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陸軍少年学校物語  作者: 崎ちよ
第11章  如月「戦火ノヨカン」
73/81

第73話「中隊長」

「覚悟? お前には無いだろう? そんなものは……ないなら、こんな拳銃(オモチャ)を振り回すな」

 男はそう言って銃口を大吉から離した。そして、拳銃を握った拳で大吉の顔面を強打する。

 派手に噴き出す鼻血。

 大吉はボタボタと血を飛び散らせながら倒れた。

 男は無表情のまま大吉の腹を踏みつける。

 踏まれた大吉は声を上げずに耐えていた。

「大吉いいいっ!」

「松岡くんっ!」

 次郎が叫ぶ、そして学生達も悲鳴を上げている。

 男は悲鳴を上げる学生に見向きもしなかった。ただ、仲間――次郎が拳銃を向けている男――が倒れる場所に注目している。

 怯える学生達。

 そんな中、動いているのは風子ひとり。

 小銃(ライフル)を構えて男を狙った。

 風子は震えていた。

 訳がわからなかった。

 射撃訓練とは違う。

 照準がまったく定まらない。

 引き金をひこうとすると、力み過ぎかブルブル震えてひけない。

 焦っていた。

 このままじゃ、大切な友達である大吉が殺されてしまうと。

 だが、彼女は銃を構えることしかできなかった。

 男はそんな少女も視界の端に捉えていた。そして、絶対に撃てないこともわかっていた。

 自分の周りには、未だ大吉や次郎がいるのだ。

 あんな力んだ構え方をしても、この彼我混交している状況で射撃はできない。

 男はそれがわかっていた。

 目の前の敵。

 男は視界の中心に捉えている次郎を観察していた。

 まるで品定めをするように。

 怒りに燃えた次郎の瞳をじっと見ている。

 ――もう一撃だ。

 ――あと一撃入れれば、あの少年の注意が完全にこちらに向く。

 怒りに自分を崩壊させるような、そんな目つき。

 仕上げ。

 次郎を狂わせる方法。

 ――さあ狂ってくれ。

 男はうつぶせに倒れている大吉に銃口を向けた。

 表情は変わらない。

 ――できる限り悲鳴を上げさせる。

 ――悲鳴を出す余裕はあるぐらいに。

 殺すのは簡単だ。

 だが、男は目の前の少年を狂わせるには、ここで、こんな風に銃を撃つことに意味があった。

 次はお前たちだということを植え付けるために。

 わめけ。

 殺してはだめだ、逆上したあの少年が仲間を撃つかもしれない。

 躊躇するような軽症、そして劇的な恐怖。

 わめけ、わめけ。

 興奮する自分を押さえつけようと、男は左手で自分の髪の毛いじっていた。

 ふと男は気付く。

 皮が厚い軍用ブーツだから気付くのが遅れた。

 それに触れている手。

 大吉の伸ばした手が、男の足首を掴んでいた。

 その手に力強さはない。

 だから見てなかった。

「てめえの相手は……俺……だ」

 うなる大吉に気を取られた。

 まわりに注意を払わなかっのは、そんな必要はない――脅威がない――と思っていたからだ。 

 大吉を捉えた冷たい視線はそのままだった。

 男は何も言わない。

 そして、引き金をひいた。

 乾いた音。

 銃弾が大吉の前腕を突き抜ける。

 大吉がとうとう耐え切れず悲鳴を上げた。

 心臓の動きと呼応して、波打つようにして噴き出す大吉の血液。 

 もう少し深めに撃ってた方がよかったかもしれない。

 男は子供を撃つのは初めてだった。

 手加減とういうものがよくわからない。

 前腕の最も分厚い部分を撃った。

 手ごたえ的に手加減しすぎたと思ったのだが。

「大吉いいいい!」

 怒号。

 次郎の声にならない叫び。

