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Cくんのおはなし 前篇

     -はじめに-


失意の底で悩んでいるとき、「諦めろ。」と人に言われたことがある。

諦めさせてから、そうじゃないというのは、理解できない。意味が通じない。気持を誘導したいのはわかるんだが、それでどうなる? こんな時は、わかりました。と言って納得すれば、こうだよ!と言われる。そして仕事や、出来事に集中する。でもそれだけだ。決して本当の解決にはならない。いや、ならなかった。

そんな中でもこれだ!という考えを見つけたと思って、気持を高めていたら、感動の中で、雷に打たれたように衝撃的に感じる出会いがあった。精一杯の笑顔を振りむけられても、自分は絶望した。全身が固まってしまい、身動きが取れなくなった。理解はされないだろう。告白はできない。告白しても離れるしかできないから、おかしくなってしまう。

これにはそのきっかけになった出来事や、間違った自分の考え方、判断があった。何が悪いのか理解できなかった。そのうち、もう関係ないと思って忘れていた。しかし自我を突き破ってそれが出てくる。これじゃいやだと、さみしいんだと。人に相談しようと思ってまとめてたら、物語にしたくなって書き進めるうち、視野が広がって、考えることができるようになった。今の時代は調べるのには事欠かない。やっと救われた、時代が進んだから。

自分で問題に立ち向かっていた頃、当然挫折もあった。でももしもっと頑張っていたら?もっと情報集めていたら?当時はとても悔やまれた。

今はもうどうしようもない。しかしフィクションでもいい、成功した物語を書いてみたかった。楽しく書きたかった。今は書くことで視野が広がり、落着きを取り戻した自分。何があっても良い方向へ進みたい。

昔の自分が、挫折、後悔、感動、歓喜・・・感じたこと。

楽しく読んだ本、出来事。 それを注ぎ込んで書いたものだ。

次に進むためにだ!何が問題なのかと同時に、どういう風に生きてきたのかがおそらくカギだ。それをちゃんとしたら、思い出したら、世の中の情報で解決できると思っている。自分に立ち向かう!自分には覚悟が出来た!立ち直れた!あなたも、きっと立ち直ることを願う。


       ご注意していただきたい点


これは、一人の工場に勤める機械オペレータの話。だから、当時の技術や専門用語などがでてくる。苦手な人には向かないかもしれない。


自分も初めて書いたようなものだから、話の都合上、匿名性を高くしておいた方がいいと思ったから、そういう所がある。

問題ない所はそのまま普通に名称を書いている。


名前は、匿名っぽいのがいいから、「Cくん」とでもしようか?

なんて考えてつけたので、全く意味はない。


名前はホントに適当にいい加減に書いてあるから、心して読んでほしい。

匿名っぽい所は好きなように、読み替えてくれてもいい。


文中に含まれる機械の改善アイディアは、もしかすると実現可能なもの

があるかもしれず。昔の作者本人のアイディアを参考としている。

しかし現在は使うことはないであろう。どうぞご自由に。

作者は責任を負うことはできない。


その他にはアドバイス的なこともたくさん書いてるが、作者自身が

役に立ったと思ったことを記憶にある限り書いているので、内容は

全て正しいとは言えないかもしれないが、そちら方面の方々には

「そうだよな!」と思っていただけるように一応考えて書いている。

繰り返しになるが、作者は責任を負えない。だから、鵜呑みにしない

でください。作者本人はほとんど役に立ちましたけど。


似たような話はあるかもしれません。かなり昔ですが。聞いたことあるような話は、出来る限り、より面白くなるように考えて書いてみました。


Cくんってだれ? それはもしかするとあなたかもしれない。


大体昭和の終わりごろの出来事。事実を参考にしたフィクション。


--------Cくんのおはなし--------


昭和の時代。まだ携帯電話もなく、SNSもない、ネットもない時代。だが若者たちは懸命に希望をもって働いていた。


年末の忙しいある日、工場に放送が流れる。「全社員のみなさん、昼休みに社長から重大な発表がありますので、食堂に集まってください。


発表は12時15分からおこないますので、必ず出席してください。繰り返します、社長のからのお話は12時15分からおこないます。社員全員出席のこと。宜しくお願いします。」


C君は22歳になったばかり。彼はマシンオペレータとして現場の機械を操作して製品を組み立てる担当者。給料ははっきり言って安い、手当がなければ手取り10万いかないくらい。

実家暮らしじゃなければこんな給料では生活できない。その代わり食費として実家に入れた他は自由に小遣いとして使ってた。

親父も若いんだからそれでいいっていってたから。


みんな若くて独身だから、妻帯者に比べたら、小遣いが多いっていっても、そもそもの給料が安いので、なかなか遊びにもいけないと、同期の社員はいつもぼやいていたが、C君はそんな同僚をよく思っていなかった。


そんなもんだから、お昼はパートのおばさんたちといつも一緒。


ねえCくん、若い人たちは向こうでかたまって楽しそうに話してるよ、C君はいかなくていいの?交流しなきゃお互いに仕事もうまくいかないんじゃないの?


何度か話したけど、あんまり話が噛み合わないんで。ほら、みんな社会人ななったばかりなのに、ローンで高級車乗ってるでしょ? 全員じゃないけど。話に出るのはローン支払いが大変だとかそんな話が多くて。みんな好きで買ってるのに。あと確かに車のことは話すけど、趣味が微妙に違ってるっていうか。


あなたは仕事はできるのはわかるけど、それだけでいいの?ほら、工場の生産設備が3倍にするとかなんとか、忙しくなると私たちも大変でしょ。


僕が提案したのは仕事の中で、自動機械の能力だけ3倍にすることです。確かに忙しくなるかもしれませんが、みんな給料安いじゃないですか!さすがに3倍になれぼみんなも潤うでしょ?そう思って提案したんだけど。


でも技術担当の課長もいってたわよ!C君のいうことは絶対無理だって、会社に予算もないしどうするんだって。


へへ!ちょっと考えがあるんで、内容は秘密ですけどね!


そうかな?でも会社が潤ったとしてもみんなが給料上がらないでしょ。

そんなに世の中甘くないと思うんだけど。


会話したあと、C君はだまってしまったが、心の中でつぶやいた。

(それにしても社長の話って何だろうな?営業のY也先輩の話では、今会社は絶好調だって言ってたんだけどな?)


    社長のお話


社員の皆さん、いつもお仕事ご苦労さんです。実は、とても残念なお知らせをしなければなりません。当社はあと3か月のち、実質上事業の終了。つまり、その後皆さんの仕事がなくなり、退社していただくことになります。


    静まり返る食堂


その後は取引先である「丸々会社」さんが資本をいれて、工場と敷地ごと委譲するのですべてではないが、そちらに社員も移動していただくことになります。


「社長!質問です!」 組合長が叫ぶ!


それはみんなが「丸々会社」の社員になる。つまり今よりもっと処遇の改善されるということにならないですか?


組合長の話はわかるが、委譲される社員についてはあくまで希望者のみ。書類審査ののち必要なら、本面接後採用という話がでているだけで、まだ決まってはいない.

これは噂だが、近々「丸々会社」さんの関東工場が、統廃合のためリストラがあるらしい。優秀な社員とリストラ要員を同数転勤させ、再評価ののち優秀なものを本社復帰させるという。しかも再評価までの期間を本社給与水準のまま転勤させて、戻れない者はこちらの給与水準で再雇用という条件で、組合と話がついたらしい.

地方に工場を作る場合、関東圏に本社がある企業はでは、関東近郊の工場での給与水準はもっとも高く、地方はその地域の経済水準に合わせて設定される。

私の予測では、関東工場の給与水準で工場の予算の多くが占められ、その分地元採用の者は安くなる。そうしないと運営できないから。

つまり皆さん全員は採用されず、雇用条件は「丸々会社」本社水準とはならないことになる。


それともう一つ重大な話がある。

現在の生産量を増やせと先方から言ってきている。それは現行の製品が販売終了となるためで、一定生産したらその仕事は終了となり、次は海外に作る工場で自社生産される予定だそうだ。

その後は当社との取引は終了するとのこと。しかしすぐに仕事は見つからないだろうから、そのつなぎとして仕事をくれるそうだ。但し、その生産予定数は、当社の能力をはるかに超えるもので、現状の約3倍にしなければならない。しかもその設備増強のため最低数千万円~数億円もの投資が必要になる。事業を終える予定の当社は資金繰りに苦労するだろう。

無茶な要求なのはわかっているが、当社としても資金繰りが厳しいなかで皆さんへの補償や退職金などで多くの資金が必要となるため、私はこの仕事を受けようと考えている。但し皆さんの全面的な協力が必要だ。特別手当や臨時賞与も支給する考えでいる。どうか皆さん力を貸してほしい。


 (誰かが叫ぶ)そんな無茶な話ががあるかよ!3倍だって!?


無茶は承知だが倒産の危機でもあるため、皆さんの生活のためにも、

とくに主婦の皆さんなど、ご家庭の事情はあるだろうが、どうかご家庭でよく話し合ってご協力をお願いしたい。もしこれが達成できたらこの地域、いや空前絶後の仕事を達成した会社の元社員として、再就職でもかなり有利になるだろう。勿論再就職先のあっせんや希望の職種についても紹介状や推薦状もだすし、私の人脈でも紹介もする。職務経歴書も会社で作成し特段の配慮もしよう。


(Cくん)社長、なぜそこまでするんですか?退職金は確かにあったほうが助かりますけど、ある程度は継続雇用になるんでしょ?全員じゃなくても。それに倒産の危機ってどういうことですか?今のまま会社を引き継ぐんですよね?だったら継続雇用される人は問題ないとして、他の人は今から仕事探せばいいんじゃないですか?


うーん!ちょっと難しいかもしれないが、これから説明しようか?

みなさん、よく聞いてください。まず継続雇用される人間はまだ決まっていない。だから今から準備はできません。もう退職するなら別ですが。それと普通はそのまま引き継いでくれると思いますが、今まで投資した物の中で、使い物のにならないものは要らないと言ってきている。合計すると結構な金額になってしまう。

先方の部長さんが言うには、今までの仕事をつづけて、3か月経つうちに、仕事はなくなってしまうそうです。しかし果たして本当かどうか?真偽の程は確かめようがありません。噂では、先方の部長さんだけが言っているような話だそうで、下請け仲間で聞いてみるとそんな話は聞いたことないそうです。部長さんの話では、今の製品を作るのに期限があっていずれはできなくなる。といってます。だから、早く次の製品に切り替えて一度、商品を絞り込まないとグループ全体が業績悪化する。だからその施策が開始されるまでの間でないと、今までの製品は作れないという話です。


さて、ここからが大事な話になる。よく聞いてください。

もしうちの会社でやらないなら、他でやるしかない。といってきてるが、それをやられたら、うちの仕事が減ってしまう。工場を譲ることを拒否すれば、一から仕事を探さなくてはならない。だから工場とできれば従業員をできるだけ引き受けてくれれば、今までの仕事とほぼ同じだから、みんな助かると私は考えている。

でも会社としては引き受けてくれる設備などは一部になり、最終的に負債を一括で支払えと言われてしまう。つまり倒産だ。私個人なら会社は倒産してもいい。みんなが職についていればね。

今のままだと3か月経たないうちに倒産だ。君たちは倒産した会社の元従業員だ。それでどうなる?いい仕事にありつけるだろうか?難しいと思う。だから無理にでもこの仕事を受けないと。私もみんなも大変になる。但しこの話は、正式なものではない。しかし本当にやられたら、それこそ大変だ。でも仕事をうければその間は、給料も出せるし、退職金もある程度出せて、会社も倒産しなくて済む。話の真偽を確かめている時間はないんだ。もし何もしなければ、おそらくは生活が窮地に追い込まれる人はかなり増えるだろう。君たち若い従業員はまだいいが。

だからここで頑張って実績を積む必要がある。私に言わせればこのまま放置することは見捨てることに等しいということだ。実績を積んで自信をもって次の職場に行ければ、待遇の改善も要求できるだろう。

みんなの今後のために是非とも必要だと思う。ここでみんなで大きく稼いで自信をつける!これでこそ、本当にみんなが助かる方法だと思う。


それと、君は大変興味深い提案をしていたね、設備の能力を3倍にするとか?私が見たところでは、3倍とまでいかなくても設備投資が抑えられることは大変ありがたい!是非とも生産技術管理部のK山くんと相談して、実現可能性を探ってくれたまえ。

改めてみなさん考えてみてください。いくら皆さんがこの会社でしっかりした仕事をしていても、世の中にはリストラされた社員と同じレッテルを貼られてしまうだろう。そして不利な条件で働かされ、プライドを傷つけられるだけでなく、下手をしたら生活困窮する人も出るかもしれない。

潰されかかっているのと同じだと考えてください。そして皆さん一人ひとりを救う為には、裏取引や密約などではなく、正々堂々と目標を突破し実績を積み上げること以外に道はないと私は思います。


(パートさん達のほうから大きな拍手が巻き起こる)


 他に質問がなければ私の話は以上です。


皆突然のことに困惑してしまい、顔を見合わせていた。


会社がなくなる。そんな状況で何も言葉など出るはずもなく、ただ

黙っている人がほとんどだった。当たり前だろう。


CくんはK山に声をかけられた。


K山さんとの話

 君がCくんだね。後で会議室にきてくれ。15時からね!

