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明かされる魔ッキーの過去

よろしくお願いします

白い壁。

白い床。

白い光。


何もかもが無機質なその場所で、二つの影が並んでいた。


「君たちの名前は…そうだなぁ『魔ッキー』と『ムッキー』にしよう」


そう言って彼は僕を…僕たちを抱きしめた



「マッキー、ムッキーこっちへおいで」


彼は白土マユリ


僕たちを産んでくれた博士


僕たちはマユリさんと一緒に楽しく暮らしていた


研究所では彼と遊んでいる時間だけが日頃の癒しだった



「なぁ兄ちゃん」


小さな声が響く。




「……なんだ、ムッキー」




鉄格子越しに向かい合う二人。


「今日もチュウシャ?っていうのしなきゃいけないの?あれ、痛いから嫌だよぉ〜」


「しょうがないだろ、あれしないと博士と会えないんだってさ」



研究員の女がガシャっと乱暴に檻を運び出す


「いたいなぁ!もっと優しくしろよ!」


女はそんな声を気にとめずにそのまま怪しげな部屋まで持っていく


「やめとけよムッキーみんな気味悪いと思ってるんだよ」


ムッキーは気に食わなくていつも理不尽な目に遭ったら反抗している


「パチモンなのに人間の言葉しか喋れないから?」


「そうだろうな」


「……なんで俺たちだけ喋れるんだろうな」


「さぁな」


マッキーはそっけなく答える。



「他のパチモンも俺たちのこと変だって言うんだ」



「……あいつらは言葉が分からないだけだ」


「でも人間も言うぜ?」



その言葉に、マッキーは黙る。



「気持ち悪いって」



沈黙。


機械音だけが鳴り響く。



「……気にするな」



「気にするよ」


ムッキーは笑った。


でもその笑いは、どこか歪だった。



「だってさ、俺たちどっちにもなれねぇじゃん」


そのとき足音が聞こえてきた


「この足跡は、博士が来たよムッキー」


「やぁ魔ッキー、ムッキー今日もお話ししようか、今日はね、私の恋人の話をしよう……」


ーーーーーー


「……はは、なにそれ――」


「博士かっこいい!―」


他愛のない話だったけど僕たち兄弟の話を聞いてくれるのは博士だけだったから


僕たちを産んでくれた


愛してくれた


「親」だったから


ーーーー


それから数ヶ月後


研究所に偉い人が来た


その時は何の話をしているのかわからなかったが今思い出すとそれは……


「研究で成果を上げないならこれ以上の資金の援助はできないぞ」


「わかっています、今人工的にパチモンを作る実験をしています、でもまだ未完成で……」


博士は僕たちを隠すように檻の前に立っていた


「その檻から離れろ、そいつは貰っていくぞ」


博士は食い下がった


「いえ、これは未完成で…だから、その、まだ使えないんです!」


守ってくれた


でも



僕たちは戦場に駆り出された



生物兵器として



炎。

爆音。

悲鳴。


人間とパチモンが入り乱れる地獄。




「前へ進め!!」


人間の命令が飛ぶ。



「ムッキー、怖い?」



「……怖くない」



「そっか」



ムッキーは、少しだけ安心した顔をした。



その日、二人は“敵”を殺した。


数えきれないほど。



「博士のところに戻りたいよ兄ちゃん」


「そうだな、この戦争が終わればきっと迎えに来てくれるさ」


長い戦いになった


兄弟は数年間戦場に立った


そして、


やがて、戦争は終わった。


僕らの周りには赤色一色で染まっていた


「にいちゃん…誰も迎えにこないね」



数日後。


二人は理解した。



「……俺たち、捨てられたのか」


ーーーーー


外の世界は、残酷だった。



「なんだこいつら……」

「喋ってるぞ……?」

「気味が悪い……」


石が飛ぶ。


罵声が飛ぶ。


パチモンに話しかけても


「ピカピカ」

「キモッ」

「ソーナンスカ」


知らない言葉


なんて言ってるのかわからないけど


顔を見たら大体わかる


気持ち悪がってる、そんな顔してた


「博士のところに帰りたいよ…」


「あぁ、きっと寂しがってるよ博士も!」


僕はできるだけ明るく振る舞った



ーーーーーー


二人は旅をした。


“生みの親”を探して。




そして——


ようやく辿り着いた



「博士……!」


ムッキーの声が弾む。




扉を開けた瞬間。




「……あぁ、戻ってきたか」




そこにいたのは——



「いい素材が手に入った」



「……え?」



博士の目には僕たちは


“生物”としてではなく


“材料”として映っていた



「次はもっと良い兵器を作れます!これで我が国に勝利を!」



沈黙。



「兄ちゃん……?」



マッキーの拳が震える。



「逃げるぞ」


だが遅かった。



無数の機械が二人を拘束する。



「やめろ……やめろぉぉ!!」



ムッキーの叫びが響く。



その瞬間——


バチバチバチバチ!!!!



電撃が研究所を貫いた。



気づいた時には——


博士は倒れていた。



動かない。



「……兄ちゃん……」



マッキーは何も言わない。



その手は、まだ震えていた。



「俺たち……やっちゃったな」



ムッキーは笑った。


「…………あぁ」


その言葉に、マッキーは目を伏せる。


ーーーー

食べ物や服などを手に入れるため僕たちは研究所を散策した


そこにいたのは無数の奇妙なパチモン


「こいつらは僕らと一緒だねにいちゃん」


壁に並べられた奇妙なパチモンたちを僕たちは全員檻から出した


そのあとは一瞬だった


研究所に残された研究員は全員逃げ出したパチモンたちによって殺された


「魔ッキーさんムッキーさんありがとう、ようやく自由になれたよ」


「ありがとう!」


「サンキュー」


「サイコー!!」


「あははは!みんな変なかたち〜」


同じ境遇のパチモンだからだろうか


その日は久しぶりに楽しかった


「みんな同じパチモンだったら楽しいのになぁ〜」


「そうだなぁ、ムッキーみんなと一緒に暮らさないか?」


ムッキーは嬉しそうな顔をした


「いいね!それ僕たちだけの楽園だ」



僕たちは作られたパチモンたちで小さな村を作って暮らした


その日々は楽しかった


今までのどんな時よりも


家ではムッキーと楽しく安心して過ごした


朝は広場に集まってきのみや魚を焼いて食べる


お昼はムッキーときのみを食べ


人間の少ない夜にきのみや魚を釣って


朝は広場に集まってきのみや魚を焼いて食べる


――


でもその時間も長くは続かなかった



ある日僕がきのみを取りに行った帰り


村が燃えていた


あの日と同じ


村は真っ赤に染まっていた


僕はまっすぐに家に向かった


僕とムッキーで暮らした家


玄関を開けると壁が血で濡れていた


そして、目の前にあったのは


『切られた大きな耳』


『剥がされた爪』


『引き抜かれた尻尾』


僕はその場に崩れ落ちた



手に触れたのは大量の銃弾


人間がやったのか…


人間が…


なんのために…僕たちを作ったの?


なんのために僕たちを殺すの?


「なんのために…なんのためになんのためになんのために」



「なんのために生まれてきたの?」


自分への問い


そして思い出すムッキーの言葉


『みんな同じパチモンだったら楽しいのになぁ〜』


「そうだ、みんな一緒になればいいんだ!!そうすればきっと……楽しいよね!」


それが全人類統一計画の始まりだった


次回 ピサロとの出会いと、それから…













読んでいただき、ありがとうございました!

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