第23話 仕留める
猪との距離は約20メートル。
教本と思しき書物の記述と絵の通り、“すとっく”と呼ばれる肩に当てる部位を肩に当てる。
“りあさいと”とよばれる部品と“ふろんとさいと”と呼ばれる部品を重ねて、その延長線上に標的を収める。
“こうかん”もしくは“ぼると”という部品を操作して手前に引く。
開いた穴の部分に金属製の細長い矢のようなものを5つ押し込んで詰める。
“ぼると“を元に戻す。
こうすることで“ちゅんばー”と呼ばれる箱の部分に金属製の尖った矢のようなものが送り込まれてどうも矢のように発射が可能らしい。
半信半疑だが本の通りにする。
そして、異形の物語に書かれてあったこの武器の使い方の通りに目標を狙う。
目標との風はない。
攻撃魔法と弓を使っていた時の直感を頼りに私は握りしめたグリップの前についている“とりがー”と呼ばれるレバーを“絞った“。
ターンーッッッ!!!!!
「ぐっっ!!」
肩に来る味わったことのない衝撃。
周囲に響き渡る乾いた鋭い轟音。
“異世界“からの武器の反動は、衝撃で鎖骨が折れたのではないかとさえ思うほどだった。
猪は頭を撃ち抜かれて派手に土煙をたてて倒れた。
後ろ足が死にいたるまでの痙攣をしている。
破壊力は想像以上だった。
立ち上がって猪に駆け寄る。
猪の目から生命の光は消えていくところだった。
だがそれを見て私は衝撃を受けるとともに残念な感じがした。
たしかに威力はずば抜けている。
剣や槍、弓や弩より異次元の力を持つ強力な武器だ。
戦場に登場すれば革命的な衝撃をもたらすのは容易に想像がつく。
だが、通常の兵士やモンスター、共和国の魔導士のそれなら容易に貫通して殺傷できるだろうが、私が属していた帝国軍第一級魔導士レベル練度を持つ魔法使いの防御魔法の前にはおそらく無力だろう。
我が帝国軍の魔導士の防御魔法の前にはまず太刀打ちできない。
現在はく奪されているとはいえ元第一級魔導士であった私はすぐに分かった。
これだけの破壊力をもってしても帝国軍第一級魔導士の防御を貫通できないと。
そんな彼女を遠目に見ている異形の影があった。
「うっしっしっ♬こりゃあ遠征してきたかいがあったぞ~♬」