 君の分の作業はフォローしておくように俺から現場に言っとくから、

 心配は無用だから。


--会議室にて 組み立て機械のモデルらしきものが置かれている--


ところでCくん、君の提案だけど、いまいちよくわからない。現状の設備に手を加えるだけでどうして3倍も生産できるんだ?

ここに装置本体があるからこれを使って説明してくれないか。


  --C君の心の声(絶対この人僕の提案書読んでない!!)--


わかりました。それでは。

わかりやすくいうとまず2つの方法が考えられます。但し次世代の製品ではなく、現行機種の製品とそれ以前の製品を組み立てる場合のみと考えてください。


「?なに!」


次世代の製品は、いままでの素材と全く違うことが、技術系の報道で

記事になってます。今までの機械では作れない。それが理由です。


「で?」


まず第一に機械のスピードアップです。簡単にいうと機械だからもっと早く回せば早くできるということです。


なんだ、そんなことか。素人の考えそうなことだな。それでできれば誰も苦労なんかしないよ。車はスピードを出せば早く目的地につく。それと同じだ。但し精度なんかは出ないけどね、無駄足だったようだな

わかったよ。


まだ話は終わっていません。次にこれを見てください

これは最新式の機器の機械図面です。次はうちで使っている旧機種。速度は最大5倍程度生産能力が違います。


これを見るとわかりますがここの回転部分についているローラーがありますよね?これが回転部分のブレを抑える機構部品です。つまりこれをつければ同程度の生産が可能になるというものです。しかもこれはT社からの供給品で、単体でも購入可能です。それをつけるんです。


装置メーカーの保証はなくなるぞ、大丈夫か?


さらに旧機種のテーブルにはまさにそれをつけること前提としたねじ穴がすでについてます。あるあるですけど 最高性能の機械を作っておいて、部品を外して高性能機と標準機として売ってるんですよ、しかも

後からでも追加可能なオプション部品としてメーカーが案内してます。だからメーカーに設置してもらえば何の問題もありません。


でも5倍といっても製品の切り替えなどには調整でラインが止まる。止まる時間を考えると平均3倍は難しいんじゃないか?


第二にバッチ処理を増やす、または最大化することです。


「何だバッチ処理って?。」


--心の声(バッチ処理知らない?ホントに生産技術管理部の人?)--

    

実際どうするかを説明しますね。この設備は1サイクル1個つまり一個づつしか加工できませんが、製品をつかむ、加工するその直線状に3個づついっぺんにできるようにそれぞれアームとベットをこのように配置します。

そして、3個分のスペースごとに製品を動かすように機械を調整します。このようにすれば、理論上5倍×3倍で15倍の能力向上が見込めます。

実際は回転速度を少し落とさないと調整に苦労するでしょうし、僕が思うのには大体10倍くらいかなと。

しかも追加のアームなんかは保守部品としてストックしている分があるでしょう?それをそのまま使えます。でも部品が消耗していくのは同じだから、ストックは必要です。今はよくわからないから大量のストックがあるけど、実際には故障頻度を調べて、その2~3倍程度の部品のストックで十分でしょ。他に使う予定なら、わからないですけど。


次に最大化です。


製品をこのように加工する行程で使っている機械ですけど、見方を変えれば単体なら寸法も一緒のものを沢山欲しいわけですよね?

それなら長いものを作って切り出せばいいじゃないですか?まるで金太郎飴みたいに。でもそうはいかない。一つ一つが精密な電子部品だからですよね。


「一体何を言いたいんだ!よくわからん!さっさと要点を話せ!」


つまり部品どうしが干渉しないようにする最低限の隙間を開けてショートしないように絶縁物ゴムなどでつかんで処置する。

この機械で最大限一気に処理できる数は計算できるということです。僕は計算が苦手なんで、、職場の後輩に計算してもらったら20個同時に処理できるそうです。

つまり理論上この機械、いやこの設計での最大値は、100倍まであげられるということです。

勿論実際は、最大値までできるとは思いません。もう少しスピードを下げないといけないかもしれませんが。


(顔を真っ赤にしているK山)


何を言ってるかわかってるのか、お前! いや、できたとしてもメーカーとの契約違反だ!不適切な改造など言語道断だ!誰が設計するんだ そんなもの。メーカーに頼ることなどできないぞ。自分でやれるのか?責任はとれるのか?無理に決まってるだろ。

それに他の行程はどうするんだ?。どうせ何も考えちゃいないだろ!


僕の提案書が他人任せに見えることは仕方がないと思います。

でもほとんどの問題は実際給与が低いことに変わりないです。

そして問題解決には生産性向上が絶対条件で、且つそのうえで人事の評価などいろんなことがあるでしょう。

しかし、例えば1工程には車のことが得意なA君がいます。彼は製品の特徴をつかんで扱うのがうまいからそつなく仕事をこなしているし、

2工程のFさんはメカに詳しくて、製造装置メーカーの担当の人が、舌を巻くくらい知識があるし。

生産技術の人や、技術部の人も本音は反論できないから、あの人に近づいて話すことなんてないでしょ?。3工程にE君がそして、4工程には一緒に働いているM君が、目標達成に執念を燃やしているかのごとく真面目だし、唯一の大卒のHさんはコンピュータが得意だし。

でも僕が提案してもみんな(そこまでやるかー、もっと評価してくれればなー。こんな給料じゃやる気おきないよね!)といってますよ。

僕も実際給料に不満はありますけど。生産性が高くならないと給料上がらないじゃないですか!

出世していくのはA君やE君、M君のような人たちでしょ。

でも他の人はどうなります?当然僕も含まれるわけですけど。


「お前ちゃんとわかってんじゃねーか。AやE達のように黙ってやってりゃいいんだよ。」


でも、それでも僕は不満です。毎日残業残業で何がいいんですか?安月給で。それでも普通に考えれば、生活にいっぱいいっぱいですよ。このままじゃ希望がなさすぎますよ!


「人生そんなもんだよ。俺だって残業くらいしてるさ。」


人が知らないと思って言いたい放題ですね!!K山さんあなたは、ちゃーんと計算して評価につながるように、課長と相談して負担にならないように調整してるのは、おばちゃん達から聞いてますから。


「なんだと、お前バラすんじゃねーぞ!!」


別にそんなこと公然の秘密ですから、いまさら言ってどうなることでもないでしょ。


加えて言えばですね!!


「お前もしつこいな!もういいんじゃねーか!」


いえ、この際ですから言わせてもらいます。なんだかんだいってもあなたは責任者だ。今まで言って変に思うかもしれませんが、あなたを軽んじることはできません。


「はあ?お前ふざけてるのか!?」


真面目に考えてくれると思っているからこそ、洗いざらい話しました。


「ふん!おれはお前の親友じゃねーんだぞ!!口の訊き方ってものを知らねーのか!」


あなたが技術や現場のことを知っていればいるほど会社がよくなるのは当たり前のことですよね。


「そりゃそうだ!だったら俺をもっと尊敬しろ!!」


尊敬してますって。で、こんな情報知ってますか?先日の日本○○新聞に掲載されたんですけど。今後装置メーカーは顧客の不満解消や効率化に努力すべきです。って書いてました。そこで僕の数少ない友達にその件を聞いてみたら、装置メーカーは不具合や使いにくいなどの情報があったらすぐにきますから、どんなことでもいってくださいと言ってくるそうです。友達がその理由を聞いてみると、それが完成度の高い製品を作ることにつながるから、別のメーカーに売り込めるチャンスになることもあるので、今までと違って情報収集に躍起になっているそうです。

これが何を意味するのか、K山さんならわかりますよね?


「そうか?よくわからんが?」


あれ!えーとこの話にでてくるのはH社で、今まで他のメーカーで作っていたものを自分ではあんまり開発はしないが、グループ会社から図面をもらって作って売っている。価格は若干安い。装置開発は依頼元が生産方法の特許を出すことがあるので、よっぽどでないと訴えることはない。そもそも製造装置はよっぽど特殊なものでないと特許権侵害と認定しにくい事情がある。H社はあまり受注していないが、一度受注したら同じ機械でも、なぜか信頼度が非常に高く、先発メーカーが作ったものより評判が良い。そのメーカーが本気になって開発に乗り出した。

現在の取引先はHMG社で開発力とサポート力が特徴だが、時々H社に仕事をとられている。HMGは営業案件では非常に強力にサポートするが、購買が絡みにくい(改造、試作など)ものについてはほとんど非協力的なメーカー。この2社により・・


はい、そこまで。つまりHMGに頼みやすい状況になったから試作を頼んで見ろということだな。しかしそういった機械は本当に特許とか関係ないのか?一度別のメーカーに相談したことがあったが、まったく違う方式で組み立てる機械を、図面上だけで説明された。能力は非常に高い機械だそうだが。


それはそうでしょう。同じ機械を黙って作って販売するなんて、同じ業界で仕事してるんだから、プライドが許さないでしょうし、方法はいろいろあるんだから、得意な方法でやるでしょう。それは当たり前です。

しかし、同じやり方の延長線上でつくるなら、誰が考えたってそのほうがいいでしょう?実績があるんだから。だからちゃんとメーカーに相談しながらやるんですよ。 特許の件は、専門家の意見を聞くのが正しいとは思います。しかし、実際はほとんど問題になっていない。だからです。

それにです、今回のことでお金が会社から出ますよね。社長も言っておられるように。各行程の優れた社員の協力を得られる、チャンスではないかと思うんですよね。最初で最後ですが。それもK山さんの指示で。製造力3倍のチャンスだと思うんですけど。


「お前んとこの100倍もチャンスだと思うか?」


「それは正直かなり良くできても80倍くらいかと思います。」


「それをやらせるわけにはいかないな!」


「どうしてですか?、通常の小ロットでの生産が多い今の状態では、確かに無理でも、今回のように同じ製品を大量に作る場合は十分可能だと思いますけど。」


「うーんやはり無理だと思う。」


「どうしてですか?」



「やはり若いな君は、まあ仕方ないか22歳だもんな。」


「!!!???」


まずこんなに生産性が良すぎると残業が減ってしまう。組合が黙っていないだろ。次に今回の生産を見越してメーカーに機器が発注済みだ。今更キャンセルはできんよ。

それに今回のことで社員のみんなには沢山稼いでもらわにゃ自信もつかんだろ。それとな、大きな声では言えんが、俺なんかもう丸々会社に内定が決まってるんだ、これ以上の生産能力増強の改良はしない前提でな


お金ですか!!


まあそんなに目くじら立てんなよ!お前には少し手柄を譲ってやるから


実はこんなことは技術屋なら、ある程度できるのはわかってたんだが、その場合 現状の1.7倍までなら認めると装置メーカーとの約束があるんだ。だからそれを譲ってやるよ!


