表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/154

プロローグ


よろしくお願いします。

・・・作者の三国志の知識は、NHKの人形劇+αぐらいです。暖かい目で見てください。

 柔らかな布団を幾重にかけても死に逝く体は、もはやぬくもりを得ることはできない。

徐々に熱を失う己の身は、暖かさはもちろんのこと冷たささえも感じられなかった。


(どうして私は、こんなところで息絶えようとしている?)


繰り返し頭に浮かぶのは同じ疑問だ。

何故、こんな柔らかな布団の中で自分は死のうとしているのだろう?

風雨の入らぬ屋内の・・・奥の奥。

窓も無いその部屋の空気は静かに凝っている。

厳重に守られたこの場所で、愛する者に見守られて自分は死に逝く。


何故だ!?・・・と思った。


こんなはずでは、無い!


自分は、こんな穏やかな死を迎えるはずではなかった!!


・・・自分の死に場所は、戦場(いくさば)のはずだ。

猛き軍馬に(またが)り、雨霰(あめあられ)と降り注ぐ敵の()の矢に射られ、ハリネズミのようになって死に逝くはずではなかったのか?

あるいは、幾人もの血糊(ちのり)に濡れた(ほこ)で体を貫かれるか・・・

もしくは、美しく弧を描く青竜刀に首と胴とを切り離され刀の錆となる運命を予見していたはずだ。


切断された頭部でも己の目は蒼天(そうてん)(にら)むだろう。


雨天でも・・・曇天(どんてん)でもかまいはしない。


吹き渡る風に寒さを感じることもできず、目を見開いたまま息絶えるのだ。


大地に(くずお)れた胴は、軍馬に踏み(しだ)かれ、ぐしゃぐしゃに(つぶ)れて地に還る。


・・・それが自分の最期のはずだった。



間違ってもこんな当たり前の人間のような最期を迎えるはずではない!!



それは、憤怒(ふんぬ)のごとき悲哀だった。


数えきれない後悔の最たる悔いに(さいな)まされて・・・前世の自分は、息を引き取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