第2話 悪魔vs勇者
「・・・・いるなら出てこい。」
俺はそう言うと懐からクナイを取り出して声のした方向に向かって投げた。
スカッ・・・
だが、クナイは当たることなく木に刺さった。
「・・・・」
俺は『紅桜』を抜くと気配のする方を斬った。
スカッ・・・
それも当たることなく空を切っただけだった。
「ギャハハハ!!そんな攻撃じゃあたんねぇよ!!」
そいつはそう言って俺を挑発すると鋭い爪で切り裂いてきた。
「・・・・やっと、捕まえた。」
ガキィィィーン!!
俺はそれを受け止めると弾いて『紅桜』を一閃した。
「・・・・てめぇ、なにもんだ?」
俺は弾いた時に感じたずっしりとした重さに相手が人間ではないと思った。
「ギャハハハ!!俺はソロモン帝国殺戮部隊隊長・・・アモン=スリアだ!!」
「「「なっ・・・!?」」」
アモン=スリアの言葉にキャサリンたちは驚いていた。
「聞くが、この村をこんなにしたのはおまえか?」
「ギャハハハ!!そうだ!!楽しかったぜ!!」
アモンは人を殺したときのことを思い出してるのかうっとりとした表情でそう言った。
「そうか・・・」
俺はその言葉を聞いておれはぶちギレた。
「ギャハハハ!!なん・・・だ!?」
アモンは笑いながらも顔が引き攣ってた。
「てめぇは赦さねぇ!!」
おれは“天堕家の教訓その壱”『いかなる相手にも敬意をはらえ』を忘れて怒りと憎悪に任せて刀を振るった。
当然、そんな暴力的な刀は当たるわけがないが・・・
「・・・・」
俺は一旦間合いをあけると目を瞑って精神統一をした。
「いまだ・・・!!」
俺は目をあけると正面に刀を振った。
ズバッ!!
俺は刀で斬ったという感じたと同時に勝てると確信をした。
「がはっ!!」
アモンは吐血すると初めて姿を現した。
「うおらぁぁぁ!!」
俺は踏ん張ると下段斬りをすると間合いをあける勢いを利用して斜め斬りをした。
「・・・・これで終わりだぁぁぁ!!桜部抜刀術『五輪桜』!!」
「させないわ・・・」
ガキィィィーン!!
俺がアモンに止めをさそうとしたらいきなり現れた女が刀で防いだ。
「・・・!リリアさ・・・がは!!」
アモンは女の姿を確認すると喜んだ表情をうかべたが女は冷たい目をすると蹴り飛ばした。
「口を開かないでくれるかしら?アモン」
女は刀をアモンの背中に突き刺すとそのまま頭の方へとずらしていき抜いた。
「「「「!!」」」」
俺たちはその行動に寒気がした。
「申し遅れたわね私はリリア=スカーレット。肩書きはソロモン帝国護衛隊隊長兼殺戮部隊頭領よ」
「・・・・」
俺はリリアの言葉を聞きながらも隙を伺ってた。
「隙をついて殺そうとしても無理よ?」
リリアは俺の考えてることに気づいたのか刀をアモンの死体から引き抜くとなにもないとこを斬った。
「・・・・」
俺はそれに嫌な予感がしてキャサリンたちをいつでも守れる範囲に移動した。
「悪魔の無斬・・・」
リリアがそう呟いた途端、木が何重にも斬れた。
「今のは・・・(不味いな。キャサリンたちを庇いつつあいつを相手すんのは厳しいな。)」
俺はリリアのやったことがわからず固まってるキャサリンたちを見てリリアを相手するには厳しいと判断した。
「ヤミ!!キャサリンたちをつれてこっから逃げろ!!」
「「「・・・!?」」」
「・・・・逃がしはしないわ。」
リリアは鋒をキャサリンたちに向けると鋭い目付きをした。
「・・・桜部抜刀術『狂い咲き』!!」
俺は自分にリリアの意識を向けさせるためにリリア目掛けて斬りかかった。
「・・・!」
リリアはそれを防ぐと間合いをあけた。
俺はその隙にヤミに目で合図した。
ヤミはそれに頷くとダーク・ウルフの状態になるとキャサリンとアネモネを背中にのせて全速力で離れて行った。
「なんのつもりかしら・・・?」
リリアは怒気をみなぎらせた表情で俺を睨んできた。
「・・・・そろそろか。」
俺はキャサリンたちの気配がかなり遠くに行ったのを感じとるとそう言って天堕家武闘術『天龍の構え』をすると刀を左手に持ち直した。
「・・・・」
リリアも刀を握り直すと構えた。
「早めにけりをつけましょ・・・」
「そうだな。」
俺とリリアが同時に動き始めようとしたとき何者かが乱入し止めた。
「そこまでです!!ここは一旦引いてもらいます。」
「ちっ・・・アスモデウス!!」
リリアは乱入者の顔を見て舌打ちをした。
「ベルフェゴールからの言伝よ。《至急戻れ!!》だそうよ・・・」