つまり、中級機の性能が2倍だから、それに近い性能の改善を現場で 頑張ってやりました。ってことですか? それでわかりました。中級機の図面を問い合わせても、基本的には同じなのでと言われたのは、そのせいなんですね。つまり現行機をちょっといじるだけで、性能は2倍になるわけだ。K山さん僕は、それで多少のお金をもらっても、正直あんまりうれしくないです。80倍できるのに、ちょこっといじったくらいで、私たちは頑張りましたって言うんですか!!


何だと!生意気な!お前どこまで調べやがった。バラしてみろお前をぶっ殺してやるからな!!


いえ!全くいうつもりはないです。むしろ僕が間違ってて、K山さんが正しいことがよくわかりました。生産性が上がってもみんなの給料が減っちゃうんじゃ意味ないですよね。むしろK山さんを尊敬します。

男の約束です。こんなことで男の約束だなんて正直いやですけど。


わ、わかればいいんだよわかれば。ふー。思わす興奮しちまった。

まったく珍しく現場から。すごい提案がきたから見てほしいとは言われて、現場の人間なんてたいしたことないと思って気にしていなかった。それが今回は社長がいうから聞いてみたわけだが、正直予想の上をいってたな。よし、男の約束のお礼にひとこと お前、カッコいいぜ!


K山さんに言われてもなー!社内の女子に言われたら俄然やる気がでて、もっとがんばっちゃうんだけどなー!

 (小声で一言)「まだ頑張るのか」 


話を戻そう。お前はどうもやり過ぎるきらいがあるようだから、少し話しておこう。細かい提案はあればあるほど良いどんどん提案しろ。しかし物事を前提から覆すような提案はよく周りのことを考えて提案

しろ。しかし期間や範囲が限定される場合は、有効なら躊躇なく実行しろ。矛盾しているようだが、周りを考えすぎると本当に自分のことを守れない。自分を守れないやつについてく人などない。

極端な例だが

お前が自分の命を懸けて人を救ったとしよう、お前は死んでしまった。ご両親や兄弟は悲しむだろう。お前に救われたものも感謝の気持ちをもっても相手に伝えたくても伝えられない。結局救われた相手にまで

心に重いものを背負わせてしまうだろう。

だから、もう無理だと思っても決して生きることをあきらめるな。

周りのためにも、自分から立場を捨てたり、気に入らないからと言って金はいらないなどと格好つけるのはやめろ。お前が捨てたらお前がいらなくてもみんな欲しいんだよ。お前はみんなの先頭にいるんだ。お前が捨てたら後に続くものも捨てなきゃならないこともある。恨まれるぞお前。先頭に立って堂々と戦って成果をもぎ取れ。成果をとったら悪いなんて思うなよ。逆だ

成果をとったら喜ばれるんだ。


世の中の人間はもっと俗物なんだよ。お前と違ってな。


あと装置メーカーの件。お前のことだから装置自体かなり高額なことは知ってるよな。しかし何もなければ何年も使えるし、会社には保守担当者がいるものだ。お前が装置メーカーだったらどう考える?苦労して作った機械が納品されたはいいが、その後全く注文がなかったら?だから最先端の機械は理由があるまでは次の出番を何年も待つんだ。

何年か過ぎて、新しい進んだ機械を買ってもらうためにな。できれば定期的に交換してくれると助かるだろ。買ってくれるものがないとメーカーはつぶれちまう。だから世の中最新鋭の機械だけでは成り立たん。なんでもほどほどがいいんだよ。


しかし、お前よくこんなこと調べたな。普通の人間はおろか俺たち生産技術管理課でございますーなんていっても、こんなに調べたりしないし、知ろうとも思わない。お前の原動力はなんなんだ?


僕は小さい頃から小遣いもないし、欲しいものは買ってもらえない。アルバイトも禁止でちょっとひがんでました。それでもあるとき親戚の家で、古いテレビが物置の中に入っていてくれるっていうんで、もらってきたんです。家に帰って電源を入れるとなんと使えたんです。でも古いから時々おかしくなる。ある時は、自転車が欲しいと思ったとき、買えなかったことがあってその時は、持っていたんですけど、親が親戚の子にあげちゃってなかったんです。

それでゴミ捨て場に落ちていた自転車を拾って直して使ってました。こんなことを繰り返していくうちに、古いものでも最新式の機械じゃなくても工夫次第で十分使えることに自然と気が付いてそれが楽しくなってしまった。それが原点だと思います。


いつも自分で何とかするしかなかったので。今回も調べていたら、できるかもしれないと思ったので、やろうと思ったんです。

しかも自分どころか周りも一緒に給料が上がったら気分いいだろうなと思ったので。同僚達と話すと車を持っている人同士では車のここがいいとか話すのに、僕には、お金がなくて大変だとか、常日頃から言っていたので。解決できるんじゃないかと思いました。


でもさすがに100倍能力向上できるかもしれないと思ったときは、どうなるんだろうと心配になりましたけど。


で、内容をまとめて提案したと?


恐ろしいやつだね、お前。本気でそんなこと考える奴なんか、お前のほかに知らないわ。危ないやつだなお前。別の意味で。


うーん!お前にはもう一つ教えておかないとあぶないな!!




技術革新について


技術革新には革新その物を進めるより、必要とされる社会状況を作るか、必要とされる環境を醸成するほうが大事なことが多いんだ。

いくら革新的でも、みんなが買ってくれないと仕事にならないだろ?

自社で特徴的な製品を作れる企業や、宣伝コストなど低負担でできる企業は別として、一般的には、協力会社や下請け、中小企業などではその影響をまともに受けてしまう。

たとえて言えば、あと5年後にライバルが増えてきて、もっと安く、沢山作らないと会社が大変なことになる。といった時とか、今まで作っていたものは陳腐化してしまい、売れなくなった時などだ。。

その時に初めて、革新的な製品や、製造装置などが求められるが、十分に準備してないとその会社は終わるだろうな。

今回の話で言えば、100倍はやり過ぎだから、100倍はとっておいて、周りが50ぐらいになってから、100倍を提案したほうがいいという話になる。 

しかしだ、お前自身が言っているように、次世代の製品に変わったら、今のアイディアも無駄になりかねん。それどころかそのうち、同じアイディアを考える奴がいたり、今のアイディアを後になって、応用して実績にする人間も出るかもしれん。

そしたら、報われないのはお前自身だろ?だから期間限定とか、ここの場合だけなら、業界全体に悪影響が出にくい場合に限って言えば、実行してしまったほうがいいかもしれない。

今はお前の提案には賛成できないが、この3か月の中で、何が起きるかなんて、誰にもわからない。早急に必要になるかもしれん。

俺がいうのも変だが、諦めるなよCくん。いや、諦めるなんて覚えなくてもいいかもな! なんでもそうだが、最後までやってれば何かしら結果はでるもんさ!!


いろいろ本気になって取り組むのはいいと思う。しかし最後まで   やり抜けよ、もし途中でやめたくなったら本当にダメなのか、じっくり考えて後悔のないようにな!!


お前は大人としての人格が固まってないようだから、なるべく沢山意見を聞いてからじっくり考えろよ、そして目の前のことにとらわれ過ぎず、話すことが大事だと思う。しかしそれも100%とは言い切れない。両方みて冷静に判断するのがいいのかもしれない。

   だからとりあえず勉強と研究はしとけよ!

   ・・・・・・・・・・・・

さて、K山さん!! これでどうあっても生産力3倍ができないなんて言わないですよね!!

やはり僕の見立ては正しかったようですね。K山さん、あなたは、実は本当に真面目な人なんですね!!

僕にこんなにアドバイスまでしてくれて、とてもありがたいです。

 (ニコニコしているCくん。きょとんとしているK山)


え!? あ!? あああ!!


(しまった、やられた。生産力増強はしない約束なのにここまでいって しまったら、今更出来ないなんて言えっこない。)


しかし、俺の再就職が・・


大丈夫ですよ!! 実は社長がこんなこと言ってたんです。

でも、K山さんが聞きたくないなら、話はしません。どうしますか?


どうもこうもないだろ、是非聞きたいね!なんて言ってたんだ?




Cくんと社長の会話


食堂でおばちゃん達と話をしているとき、いつも社長と専務は隣で食事してるでしょ。その時社長に声をかけられたんですが、

「Cくん、たまにこっち来て話でもしながら、食事しないか?」

 で、一緒に飯食ってたんですけど、社長が

「Cくん実は非常に不快なことがあったんだよ。」

「いや、社長のお悩みなんか、僕が聞いても。」

「実はK山君を、特別に給与5%アップの破格の条件で引き取りたいと、’丸丸会社の部長さんから連絡があったんだよ。」

「待ってください。いくらなんでもこんな所で言わなくても!」

「いいんだよ。これは私に対しての最大限の侮辱だ。K山君にとっても、 従業員のみなさんにとっても    ね!

 ただ個人のことであるがゆえに、全体に話すようなことでもない。

 だからここでCくんに話すんだ。

 私としては、今まで通りだったとしたら、K山君には会社の役員として推薦するつもりだったんだ。

 なぜならば、当社の技術を管理する立場の人間というのは、会社のほぼ全てに関わっているといってもいい。大変重要な仕事なんだ。 技術、営業は勿論、売上、資金繰り、従業員の待遇に至るまで。

 だから言ってやったんだ。当社の生命線ともいうべき人間を、たった5%アップ?冗談でしょうと。

 そしたら先方がいうんだよ。理解はできます。相応の実績があれば納得はできますが。とても現状では! だって。


 だから私は言った。K山君は御社で再就職できなくても、彼の実力からして、私自身の紹介でいくらでも好待遇の職を紹介することは可能だと。

 しかし、やはり慣れた職場のほうが、彼としてもやりやすいだろうし、 K山君がもし本気を出したら、いったいどんなことになるか! あなたは知らないから、そんなことが言えるんでしょう!

だから今回仕事で証明してあげましょう。それでも5%アップとおっしゃるのなら、通常では介入しないが、彼のために別の職場を紹介することにします。と。

たった5%アップなんて彼にふさわしくありませんと。何かK山とお話しされているようだが、そんなことは関係ない!見ていてください!と言ってやったんだ。」


社長はちゃんと見ていたんですね!だから思い切ってやっちゃってください! あなたの実力を証明する、チャンスじゃありませんか?


少し考え込むK山だったが、やがて何かを決意したかのように、真剣な顔を見せた。


社長にもバレてたんだな。従業員のみんなにも・・・

考えてみれば、一人だけ安全パイをつかんで、いい気になってたのかもしれない。よし! いっちょやるか!但し、俺がやるのは4倍だ!!


ええ!そんなに仕事受注できるんですか?


やっぱりお前!俺をなめてるだろ!バツとして現場からお前を外す!

そして今日から俺の奴隷だ!!

 

(その時内線電話が鳴る。)

4工程のMですけど、Cくんが戻って来ないので、今日はもう退社扱いになりました。そのまま帰って結構だそうです。

そのかわり、明日Cくんは遅番でしょ?深夜2時までの勤務のあと、4時間分残業してくださいと係長の指示です。といって電話が切れた。



K山さん!話が違うじゃないですか!!


何が?、正式に辞令がでてから、俺の部下になってからなら、現場のことは関係ないが、お前は現場の職席なんだから、ちゃんと責任を果たさなきゃいけないのは、当たり前だろ!


(明日は残業かー!疲れるよホントに。)


(K山) おっともう午後8時だ。今日も残業になっちまった。異動の件はお前が生産数量のノルマを達成してからな!


Cくんは次の日の残業をしてから、あくる日有給をとった。


結構ヘタレなCくんは残業が苦手で、生産性向上の提案も、半分は、残業をしたくないから考えたのかもしれない。


※ 産業機械は、現場で改造したり、応用したりすることは、まれにあった。必ずしもできないわけじゃないし、やろうと思えばいろいろできるけど。あんまりいじり過ぎると後で面倒見てもらえないが、一度買ったら依頼することなんてほとんどない。ちょっと聞くくらい。開発して作ってくるんだから、お金次第でできることもある。決まった製品(汎用機)だって、機械屋さんに相談すれば解決策くらいアドバイスしてくれることもある。それでできないなら、自分たちでやったほうが早い、内容によるが。古い機械とかじゃないとなかなかできないが、内容次第では、やってもらってよくなることもあった。機械屋さんやメーカーへの細かい改善依頼は、結構大変だ。物によっては、「最初から自分でやったほうがいいのでは?」そういうこともあった。今はどうなんだろう?

