ミケルと愛の魔法
第一章 ロビンと妖精
「おはよう!!!」朝はいつもこうしてミケルの大きな声でみんなは、「はっ」と目を覚ます。
ちなみにミケルは男の子で9歳だ。兄弟が3人いて長男はレイ、次男はカミル。そして末っ子の名前がミケルだ。ミケルは他のカミル達とちがって少し痩せ気味でエメラルド色の目をしていた。ミケルはどんなに食べても太らなかった。家族にエメラルド色の目をしている人はいない。そしてミケルは母にきいた。
「ねえ、どうして僕だけエメラルド色の目をしているの?」
すると母はこう答える。「そんなことお母さんに質問しないで。魔法使いの子供だったのかもね・・・
クスッ」母は冗談まじりに答えた。ミケルは魔法使いに会ってみたいとは思っていたが・・・・・・・・(まさかね。会えるわけないじゃないか。)そう思いながら母の背中を見送っていた。父は6年前に交通事故で死んだらしい。「・・・ふ~ん」ミケルは父の死んだことについて時々考えてみるのであった。父のことを考えながら階段を上っていると、 ドンッ 「気をつけろよな~!」「ぼ~っとしているお前が悪いんだからな!」(・・・痛い。なんだカミル達か・・・)ミケルは階段の角に当たった頭をさすりながら二階まで上った。
部屋の中に入った。(ん?)ミケルは部屋に異変を感じてまわりを見渡した。(あっ!)部屋のすみに変な小さな家・・・というより小屋が建っていた。小屋は部屋の半分以上を占領していた。「何だろう」
ミケルは小屋のドアのようなところに触れた。するといきなり顔がぬっと出てきた。「うわあああああああああああアアアアアアぁぁぁぁぁ!!!」ミケルは耳をつんざくような叫び声をあげた。不思議な事に誰も部屋に入っては来なかった。「おぉ、失礼致しました!!驚かすつもりではなかったんです・・・」妖精のような小さな男が出て来た。「あ、あなたはだれ?」ミケルはおそるおそる聞いた。
「ミケル様、わたくし、魔法使いのロビンでございますよ。」ロビンはにっこりと笑った。「ところで・・・ミケル様のお父上様がどうして亡くなられたかはご存知ですか?」ロビンは聞いた。「えっ!?
うん。知ってるよ。交通事故で死んだんだろ・・・」ミケルは目に水たまりができたのを感じた。「何と!!交通事故で死んだですと!?」ロビンはミケルが涙を拭いているにも関わらず続けた。「あなたのお父さんはですね、魔法使いでしてね、マリルという魔女に殺されたんですよ。」ミケルは顔をしかめた。つぎにロビンが言ったことにミケルはとても驚いた。「だから敵討ちに行くのですよ!!」ロビンはいかにも『さぁ、行きましょう!!!』という目でミケルの顔をじっと見つめていた。「あ、でも、ロビン!
そんな・・・僕が魔女にかなうわけないよ!!!」ミケルは焦った。 ドンドンドン ドアを叩く音がした。
「ミケル!ミケル!?」お母さんの声だ。「僕、ちょっと行って来る!」ミケルはロビンが話す前に急いでドアに向かった。 カチャ ドアを開けて広がっていたのは白い廊下・・・ではなく、草原だった。
「うわぁ!!すごいや!!」ロビンは部屋から出て来た。「さて、行きましょう。」ロビンは手からほうきを取り出した。「何?ロビン。落ち葉そうじでもするの?」ミケルはほうきを受け取りながら質問した。「違いますよ。空を飛ぶんです。さぁ、ほうきに乗って!1、2、3・・・しゅっぱあつ!!!」
ほうきは空高く上がった。「うわああああああああああああああああああああああ!!」ミケルは大声で叫んだ。「落ちちゃうよおおおおおおおお!!!」「大丈夫です。少々お待ちを・・・」ロビンはそう言うなり指をパチンと一回鳴らした。 ズザザザザ!!すごい音とともにミケルはほうきから落ちた。「・・・っ!!」なんと、痛くなかったのだ。「魔法をかけて痛くないように瞬間移動で目的地に落としたのです。」ロビンは顔についている泥をはらいながら言った。ミケルは興奮していてなにも言うことができなくなった。辺りは泥だらけだった。そこでミケルはふっと意識を失った。
