第75話「長い冬」
弾丸は発射された。
拳銃の薬室内で爆発的に反応した火薬に押し出されて。
飛び出した鉛玉に込められた運動エネルギーは、人の皮膚に当たった瞬間、皮を突き破り筋肉を裂き、血管を壊し、骨を砕く、そして軌道を変えまた別の肉を食い破る。
風子が放った弾丸はそういう結果をもたらしていた。
「中……隊長」
風子はつぶやくようにそう言った。
無意識に。
そう言ったつもりもなく。
彼女はとっさに照準を外そうと銃口を下げる。
だが、もう遅い。
彼女の視界に入っていたのは体当たりをして男を弾き飛ばした佐古。そして、その佐古に吸い込まれるようにして突き刺さった銃弾。
彼の左肩は、シーツにコップの紅茶をひっくり返したかのようになった。
血液の染みが上着に広がっていく。
弾き飛ばされた男は何が起こったのか一瞬戸惑っていた。
だが、すぐにやるべきことを実行する。
ステップを踏みナイフをサーシャに向けて突き出そうとした。
佐古は体当たりした時の反動をうまく使いながら方向転換をし、そのまま重心を低くする。
そんな態勢で軍刀を鞘から抜きつつ男に向かって一歩踏み込んだ。
一瞬にして鞘から抜き放たれた白刃がきらめきながら孤を描く。
斬り上げられた短寸の軍刀。
それは正確にナイフを握った男の指を捉え、ボタボタという音を立てて指だったものが地面に落ちる。
それと同時に耳にざわめく金属音を上げながら転がっていくナイフ。
それでも男は転がりながら間合いを切って態勢を整えようとする。
佐古は左肩を庇いながらも足を進めた。
逃がさない。
執念とともに喉元に突きつける軍刀の切っ先。
「甘い」
男がそう言うと、左手の袖の付け根から針のような物を取り出していた。
佐古はその針が放たれる前に切っ先を更に奥に押し込むようにする。
男の喉元を掻き斬ろうと右手に力を入れた。
それと同時だった。
男がその針を両手で握りしめ、その上に全体重を乗せるようにしてお辞儀をしたのは。
うなじから飛び出る針。
声を挙げることなく、男は一瞬にして絶命。
自害していた。
赤いぬめぬめした液体が地面に広がる。
佐古は気にすることなく、その赤い地面を踏んで進んだ。
肩で息をする佐古は男を蹴り上げ、そしてその男の死を確認する。
すると、彼は軍刀を突き付けたまま地面に膝を付いてしまった。
背中が真っ赤になるほどの出血。
「中……隊……長」
駆け寄ろうとする晶。
佐古はそれを手で制した。そして、顔を上げて叫んだ。
「副官! 林少尉! まだ終わってねえ! 任務続行!」
佐古が学生達に背中を向けたまま叫ぶ。
肩口から溢れ出る血液は地面にポトポト落ちている。
それでも、彼は軍刀を鞘に納めると、それを杖のようにして立ち上がった。
「ぼやぼやするな! 学生を格納庫に戻せ!」
放心した綾部を叱りとばす。
「陸戦隊! 何とかとか言う小隊長! 俺の統制下に入れ!」
一貫がその迫力にびっくりしたのだろう。
背筋を伸ばし気を付けをする。
「命令! 格納庫を防護せよ! いいか! とにかくまわりを固めろ、入ってくる敵はやれ、一歩も入れるな!」
「了解!」
一貫は海軍式の敬礼――脇を閉めた敬礼――を返す。
「おう、頼む」
――ま、悪くはない。
佐古はそう思った。
ふと、笑いがこみ上げてきたため、彼はがまんした。
――なんで俺が日之出中隊長の代わりに値踏みを……。
部下の父親であり、学生時代に中隊長だったひとを思い出す。
あんなでかい娘――日之出中尉――を持った覚えはないというのに。
佐古は少しよろけるようにして、近くにあるコンテナの上に座った。
そうしているうちに、ヘリ特有の空気を切り裂く音が格納庫の頭上で聞こえてきた。
「やっと来たか」
目を閉じる佐古。
タタ。
タタタ。
軽火器の射撃音が数か所。
