃ。」
ウンコになったおじいさんは言いました。
「その旅のものが、なんのようだい?」
「あんたなら、人間にもどる方法を知っておるかと思ってな。じゃがその前に、わしにはあんたがそんなにわるい人には見えんのじゃが…。なぜあんなことをしたのかね?」
ウンコになったおじいさんは、まじょに聞きました。
「…まさか、あんなことになるとはおもわなかったんです。」
まじょはシュンとして、話し始めました。
「あの日、村の女の子のたんじょう日パーティがあったんです。しかし、村の中でわたしだけがよばれなかった。おこったわたしはいたずらをしたんです。たんじょう日の朝、わたしは女の子に、プレゼントはあのどうくつにあると言いました。女の子はどうくつにむかいました。しかし、しばらくしても女の子はどうくつからでてきませんでした。プレゼントなんてないのに、どうくつの中をさがしていたのでしょう。たんじょう日の日に女の子がいなくなり、村人たちは大あわてでした。わたしは、村長に、女の子はどうくつにむかったと言いました。プレゼントのウソのことは言いませんでした。そして、村人全員でどうくつにむかいました。その列のいちばん後ろにいたわたしは、ウソがばれてしまうのが怖くて、どうくつの入り口でいっしゅん入るのを迷ったのです。その時、どうくつの上でがけくずれがおき、わたしを残してどうくつの入り口はふさがれてしまいました…。」
「なるほど。しかし、なぜ村人たちはウンコになってしまったのですか?」
おじいさんはまじょに聞きました。
「あのどうくつは、りゅうのどうくつと言います。りゅうとは中国の伝説の生き物で、とても長くてそらをとび、口から食べたものをすべてウンコにかえてしまう妖怪なんです。」
「アヒルもライオンも人間も、みんな食べたものはウンコになるじゃろう?」
「まあ、それはおいといて…。あのどうくつは、そのりゅうがすがたをかえたどうくつなのです。そして、あのどうくつには、りゅうの口である入り口から入ってお尻である出口から出るとウンコになってしまうという魔法がかけられているのです。」
「なんと!では、ウンコになった村人たちを人間にもどす方法はあるのかのう?」
ウンコになったおじいさんはまじょに聞きました。まじょは、少しこまったようなかおをしてこたえました。
「りゅうのどうくつの出口から入って、入り口から出れば元にもどります。」
「なんじゃ、かんたんなことじゃないか。」
おじいさんは笑いました。しかし、まじょは少しおこったような声でこうこたえます。
「りゅうのどうくつの入り口は、まだがけくずれでうまったままなんです。出口から入っても出ることができないんです。」
「かんたんなことじゃよ。」
「え?」
「まずは、あんたが村人たちにすべてをはなしてあやまる。そして、みんなで入り口をもう一度通れるようにするんじゃ。」
ウンコになったおじいさんは、まじょを村人たちのところへつれて行きました。
「…ということで、ほんとうにごめんなさい。みなさんの力をかしてくれないでしょうか?」
まじょは、村人たちの前であやまりました。
「わたしたちが人間にもどるためですから、もちろん手伝いますよ。」
村長はいいました。
村人たちはりゅうのどうくつへむかいました。
そして、力を合わせてどうくつの入り口をひらき、人間へともどることができました。
「ほんとうにごめんなさい。」
まじょは、もう一度心からあやまりました。
「わたしたちもあなたにあやまらなければいけません。」
村長がいいました。
「じつは、あのパーティにあなたをよばなかったのは、あなたをおどろかすためだったのです。」
「え?」
すると、村人全員がうたいだしました。
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
女の子が、ケーキを持ってまじょの前に止まりました。
「おばあちゃん、おたんじょう日おめでとう!」
「今日はあなたの誕生日でしょう?だから、この子が内緒でケーキを作りたいといいましてね。」
村長が笑顔でそういいました。村人たちから拍手がおこりました。
「あのー、あんたたちがウンコになったのはいつなのかのう?」
ウンコになったおじいさんが聞きました。
いいえ、そのすがたはもうウンコではなくおじいさんにもどっていました。
「昨日です。昨日がこの子のたんじょう日。今日がまじょ、いや、おばあさんのたんじょう日なんです。」
村長がこたえました。
思っていたより村人のウンコのきかんはみじかかったんだなあ…とおじいさんは思いました。
「さあ、ふたりの誕生日パーティをはじめましょう!」
村長が声高らかに言いました。
その後、おじいさんはおばあさんのまつ家へと帰りました。
「ただいま。」
「あら、おかえりなさい。」
「色々話したいことがあるんじゃが、今日は眠たい。」
「はいはい。じゃあふとんをしきましょうね。」
そして次の日…。
おじいさんは、ウンコにもどってしまっていました。おじいさんには、りゅうのどうくつの効果は、かなり少なかったようでした…。
なので、おばあさんにトイレにながされてしまいました…。
おわり