昔はつくれればいい、という機械も多かったから、その余地もあった。

今は高度な技術を使ってるから、かなり研究しないと出来ないんだけど。

改善提案の余地は今はないのだろうか?出来ることもある。と言いたい。

契約で縛られていなければ。


--もう一人の専務さんからの連絡「なぜ?」--


あくる日、K山が事務所で人事関連の処理をするため、仕事に没頭してると、丸々会社から郵便物が届いた。K山は違和感を感じた。それは通常なら一円も金を払いたくない部長の指示で、お互いの文書のやり取りは資材と製品をピストン輸送するトラックで運ぶから。それにわざわざ受領書までつけるから、郵便より間違いがない。

郵便物を開けようとしてると、タイミングよく?電話がかかってきた。

「K山さん!丸々会社さんから電話です!」

 はい、ありがと。そう言って電話に出た。


 はい?もしもし?○○会社のK山です!


 やっとつながったか!君がK山君だね!私は丸々会社の専務取締役の○○です。うちの部長がお世話になってます。


 専務さん?部長の上司の方ですか?わざわざありがとうございます。 しかし、今日はどのような御用向きですか?普通は部長さんがすべて ご指示頂くんですけど?


今日は部長はそっちにいってるかい?


いえ、朝一番で帰られました。御用でしたか?


いや部長は居ないほうがいいんだ!実は今緊急事態といってもいい。特に君たち社員にとっては、とても危険な状況にあるんだ!


なんですって!それじゃあ部長さんにすぐ連絡しないと!


連絡されたら都合が悪いんだ!いいかい?よく聞いてくれK山くん!うちの会社でリストラ騒ぎがあるのは知っているね?


はい、そういう噂があることは、うちの社長から聞いてます。


それは単なる噂じゃないんだ!もう計画されて実行段階にある。うちの会社としては海外進出に向けて国内の工場をあちこち閉鎖して移転に備えている。優秀な人材を残すためにね!


うちの会社では社長と私、そして△△専務と部長が対立している。しかし、今年株主総会に向けて利益を大きく出すために無理なリストラを実行しようとしてるが、私と社長は大きな利益を出す計画の準備

がなかったため、責任を問われることになると△△専務と部長に押し切られてしまったから、リストラをすることになってしまった。


はい、難しい事情があることはわかりましたけど、でも俺たち社員は継続雇用されるんですよね?


それは確かにそうだが、でもそれだけじゃない。君たちはいずれほぼ全員他県にある工場に転勤させられるだろう。そうすればほとんど退職するしかなくなるだろ?それはちゃんと調べがついてるから。

それにどう考えたって、今の3倍の生産なんて出来るはずはないだろう。

部長の計画では、生産ができなければ、非常に重いペナルティがあることになってる。下手したら、君のとこの社長さんは借金まみれになるだろう。その代わり、引き継いだうちの会社ではただ同然で製品と工場設備を手に入れる。ただ手に入れるんじゃない、償却資産としての価値はそのままに。つまり、これ以上考えられないほどおいしい条件で手に入れるから、3~4か月で業績はV字回復する。そういう計画だ!


そのツケは今の君たち社員と今の社長さんに払ってもらうということだ!私と社長はまさかこんな条件で仕事受けるなんて思っていなかった

から、工場と設備の分は資金を準備してたら、△△専務がもう契約が済んでいるから、必要ないといってきた。調べたらちゃんとできてたから、急いで電話したんだ!今ならまだ間にあう!君から社長さんに話して無茶な契約を変えるように話しなさい!こっちは社長に話し通しとくから。大丈夫!中小企業の方々はよく理解しないでやってしまったとかいって何とかしてもらうから。下手をしたら社会問題にされてうちの評判は地に落ちてしまう。こんな無茶なことは今すぐやめなさい!


K山は、静かに話し始めた。


・・・・・・普通なら。


なんだって!急ぐんだ!△△専務に邪魔されないうちにやらなきゃならない!!


まあ、そうあわてないでくださいよ。普通ならいきなりこんな話。詐欺かなんかだと思うのが普通だと思いますけど。どう思います?専務さん?


まあ、それはありえるかもしれないが、しかし冗談じゃないんだ!


俺は、あなたの話を信じるしかない。それはうちの事務員と、お宅の受付嬢が無二の親友で、きちんと話をつないでくれていることを知ってるから。

一つ聞きます。部長さんは目標は達成しなくても悪いようにはしないと俺に言いました。それは嘘なんですか?


残念ながら、それは嘘だ!計画はきちんと書類にして役員会に出された正式なものだった。そこにはそんなこと書かれていない。だから実行はされない。だから間違いなく嘘だということだ。


・・・・・そうですか。


で、これは仮の話ですが、ちゃんと生産して納品したら、そちらに迷惑になることはあるんですか?


何を言ってる!でもまあそうしたら、迷惑どころか取引先から感謝されるだろう。品薄で生産終了予定だからな。

部長の話のようないきなりV字回復なんてしないだろうが、それは予想してたことだし、君たちがそんなに頑張ったら、周りの関連企業でも発奮して頑張るだろうし、幹部ももっと尻たたいて仕事させるだろう。だからいい影響が出るんじゃないか?


そうですか・・専務さんの予想で大きな間違いが一つありますよ!


なんだって!


俺たちは、前月比で400%の生産計画を立てて今準備中です。そしていきなり初月から300%以上で生産して納品しますよ!

でも、納得できないことがある。それはすぐに会社を譲ってしまうのに、多額の資金で生産設備を導入しなければならないことです。


だから、お願いがあります。もしちゃんと生産したら、設備投資の契約は丸々会社さんとして、きちんと契約してくれませんか?


・・・・・すぐには返事できないな。


今すぐでなくて構いません。最初の月にちゃんと納品できたことを確認できてからでいいですから。


わかった。約束はできないが、社長と相談してみよう。それでいいか?


構いません。でも是非そうしてください。そうすればきちんとした形で会社を譲り受けたことになりますから、皆納得できるでしょうし。


うーん!これはある意味困ったことになったな!でも方向性は悪くはない、いい影響があるだろうし。うまくいけば業績は上向くだろう。

さて、それじゃあ一度電話を終えたら、相談するよ。ではK山君、また連絡するから! それから、荷物は今回の計画の内容だ。

社長さんにみせてから、処分してくれ!バレると社長と私が責任を問われてしまう。口頭だけならなんとか言い訳もできようものだが。

それじゃあ頼んだよ!


そう言って電話は切れてしまったが、K山は書類を開いて読みながら難しい面持ちで考えていた。それはそうだろう!厳しいときもあったが、もう少しで10年になる。これだけ付き合って懇意にしてきた会社から、まるで詐欺同然に扱われて裏切られてしまうんだ。

400%UPなんて計画してたからよかったものの、もし何もしていなかったら、社員は結果的に路頭に迷ってしまうだろう。全員ではないが。

ほとんどの社員は、単身赴任などできない家庭環境だったのだから。

もしうまくいったとしても、今後部長との関係はどうするか?

それを考えると気が重くなってしまったK山だった。


話はCくんの自宅に移る。普通ならゴキゲンで趣味の機械いじりしてるか、音楽でも聴いてるかだったが、そんなことを考えられないくらい、自分を追いつめて仕事に向かおうとしていた。

そうでもしない限り現状を打開するなんて、できる気がしなかったから。

もっと時間があれば・・そう考えたかったが、余計なことを考えると落ち込んで話もできないくらいになりそうだった。あの時みたいに。


もうこれ以上待ってられない!今なんとかしなくちゃ!せっかくここまでやってきたんだ。もうあんな思いは御免だ!

おそらく、もうこれ以上は何をしたって、自分の思いは変えられないし、仕事を変わったところで意味はない。もう元には戻れない。


あの時の、幸せな気持ちはきっと幻だったんだろう。だからもういい!

あとは自分のできることをするだけだ!ここから離れられないなら、ずっと思い出して、忘れられるなんでできないだろ!Mくんや係長には悪いけど、あとは生きている人に任せるしかない!大体仕事や、改善方法は教えたし、もう僕がいなくても、回せるだろう。だからなんとしてでも、目標を達成して、みんな本社勤務になれば、僕はもう離れられる。そうすればもう・・・・


Cくんは何か思いつめたように考えていた。

きっと彼らが幸せになりさえすれば、これ以上生きていることはないだろうと、自分の役割はやっと終わるんだと。そのためには死にものぐるいで、頑張るしかない。でも、自分の決意は知られてはならない。

それ以外に、穏やかな気持になれる方法はないと思っていた。

具体的に何をどうするか?自分の人生について、考えたくなかった。

でも、せめてみんなの笑顔を見ながら、終わりたかった。

その時、ふと部屋を見渡すと、ワープロで作ったA4の用紙に書かれた文章が目に入った。苦しいときに助けになった言葉、いろんな言葉を組み合わせたり、考えたりしてやっと作った言葉だった。


「全てがなくなってしまい、希望がなくなって、絶望してしまってからでも、できることはあるはずさ。なぜなら僕はそうやって生きてきたから。」


彼は思った。「なんだ、苦労して考えた割には、どこかで聞いたことあるような気がする」


いま絶望してる。間違いなく。でもやはりやれることはあるんだ!

だから、やる! そうすれば何か感じることがあるはずだ!

それでいい!


結果が出たって、うれしくなんかない!でもよくわからない。やはりお金があったほうがいいのは、確かにそれはそうだ!

でも今更、何をしようか?いいや、もう考えるのはよそう。機械か!まあ、現場の人よりは好きなことは違いない!でもそれだけでこれ以上は生きてけない!今まではそれでよかったけど。


全てが終わったら、やっと会社を離れられる。そうしたら、いいことあるかなあ?


Cくんは一人、思いを巡らして、考えてた。というよりも楽しいこと考えたかったけど、今の彼には何もなかった。もうやることは決まっている。仕事を達成するということ。考えながら、眠りについた。


あくる日、Cくんは日勤のため普通に出社すると、係長と製造課長と隣のラインからよく知った人物が職場にいた。

係長は言った。

今日から、彼にここの仕事を覚えてもらう。但し3日間だけだ。それで十分過ぎるだろう。Cくんはシフトを少し変えて彼の指導役だ。

その後、間接部門の生産技術管理課へ異動となると思うが、こちらで人が足りないときは、現場に入ってもらう。それに加えて隣のラインは君は覚えなくたってできるだろ?ほとんど同じで、ちょっとだけ違うだけだし、そっちの応援に行った途端に、そっちのラインの改善提案だしたくらいなんだから。


隣のラインから来た彼は言った。


宜しく!ほとんど一緒だけど、指導宜しく!係長補佐のCくん!


Cくんは、機械に詳しかったから、勝手に係長補佐って言われてた。そしてこっちのラインの機械は旧式だったけど、改造して同じ精度、同じ機能にしてしまっていた。だからあんまり教える必要がないほどだった。保守の人間も入社したとき挨拶に来たけど、大卒の彼よりCくんのほうが詳しかったから、後に来ることはなかった。


じゃあ早速機械の動作でもみててよ!ほとんど一緒だから。


彼はしばらく機械を見ながら、材料を補充して質問をしてきた。


ホントにおんなじなんだね!でも周りについてるセンサーとかはいったい何のためなんだい?


まあ、一応いっとくと、こんなことは答える人はこの会社にはいないと思うから。僕以外に聞いても答えは返って来ないと思うよ。

その上で言うと、それは旧式の機械を作った時に、いろいろと不具合を検知しようとして、努力した結果、残ってしまったものだと思うよ。

メーカー担当者の努力の足跡なんじゃないかな?


ほとんど一緒なんだから、向こうのラインと全く同じにすれば故障だってしないんじゃないか?あっちは問題なんてないんだから。

それにこの一番古そうな機械は、歯車ひとつ少ないくせに、ちゃんと動いてる。これはなんで?


