表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

6月2日早朝

♪人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。一度生を得て滅せぬ者のあるべきか


 天正10年6月2日早朝。京都本能寺に宿泊していた織田信長は家臣明智光秀の謀反に遭い、敢え無い最期を遂げることになるのでありました。これが21世紀の現在の世の中でありましたら

「信長様が!!」

と全国に散らばる信長の家臣はおろか、一般大衆に至るまでほぼリアルタイムに「信長横死の報」を受け取ることが出来るのでありますが、戦国時代にそのような伝達手段は存在せず、天正10年6月2日早朝段階に信長の身に何が起こったのか?を知るものはごくごく限られた一部のモノに過ぎないのでありました。そんな中。いち早く信長の異変に気付いた人物がいるのでありました。それは勿論……。


明智光秀。

灰燼に帰した本能寺の前で……。


明智光秀(以下光秀):「……私はなんてことをしてしまったのだろうか……。」

呆然と立ち尽くす光秀のもとに歩み寄る明智家重臣・斎藤利三。


利三:「殿。見事でありました。」

光秀:「見事も何も。

……なんで今俺は、信長様が宿泊される本能寺の前に立ち、火を放たなければならなかったのだ……。本来であれば我々は毛利家と相対する秀吉の要請により、殿直々の出馬の先発部隊として中国地方に向かうハズでは無かったのではあるまいか。」

利三:「左様。」

光秀:「だよな。現に西国と京の分岐点である沓掛まで行ったよな。」

利三:「左様。」

光秀:「行ったよな。普通ならそのまま西国に向けて兵を進めるよな。」

利三:「左様。」

光秀:「で。なんで俺は今。京都にいるんだ?」

利三:「いやぁ……それはぁ……殿が京に向かうよう。指示を出したからだと思われますが?」

光秀:「……あの時お前。変なこと言わなかったか?」

利三:「……さぁ……。それはさて置き、折角重しとなる信長が居なくなったことでありますので、とっとと信長を罪人に仕立て上げまして自らを正当化することに致しましょう。」

光秀:「……是非も無し……。ただこのほとんど炭と化した亡き骸の中から信長様を見つけるのは……不可能である上、あの殿のことを思うと……もしかすると逃げ果せた可能性も……無きにしもあらず。」

「……にしても何で俺は信長様に刃を向けねばならなかったのであろうか……。」

利三:「この件に付きましてリスナーより様々な意見を頂戴しております。」

光秀:「リスナーって誰だよ?」

利三:「(光秀の問いかけには応えず)ペンネーム『先日。甲斐でお世話になりました。』と言う武田勝頼さんより

織田信長が我が武田家を滅亡させた帰りの道中で光秀が祝賀を述べた

『我ら(ここで言う我らは光秀のこと)が苦労した甲斐が』

の文言が信長は気に入らなかったらしく光秀の頭を欄干に打ち付けたから。

……と述べられておりますが実際のところは如何でありましょう?」

光秀:「話が盛られている部分が無いわけではありませんが無かったとは言い切れないところはあります。がしかし……もっともこれは……日常茶飯事のことでありまして、越前で殿と出会ってからずーーーーっとこんな感じでありましたので、それはそれで問題なのではありますが……今更このことでもあります故。 あと先考えずに。とは……。」

利三:「一時の感情に任せて。と言うことは存在が身近であればある程。……なんてこともありますが。」

光秀:「……あり得ないことでは無いが。それだったらもっと前に暴発していたと思うけどな……。分かれ道で利三が述べたことでは無いと思うぞ。」


利三:「そうですか。では続きましてペンネームはどこにあるのでありましょうか……。本名で宜しいのでしょうか……。今。堺見物を楽しんでおります。と言う徳川家康さんからこんなメッセージを頂いております。

『私に対する接待を信長様より頼まれたにも関わらず難癖を付けられ解任された挙げ句。備中への出陣を命じられたから。』

とありますが如何でしょうか?」

光秀:「あれは元々3日間の任務であってその務めは全うしておる故。江戸時代に入って……江戸時代!?に入ってからの創作話の1つであると思われます。」


利三:「続きましては……そうですね……。こちら。関東よりも茶器が欲しい滝川一益さんより、近畿にある領土を召し上げられたから。とありますが如何でしょうか?」

光秀:「これはペンネーム滝川さんもそうでありますし、本来私が向かう先でありました秀吉もそうでありますが、たとえ赴任地が遠くであったとしましても領土を召し上げて切り取ってこい。と言うことを殿はこれまでしておりませんので、仮にその沙汰が出るにしましてもその土地を奪ってからのことでありますので。作り話の1つと考えて頂ければ宜しいのかな?そのように考えております。」


利三:「今のところ殿を満足させるだけの動機は見当たらないようであります。ここで一度CMを挟みまして

『なぜ光秀は信長に刃を向けたのか?』

を続けたいと思います。」


CM:「奥歯の痛みがどうにもこうにも。」

「そんなあなたのお悩みを解決する特効薬がこちら。」

『キンカ頭の光秀』

「打ち据えるも善し。面罵するも善し。我慢強い光秀が。あなたの苦しみの全てを受け留めてくれます。」

「通常価格丹波・近江のところを初回限定特別価格。出雲・石見を光秀。自分で切り取ってこいでの御奉仕。」

「近くの薬局。スーパーで。」

「使用上の注意をよく読んで正しくお使いください。」

「もし大量の兵に取り囲まれるような事態に陥った時は使用を中止し、即刻安全な場所に避難するか。援軍が到着するまでひたすら耐えてください。」 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