 余裕でその方向に振り向く男。

 やっときた。

 そういう風に笑っていた。

 投げ捨てられた拳銃。

 やはりガキだ。

 戦い方も知らないガキ。

 まんまと狙い通りの動きをしてくれた。

 ――拳銃でこちらを狙えば正解だったが。

 ――いや、そもそもあの程度なら五メートルの間合いでも当たりはしない。

 持ち場を捨てて、怒りの眼差しを向け走ってくる次郎。

 目を細める男。

 もうずっと昔から待ち構えていたかのように、堂々と次郎の方向を向く。

 ――ガキが……逆上した時点でお前の。

 だが。

 速い。

 ――()……。

 少年の眼。

 我を失っているのがわかる。

 明らかに瞳が小さくなっている、瞳孔が狭そうだと男は思った。

 おかしい。

 そう男は思っていた。

 なのに、なぜあんなに速く、まっすぐ、そして正確に。

 男の視界が覆われた。

 距離感がない。

 上下に揺れはなく、文字通り真っすぐ跳ぶ次郎。

 それは次郎が近寄るというよりも、男が吸い寄せているように見えた。

 視界を覆う次郎の拳。

 真っすぐ伸びた縦拳。

 モーションのない右の直突き。

 突き出された拳が触れそうになる瞬間、それをなんとか払いのけようと男はもがく。

 だが、間に合わない。

 男の顔が抉られたかのように、その拳は鼻っ柱にめりこんだ。

 脳が揺れる。

 顎を殴ったわけではない。

 真正面。

 衝撃に一番強い方向にも関わらず。

 視界が狭くなった。

 そして、男は膝を折り、後ろのめりに倒れそうになる。

 だが、支えられた。

 もう膝には力が入らないのに。

 右手。

 拳銃を持った右手を絡めとられていた。男はそのまま上に引っ張り上げられたため、支えられたかのように感じたのだ。

 次郎は両手で握った男の手首を持ったまま、脇の下をくぐるように回った。

 肩関節が回らない方向にまわされたため、男は強制的に回転した。

 肩の上から廻された腕。

 男の背中と背中をぶつけるような態勢。

 次郎の両手は頭上を飛び越えて後ろ手にされている男の手首をしっかり握ったままだ。

 つま先立ちになる男。

 崩した。

 次郎は一瞬の隙を逃さない。

 男を曲がらない方向――ブリッジをする方向――に引っ張った。

 膝を曲げ、重心を真下に落とす。

 男の手首を、本人の踵に近づけるようにして。

 バランスを崩した男は真後ろに、いや真下に後頭部から落とされるような格好になった。

 仰ぎ見る天井。

 男の後頭部が地面に迫る。

 次郎の気迫と比例して、その勢い凄まじい。

 固い鉄の地面。

 この勢いならば、頭蓋骨が割れるだろう。

 相手を壊す。

 柔術本来の姿。

 地面に男の後頭部がぶつかる。が、男の頭蓋骨は割れてはいなかった。

 脳症が飛び散るようなこともなかった。

 クッション。

 男の後頭部を守るように、差し出された足があった。

 つま先が辛うじて男の後頭部に届いた。

 陸軍制服用の革靴。

「ガキが人を殺しちゃいけねえ」

 ――俺だって、そこまでなったことはない……キレても殺そうなて思ったことはねえ。

 綾部軍曹はそう思いながら次郎を抱きしめた。

 もう、いい。

 そう体で示した。

「友達を守ろうって奴は嫌いじゃねえ」

 ポンポンと包帯をグルグル巻きにした右手で背中を叩く。

「大丈夫だ、松岡は死にはしねえ、だからお前もこいつを殺す必要はねえよ」

 綾部はそう言うと次郎の頭をモシャモシャ撫でた。

 それと同時につま先に乗っていた敵の頭をサッカーボールのように蹴り上げ、そして喉元を潰した。

 綾部は次郎から体を離した。

 ガラにもないことをした……。