基本的には君の言っていることは正しいと思うよ。でも制御系を一新するには、いろんなタイミングとか違った得、壊れちゃうことがあるし、

古い制御機械は壊れたとき、一部だけ交換すれば治るから悪いことばかりじゃない。それに向こうの係長は調子が悪いときすぐ部品交換して直してしまうから、僕みたいに壊れにくくしようとは考えない。だから改善提案を出してこない。でも故障はしてる。

それと、もともとこの古い機械はまともに動いてなかった。その原因は機械屋さんが作ったものだから、電源系が安定しなかったから。でもそれを機械のほうで解決しようとしたから、ダメだった。

機械が壊れたときに、モーターを交換してて、それが分かったから、電源ユニットを僕がつけた。ちょっといいやつを。だから機械部分で誤差が小さくなるように設計された機械その物でなくても、ちゃんと動く。根本的に直したから。どう?これで納得した?


じゃあ、改善提案以外にも機械をいじくりまわしてるんだな!


そういうこと!でもちゃんと結果は出してるよ!だから今のところ文句は言われてない!

あと、この機械は動きが悪いときは、そこに関連した部品を交換するだけで元通り動く。

それはこの電気図面をみればわかる!だからそんなに難しくない。

でももし、制御系を直そうとすると、きっとメーカーは嫌がるからできないだろう。新しく機械を買ってくれって言ってくるだろうから。


それに、機械部分が摩耗したときの対処方法も僕が書いておいてるから、それに従ってやればちゃんと直る。向こうの機械も同じだから、できるけど、向こうの係長は部品一式を交換して直して貰うようにするんじゃないかな?でも僕は気にしない。それは誰でもできることだから。


彼はCくんの言葉に黙ったまま何も言わなかった。


どうかした?何か意見でもあるならどうぞ!別に言いつけたりしないし、僕はあんまり気にしないから。


・・・なんでそこまでして機械を直そうとするんだ?あっちのラインで仕事したほうがいいだろ?あっちが今後メインだし。


なんでかな?でもお金なんてほとんどかかってないよ。数百円くらい?そんなに気にするほどじゃあないと思うけど?

それにあっちは最新式な制御装置「プログラムシーケンサー」を使ってるから、壊れないのはわかってるけど、夜中に壊れたら次の日までなにもできないだろ?でもこっちの機械は修理できるからしてるだけ。


でも自腹だろ!わざわざするほどでもないと思うけどな!


よく聞くと、実は会社で買ってもらえない部品もあって、高いものじゃなくても、製造課の課長や係長が自腹で買っているっていうことがあるから、どうせなら安くて信頼性が高い部品のほうがいいだろ?

だから自分で準備したんだ!まあ君には関係ないから、お互いに何か批判でもしようってことじゃない限り、問題ないだろ?調子はいいと思うけど?君に買ってきてくれなんていうつもりもない!でもあとで必要になったら、係長に言えば問題ないから!部品のリストも作ってあるし。


それはよくわかった。でも係長補佐さん、あんたは残業しないって皆に

言われてるぞ!なんでしないんだ?


そう?言われればちゃんと残業してるよ?でももしかして言われなくても残業ってするものなのかな?


そうじゃなくて、ほら、周りが残業してれぼみんな残業するだろ?


よくわかんないな!必要だから残業するんじゃない?必要もないのにすれば、ただの会社の経費の無駄遣いになるんじゃないか?

でもこれからは、残業はしたくなくても、今までとは違ってできるだけやらなきゃならないことはわかってるさ!


彼は黙って現場にきた製造部長のところに行って何か話してた。ちょっとの間、何か命令口調で部長は話してるのはわかったが、最後にCくんのほうをみてニコッと笑った。ちゃんと仕事するかどうか心配だったんだろう。もしかしてこの当時はできるだけ残業して生産する感じだったから、ちゃんと目標をたててやるなんて、孫請け会社では、しなかったかもしれない、だからそれがわかっている人間は残業

しなかった。しかしちゃんと目標に従ってする残業はやったから、

それに製造部長は気が付いたから、笑ったのかな?


あっという間に、3日間が過ぎて、Cくんは初めて事務所に行った。

そこで課長から辞令を渡された。

生産技術課長はちょっと苦笑いをしながら、辞令を渡しながら言った。


K山くんの強烈な推薦があったから、今度こちらに異動になった。

こんなことは初めてだから、ちょっと緊張するかもしれないが、まあ、よろしく!君は本来は昇給するはずだけど、職席は前と同じ扱いだから、今までとおんなじだ!本来の意味では、僕の上司に君がなるということなるが、特に役職をつけないということで、今までと同じことになる。これからは大変だと思うが、主に君の上司はK山くんだ。

頑張ってくれ!



---作業者としての実力を証明しろ!!K山からの指示---


CくんはK山のところに行って指示を受けることになった。行くと、なぜか憮然とした様子でK山が立っていた。


おい!奴隷!お前あんまり評判よくないな!あんまり仕事しないって評判だぞ!だからお前にチャンスをやる!いいか、今から言うことをよく聞いておけ!


いいか?お前が真面目に仕事しないなんて、言われているようじゃあこれからの仕事にいいことなんてないぞ!皆にいろいろと協力してもらう立場なんだからな! だからこれからさらに3日間、今まで二人で

5台、面倒みてた機械を今度入ってきた機械と一緒に、一人で担当するんだ。本当に今の工程をよくわかってるのはお前だろ?他にいないしな。お前は研究室の彼にもアドバイスしてるだろ?でも現場はそんなことじゃあ納得しない!仕事をこなせないやつは説得力なんてないからな!


だからお前に指示を出す!作業者としての実力を証明しろ!!

わかったか!


Cくんは眠そうな顔をしながらこういった。


そんなことでいいんですか?じゃあ昼も機械を動かして、弁当でも食べながらやれば、余裕でできるでしょ?


なんだ、余裕な感じだな!じゃあさらに隣のラインの何台か担当して貰おうか?それと不良品は一個たりとも出すなよ!


それは無理でしょ?今担当してる工程ならまだしも、隣は新しい製品だから、前工程の化学反応のあとを処理しないと、どうしても不良がでるって以前提案して、処理方法も言ってあるはずですけど?

それと、そこまでやるんなら、目盛りつきのルーペをあと2,3個新しく買ってくださいよ!そうしないとうまくいきませんから。


なんだと!ちょっとまってろ!


K山は課長の所へ行って、話し込んでる。やがて話が終わってから、Cくんの所にきてこう言った。


今、話を聞いてきたら、確かにお前の提案はあったが、製造方法と品質管理の問題で結論がでてないから、それは出来ないそうだ。

だからある程度、不良は仕方ないんだと。まあ、お前のことだから、ちゃんと根拠はあるんだろう。でも俺としちゃあ、これを許可することはできないな!課長を差し置いてはちょっとできないからな!

それと、隣のラインまでお前にやらせたら、今度はあっちの係長の立場がなくなるから、やめてくれと言ってきた。

まあ、ここまで言って問題なくお前ができたら、何か文句いってくるやつはいなくなるだろう。いいだろう!あらためて指示を出す!


作業者としての実力を証明してやれ!! わかったな!


はい!


それから、お前は当たり前だが日勤のみだ!残業時間は俺と現場で機械の配置変更のために移送と配管の接続変更の作業だ!これは終わるまでは帰れないぞ!わかったな!


最後にいいこと教えてやる!HMGが全面協力を申し出てきた。だから例の100倍の設計と試作もやってくれるそうだ!よかったな!


そう言って話は終わったが、Cくんにとっては、時々不良が出てくる原因と対策を思いついた所だったので、テストするには丁度よかった。


次の日、Cくんは自宅から、大きな拡大鏡みたいなものを車に積んで会社に来た。捨てられたレントゲンの拡大鏡だった。

機械は破損していたが、壊れたところだけ部品を外したり、バリは削り取って、一応形にはなっていたが、何か変な感じだった。



ちょっと!誰か手伝ってよ!そう言って手伝ってもらってラインの前において電源をいれると、淡く光がでてきたが何かよく見えない。

Cくんは前工程からの材料を機械にかけた。そうしたら影だけが見えるとっても大きく。そこで寸法を計って映るところにビニールテープを張った。皆が興味深々で質問してきた。


これはいったい何だい?こんなもの勝手に会社にもってきて、いったい何をしようっての?


Cくんは言った。


これは拡大鏡で影だけが映るもの。材料のバラツキがわかるからこれを使って材料を分ける!そうすれば不良は出ない!


ちょっと長いものと丁度いいやつ。短いやつと三つに分ける。

そして一種類ずつ加工する。そうすれば、今までみたいに不良がでてから機械を調整する必要がなくなる。ホントはルーペを余計に買ってもらえばそれでもよかったんだけど。一人一個以上は不要だといって買ってくれなかったから、3か月だけ借りてきた。いいかい?よくみてて!


(廃棄物を貰ってきたようなものだったが、相手が勝手に人にやると あとで問題になるといけないからと言って、あげるのではなく貸し出 すという話になったから、借りてきた。ただしいじくりまわすのは問 題ないという実にいい条件だった。(昔は、廃棄物がでてきたらその まま処分しないで、外に放置することもあった。今ではちゃんと業者が引き取るけど。だから他人の目に止まることも時々あった。だから 頂戴!って言ってみたわけ!))



拡大鏡をみながら材料をわけた。 


おお!なるほどこりゃ見やすいな!


ね!これなら小さくて見にくい材料も簡単に分けられるでしょ!

目も疲れないし!


Cくんは一台ずつ機械を動かし始めて、7台目の時係長が来た。


これはいったい何だ!


これは拡大鏡です!以前言っていた通り、機械にかける前にあらかじめ材料をわけといたら、不良は出ないって言ってたでしょ!

だから持ってきました。だから今日から3日間は不良は出ませんよ!


誰の許可をとったんだ!


まあ、ちょっと待ってくれ!

(K山が話に割り込んできた!)

こいつに日勤のときだけ全部任せるっていう話だったから、係長!悪いがこいつの好きなようにやらせてくれないか?


まあ、K山さんがいうなら・・Cくん!終わったらちゃんと片づけるんだぞ!


わかってますって!


Cくんは作業をつづけた。しかし普通は0.4%から0.7%くらいは不良がでる。だから手直しがでてくるから、とても一人ではできない。しかし振りけてから、全くでない。お昼近くなると隣のラインから苦情を言ってきた。


おい!ずるいぞお前!こんないいもの使ってやれば、不良出ないに決まってるだろ!俺たちにも使わせろ!


いいけど、ちゃんとそっちの係長に聞いてよ!それからだったら構わないから!



隣の係長と、製造部長、こっちの係長、管理課のK山、午後会議になったみたいだ。午後2時ごろになってK山がCくんのところに来た。


おう!なんだか知らんが、お前が前に言ってたことは、実はみんな知ってて、自分で気をつければ問題ないとか言ってたようだが、本当は、今のままじゃできないって泣き言ってきた!今頃いうなんて全く!

だからすまんが、使わせてくれとよ!できれば3か月ずっとだと!


( Cくんはあきれ顔で )

だーかーら!言ったでしょ!でっかいルーぺあったほうがいいって!

(K山は笑って )

まあ、そういうなよ!お前が持ってきたやつが良すぎたんだ!それに普通は、夢中になって不良のことなんか考えもしないが、お前がやってるのを見て、不良が少ないことがいかに楽できるかわかったから、

それでうらやましくなって言ってきたんだろ!


しょうがないなあ!それじゃ隣のラインの間に置くとしますか!移動、手伝ってくださいよ!


わかったわかった!でもある意味良かったな!ちょっと反則技っぽいがお前の実力がひとつ証明されたようなもんだからな!


K山さん!そんなこと今頃言ってどうすんですか!もっと早くやってたら、みんな楽できたでしょ!


ははは!実際に見てみないと信用しないもんだよ!それに金がかからないほうが、いいと思うだろ普通!だから勘弁してやれよ!


