森のX部隊
僕は、アルファとポチと一緒に狩りをしていた。
魂は僕が吸収してともかく大量にそこそこの強さを持った僕を作るのだ。
確かに僕の限界の強さは村人の弱い奴くらいだ。
だけども、大量にそろえればかなり強いはずだ。
そして狩りをしている間に森のオークは少なくなっていった。
「ここも平和になったな。」
アルファは言った。
「そうだな。」
僕は言った。
そして僕たちは森のモンスターを狩りつくしたのである。
その結果
アルファ、ベータ、イプシロン
が最大の力で生まれた。
「よし、僕たちの力は小さい。」
僕は言った。
「だが、集まれば強いはずだ。」
僕は言った。
「そうだな。」
アルファは言った。
「X部隊最高! 」
イプシロンは言った。
「森のオーク達は、ポチに擬態すれば、倒すのは容易だな。」
ベータは言った。
「いや、それは適切ではない、僕たちが弱いという自覚が持つ緊張感がそうさせているのだ。」
僕は言った。
「なるほど、最大限戦闘前に作戦は練ろう。」
ベータは言った。
「宮廷魔術師に報告しよう。」
イプシロンは言った。
「では、僕たちは森で少しやりたいことがある。」
僕は言った。
「森で? 許可を得た方がいいんじゃないか? 」
イプシロンは言った。
「大体予想はつくだろ? 同じ僕だから。」
僕は言った。
「つまり僕達だけの家を作ると? 」
イプシロンは言った。
「じゃあイプシロンは、それを宮廷へ伝えてくれ。」
僕は言った。
イプシロンは、ポチに擬態すると走って行った。
「さて、僕たちは建築開始だ。」
僕は言った。
「おいおい、まさか許可が出る前にやるっていうのか? 」
アルファは言った。
「しかし、僕達のした事の功績は大きいだろう。」
ベータは言った。
「一番の功労者は僕だ。」
ポチは言った。
「とりあえず、これで木を切ろう。」
僕は、ミステリーロッドを何もないところに向けて振った。
目の前に文字が現れ、アイテムが一覧となって出てきた。
あまりこれが予想できない読者は、3Dゲームをやったことがあるならばそれのダイアログを思い出してほしい。
・鉄の斧
・鉄の剣
・鉄の短剣
・鉄のメイス
・オークの宝 2
・オークの棍棒 2
・森トカゲの皮 3
・森リスの肉 2
案外少ないな、拾うのを途中から忘れてたのもあるが。
僕はとりあえずアルファとベータと僕用に鉄の剣と鉄の短剣と鉄の斧を取り出した。
「じゃあ使ってくれ。」
僕は短剣を拾った。
「じゃあ俺はこれで。」
遠慮深い性格の僕なので最後に取った人が一番いいものになるのは必然かもしれない。
アルファはもちろん剣を取った。
「すまないな。」
ベータは斧を拾った。
そして全員で伐採を始めた。
僕は、短剣なので木の加工をすることにした。
ただ、ポチには皮となる森トカゲの魔物を狩るように言った。
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どうもポチだ。
ああ、分身以外にもこの物語の主導権を握ることはできるのだ。
あまりご主人が語ってくれないが、僕の種族は、狼だ。
正確にいうと、ビレッジウルフと呼ばれる人間のペットに多いものだ。
ビレッジドッグが下位種ではあるが、可愛さ的にはそっちの方が人気だ。
さっそく僕は、森の中を歩き、トカゲを見つけた。
森トカゲは、全長2m程あるトカゲだ。
動物的な魔物で僕と同類ではある。
だが、彼らは牙が非常に発達していて、毒などはないものの、そのノーマルな一撃と噛まれたら離してくれないその獰猛さは、僕を何度も困らせた。
もちろんご主人達との連携プレーですぐ離してくれたが、ご主人達は作業中だ。
トカゲは、僕に背を向けていた。
しかし、ここで背後から特攻というのは、下位の生物がするような愚策だ。
理由は、トカゲの持つ瞬発力は、かなり高い。
僕は、木に駆け足で近づきそして登った。
もちろん音などはしない。
それは僕のビレッジウルフ達が持つ、肉球のおかげである。
ビレッジウルフ種は、戦闘種ではなく、知能に優れた種である。
そのため体の大きさなどは退化している。
しかし身軽さを手に入れ、肉球は人工的な道などに耐えられるよう優れたものになっているのだ。
なので、僕達ビレッジウルフの足は存外、夏場の熱い石の道にも強い。
トカゲの感覚を刺激しない程度の振動で事を済ませた僕は、猫が小道を歩くように、ゆっくりと枝から歩いた。
そして下にトカゲがいることを確認した。
僕は、枝から飛び降り爪を前に出した。
トカゲの背中に爪が刺さるが。あまり長くないため、体重で抑える。
そして噛みついた。
僕達ビレッジウルフは、牙はとがったものではなく、少し平たい感じになっている。
しかしその強度は、他のウルフ種よりも高い。
これは人間の食べ物に適応するためだ。
ついでに言うと、ビレッジウルフ種は、消化器官が発達している。
何度も違う個所を噛みつきトカゲは倒れた。
僕は、剥ぎ取りなんて高等技術は無理なため加えてご主人のところへ走る。
ご主人達は家作りの作業をしていた。