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魔導士の血は魔女が拭く!  作者: Wahrheit2026


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第9話 謀略へのパスポート

「ヨー姉ちゃん♬」


「うひょー、とびきりの上玉が入ってくるなんて夢の様♬」


「失せろ!!」


獄卒は牢屋越しに劣情をまき散らす卑しい者たちの伸ばした手を棍棒で殴りつけていく。

その獄卒の後から、同じく獄卒2名と監獄士官2名左右前後を固められ、特殊な手かせ足かせをはめられた少女が連行されていく。

そして、この監獄のトップとおぼしきでっぷりと腹の出た中年男が口臭をまき散らしながらずけずけとニヤニヤ顔で彼女の全身を嘗め回すように見ながらガニ股で歩く。


獄卒が囚人の劣情を追い払うのは、しかし彼女のことを思っての事ではない。


「いいか、くれぐれも傷物にするんじゃないぞ!判決は死刑と決まっておる。だが、慈悲深いわしが大慈悲を垂れて彼女を罪一等減じてやるんじゃわい」


「彼女の初めてはわしが頂くんだからなああ♬」


少女は思った。


思えばわが家はおかしなことが代々続いている。


謎の理由でたぐいまれな才能を持っていた曽祖父、祖父、父と母は失脚して失意のうちに亡くなった。


なんで・・・・・・。


なぜ私が何をしたって言うの!?


事の発端は2日前。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「第一級魔導士エリカ・ヴァールハイト少尉。貴官を共和国のスパイ容疑で逮捕する!」


それは突然の事だった。


第一級魔導士に任官して早1年目。


共和国との戦いの前線勤務中に私は突然司令部に呼び出された。


待っていたのは逮捕状だった。


「どう言うことですか?」


説明の機会も与えられず私は魔力を封じる枷を嵌められ、強制的に軍法会議に掛けられた。


罪状は共和国への機密情報漏洩、スパイ容疑。


すべて全く身に覚えのないことばかり。


弁護人はつかなかった。


ここは最前線近くゆえに弁護人なし、一審制の野戦軍法会議ゆえに事実上私に抗弁の機会は与えられなかった。


待っていたのは第一級魔導士の資格を即時はく奪の上、悪名高い魔導監獄への即日移送だったのだ。


部隊にいた私の同期達、先輩たち、後輩たちはなぜか沈黙した。


兵学校の連中とはもとより仲が良くなかったが、その日に限って連中は私のいる前線には姿を現さなかった。


私は頭が真っ白になり自分の身に何が起こったのか裁判中もわからないままそのまま魔導監獄第18354地区へと強制移送された。


私は囚われの身となり第一級魔導士の資格をはく奪された。


悪名高い監獄。


「これはこれはお見事でございます。」


「お前にもわしが味わった後で少しおすそ分けしてやるから期待しとけ。ゲッへっへっへ♬」


そして、有罪確定99%を誇る悪名高き高等審問官たちの“高度な取り調べ”を受けることになった。


取り調べの前日。


絶望に打ちひしがれて独房の隅でうずくまっていた私の耳に見慣れた声が聞こえてきた。




「エリカ、早く!」




小さくそれでいて鋭い声が私の耳に響いた。


牢獄の片隅でうずくまって明日から始まる地獄にどのように耐えるかという恐怖に顔をひきつらせていた私の声を呼ぶ聞き慣れた声。


それは魔導兵学校第177期卒にして兵学校卒業者としては珍しく私に親しくしてくれたマリネッタだった。



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