そうして、その場は収まったが、まだ生産を大幅に増やしてなかったから、残業が減って一部の社員からは不満が出てしまった。

早く生産計画を立ててもらえばいいのだが。


残業時間になると、Cくんは慣れない仕事に手間取って、「おい!モタモタすんな!さっさとそこのピットを開けろ!」とか言われていたが、2日目の残業時間にはもう慣れてきて、前工程の係長とK山が話しているところに言ってきた。

「なにしてるんですか!そこは壁をぶち抜いてローラーをつければ、 そのほうがいいに決まってるでしょ!さっさとやりましょうよ!」

K山は唖然としたが、流石に文句言ってきた。

おい!お前!今までだいぶ楽してただろ!学生時代もさぼってたな!ちゃんと資格とってたら、とっくに俺んとこでコキ使ってやったのに! ヒマばっかしてるからこんなに改善提案出してきてたんだな!

ははは! 苦笑しかできないCくん。その通りだったから。

でもヘタレなのも事実。だから現場でオペレータが良かったが、今の彼は以前とは違った。覚悟ができてたから。

そうして、彼に対して誰も文句言う人はいなくなった。正直に言うとCくんは、仕事してるのか、遊んでるのかわからないような所があった。

だから、真面目な人から見たらそう見えたのだろう。でも会社では作業しながら世間話なんて当時は普通にあった。だから特別じゃなかったし、なにしろ休憩時間は、いつもおばちゃんたちと話してるんだから、それも仕方ないと言えばそうだろう。


やがて、各工程に次々と機械や作業台、照明などが入ってきて、Cくんたちや、本家本元の生産技術課の人たちどころか、現場の人間まで借りだされて、大騒ぎしながら、大幅なラインの再構築がなされた。

一定落ち着くと、Cくんは現場に一緒に来たHMG設計の人間に説明しなくてはならなかったから、ほとんど寝ていなかった。それでも今までになかったくらい頑張った。自宅に帰ると、スーパーから貰ってきた発砲スチロールで、今でいうモックアップみたいに、部品の完成した姿を

作って、次の日会社にいってから、メーカーの人間に見せた。このアイディアは元HMG関連会社にいた、現場の先輩から教わっていたから、

説明もスムーズにいった。


組合と会社との交渉や、労働時間などの協定も済んで、それ以上やる気がある人は、労働時間としてカウントしないが、改善方法とともに書類で出す。そうすれば、特別賞与として出すが、健康に留意して、体を壊さないように十分注意するようにと、社長から通達があった。


ラインが再構築されて現場が動き出してから、驚異的ともいえる3倍の生産に向けてみんな頑張った。数字でいうとこの時点では平均338%。だからみんな特別賞与を楽しみにしていた。

その後約3週間ぐらいたったろうか?現場から緊急連絡?が来た。

K山から言われてCくんも現場に行った。


いったい何があったんです?


俺にもわからん!でも現場に行けばわかるだろ!とにかく現場!現場!


そう言って工場にいくと、みんな普段通りに仕事してるから、K山が怒鳴った!おい!トラブルはどこだ!誰か教えろ!

K山さん!一番後工程のほうです!出荷のあたりみたいです!誰かがそういうと、二人は急いで出荷の所にいった。


行くと、寝ぼけた様子のCくんと同期入社の彼が座っていた。


すみません。寝ちゃって!でももう大丈夫です!


彼は本来現場の人間ではなかったが、新しい製品を出しはじめてから不良を2度だしてしまったから、もう何か月も月200時間以上も残業していた検査の人間だった。

彼のせいではなかった。製品がもともと出来がよくなかったからだ。でも2度の不良をだしてからは、製品の検査データを提出するようにいわれていたから、彼は一人で頑張っていた。だけど、流石に彼も

疲れた顔をしていた。


K山が彼の勤怠の集計表を見ると、これ以上つづけると、まずいと思ったのだろう。Cくんに向かってすがるような目つきで言ってきた。


お前!これ何とかならんか!このままじゃこいつぶっ倒れちまうだろ!


はい!こんなに数値でださなくても、グラフみたいなものでは?全部はメーカーだって見れないだろ!全部数値で出すなんて、とても無理なんじゃないか?


この時は設備とかいうより、とりあえずデータを出すということで小さなレシートみたいなものが機械からでてくるから、それを手作業で集計して出していた。今考えればなんて無茶してたんだろう。


彼は言った。

そんなこと言っても、それ以外に出来る方法がないんだからしょうがないじゃないか!検査としてはやるしかないんだから!!


Cくんは、何も言えなくなってしまったが、機械のほうに目をやると、検査機械の隣にあるスチールのラックに分厚いファイルが何冊かと少し薄いファイルがひとつあった。それをみてみたら、以前いた係長の名前が書いてあった。

Cくんはこの係長のことがとても好きだった。彼はとてもやさしかった。

落ち込んでいるとき、絶望してる時に慰めてくれたのはこの係長一人だったから。いつも笑顔を絶やさない人だったが、勤務時間が長すぎるのと、給料が安すぎて、子供を大学に行かせられないといってやめていった。

この薄いファイルを開いて見てみると、手書きでここにある検査機械の経緯が書いてあった。それを読むと、最初この機械は機械だけで説明書も何もなく、口頭での説明のみで導入されたこと。今まで3つの会社を渡って今の会社に来た機械であるということ。それにオプションがあることになってるが、実際は売れず、今では手に入れることはできないらしいということが書いてあった。だからどっかに開発でもしてもらわない限り全ての機能を果たすことはできない。そしてソフト開発も必要マニュアルに書いてあるとなっていた。

Cくんはプログラムなどあまり知らなかったが、部品などでは参考回路などがよく載っていて、機械を最初作るときにこの参考回路が非常に役立つし、場合によっては、そのままで実際に使えることは知っていた。だからソフトも同じかもしれないと思って見てみた。

そうしたら、サンプルとかかれた文字の下のほうに、まさに今欲しいグラフ表示と、データの一覧表示。不良と思われるデータの下に表示がついた状態での画面表示らしきものが載っていた。おそらくはちゃんとメーカーオプションを使えばできるか、開発すればできるという意味なんだろう。そこで生産技術課のHくんに聞きにいった。彼はこの機械をちゃんと動かした本人だったから。誰も言わなかったけど、前の係長がやめた後に入ってきて、しばらくこの機械にかかりっきりなってた。

だから間違いなくそうだろうということは誰の目にも明らかだった。



Hくんの所に行って、聞いてみると彼は怪訝そうな顔をして言った。


そのことはマニュアルを読んで知ってはいたけど、僕はメーカーの開発部隊の人間じゃないし、あくまで生産技術だから。そこまでやるのは、やはりメーカーだろ。僕は正直に言うとC〇B〇〇はちょっと読めないし書けない。僕は8ビットマイコンのハンドアセンブリができるくらいだから。

とちょっと自慢げに言った。Cくんもこの開発言語をつかってやるよりも、機械語でやることが大変なことであることぐらいは知っていたから


わかりました。 そう言ってそれ以上は何も言わず、滅多にいかない

事務所の自分の机にいって、一人で考えてた。


(この検査機械は機械部分は確かにHMGだけど、制御装置は他のメーカーが作ったものだろう。でも下請け会社にあるってことは、何か事情があってのことだろう。てことは実際はあんまり使いものにならない機械だってことだ。そうでないならこんなに高価な機械はここにあるはずないから。でもそんなことはわかるはずはないし、それよりどうしようか?こんなもの手に負える代物じゃない。


でもCくんは思った。僕が高校生の頃確か簡単なものなら勉強したっけ

C〇B〇〇は別の学科ではやってたはずだし、他の人間ならできるはずだ!だって同じ人間がつくってるんだから。でも誰に頼めば? 

一人だけ心当たりがあった。母校の近所に住んでる後輩だった。彼はメーカーにいってソフト関係の仕事してるのはみんな知っていたが、何してるかなんて誰も知らなかった。


あるとき、この後輩と一緒に話をする機会があって今度発売した、パソコンの話になって盛り上がっていたときに、Cくんは思い切って話を切り出してみた。


会社でちょっと困ってるんだ。C〇B〇〇で書かれてるサンプルぐらいはあるんだけど、わかる人がいないから。


C〇B〇〇? だからってわからないというほどじゃあ・・・

そう言いかけて黙ってしまった。余計なこと言うとまずいと思ったんだろう。


CくんはHMG社の装置であること。制御装置のメーカーはおそらく別で、一応のマニュアルはあるけど、それ以上はなく、マニュアルに出ている画面表示では希望の機能があるであろうことなどを話した。


後輩は真面目な顔をして、


それでは、正式にHMG社さんからの依頼であれば、できると思います。

具体的にはその装置をみてみないとわからないと思いますけど。


そう言ってその場の話は終わってしまった。


この頃は比較的ソフトは単純なものも多かったからか、「そんな難しいことなんかない!自分の使える言語にアセンブラで変換してやればいいだろ!」 なんていう人もいた。こんなことできるのかな?と当時思ったことを思い出してしまった。真偽は作者は知らないが。


その後、会社に後輩の会社の人間が現場に見に来た。多分、現場からの話で生産技術課でなんとかしろという話になって、とうとうHMGに相談がいったが、そこからの話でたまたま頼まれたんだろう。


この時はちょっと見に来てすぐ帰ってしまった。


そのすぐあと、その後輩が来た。多分話をきいて顧客から既に話を聞いていたということになり、めんどくさいからお前がやれということになってきたんだろう。この会社は大型案件をやることが主な仕事だとは聞いていたから、こんなスポットでやる仕事なんかきっとあんまりやらないだろうから。あんまり言うと怒られるかもしれないが。

でも、本当は後輩が心配して働きかけてくれたのかもしれない。

そこの所は正直わからない。本当だったらすまない、ごめんなさい。


後輩は、コンピュータ?を搬入して機械に接続していじり始めた。朝からやって夕方近くになった頃、心配になって仕事の合間に見に来たCくんが画面をみたら、なんとマニュアルに書かれてるそのままの画面が表示されていて、データも彼が持ち込んだプリンターで印刷されていた。


すごい!もうできたんだ!これでもう心配ないね!


そういったが、後輩は怪訝そうな顔をしていった。


ちょっと待って!今はこの機械と直接制御しているから動いているように見えるけど、本当はこのプログラムを機械本体に転送して内部のボードから起動しないと本当に動くかどうかわからない。


いま、Hさんに機械を一度止める時間を相談しにいってもらってるからそれに画面と、バッファ装置、プリンタは買ってもらわないといけないから。まずは動かしてみてからだから!


その後、Cくんはそのまま見ていたかったけど。他の仕事もあるし、Hくんが担当だから、その場を離れた。


定時になって、しばらくたった後、HくんがCくんの所にきて言った。


あの検査機械、中身はF〇-〇〇だったんだ!

そう言って喜んでた。多分自分の手に負えることがわかったんだろう。中身がわかれば、自分で同じのもを買って研究したりできるし、なにもC〇B〇〇でなくても、いろいろできる!まあこれ以上はする必要はないだろうが。

ここであらためて書かなくても、もう問題は解決したことはわかるだろうが、検査の彼は残業が減って給料が減ったことに、若干の不満があったからCくんに文句言ってきた!彼は高級車が欲しかったから。


あ~あ!体が楽になったのはいいけど、誰かさんのおかげで車を買うのはもうちょっと先になりそうだ、今度彼女誘うつもりだったのに!


そんなこと言って、倒れたらどうすんだよ!そんなに仕事したいんなら上司に言って、私も現場手伝いますって志願でもすればいいじゃないか!猫の手どころか、ネズミの手でも、カエルの手でも借りたいほど

忙しいんだから!!


その手があったか! そう言って検査課のほうへいってしまった。


Cくん?HMGから電話ですよ!そう言って声をかけられたから、急いで事務所のほうへいきながら、ぶつぶつ文句言ってた。


まったく!そのくらい自分で考えろっての!


電話に出ると、開発担当者を名乗る人物からの電話だった。ご提案頂いておりました、改善のことですが、私共といたしましても他社に先んじてやるべきだということで、優先的に取り組んだ結果。今日の時点で既に準備できました。現場の機械に取り付けて試運転したいのですが、ご予定のほうはいかがでしょうか?


