序の巻 五行の社
ジュブナイル系を初めて書きます。よろしくお願いします
時代は戦国の世。古よりの仕来りよって陰陽五行によって、日本を守護する五つの社があった。
木の社、鹿屋野比売乃社
火の社、迦具土神乃社
土の社、国之常立乃社
金の社、金屋子乃社
水の社、罔象女神の社
社の開祖たちは子孫代々に受け継がせるべく、鍛冶を得意とする金の社にそれぞれの属性を司る龍玉を封じ込めた汚れ祓いの武器を作るよう哀願した。
金の社はそれを了承し、隕鉄から鍛え上げた五つの武器を作り上げた。
緑玉を封じ込め緑龍の力を宿した槍、紅玉を埋め込め赤龍の力を宿した刀、白玉を封じ込め白龍の力を宿した双爪、黄玉を封じ込め玄龍の力を宿した鞭、青玉を封じ込め青龍の力を宿した剛弓。
五行相剋、五行相生の祝詞を捧げられた五つの武器。相剋と相生、陰と陽の関係性によって強さを高められるものとして昇華した。
だが、受け継がれていく中で狂いが生じた。慶応の世で金の社の子孫で分家の血筋が使命を投げ出し、独自の製法と人の血肉を持って五つの武器と真逆の性質を持つ武器を作り上げてしまった。
時の権力者達は血肉で作られた武器を欲した。その武器は揃えることができれば世界を手にするとの話が上がった為であった。
権力者というものは自らが常に見上げる立場に立たねば気が済まない。反逆者には修正を、従う者には褒章を、この世の宝、快楽、ありとあらゆる物全てを手にし、己は永遠に存在していたい。
その内なる欲望が体現した時、理は崩れ、世の中は淀みに塗れていく、それを案じた金の社の本家は他の社の直系を呼び寄せ、全員に伝えた。
「今よりこの武器を五行相生にて祭り上げ、神代とする」
これにより、互いに食い合う五行の戦いが始まった。