 そう思っているのだろう。

 なんとなく照れているような表情だ。

 一方、次郎が監視を放棄してしまった男は、この隙に武器を手に入れようと動いていた。

「動いたら串刺しにする」

 その声と同時に、背中に鋭い痛みが走ったため、男は足を止める。

 もう既に突きつけられた白刃。

 皮膚を通り越して肉に数ミリは食い込んでいた。

 背中に生暖かい何かがたれている感触を味わう。

「寝てろ」

 佐古少佐は耳元で囁いた。

 一瞬にして間合いを詰め、男の首に腕を回し、絞め落としながら。

「やれやれ、今年はこんなんばっかだな」

 佐古はそう言うと、短寸軍刀を鞘に納め、自分達がされたようにタイラップで男達を後ろ手に結んでいった。



 ――すみません、中隊長もう少しで学生を死なせるところでした。

 佐古は日之出大尉に謝っていた。

 ……。

 無言で頷く彼の幻に対し。

 ――まだまだ、事態は改善されません、むしろ悪くなってます。

 ……そうか。

 ――オレは、守ってもらったのに……。

 ……守ってる。

 ――失敗しそうです。

 ……私も失敗した。

 ――オレは生きてます。

 ……お前以外の学生はたくさん死んだ。

 ――……。

 鼻先をかすめる何か。

 ゴン。

 背後の壁に当たって潰れる鉛玉。

 佐古はその音を聞いて現実に引き戻された。

 銃を構えているのは林少尉と綾部軍曹。

「だから、格納庫」

 日之出中尉――晶――は苛々しながらだれかと携帯電話で話しをしている。

 銃弾が飛び交う中だ、話す言うより、叫んでいた。

 普段冷静な彼女なものだから、とても不思議に見える。

 そう佐古は思った。

「何? え? こっちはけが人も……ばか、やめなさい……あなたが相手できるような敵じゃない、……って、何、はあ? ちょっと」

 カンッ。

 シュッ。

 トンッ。

 格納庫内の壁を弾丸が添うように飛んだ。

 近くに音がするたびに彼らは首を引っ込めている。

「……切れた」

 晶が少し引きつり困った顔を佐古に向ける。

「副官どうした?」

 晶は佐古に顔を向ける。

「例の知り合いです! ……海軍陸戦隊の!」

「知り合いね……」

 少しからかうような表情で晶を見る。

 晶はその表情の意味を理解し、不機嫌な顔で睨んだ。

「学生は?」

「大丈夫です」

 彼女はひきつった笑顔で答える。

 実際に弾が跳んでくるような場所にいるのは初めてなのだ。

 緊張しないわけがない。

「よし、()がってくれ」

 銃撃。

 金属音。

 鉛の潰れる音。

 直撃はしないまでも跳弾に当たってしまうんじゃないかと思わせる。

 そんな不安にさせる音だった。

 もちろん、確率的にはとても低いものだということぐらい、頭では理解している。

 だが、そんな状態ではない。

「敵さんも焦ってるようだ!」

 佐古が綾部の腕を叩いて叫ぶ。

「何にですか?」

 綾部もでかい声だ。

「知らん!」

 隠密行動をやめて直接的な行動に出た。

 仲間を救い――いやもしかしたら処理して――下がろうと言う考えなのかもしれない、と彼は予想した。

 佐古は振り返りながら、左手を挙げ、その手のひらを開いたまま前後に動かす。

 ――行け。

 そういう合図だ。

 綾部が頭を出して短機関銃(サブマシンガン)を連射する。

 学生、そして教官は中隊長の佐古と綾部を残して武器庫まで下がりはじめた。

「狙って撃て! 馬鹿野郎! ばらまいたって、敵はビビらない!」

 ボコ。

 佐古が綾部のケツを蹴り飛ばす。

「慣れないんですよ、左手で持って構えるって! どーせ狙えませんからっ!」

「交代!」

 馬鹿野郎。

 そんなことは早く言え。

 佐古はそう言いながら綾部を後ろに下げる。

「つうか、そっちが察してくださいよ! 中隊長!」

 ついっさき、綾部は右手を負傷していた。

 佐古はその状況を目の前で見ているはずなのだが。

「やかましい! でかい声をだすな! 耳に響く!」

 理不尽である。

 敵が撃ちかえす短機関銃(サブマシンガン)の暴力的な破裂音が響きわたり、彼らの鼓膜を容赦なく傷つけていた。

 屋内で射撃すると、その音は数倍にも聞こえるのだ。

 そういう訳で、耳が痛い。

 まさか銃撃戦になるとは思わなかった。

 こんなことになったのは、大人達が登場し、大吉の応急処置をしている時だ。

 大吉は応急処置を適切に受けていた。

 格納庫にあった救急セットは、ヘリ積載用のものが転がっていた。

 このため、処置に必要なものはそろっていたからだ。

 それに、教官の林少尉が救急救命士の資格を持っているというのも不幸中の幸いといえた。 

 弾丸が貫通し前腕の肉と皮をえぐっているものの、大きな血管は無事だったため、とりあえずあるもので止血したため、これでなんとかなった。

 だが、多かれ少なかれ医者に処置してもらわなければならないような傷だ。

 今は痛み止めの注射も打った後なので、大吉は時々苦痛に顔を歪ませるものの、目を閉じ安静にしていた。

 そんな時だった。

 短機関銃片手に格納庫の入り口を警戒していた綾部に向かって、銃弾が跳んできたのは。

 正面からの敵だった。

 前に現れた影が銃を構える瞬間、綾部は転がるようにして身を隠した。

 手には小型かつ高性能の短機関銃。

 見えたのはひとりだけ。

 だが、射撃発射音を確認するだけで三人はいることがわかる。

 不利な態勢にあることは間違いない。

 敵を倒すのが目的ではない。

 学生の安全を守ることが目的なのだ。

 相手を倒すことは手段でしかない。だから、まずは避難することにした。

 学生を守りながら、工作員を相手に戦うほど大人達に余裕はない。

 軍人とはいえ、実戦経験がないものばかりなのだ。

 唯一経験があるのは、二十年前の戦争に参加した佐古だけだった。

 十一時五分か……。

 佐古が時計を見る。

 海軍も馬鹿じゃない。

 騒ぎを聞いて、特殊部隊でも準備しているころだろう。

 もしかしたら交渉なんか考えているかもしれないが、すでに銃撃戦は始まっている。

 そう考えればとりあえず突入してくるに違いない。

 晶が敵の勢力が十数名ということについては、知り合いの海軍少尉に電話して伝えていた。

 海軍も威信がかかっている。

 準備不足でも死ぬ覚悟で突入してくるかもしれない。

 ――まあ、あのへなちょこ陸戦隊が来ることはないと思うが……。

 佐古は、あの情けなさそうな(ツラ)をした大川少尉を思い出す。

 シュン。

 かすめる銃弾。

 ――言わんこっちゃない。

「林! 下がったか!」

 前を向いたまま佐古が叫ぶ。

「下がりました! あと綾部軍曹と中隊長だけです!」

 佐古が綾部のケツを蹴る。

 反応がない。

 もう一度蹴る。

「痛ってえ! 何ですか!」

 無言で蹴る。

「……下がりませんよ! 冗談じゃねえ!」

「あほ! お前は俺の部下だ! それが理由だ! 中隊長の後に下がる馬鹿がいるか、この大馬鹿野郎!」

 もう一度蹴る。

「わかりました! 下ります! 武器庫の扉んとこで援護! いいですかっ!」

「いいから早く行け! コノヤロウ!」

 佐古に追立てられるようにして綾部は姿勢を低くしたまま、ゆっくり後ろ向きに歩きだす。

「馬鹿! 走れ! ぐずぐずするな!」

 背中を向けて走れという。

「くっそ!」