ヘリを撃ち落とそうと敵は抵抗しているのだろう。
駆け寄った林が応急処置をしている間に、スタングレネードと同じような音が艦橋や機関室の方で鳴り響いた。
その後、救護班らしき大型ヘリも到着し、海軍の制服の上に白衣を着た男が駆け寄ってきた。
その医者は短く支持を出すと、佐古を最優先に艦内の手術しつへと移さようとする。
担架に乗せらる、佐古や大吉。
「お前ら……帰ったらタップリ説教してやる……」
捨て台詞のようにそんなこと言うと、にっかり笑った。
――日之出……中隊長……説教を受けるのは俺かもしれない……な。
担架の上で誰にいう訳でもなく。
佐古はゆっくりと、目を閉じたまま口を動かしていた。
「結局、前田通って人は利用されただけなのかな?」
「まあ、そういうこと」
鈴の問いにボソッと答える与助。
ふたりだけの時は中尉と軍曹でも敬語を使わない仲だった。
綾部は部屋の反射式ストーブの上で沸かしているやかんを持ち上げ台所へ行く。
その中に缶コーヒーを二つ中に入れた。
「ストーブの上に置かないんだ」
「前それやって火傷した」
綾部はそう言って苦笑する。
「……っていうか、缶コーヒーよりお茶飲みたい」
「はいはい、鈴さまの仰せの通りに」
台所でお茶の葉を茶缶からカシャカシャと音を立て、急須に入れる音が聞こえる。
そんな音に癒しを感じながら、鈴はこたつのテーブルの上に顎を置いた。
「あの人の……前田通さんの知り合い……あー恋人ってモスクワなんだっけ?」
「ああ」
お茶を入れて戻ってきた綾部は、こたつに足を入れる。そして、自分用の缶コーヒーの蓋を開けると、中身が少しだけ吹きこぼれた。
まだ彼の怪我をした指は動きにくい状態だった。
鈴は手を伸ばしテーブル上にあるティッシュの箱から中身を取り出す。
さっとこぼれた液体を拭きとった。
「ありがとう」
「すぐ臭くなるから……それにしても不思議、この匂いを嗅いだら、なんでこんなもの飲むんだろうと思う」
クンクンとふき取ったティッシュの匂いを嗅ぐ鈴。
「ひとって、あえてそういうものを体の中に入れたくなるんだよ」
彼はそう答えながらこたつのなかで、足を動かし鈴の足に触れる。
落ち着かない気持ち。
何かを感じていたかった。
通の話を聞いて、その恋人のことを考えていたからだ。
あまりにも残酷で。
身近なことで。
だから少しでも人に触れていたいと思った。
あの日、連行される通が呟いた名前を彼は知っていた。
知り合いよりも深い仲。
――学生長はこの事を知っているんだろうか。
遊撃課程の同期で学生長。
今は出世して将校になり、モスクワに出征。
野中少佐の下で小隊長をしている男。
病気で死んだ同期の葬式が年末にあったため、そこで会ったばかり。
あの後、バタバタとモスクワに行ったと聞いている。
あのひとが、恋人にこんなことをされて喜ぶとは思えない。
彼はそう思う。
よく学生長の性格は知っていた。
だから心がぞわぞわっとしていた。
この出来事はモスクワに伝わらないだろう。
そういう確信もある。
でも心のもやもやは消えない。
日本に帰ってくれば知ることになるのだから。
通は拘置所へ入れられ、外と連絡することはできないらしい。
つまり、そのことを伝えることができる人間がいないということだ。
それがせめてもの救いだった。
「どうなんだろう? 俺がモスクワにいったら、鈴はああいうこと……する?」
「しない」
即答だった。
「……ちょっとは考えて欲しい」
「だって嫌でしょ」
「まあ」
「ほら」
彼はため息をつく。
「学生長は帰って来たらどう思うんだろう」
「何? もしかして……その、恋人ってひと知り合いだったの?」
「ん、まあ……たぶん」
「狭い」
鈴はそんな感想を言った。
「世間ってそんなもん」
