表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士の血は魔女が拭く!  作者: Wahrheit2026


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/21

第18話 カーツ共和国統合情報局

カーツ共和国統合情報局。


ヴァーンズハイト魔導帝国と対峙する共和国諸国の中で最も強大な戦力を持つ強国である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


重厚な国防省の建物の中で威厳を持った魔導将校の女性が一人の人物を待っていた。


コンコンコンッ!


執務室をたたく音にその威厳のある女性士官は口にした葉巻を巨大なクリスタルで出来た灰皿に置いた。


「入れ」


「エレン・ウィラード魔導大尉、ただいま着任いたしました」


「エレン・ウィラード大尉、君の功績は聞いている。君も知っての通り、我が軍は魔導士の実力において魔導帝国と比べると明らかに劣っている。数も質もだ」


「だが、君はこの半年で魔導帝国の魔導士58名を殺害、62名を捕虜にするというトップクラスの戦果を挙げた。その力の秘密を聞かせてもらいたい」


「お言葉ですが閣下、本日私をお呼びした理由は別におありなのでは?私が瞬間的に魔法力を無力化する魔法をお使いになること、それを敵魔導士の至近距離で発揮することで帝国魔導士どもを仕留めてきたことはもう数えきれないほどご報告を差し上げたつもりですが?」



バンパンパンッ!



女性士官は手のひらを陽気な感じに叩いた。


「これは失礼だったなウィラード大尉。多少間を入れてからでないと本題に入れん癖なのだよ。気にしないでくれ」


「はい、以前も第236魔導飛行隊にいた際にお聞きしております」


ウィラード大尉の服装は濃紺一色の魔導帝国の者とは対照をなす純白の魔導士の服装。


上は魔女帽子からローブ、ブーツまですべて純白の魔導士衣装は共和国軍魔導士の証である。


軍隊なので通常なら取る大きな魔女帽子もつけたまま執務室に入っている。


「では話に入ろう。2週間ほど前の夜19時30分頃、帝国に潜り込ませたモグラの報告では、リヒテンブルク近郊にある魔導犯罪者及び重犯罪者専用監獄・第18354地区に突如、北方魍魎首長国のアンデッド軍団が空間転移魔法を使って精鋭コマンド約2000体を送り込んだ。奇襲を受けた帝国軍は混乱。アンデッドコマンドの攻撃開始20分後に首都警備師団から第一級魔導士が出撃して片をつけたそうだが、相当な騒ぎだったらしい。最も帝国ではかん口令が敷かれて何も報道されていないがな。鉄壁の結界がアンデッドなんぞに破られたとなると帝国も威信にかかわるだろうからな」


「・・・・・・おかしいですね。ヴァーンズハイト魔導帝国は鉄壁の結界を施してある難攻不落の帝国。転移魔法の類はすぐ無効化されるので侵入などまず不可能、まして首都近郊に敵大部隊を転移させるなど通常ならありえないことです」


「だが、事実だと我が情報部は各種情報から結論付けた。第18354地区の情報源からも間違いないとの事だ」


「まさか内部に裏切者が!?」


「可能性はあるが証拠がない。いたとしても誰なのか全くわからない。いたとしたら大したものだ。帝国に潜り込ませてある、あらゆるモグラに探らせても誰が結界の一部を解除したのか全く分からんそうだ。傲慢なクソ帝国貴族どもも今回はちと焦っているらしい」


「とまあ、実は本題はこれからだ。この写真を見てくれ」


「これは?」


女性士官はウィラード大尉に机越しに1枚の写真を渡した。


魔法で撮影し、紙に投影させたものだ。


服装などがすべて不鮮明だが、2人の人間と思しき人影が馬に乗って監獄から走っていく瞬間が映っていた。


「何者かがアンデッドコマンド襲撃のほぼ同時刻、同監獄から脱走、行方をくらませたとのことだ。モグラが唯一撮影に成功したのはこの1枚だけだ。混乱した状況下とはいえ、魔導帝国側の魔法探知力を侮ってはならんからな。モグラの命の関係上これしか撮影できなかったそうだ」


「さらに重要なことにモグラによると襲撃前日にヴァールハイト家の第一級魔導士がこの監獄に収監されたそうだ。そして、襲撃後、行方不明になっている」


「ヴァールハイト家の!?もしや北方魍魎国に拉致されたのでは?」


「いや、北方魍魎の連中はせいぜい中庭までしか進軍できずにほぼ全滅し、残りは転移魔法で退却したそうだ。厳重な監獄舎内までは侵入していないとのことだからこの撮影地点までは侵入できていない」


「では?」


「どさくさに紛れて誰かが脱獄の手引きをした可能性が高い」


「それにヴァールハイト家の魔導士とはまさかあの・・・・・・?」


「そう、かの有名なヴァールハイト魔導技術官の一族に間違いない。確証を得るのに手間がかかった。この事件の数日前に帝国軍の前線部隊で一人第一級魔導士が職務を解任されてこの監獄に連行されたとも複数のモグラが証言している」


「彼女が本当にヴァールハイトの血筋の者か現時点でははっきりはしていない。だが、もし“あの魔法を使える血筋”なら我が国として大いに利用価値がある」


「そして、分かっているのは我が共和国諸国の方面へと逃走したとのことだ」


「そこでウィラード大尉。君にヴァールハイト家の魔導士の捕縛を命ずる。彼女がなぜあの牢獄に入れられたのかは分からないが彼女の魔導技術は劣勢状態の我が国の起死回生の切り札になる可能性を秘めている。できるか?」



しばらく考えた後、ウィラード大尉は返答した。

「お任せください閣下。私もヴァールハイト家の人間には大いに興味があります。必ずや彼女を捕縛して閣下の元にお連れいたしましょう」


「よろしい、それではエレン・ウィラード大尉、貴官に特務を命ずる!」


「はっ!!!」


そう言うとウィラード大尉は敬礼し、執務室から出ていった。


扉を丁寧に閉めていくことも忘れない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