わかりました!折り返しすぐ連絡するので、ちょっと待ってください。


Cくんはそう言って電話を切ったが、言い方が変だ!多分丁寧にいってるけど、開発現場がごった返してるんだろう!機械が売れていることは聞いていたから。うちの会社への全面的な協力のおかげか、いままで諦めていた会社から、依頼があることはCくんも知っていた。そうでなかったら、「 既に準備できました。」なんて言うはずないから。


CくんはK山に報告した。K山さん!例の改善提案の件ですけど、準備できたそうです。予定聞かれたんですけど、いつにします?


そうだな、明日は機械の契約の件で大事な話があるから。うん!明後日なら俺も立会できるから明後日にしとけ!


わかりました。連絡したら僕もすぐ現場入りますから!


なんでだ?お前がわざわざ行くほどのことじゃないだろ?


そうじゃなくて!明後日までの生産目標できてなきゃしょうがないでしょ!一部とはいえ機械が止まるんだから!


なんかお前変わったな!前はもっとヘタレだったはずなんだが?まあいいだろ!頑張ってこい!


はい!


そう言って、電話してからCくんは現場にいった。久しぶりの現場だったが、妙に気合が入っている様子で手伝いに来た。


明後日メーカーから機械の改造するために一台止めるから、生産を前倒ししてやらなかきゃならないから手伝いに来ました!


そう言って二人で作業していたところに勝手に割り込んで、黙って作業をはじめた。


二人は向こうのほうでひそひそと話始めた。

どうしたんだ?二人で十分だろ?いたほうが確かに生産は上がるけど?何か話しかけずらい様子だし。何かあったのか?


さっき検査の人と話してるのを聞いちゃいました!あの人自分が倒れたから、皆が心配して何とか楽できるように、メーカーの人まで呼んで何とかしてくれたのに、自分の残業が減ったから文句言ってたんですよ!ある程度は残業したいでしょ!普通は!でもだからって周りに文句いわないでしょ!同期だからって文句言われたら、僕だって頭きちゃいますよ!だからイライラしてるんでしょ!


Cくんは普段つかわないような丁寧な言葉を使って言った。


何かありましたか? 


お、おい!あんまイライラすんなよ!俺たち同僚だろ?3人だったら、生産数なんて余裕だろ?夜勤の分まで段取りしてやったら、丸一日分全く問題ないだろ? だから今までみたいに仲良くやろうぜ!


ああ、ごめん。悪かった。


それでな、俺もゲーム機買ったんだけど、うまく動かないんだ。


じゃあまず、つなぎ方はどうやったの?アダプターはつないだ?


そんなことを言いながら同僚に慰めてもらったCくんだった。


ここで一応言っとくと、似たようなことがあっても、普通は丁寧に訊きに来る人がほとんどだ。残業が減ったからどうしようか?なんて。中には変な奴もいたこともあるが。


これは一応フィクションだから!! 決して怒ったり、イライラしたりしないように!!



次の日、生産は予定通りとってもスムーズにいって、Cくんもご機嫌だった。久しぶりの世間話やゲームの話、以前やった会社の飲み会の話など、話も盛り上がった。大きな声では言えないが。


工場のラインごとに仕切られてる観音扉が開いて、話しながら誰かが入ってくる。


まあ、仕方ないだろう。どっちみちこっちで引き受けることになるんだから。

ええ!そうですよ。今、借金なんかできる状態じゃありませんから


丸々会社部長とK山だった。


なんだ!ここは三人体制か!まあ努力はわかるが、これで3倍の生産なんて本当にできるのか?K山君!

普通はこんな話、渋い顔して言うもんだけど、なぜかニヤニヤしながら話す部長。

まあまあ、効率は上がってますから。3倍は努力してみてからということで。

うちとしては、それはそれで構わんがね!とニコニコしながら言った。

K山が時折、Cくんのほうを見て唇に指をあてる。そりゃそうだ!3倍なんてもう達成してて、いまは4倍にチャレンジしてるんだから。

秘策は二つ、Cくんの改善提案で試作機によるライバル会社からの受注。

改善提案というけど、ひとつの工場のその工程だけ全部この機械一台でまかなえるほど能力が高い。うまくいけばだけど。工程丸ごと引き受ける。

二つ目は、思い切って、人間を貸し出すというか、まず3か月までかからないで前倒しして生産をして、2か月ちょっとで終わらせる。

その後他の企業に行く人間は、事情を話して職業訓練と称して仕事を他の会社でする。一時的な臨時雇いみたいなもので会社にお金が入る。その後問題ないなら、その会社に行くか、同業種の別の会社にいく。

これが秘策な訳は、高給建築現場オペレータとして、既に経験者が今回を機会に元の職業に戻るために働くから。だから給料はもともといい、まあ、話じゃあ10人いるかいないかだけど。前職の倒産できてた人たち。そこそこ人数いるから会社負担を軽減してくれる。わざわざなんでかっていうと、皆と一緒に退職金もらうためと、今の従業員が再就職に有利になるための一つの話題作りに一肌脱いでくれる。最後の一か月くらいは、残業、残業から解放される。といういいこともあるし。

今、別の工程で丸ごと引き受けられるような仕事がないか探してる。

うまくいけば、2か月めと最後の3か月めは売上ベースで400%以上の出来になる。さらに最後のとどめは会社の不動産の売却。

これで会社には十分なお金がはいるから、皆にちゃんと退職金が支払われる。でも月の給料が3倍くらいになるはずだから、その割には退職金はそう多くはならないかもしれない。

(だって、基本給、何十時間の残業手当、夜勤手当、特別賞与だし!)

でも継続雇用や転職の際、十分すぎるほどの実績をひっさげて堂々と丸々会社にいけるから、それを無視して悪い条件なんて出したらそれこそみんな他の会社にいってしまうだろう。だから無視はできないはずだ。

既に丸々会社人事部では噂になってるらしい。部長はこれをまだ知らないらしいが、知ったらどうなるんだろう?

別の話だがHMG社ではCくんの改善提案を参考にした、低価格で能力の高い新型機を前倒しして売り出す予定。それで業界一位を狙う。

といってもそれほど大きな市場じゃないから、台数なんて知れてると思うけど。HMG社だって馬鹿じゃないからこれから大手企業が新しい市場を捜して研究開発しだしてることは知ってる。だから開発現場と研究部門は大騒ぎしてるからごった返してる

熾烈な開発競争の始まりだ!まだCくんたちは幸せなほうだろう。


K山が 

それでは、部長さん。お話の通り明日正式な契約ということで。


ああ、それで構わんよ!それと今日はせっかく一泊するんだから、楽しみにしてるんだよ!そっちのほうも宜しく頼むよK山くん!


それはそれはちゃんとわかってますから!


そう言って現場から出て行った。

・・・・・・・・・・


次の日、丸々会社部長はとてもゴキゲンでタクシーを使って会社に来た。

事務所に通されて、会議室に行きK山と契約のため、書類に目を通すとほっとした様子で言った。


まあ、こんなものでいいだろう。良かったなK山くん!

さて、今日は早く終わったから、どこかで観光でもしていこう。

どこかいい所知らないか?


その時ノックの音がしてドアが開いた。


会議中失礼します。そちらの部長さんに本社から緊急の連絡だそうです。

そこの内線でもお出になれますから。


そう言って事務員は行ってしまった。


いったいなんだっていうんだ?失礼するよK山くん!

そのままでいいから!


そう言って電話に出た。


はい!ご苦労様です。え!? なんですって?ライバル会社の?・・

・・・・・・・・・わかりました。そう言って電話を切った。

K山くん!今すぐに現場ををもう一度見せてくれ!いそいで!


わかりました。K山はそう言うと部長を連れて工場の現場に行った。


部長はちょうど真ん中のにある、仕切りの観音扉の前にいって、周りの様子を皿のように目を凝らして見た。作業者の手の動き、機械のタクトタイム、コンベアーに流れる小さなコンテナの数。

腕時計の秒針を見て時間を計ってから、静かに目を閉じて口元で、言葉を発せずに何かつぶやいている。まるで見えないものを聞き、聞こえない音を見ているような異様な様子だった。

やがて、つぶやきが止まって目をあけると、K山のほうをまっすぐにらみつけながら言った。


K山くん!これはいったいどういうことだ!能力改善は最小限にする約束だったはずだ!それに資材はどうした、資材は!もう山に積まれてどこかの工程では身動きとれないくらいになっているはずだ!


(今までと比べたら、すさまじい生産能力。だから資材は底をつきかけている。このままではラインが止まってしまうほどだ。だから社長と営業2人とK山、従業員からも仕事につながる情報を募って、いわば営業も総力戦状態だ! 丸々会社部長の話など問題ではなかった。)


ああ、もうバレちまいましたか?でももう遅いですよ?契約は完了してますから。それにほら、あの役員さん。専務さんでしたっけ?もう一人のほうの。だから今更言っても無駄ですから。許可はもらってるんです

から。


なんだと!道理で簡単に決済が下りたわけだ!忙しいから決済は電話連絡をもらっただけだったが、現物を確認すべきだった!くそ!


決裁文書をみれば、誰が決済したのかわかったはず、でも部長は忙しくて結果を電話で連絡もらっただけだった。会社の勢力争いの相手が決済してくるだなんて、誰が考えるだろう。


部長さん!これから自分の部下になろうという、ここにいる人間たちの

前でこれ以上恥かかなくてもいいんじゃないですか?それにもう積んでますよ!あんたはもう俺たちを締め付けたり、いじめたり、からかったりできない。あんたができることはたった一つだけ

俺たちによくやってくれたと、労いの言葉をかけることだけだ。

その理由は、空前絶後の生産を達成した、あんたの会社のいわば協力会社であるうちの会社に、業界紙の記者と一部ではあるがマスコミから取材がきているから。マスコミのほうはあんたの力で握りつぶすことはできるかもしれないが、会社が終わってしまう前から職業訓練なんて話題になるから、きっと報道されるでしょう。

だからもうやめましょう、この話は。


なんだと!仮にお前たちの言い分が通ったとして、そのためにはかなりの資金が必要だ!そんな金いったいどこにあるっていうんだ!


部長の声に反応して、作業者の視線が集まる。


部長さんは、最近忙しすぎて、世の中の流れが見えていらっしゃらないようだ。俺たちだって馬鹿じゃない。この足掛け3か月の間情報収集に頑張ってたんですから、あいつみたいに。


あいつ?いったい誰のことだ?


あとで機会があったら紹介しますよ! とにかくそうした結果わかったことがあった。まず丸々会社さん、リストラは失敗する!そしてそれよりもいい方法がある! そちらのもう一人の専務さんや、うちの社長も

同じ意見だ! つまり、リストラされるような人間はそもそも向いていないんじゃないかってことだ。本人がどう思っていようが、好きか嫌いかは別にすれば、ちゃんと仕事出来ている人間は適性がある。だから向いている仕事か、誰でもできる仕事でもいいが、それがその人間の適正だ。しかし適性も一つであるとは限らない。だからもっと色々な業種で適性をみてみて、場合によっては、そっちに移動したほうがいいんじゃないかってことだ。今のままじゃとりあえず生き残ったとしても、この先はどうだろう?かなり難しいんじゃないか?そりゃあ誰だって今のまま大手企業にいるほうがいいに決まってるだろ?でも、それでも頑張るやつは別にして適性のないやつは移動して別の仕事するか、出直して修行でもしてからのほうがいいだろ? 専務さんも言ってたよ! リストラするほどうちの社員は無能なのかってね! でもリストラした後はどうなる? これから海外展開して、本社から人間が派遣されるはずだというけど、そうしたら人間は足りなくなるんじゃないか?だから適性がある人間を残す必要はあると思う。だからまずそれをやってみてから考えるのが筋じゃないかってことだ。それから残念だがやめてもらう人間を決めたら?ってこと。

そして、それは今の俺たちにも言えることだし、そのほうが自然だ。


それじゃあ今までと何にも変わらないじゃないか!!


そう!そこだ!つまり、ある日いきなりリストラされるよりも少しづつ

教育と適性を見ていきながら、判断していく。それに俺たちのつたない調査でも、ある日突然商品が売れなくなるなんてことはない。それは当たり前のことだからな! でも、商品は売れるのになんで作ってる人間をクビにするんだ?いきなりなんておかしいだろ?