そんなもんで片づけてしまう。
いや、片づけてしまいたい気分だった。
「私が同じようなことをして帰ってきたら、どうする?」
綾部は黙る。
「……するはずがないと思ってるから想像できない」
「想像ができないことが起こっているって……たまんないんじゃないかな」
「たまんない」
綾部はその言葉を繰り返した。
たまんない。
たまらないだろう。
待っている人がいなくなっていることほど、もうどうしようもないことはない。
「なんであんなことをしたんだろう」
彼がぼそりそう言うと、彼女は明確に答えた。
「自己満足」
バッサリと切り捨てる。
「なんか身もふたも」
「全部そうじゃないかな」
「私に与助くんがしてくれたことも、言い変えれば自己満足」
「なんか嫌だな」
「言い方だけ、自己満足ってそんなに悪いことじゃないと思うんだけど」
彼女はそう言って笑う。
ふたりはそれから、あの輸送艦の砲雷長の山岡少佐は私的な制裁のために内通したらしいとか、人質にとられていた航海長の家族は無事保護されたとか、あの事件にまつわる話を続けた。
明日は休みだ。
――中隊長の見舞いでもいこう。
彼はそう思った。そして、今日は久しぶりにふたりの時間をゆっくり過ごしたかった。
全部吐き出したい。そういう気分だった。
きっと、彼女はそれを受け止めてくれる。
それがわかっていたから。
彼は少し甘えることにした。
「心的外傷後ストレス障害――PTSD――対策プログラムで忙しいんだから」
佐古の妻は病室でそう言った。
「全部あなたのせい」
「ごめん」
坊主頭をペコリと謝る佐古。
彼の妻は、笠原梅子と並んであの学校でカウンセラーをやっている。
いわゆる軍属。
「笠原さんがいてくれなかったら、パンクしてるし」
PTSD対策プログラム。
要はあの事件に巻き込まれた学生、そして教官達に対するPTSDに関する教育、アンケートそしてカウンセリングを繰り返し行っていた。
「晶ちゃん、中隊長代行でがんばってる」
「あれはできる子だからな」
「あの子に対する心のケアも必要なんだけどあまりこないから……逆に押し掛けるようにしてるけど」
佐古が入院している間は彼女が中隊の指揮をとっている。
こんなご時世だ。
何が起こるかわからない時世なので、頼もしい存在である。
「ありがとう」
彼は素直にそう言った。
「ま、いいわ」
あまりに素直な夫の対応に少しびっくりして、ぼやきくことをやめた。
「子供たちは……あー特に中村風子、それから上田次郎」
大吉は佐古と同じく、手術をしているため入院を続けている。
手術は成功し、リハビリは必要だが時期に傷も回復するようだと聞いていた。
だが、寮での生活は何かと不自由なため入院を継続させていた。
そういうことで、気になるのはそのふたりだった。
心が傷ついてしまったふたり。
「傷が深いことは間違いない」
視線を落とす妻。
「あなたが銃弾を受けたことも、そりゃ相手を殺してしまうよりは百倍ましだけど……その一倍だけでも、十分塞ぎ込むぐらいのことだったから」
「……守り切れなかった」
彼はボソリそう言った。
「そうでもない」
佐古は妻のそんな言葉に首を傾げる。
「百パーセントなんてない」
「それでも守りたかった」
彼女は夫の言葉に対してため息をついた。
「守りたい病ね」
「なんだよそれ」
「あなた、学生のためならなんでも犠牲にしようとする、その悪い癖」
「悪い癖とか……それに犠牲なんかしてない、ちゃんと娘とはお風呂に入ってたし、君との時間もちゃんと……」
「命」
「え?」
「あなた死んでも良いと思ってた」
「そんなことはない」
「あ、そう」
彼女はそう言ってもう一度ため息をついた。
――死んでもいいどころか、あなたの大好きな中隊長に近づきたい、あそこへ行きたいって思っているんでしょう。
口には出さないが、そういう視線を彼に送る。
だから不機嫌な顔をしていた。
――私たちのことなんて、何も考えてない。
結婚する前から、この人の中には、別の人間が住んでいるように見えた。
だから心配になって結婚までしてしまったのだが。
「なあ」
佐古が神妙な感じで声をかける。
「……なに?」
「ちゅうしよう」
そんな唐突な言葉に彼女は口を開けて固まった。そして数秒後に赤面。
「な、ちょっと……もう三十も半ばなのに、ちゅうって」
「大丈夫、個室だし誰も見てない」
「ばーか、そういう問題じゃ」
「ほら」
佐古はんーと言って口を尖らせる。
「やだ」
「お願い」
「もう」
「お願いのお願い」
手を合わせる佐古。
「仕方ないなー」
そう言って彼女は旦那に軽く口づけをした。
「ついでにもうひとり作ろうか」
そんな身もふたもないことをいう夫に対し、彼女は脳天チョップで応えていた。
「あのね、産むのも、面倒見るのもわたしなの、あなた何もしないでしょう」
「まあ、そうだけど」
「だめ」
「お願い」
「だめ」
「お……」
彼女はそう言って満身創痍なのに元気そうに振舞う夫の唇を塞いだ。
もうわかっているから大丈夫。
そう伝えたかったのかもしれない。
輸送艦熊野事件。
反政府テロ組織による犯行。
あくまでソヴィエト系コミンテルンは無関係。
そう処理されていた。
容疑者は前田通たち平和運動家を除き、全員死亡。
輸送艦占拠は一時的なもので、輸送艦を見学していた陸軍少年学校の学生と教官の一部が重傷を負ったものの、海軍特殊部隊が速やかにテロリストを制圧し、事態を収拾した。
それが事実になっている。
学生に怪我を負わせた責任として、当該研修の責任者である中隊長と学校長でもある大隊長それから、あの艦に乗っていた現役の兵士達は処分検討中ということになった。
熊野は予定通り物資と人員を積み込みサンクトペテルブルクの港に向け出港。
元々派遣予定だった海軍陸戦隊の大川少尉以下、制圧に参加した隊員もモスクワに向かっているため、今は海の上だ。
マスコミもこの件に関しては、言わば身内の不祥事ということと、報道することが敵の狙いに直結することもあり、あまり大きく報道をせず、事態は収拾していった。
だが、少年学校内の処理はまだ終わっていない。
処分調査中というまな板の上に乗っている兵士がまだいた。
「大隊長が張り切ってる」
日之出中尉に先任の中川曹長がそう言った。
あの事件に関する供述書などの書類を中川と作っている二人。
「副官のおやじさんと、あの大隊長、実は若いころに面識があったんだ……だから何か力になりたいと言っていた」
彼女は中川のその言葉に訝し気な目をした。
日之出大尉。
彼女は父親がこの二十年前の戦争で第三中隊長として学生を率い、そして戦死したと聞いている。
「大隊長は、松本の五十連隊の生き残りですよね……確か……父と接点なんて」
激戦を潜り抜け、連隊旗を守り切った英雄だったはずだ。
「その日之出大尉に逃げる途中匿ってもらって、そしてわしらといっしょに、行動をした」
中川は目を細めた。
「ただずっと逃げ回ってた……だが、日之出大尉は最後まで戦おうとしていた、だからわしらは生きることができる、あの人が全部責任背負っていってしまったから」
「大隊長が……先任も父と……」
何度か残っている文書などを調べ、自分の父親について調べたことはあった。
だが、結局何もわからないまま終わっている。
まさかこんな身近にいたとは、晶も驚いていた。
「わしの中で、一番の中隊長だ……まあ佐古少佐には悪いが」
「父の最後……」
「大隊長とわしが看取った」
晶の肩に手を置く中川。
「今更だが、日之出大尉は軍人になって欲しくないと言っていた」
唐突な告白に晶は戸惑う。
中川もあの戦争の生き残りだと聞いていたが、そこまで父親と面識があるとは思っていなかった。
父の最後の言葉。
「言わない方がいいと思っていた」
「……なんで、今まで」
「言うべき時じゃないと思っていた、大隊長ともそう話していた」
中川はそう言って目を伏せた。
「じゃあ、なぜ? 今、なんで、そんなことを」
「今なら、それを聞いても迷わないと思った」
日之出晶は迷わない。
中川はそう見極めていた。
それから彼女の父親がどう戦い、どう負傷し、そしてどんな最後かを彼は話をはじめた。
晶は何も言わない。
ただ、聞いていた。
もちろん、最初は先任が自分に何を伝えたいのか、その何を探そうという想いもあった。
だが、途中からどうでもよくなった。
彼女は素直に、彼の父親の最後を聞いた。
「……」
「その後は、最後まで、学生、学生と言って、自決された」
「……そこに先任と大隊長もいた」
「最後は俺が手伝った」
「……」
「それでも、傷というのは癒える、わしは生きているし、これからも生きる……大隊長も同じだ、だが守るべきものは守る、日之出大尉がやったように」
「でも、それは父が望んだことでしょうか?」
「それは関係ない」
先任はきっぱりと言った。
「生き残った人間が生き抜くために……自分のためにそうする」
「でも……」
大隊長は職を賭して、自分達を救うつもりだろう。
行政処分以外の非公式なことも聞いている。
人事異動により、総入れ替えを予定しているとか、中隊長の更迭とか。
それを全部抱え込もうとする大隊長。
なぜ。
晶はそう思う。
「学生のためだ」
表情で読み取ったのだろう。
先任がそう答えた。
「上は関係ないと思っているかもしれないが、子供たちの環境を変えるのはよくない、君たちとは命の危険を乗り切ったそういう絆がある……あの子達は多かれ少なかれショック状態と言っていい、もちろんそういう素振りを見せない子もいるが、そっちの方が危なっかしい」
晶は口を開こうとするがやめる。
代わりに先任が言葉を続けた。
「だから、そういう信号を読み取れる今の教官陣がいいという判断を大隊長はした、そのために使える手段はなんでもする……そうおっしゃっていた」
「すべては……学生のために」
「そう、すべては学生のために」
晶は戦死した父親と同じ言葉を口にしていた。
先任はその悪役プロレスラーのような顔面をクシャっとして笑顔を作る。
正直怖いと思う晶だったが、なぜか暖かい気持ちになれた。
「ありがとうございます」
そんな言葉が自然にでていた。
二月もあと残すところ二日。
そんな日に、陸軍内の処置が決定した。
教官についての処分等はいっさいなし。
もちろん人事異動も予定していたもの以外に新たなものはなかった。
だが、大隊長は責任をとって辞職。
軍隊を去ることになった。
それが効いたのも事実だ。
だが、それだけではない。
もっと大きな要因がそういう寛大な処置に向かわせていた。
その処分が決定する更に二日前。
二月二四日深夜。
様態が急変した佐古少佐は、病室で死亡した。
原因は傷口から入った雑菌による感染症。
敗血症ショックによるものだった。
死をもって責任をとったと捉えられたのかもしれない。
こうして、この二月も終わる。
金沢の厳しい冬の寒さももう少し続く。
分厚い雲に覆われた冬の金沢。
学校を覆う喪失感とともに冬は続いた。
第11章 最終話 75話、57万字をお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
第12章で完結いたします。
これからも、少年少女、そしてそれをとりまく大人達の成長を見守っていいただければありがたいです。
子供達はそれでも元気です。きっと。




