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魔導士の血は魔女が拭く!  作者: Wahrheit2026


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第10話 獄卒魔導士ルナ

魔導監獄第18354地区。


ヴァールハイト魔導帝国首都リヒテンブルク郊外にある軍が管理する監獄である。


本来は軍刑法違反者を収監する施設だが、最近は一般の刑務所の許容量が限界に達し始めていることから軍紀違反者のみならず、民間での重犯罪者も収監されるようになった。


元は首都を守る支城だったこの監獄は周囲を高い城壁と3重の堀、そして魔導士部隊が管理する電撃魔法を応用した魔導電流装置を組み込んだ有刺鉄線と罠に囲まれている。


一度入ったが最後、死ぬか奇跡のような恩赦でもない限り生きて出ることはかなわないとされる通称“魔封じの監獄”である。


ポチャンッ!・・・・・・ポチャンッッ!!!




「ヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁっヴぁあっヴぁヴぁvっヴぁヴぁっヴぁ!!!!!!!!」


「もうう・・・・ごろじでくだおおおぱああああっぱっぱ!!!!!!」


人間語の体すらなしていない悲鳴なのか遠吠えなのかも分からぬ声が毎晩のように監獄内に鳴り響く。


この監獄に人権などなく、しかも収監者は人間のみではない。


エルフ、オーク、果てはアンデッドまでいる。


いずれも帝国に逆らって反抗してきた者たちか、人間を捕食したかどで終身刑を言い渡された者たちだ。


「おい、ルチャの旦那?合鍵はできないのかい?」


小太りのオークが自分よりはるかに身長が小さいエルフに話しかけた。


エルフと言ってもイメージとは違う、いかにもひねくれた顔つきの男エルフ。


しかし、その手つきは何かを加工することに秀でていると誰もが思うほど手慣れた動きを見せ、今何かをありあわせの物でこまごまとした指の動きで作っていた。


「これならどうじゃ?」


エルフは何かをオークに見せた。


直後、オークだけでなく、狭い雑居房でうずくまっていた囚人たちが一斉に、それでいて一切声に出さずに身の素振りだけで喜びを表した。


オークが持っていたのは手作りの鍵。


彼はこれまでの経験からこの監獄の鉄格子を開ける鍵を自ら作ったのだ。


「やったなダンナ!」


「よし!手はずの通りだ!まずは鉄格子を開けてから・・・・・・」


「どうするのかな~♬」


「えっ!?」


直後。


ゴトッという重量感のある音が雑居房内に鈍い音を鳴り響かせた。


エルフの男の首が転がり、雑居房の端にあるトイレの便器の一部に当たって止まった。


「ひゃあああああっっ!!」


何と雑居房の石造りの壁から女が生えていた。


いや、透明人間が石を通り抜けて半身だけを雑居房の囚人たちにのぞかせていた。


薄暗い暗闇の中、ニヤニヤするショートボブの少女。


月明かりが彼女のニヤ着いた顔を照らした瞬間。


ガシャ!!


一斉に雑居房の廊下に電気がつけられた!


「6号獄舎のクズども!!脱獄未遂の罪で地下獄舎へ全員異動だ!」


一斉に獄卒兵たちが鉄格子を開錠し、中の囚人たちに次々と手錠と足かせを手際よくはめて雑居房から引きずり出していく。


「嘘だろおい!!!!」


「いやだああああああやだー!!!!!地下獄舎へは行きたくない!!!!!!」


絶望のなべ底に投げ込まれたように騒ぎ始める囚人たち。


鉄格子にしがみついて離さまいとする囚人たちを魔導士獄舎大隊の獄卒兵士たちが棍棒で叩きのめし、強制的に引きずっていく。


「あ~ら残念♬こんな立派な鍵作ってたのにね~♬」


一人の魔導士が床に落ちたエルフの鍵を持ち上げた。


だが、それは彼女の手のひらの中で青い炎を上げて一瞬で燃え尽きた。


燃えカスを床に落とすとそれをブーツで踏みにじる。


「所詮は下等生物の遊び事♬こんなのでここの扉が開けられるわけないじゃない♬」


第一級魔導士ルナ・クロムシュタット中尉。


魔導監獄第18354地区序列第4位。


配属先:第10師団所属第1009監獄管理大隊。


ニヤついたうすら笑いが誰もいなくなった雑居房にこだまする。


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