それに、リストラっていったって故意にでもしない限り、ある日突然はないんだから。だからすべての選択肢、海外赴任などあらゆるものを組合に提示して、それからのほうがいいんじゃないか?

だいたい、地方の比較的今売れてる商品をつくっている関連企業にいくなんて、当たり前のようにあるわけだから。

まあ、今のところそれほど大きく売り上げや利益が落ちているのじゃないから、もっと緩やかにやれば問題はないんじゃないか?

それどころか、肝心のH社では株価は少し上がっているようだし。

それと、俺たちが移籍すれば丸々会社の正式な組合員になる。

だから今までのようにはいきませんよと言っているだけだ。


だから、これからも宜しく!部長さん!それと金の話だが、俺たちが人一倍以上できることはもうわかったろ!あとは営業と経営の問題だ。

あらためて言えば、十分に受注できれば予算だって問題ないだろ!

だから継続雇用の話もそれを考慮してくれれば、それでいいですから!

それと、大事なことを忘れてた。部長さん!あんたは生産能力最低限にするけど決して、悪いようにはしないといってたよな!でも本当は違うんだろ?もう一人の専務さんの話では、継続雇用されてもほとんど他工場に飛ばされる予定なんだって?今の社長は借金まみれになるとか?つまりあんたは、俺たちをさんざん使いまわしておいて、いい思いしようって訳だ!社長がちゃんと契約を守れば問題ないんだろ?だからそうさせてもらうよ!文句なんかないだろ?何か言うことはあるかい?


そう言うと、部長はとても苦々しい顔をしていたが、何も言い返すことができずに黙って帰っていった。らしくもない。実はこの部長、丸々会社内では、一番の切れ者だと言われていたのに。


・・ついに始動する!Cくんの改善提案!・・・

次の日、予定通りとはいかなかったが、朝からHMG開発チームが来て試作の準備をしていたが、まとめてつかむ所まではうまくいったものの、肝心のスポット溶接部分に不具合がでてしまい、稼働することができなかった。今までと違い、強力なパルス式であったが、電源経路が長く電圧降下するためうまくいかなかった。


ちくちょう!実験ではうまくいったのに!


設定を変えてみるか?


だめだ!稼働時の電圧が低すぎてうまくいかない!


なあ!開発部長を呼んだほうがよくないか?


また怒られる!だれだ!このままでいいなんて言ったのは!


何を言ってる!設計したのはお前だろ!


いつまで悩んでても仕方ない!後は部長の「プランB」にまかせよう!


しょうがない!誰か呼んで来いよ! でもちゃんとお小言を聞かないと


ちゃんとやってくれないからなあ! しかたねーよ!


ぶつぶついってたが、一人がスーツ姿の黒縁メガネの女性を連れてきた。


あんたたち!また失敗したの!全くよくやるわ!もういい加減にしてほしいんだけど!


Cくんはちょっとびっくりして、隣の担当者に聞いてみた。


誰なんですか?あのおっかない女性は?


あの人が開発部長です。誰もあの人にはかないません!でも任せないと人が育たないから、俺たち若い人間だけでやってみることになったんですけど、うまくいかなくて!


そこ!何か文句ある?あんたたちが役立たずだからいけないんでしょ!


部長、それはあんまりじゃないですか!


へーえ!口答えするんだ!まだ時間が早いからちょっと聞いてあげるけど、電圧が最低25%低くても動作するように設計しなさいって言ったはずだけど?どう設計したのかしら?


・・・・・いえ実験ではうまくいったのでそのまま持ってきました。


ほらまたさぼってた!で、わかんないときはミ○○電子の佐藤設計部長に聞いてみなさいって言ったけど、佐藤部長はなんて言ってたの!


・・・・・・聞いてません。


女性部長の顔がだんだん真剣な顔つきに!なんかやばそう!


だから役立たずだって言われんのよ!あんたたちは仕事やる気あんの!


じゃあ最後に、あんたたちの設計方針では、今の技術でできる素子で低い電圧で大電流は難しい。だから高電圧用の素子をうまく使って高速スイッチング回路を組んで大電流に変換してやるべきだって言ったでしょ?でもあくまで一つの正解にすぎない。だから調べてみろって言ったはずだけど。調べてみたのかしら?会社ではそこのところの専門書と人脈は、い・く・ら・で・もあるからね!どうだったの?

ちなみに、業界紙に載った新しい素子なんか、単品で注文する以外は出来ないし、数百万かかるって言ってくるんだから、使えないことはわかってるわよね!


自信なさげに一人の若いHMG社員が話始めた。

部長のお話の通り、検討はしてみたんですけど、電源回路が同じ電源系になるから、壊れるんじゃないかということでその方式は採用しませんでした。


はあ~!何言ってんの!あんたが言ってるのは、いわゆる普通のコイルを使わないチップレットな部品で構成された、完全なソリッドステートな製品の話でしょ!普通は使うんだから!だから今の電源はすごく小さくて軽いのよ!今は当たり前だからあんた達に言っても仕方ないのはわかるけど。それに会社にある専門書か、取引先にでも聞いたらそんなん当たり前にできるって笑われるレベルの話よ!


まあ他に聞かないで、恥をかかなくて済んだんだから良かったけど。


今の話を聞く限り、参考回路かなんかを、そのまま中身もよく理解しないで作ったことはよくわかった。もういいわ! それと今言われたことを会社に帰ってから、やってみなさい!これは社長の肝いりで、今開発中の機械に採用することになってんだから!後でみてあげるから! もうサボるんじゃないわよ! わかった?分かったら返事!!


はい!わかりました。ってどうせローテク使うんでしょ!


なによ!まだ文句言う元気が残ってるんなら、もっと頑張ってみてもいいわよ!一応任せたんだし。でもやる気ないんでしょ!だからあたし呼ばれたんだろうから!

それにね!言ったはずだけど、今回の件はちゃんと動くことが優先するって説明したはずよね!方法は一つじゃなくて複数準備してって言ったけど、あんたたちのプランBはどうしたの!


それが・・ここまで作って準備するのが精いっぱいで・・


なんか言ってるけど、要するにできてないし、それをあたしに報告するのもかったるいから、ダンマリを決め込んだまま現場に来たってことね!


そ、そこまで俺たちはサボってませんよ!頑張ったんですから!


もうあんたたちのお守りなんか、やってられないわ!これからはプロジェクトの進行状況と各人がかかわってしたことを報告書でまとめて提出しなさい!わかった?!これは業務命令だから!

それから今迄みたいにアマアマじゃあダメだから、日報もちゃんと書くのよ!現場はね、上司にヨイショするのがうまいだけじゃあ回らないんだから!


そ、そんなあ~大変なんですから、俺たちだって!


だから、アマアマだって言ってるのよ!他ではちゃんと報告も日報も出してるんだから。皆出来てることをあんたたちは出来ないって、

社長に報告したらどうなると思う?だからちゃんとやんなさい!

こっちはあたしが何とかしとくから!まったく!


まるで、マシンガンみたいに叱られて、ガンクビ揃えてとぼとぼと現場を立ち去ろうとしたとき、一人が呼び止められた。


ちょっと!設計者のあんたは残んなさい!話あるから!


ええ!俺は別に!


いいから!


その時、丸々会社部長との話を終えたK山が来た。


おお!やってるな!悪い悪い遅くなっちまった。


開発部長が挨拶する。


いつもお世話になっております。なにとぞ会社承継後も宜しくお願いいたします。


ぷ!・・・ くくく! あはは! ああもうだめ!K山さん!他人行儀はあたしたちには合わないわ!


玲ちゃん!やっぱダメだったか!仕方ないだろ!でももうちょっとできるかと思ったんだが。


ムリムリ! だってもう笑ってるんだもの!


(Cくん)

お二人はお知り合いで?


知り合いも何も、兄弟同然で育ったんだから、いまさら他人行儀なんて出来ないわ! 大体K山さんなんて呼んでるのも、恥ずかしいくらいなんだから!

私たちはね、昔小さいころに隣近所だったの!だから一緒に遊んだなかでね、とってもわんぱくだったんだから!ふたりして!


そうそう!相撲とったり、空き家に忍び込んだり、何度もしかられたっけな!


まあ昔のことはいいでしょ!もう大人なんだから。実はね、最近新しい部下ができたんだけど、真面目過ぎて、てんぱっておかしくなりそうだから、何とかならないかなんていってきたから、ふたりしてちょっとほぐしてやろうなんていってて、本当はもう少しあとで出てくるつもりだったんだけど、うちの連中が、失敗して、早々に諦めたから、かなり早く出ちゃって、調子狂っちゃった。

あれ?


玲さんがCくんの顔をじっと見た。


君、どこかで見た顔ね!どこだったか?あ!そうだ!君!おチビちゃん

だわ!


ええ!僕おチビちゃんなんて言われたことないんですけど?これでも

一応167センチあるし。


玲ちゃん!こいつ知ってるのか?


まあ、ごめんね!2,3年前にこっちに長期出張で来てた時クラブで見かけたんだ!おチビちゃんていうのはね、私の友達がいわゆるチームに入ってて、男性も、女性もみんなすらっとして長身だから、私たち

から見たらおチビちゃんだったってことなのよ!

K山さん!私たちの親世代かおじいさん世代が宴会でたまにやった、ドジョウすくいとか、やすき節とかわかるかなあ?


あれか?ひょっとこ面かぶって頭には手ぬぐいかぶって、ざるを手にもって踊るやつ?

そうそう!極端なガニマタで抜き足、差し脚って踊るやつ。

ひょっとこ面や手ぬぐい、ざるこそなかったものの、あんな格好で変に腰をくねくねさせながら、踊ってたんだ、彼が。

もう、おかしくってみんなげらげら笑ってたんだから!わたしなんてパスタ食べてたから、思いっきり吹き出しちゃったのよ!

でもボーイのお兄さんも笑ってたから、怒られはしなかった。あれは仕方ないだろうってね!


イヤー昔のこと覚えてたんですね!


でも毎週来るうちに、普通になって、カッコイイポーズ決めて、キレキレで踊るようになっていったから、あの子できるもんだなあって感心してたのよ。だから私たちにとっては、君はかわいいおチビちゃん

ってわけ!ドジョウすくいで、背が小さく見えたってのもあるけど。


君、改善が大好きなんだって?今回のこれも君が考えたの?


そうそう!こいつの提案なんだ!


ふーん。機械の横にあるファイルにまとめてあるのかな?

背表紙に改善提案って書いてあるし。K山さん、見てもいい?


どうぞどうぞ! 玲ちゃんならなんなら持って行ってくれてもいい!


いや、そこまでしなくてもいいから!


玲さんはファイルを開いて見た。


ふーん。こんなに?あらあら!これみんな君が考えたの?


そうです!でもあんまり他の人は出してないからってのもありますけど。


そーかー。でも大分苦労したんじゃない?・・・・・


おチビちゃん!苦労したでしょ!お仕事頑張ったんだね!


えらいぞー! あたしがほめたげる!!


そう言ってCくんの頭を撫でた。


Cくんは不覚にも、泣きそうになってしまった。こんなにストレートに

褒められたのは、生まれて初めてだったから。今までの苦労が胸に溢れて、胸を締め付けるくらいうれしかった。


おチビちゃんじゃないですから!!


そう言ってごまかそうとしたが、ごまかしきれる状態ではなかった。



あらあら、もしかして今まで褒められたことなかったりして!

しかたないか!K山さんが上司じゃあねえ!


おっと!そりゃあないよ玲ちゃん! でも玲ちゃんに褒められてよかったな!なかなかないんだぞ、玲ちゃんに褒められるなんて!


部長! 設計者の彼が話してきた。


いくら提案者だから、見知った間柄だといっても、やりすぎじゃあ

ないですか!ここは職場なんですから!


なんだ!やきもちでも焼いてんの!まあ、いっか!じゃあ説明

してあげる。彼は立場上はごく普通のオペレータだってわかるでしょ?


そりゃ当たり前でしょ!


じゃあね・・例えばこれ!「この古い機械はなんでもなくてもエラーでアラームが鳴って止まる。検出する回路を閉じておくとエラーにはならない。つまり検出するタイミングが早すