人魚の知る不老不死の秘法
人魚の肉を食べると、不老不死になれるという。それが本当かは分からない。だが彼ら人間は人魚を探し求めた。
まず海辺の漁師達が、魚を捕るついでに人魚を探した。しかしいつまでたっても見つからない。一人の若い漁師が言った。
「人魚、もしかしたら川にいるのかもしれない」
「それは河童って言うんだ」
「河童も人魚の一種なんじゃないだろうか」
彼らは川へ向かった。しかしいつまでたっても見つからない。
人魚の肉の噂が、将軍の耳に入った。不老不死を求め、人魚を捕らえた者に褒美を与えると言った。国中の者が人魚を探した。
そして、人魚は見つかった。水槽に入れられ、将軍の前に連れてこられた。
「将軍様。こちらが人魚にございます」
「うむ、ではさっそく食してみよう」
人魚が暴れ出した。
「これ、落ち着かせよ」
「いやだ!やめてください!」
人魚が言った。
「ほう、人魚も人の言葉を解するのか」
「私を食べても不老不死になどなれませぬ!おやめください!」
それを聞いた将軍が抵抗する人魚の手を切り落とし、人魚を連れてきた男に食べさせた。
「将軍様!良いのですか?」
「これが褒美じゃ。さて、飲み込んだかの?」
そして将軍はその男を斬った。男は死んでしまった。
「ふむ、本当に不老不死になれぬのか。残念じゃのう」
人魚を見る。どうにも落ち着いている。
「痛くはないのか?」
「ええ、痛みはありません。この程度の傷、すぐに治ってしまいます」
すると、手が生えてきた。先程と寸分違わぬ手。それを見た将軍は
「人魚は不老不死なのか?」
「我ら海の一族は、何千年も昔から、誰一人と変わっておりませぬ」
「ほう、では、それは人間にもできるのかの?」
「できませぬ。我ら海の一族の秘法にござりまする故」
「秘法と申したか、ならば人間にもできよう。それができぬとあらば、我は貴様ら人魚を皆殺しにしてくれるわ」
人魚は思った。この男に秘術を使ってはならぬと。
「わかりました。では、私を海へ連れて行ってください」
将軍一行は海へと向かった。
「人魚よ。海だ。逃げ出そうとは考えるな」
「逃げる?もとよりそんな気はごさいません。我らは約束を守る種族にございます」
「ほう、ならばしてみせよ!我を不老不死に」
「その前に一つ、言っておかねばならぬことがございます」
「なんじゃ?」
「我らが秘法。これは、人間に施しても、成功しない場合が多くございます」
「失敗するとどうなるのじゃ」
「死んでしまいます」
「ほう、しかしの、我は不老不死を願う。危険を冒さずして、天下など穫れようものか」
「では、覚悟はよろしいと」
「うむ、いつでもできておる」
人魚は将軍の手を掴み、海へと潜った。将軍の取り巻き達が、急いで後を追う。そこで、待機していた仲間たちが全員海底へと引きずり込んだ。
結果は全滅。皆死んだ。人魚たちは今もどこかで暮らしているという。
もっとエグいこと人魚にしてやろうと思ったけど、この間の連載で書きまくったからいいやと思った。