 綾部は佐古のカバーを信じて一気に駆けだした。

 もちろん、待っていたように、敵が顔を出しそれを狙う。

 佐古はその顔面に向け、拳銃を二発撃ち込んだ。

 ――拳銃(チャカ)は苦手だ。

 彼が思っているとおり直撃はしない。

 だが、至近弾だったため、十分威嚇の役目は果たしていた。

「いけ! 綾部」

 綾部は武器庫の扉の前に到着する。

 そして援護の態勢を確認した。

 後は佐古も援護を受けながら、逐次下がった。

 何度か至近弾を受けながら、なんとか武器庫前までたどり着いていた。

「よし、中で態勢を取り直そう」

 佐古はそう言うとドンと、綾部の背中を押す。

 不意のことでバランスを崩して転びそうになるのを綾部は必死に堪えた。

 その間に扉に手をかける佐古。

 扉を外から閉めようとした。

「中隊長!」

 晶の声に対して、佐古は笑顔だけを返した。

「中隊長ならどうすると思う?」

 佐古はそんな言葉を晶に向けて言った。

 晶にとって中隊長と言うのは佐古のことだ。

 何を言っているのか意味が分からなかった。

 そして、佐古は扉を背中にして立っていた。

 彼の脳内に浮かぶ、彼女の父親……オレの中隊長の姿。

 晶はなんのことがわからないという表情だ。

 だが、綾部はその意味がわかってしまったので、なんとか扉を閉めないようにして、その腕を掴もうとした。

「邪魔だ、武器庫の中にいろ」

 閉めようとする扉を押し返そうとする綾部。

「中隊長」

「邪魔だ!」

 肚の底から響く様な声。

 綾部が固まった。

「副官! 林少尉! そして綾部軍曹! ……学生を守れ」

 ゴン。

 重い扉が閉まった。

 扉から跳び退くようにして佐古はそこから離れた。

 銃弾が扉に当たる。

 鉛玉が潰れる音。

 武器庫というだけあって丈夫な作りをしている。

 短機関銃ぐらいでは穴も開かない。

 晶達は扉にある防弾ガラス製の覗き穴から様子を伺うが、すでに佐古の姿はない。

 格納庫にある、コンテナ、部品、棚をすり抜ける様に佐古は走った。

 ――元ゲリラの戦い方ってのがあるんだよ。

 発砲する方向をおさえていた。

 男達が移動するパターンも頭に叩き込んでいる。

 ――ガキ達には見せれねえな。

 見つけた目標。

 手に拳銃を持っていない。

 ――まずひとり。

 銃撃戦をしている最中だ。

 まさか肉弾戦をやろうとしているとは思わないだろう。

 武器庫を背にしている自分達は武器が豊富だというのに。

 ――わざわざ。

 佐古は獲物の背後に立つと同時に、軍刀を抜いた。

 いや、鞘を抜いたといってもいい。

 腰にある軍刀の方向を変えたまま、工作員の脇腹を突いていた。

 悲鳴も上げずに、絶命する男。

 一瞬だった。

 血を出すことなく命を絶つことができる急所。

 ――やれやれ。

 佐古は顔を向ける。

 ――そういえば、こんな閉鎖空間でゲリラなんてやったことはなかったな。

 仲間の死を見ても動じない工作員。

 佐古は対峙する男を見てそうぼやいた。

 相手との距離は十メートル。

 男は短機関銃の銃床(ジュウショウ)を肩につけ、あとひとつの動作で照準できる態勢だ。

 真っすぐ跳んでも間に合うような場所ではない。

 そして、左右に隠れる場所もない。

 ――まあ、元ゲリラっていっても、俺はたいしたことはない。

「せいっ!」

 気合一閃。

 佐古は正面から男に跳びかかっていった。 


佐古少佐と『中隊長』のお話は【戦火ノウタ】というものにその一端があります。


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