第4話 王国と勇者
「詳しく説明したいので王宮に来てもらってもいいですか?」
キャサリンはそう言うと未だに俺が異世界人であるという事実を疑ってるヤミと俺を連れて国王のところに向かった。
「ところでキャサリン・・・さっきから視線を感じるのだが。」
俺は王宮に向かってる最中、歩く度に感じる視線にいたたまれない気持ちになりながらもキャサリンにそう訊ねた。
「皆さんはリュウさまが勇者さまだということに興味をいだいてるのです。」
キャサリンは俺の後ろに疑問に苦笑いをうかべながらそうかえしてきた。
「・・・なるほど。」
俺はキャサリンの答えに納得するとキャサリンの口調というかしゃべり方がかわったことも疑問に思ったが口に出すのはやめてヤミの方を見た。
ヤミはまだ、俺が異世界人ではないと小さな声でボソボソと言っていた。
小さな声で言うのはやめてくれ。なんかの呪文か呪いの言葉かと思いってしまうではないかーい!!と俺が心のなかでツッコんでいるうちに王宮についてしまった。
「それで詳しく説明をしたいってのはどういうことだい?」
「そのためには先ずこのミーア王国の誕生から説明します。」
キャサリンはそう言うと説明を始めた。
キャサリンの説明をまとめると次のようになる。
①なにもなかった更地の上に王国を築き上げたのがミーア王国初代国王のミーア=ジーク
②王国が誕生から300年間までを『栄光の300年』というらしい。
③ある日突然サタン率いる魔族がやって来る。
④勇者召喚。
⑤勇者御一行、サタンを封印
「・・・なるほどね、それで勇者が召喚されたのか。」
俺はキャサリンの説明に納得して頷くと、国王の方を見た。
「ふむ・・・それだけではないのじゃ・・・」
国王は深刻そうな顔をすると新たなる勢力の名を口にしようとしていた。
「ソロモン帝国・・・それが我々にとって新たなる脅威になろうとしているのじゃ。」
「・・・?」
俺は聞いたことのない国の名前に首を傾げてなにか知っているんじゃないかと思いヤミの方を見ると顔面蒼白で怯えていた。
「ソロモン帝国じゃと・・・あまりにも危険すぎる!!」
「?どういうことだ、ヤミ・・・」
俺はヤミの言っている意味がわからずにどう危険なのか聞いた。
「・・・やつらの目的はサタン復活および暗黒世界の復活なのじゃ。」
「・・・!?」
暗黒世界の復活!?おいおい・・・中二病かよ!!
「ヤミさまの言う通りサタンの復活を目論みそのうえ、危険な思考を持ち合わせてるんです。」
「・・・ようはイカれてるやつらの集まりか。」
俺はそんなイカれてる存在が異世界にもいるんだなと少しずれたことを考えながらも話を聞いていた。
「勇者殿は怖くはないのですかな?」
「怖いもなにも会ったことがないんでね・・・どのような集団かはわからんよ。」
俺の答えに国王は「ほぉー」と感心したような声を出していた。
「・・・俺はソロモン帝国ってのがどんなのか確かめるために旅に出たいと考えてる。」
「「「「・・・!?」」」」
俺の言葉にキタコブシ以外の四人は絶句した。
「フォッフォ、やはりそうでしたか笑」
キタコブシは俺がこう言うことをわかっていたのかただ笑っていた。
「いくら勇者さまでもソロモン帝国相手じゃ・・・」
「死ぬ・・・か?」
俺の言葉にキャサリンは俯いた。
「お前みたいな美少女に心配されるのは嬉しいが生憎と鍛えてるんで少しのことでは死ななんよ。笑」
俺の美少女という言葉にキャサリンは顔を赤くすると小さな声でずるいですと言っていた。
「そういうことならばこやつを連れいくとよい。勇者殿よ笑」
そう言ってキタコブシが俺の旅のお供に推薦したのはアネモネだった。
「師匠どうかお願いします!!」
アネモネは軍人がするような敬礼をすると頼み込んできた。
はぁー、仕方ないな。いいとするか・・・
「わぁーたっよ。ただし足引っ張るなよ?」
俺がアネモネの同行を許可するとアネモネとキタコブシが喜んでいた。キタコブシに至ってはこれでやっと曾孫の顔がみれるわいとか騒いでるし!!
「勇者殿よ。やめるなら今のうちですぞ?」
国王は俺をこの国に引き留めとくためにわざとそう言った。
「・・・」
俺はそれに答えることなくヤミを連れて勇者専属メイド(仮)についていって部屋を案内してもらった。
その日の夜・・・
「よいのか?主よ。」
ヤミは俺のことを心配してそう言った。
「・・・ああ。」
俺は窓からネオンの綺麗な町並みを見ながらそう答えた。
「そうか・・・ならば、よいのじゃ。妾は眠いから寝るでな御休み。」
「ああ・・・おやすみ。」
コンコン
「・・・勇者さま?いますか?」
ヤミが寝てすぐにキャサリンがやって来た。
「勇者さまはいつ、この王国を出発されるのですか?」
「明日の朝だ・・・」
「?!」
俺の言葉にキャサリンは「そうですか。」と残念そうな声で言った。
「・・・」
俺はキャサリンに対して少しの罪悪感を感じた。
「勇者さま・・・」
「どうし・・・!?」
俺はキャサリンに呼ばれて振り向くとキスをされた。
キャサリンは自分がしたことに顔を赤くすると慌てて出ていった。
『次章予告』
勇者一行は旅に出てすぐ魔王軍と