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第1話『おぎゃぁーおぎゃぁ』『マジかこれ…』


「ごめんね。ほんとに、ごめんね。」


ローブを被った人物が泣きながら悲痛な声で呟く。

声色的に女であろうその人物の足元には布にくるまれた赤ん坊の入ったかごがある。

おそらく子供を捨てに来たのであろう。涙ながらの様子を考えると情がないわけではなさそうである。

さらに、わざわざこんな場所にまで捨てに来たことを考えるとよっぽどの事情があるのかもしれない。


女は一通り泣き咽び、我が子との涙の別れを済ませると、かごの中に子供とともに1枚の紙を入れ立ち上がった。そして


「神よ、愚かな私はどんな罰でも受けます。どうか、どうか、この子にだけは祝福を。」



と振り返りもせずに手を合わせ天に向かって祈ったのち入ってきた時と同じように、その部屋の主の眠りを妨げぬようにできるだけ音を立てずに静かに部屋から出ていった。




……

………

…………………………………………………………………いや、わし起きとるけど…………。


(いや、別に寝たフリしてたわけではないけど、こっちに見向きもせずに涙の別れの空気作るだけ作って出ていくって…)


黒龍は困惑していた。巨大な体躯を持ち、漆黒の鱗に身を包んだ黒龍は目の前のすやすやと眠る人間の赤ん坊の前で紛うことなく困惑していた。

それもそのはずである。この世界随一と言っても過言ではない危険な場所、つまり自分が統べる大迷宮の最奥の自分の住処に人間の赤ん坊が単身で存在しているのである。その赤ん坊を連れてきた母親にしても黒龍を倒して得られる、売れば国幾つかぐらいなら買えるであろう価値のある財宝などには見向きもせず、子供を置くだけで立ち去ったのだ。

千年以上の時をこの場所で生きてきた黒龍であったがもちろんこんな事態は初めてである。


(マジか…どうしたらいいんじゃろうか…やっぱわし龍やし食うべきなの?)


即座に赤ん坊が黒龍に食われ、はいおわりと思われる状況であったが黒龍は赤ん坊をどうしようか悩んでいた。

モンスターである黒龍は迷宮内に溢れている魔力を吸収できるので特に食事などを必要とすることはないうえに迷宮内に自生する果実や魚なども存在する。

腹が減っているわけでもないし、人間が好物なわけでもない。そもそも、人間が黒龍の元にたどり着くのが数十年に1度程度の頻度であるし、たどり着いた冒険者とか言う輩も、宝を求め自分に挑みかかってきた結果消し炭に近い黒こげになるばかりなので人間を食べたことがない。

ずっと迷宮の最奥にいたので当たり前であるが、黒龍は自分から人間を殺したこともなく、これといって凶暴や残虐などというわけでもない。最上位の龍種にふさわしく高い知性も有している。


が、どうしたらいいのかわからない。絶望的にわからない


「マジでどうしたらいいのじゃこれ。あの母親も神に祈る前に目の前の龍になんか一言でも説明すべきじゃろ…」


悩んでいた黒龍であったが、どうしようもないのでとりあえず体を起こし赤子の元へ行ってみることにする。


「しかもよりにもよっ赤子捨てるのにてここまで来るかの。というかあの母親一人でここまでどうやってたどり着いたのじゃ…」


などとぶつぶつと呟きながら赤子の前にたどり着き、赤子の横に置かれていた紙を取り上げ読んでみると、



【この子の名前はケイです。この子を拾って下さった心優しい方は私のかわりにどうかこの子を育ててあげてください。どうかケイと心優しいあなたに神の御加護があらんことを。】

と人間の共通語とご丁寧に龍族の古代文字でも書かれていた。



「…だからわし龍じゃって!だから神に祈る前に龍に祈れよ!しかもこれ確信犯だよね?ご丁寧に龍族の文字まで添えられてるし、そもそも、この子を拾って下さった心優しい方って……なんでわしに対して心優しいとか思えんの?泣く子どころか物凄く腕に覚えのある大人たちも黙る黒龍じゃよ?しかもここにはわししかいないし完全にわしをロックオンしてるよね?なんならこれ無理矢理手渡しで押し付けてるようなもんだよね!?」


ある程度の内容の予想はできていたものの、その予想の斜め上を行く記述にさきほどまでよりも大きな声を上げ困惑していると、


「おぎゃぁーーぁ、おんぎゃぁーぁーぁ」


赤ん坊が元気な声をあげて泣き出してしまった。


黒龍は慌てる。どうしていいかわらず慌てまくる。

悩みに悩み、慌てに慌てたがやはりどうしていいかもわからないのでとりあえず泣き止ませることにした。


「ほーら黒龍じゃよ~、黒いじゃろ~、べろべろばぁ~」


などと悪戦苦闘しながら赤ん坊をあやしていると、どれが気に入ったのかはわからないが、赤ん坊は笑顔になり

「きゃっ、きゃっ」と笑いだした。


「ほっ。とりあえずは泣き止んでくれたか。」


赤ん坊が泣き止んだことに対する安堵とともに、黒龍の心のなかに今までにはなかったなにかが、暖かいようななにかが生まれる心地がした。


「だぁー、きゃっ、ばぁー、きゃっ、きゃっ」

と元気に手足を動かし笑っている赤ん坊の横で黒龍は


「さて、これからどうしようかの…」


と、さきほどと同じように、しかし、さきほどとは違う何かをわずかではあるがはっきりと胸に秘めながら困惑するのであった。

初投稿な上にスマホから無理矢理投稿しているので読みにくさはご容赦ください。

とりあえず短めのプロローグのような形で第1話です。

世界観とか、諸々の説明とかは追々だして行こうかなと考えています。

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