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三毛猫の三題話

「僕の先輩の話(ショート版)」

作者: 三毛猫

 今年の三月に卒業した僕の先輩は、人魚だった。

「足がないので陸の上では歩けないんだ」と言って、いつも車椅子に乗っていた。

 学校の噂話では、交通事故で下半身不随になったことを認められずに、自分を人魚だと思い込んだ可哀想な女の子だと言われていた先輩だけれど、僕は赤いひざ掛けの下を覗いたことがあるので本当のことを知っている。

 そんな先輩から、先日手紙が届いた。海の底からでも郵便届くんだな、とちょっと驚いたけれど、消印を見ると日本だった。夏休みにでも、遊びに来ないか、という内容だった。


 約束の日時に指定の海岸で待っていると、海から先輩が「ひさしぶり」と顔を出した。

 普通の白いビキニタイプの水着だったので、貝殻のブラじゃないんですね、と言ったら「貝殻じゃ痛いもの」と先輩は笑った。

 先輩に連れられて沖の方に出ると、だいぶ水が冷たくなった。

 不意に先輩が、僕にキスをした。びっくりして慌てていると、「潜るよ」と言って先輩が僕の手を引いたまま海中に潜った。

「陸の上ではキミと一緒に歩くことができなかったけれど、海の中なら一緒に泳ぐことができるよ」と先輩は微笑んだ。「キミと一緒に泳ぎたかったんだ」

 どこへでも一緒に行きますよ、と僕が言うと、無言で先輩が僕を抱きしめた。

 どこに行くのかはしらないけれど……。

 ショート版とついているのは、短編版を書いているからなのですが、現在短編版は放置中です……。このお話には、明るい解釈(先輩は本物の人魚)と「先輩と一緒に心中(先輩は人魚じゃない)」があって、ショート版に限っては、読まれた方の判断におまかせします。


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