第2章 ミケルの恩人
「大丈夫なの?」この一声でふっと目が覚めた。目の前にはかわいいミケルよりも頭が良さそうな10歳くらいの女の子が顔を覗きこんでいた。「君は・・・誰?」ミケルは聞いた。「あら、あなた・・・・
私の名前知らなかったの?私はサミルよ。よろしく!」ミケルはぐったりとした体を起こした。「そうなんだ。僕の名前は・・・」「ミケル!まだ朝ご飯を食べてないわね?」サミルははきはきと喋った。「えっ!?何で僕の・・・あぁっ・・・・」ミケルは頭の中で言いたかった言葉が迷子になってしまった。「・・・あなた、いかにもミケルっていう感じの顔だもの。」ミケルは朝食を食べたあと聞いてみた。「君は・・・魔女なの?」「なっ、何でわかるの?」「だって、いかにも魔女って感じだから。」ミケルは冗談を言ったつもりだったがサミルは顔を輝かせて言った。「あなた、魔法使いになれそうね!!私が魔法を教えてあげるわ!!」「うん。反対はしないけれど・・・ロビンは?」ミケルは新しい質問をした。「あぁ、妖精?妖精はただここにあなたを送る仕事をしただけよ。」「あ、そう。」ミケルはそっけなく返事した。次の日、さっそく魔法をサミルは教えてくれた。「杖をかたむけて、振って!!・・・・
そうそう!!うまいじゃない!」何回も練習しているうちにだんだん楽しくなって来た。何日も何日も
楽しい日々が続いた。そのうちミケルはサミルのことが好きになってきていたのだ。サミルもミケルが好きになっていた。
第3章 知りたくなかった運命
そしてある日サミルがいない時、ロビンが現れた。「さあ、敵討ちの日がやってまいりましたよ。フクロウで敵に果たし状を送りましょう。」「分かった。」ミケルはためらわず言った。
「果たし状
今日、1時に何もない草原にくるように。」
ミケルはこの前部屋から来た草原にくるように書いたのだ。
「約束の時間だ。行こう。」ミケルは堂々とした態度で約束の地へ向かった。昼とはいえ、ほうきに乗っていたので風がとても冷たかった。
草原には小さな魔女が一人いた。遠くて顔がよく見えなかった。「おい!魔女よ、こちらへ来てくれないか?」魔女は瞬間移動でこちらへきた。魔女はゆっくりとぼうしをはずして投げた。その顔を見て敵とミケルは息をのんだ。なんと、ミケルの敵の魔女はサミルで魔女の敵はミケルだったのだ。
第4章 敵討ち
「ミケル!?」「サミル・・・君だったの?僕の父さんを殺したのは。ねえ、何で殺したの!?」ミケルは思わず怒鳴った。「ミケル。あなたのお父さんが私の父さんを殺したからよ。」サミルは涙声で言った。「でも、僕は君に父の命を奪われた!!覚悟っっっ!!」ミケルは杖をあげた。が、杖をおろしてしまった。「あぁ、僕にはできない。人の命を奪うことなんてできない。もういいんだ。昔のことだ。でも、サミル。君のしたことも僕の父がしたことも原因はよく分からないけれど、罪は許されないよ。僕は君を殺せない。それは君があまりに、優しくて、と、とても君が父を殺すわけないとおもっていたからだ。愛しあっていたんだね。正体を知らずに。でも、君はこれからも罪を償いながら生きて欲しい。」
ミケルは涙をながしながら言った。サミルは深くうなずいた。
第5章 幸せの日
ロビンはみんなに別れを告げ帰って行った。ミケルとサミルは結婚した。そしてやっと魔法界から人間界へ戻った。「お母さん、みんなただいま!」ミケルは元気よくサミルを連れて家へ帰って来た。「も~
どこへ行ってたんだよ。もういじめないからここにいてくれよ~!!」「まぁ、10年間もどこ言ってたの?」「おい、その子誰だよ。」みんな不思議そうに聞いた。「僕の、お嫁さんだよ。」ミケルは顔を赤くしながら言った。「よろしくお願いします。」サミルは頭をさげた。「ああ、いらっしゃい!!さあさあ、今日は忙しいわよ!!お祝いパーティーをしましょう!!」「うん!!」みんなはお祝いパーティーを楽しくやりました。
~終わり~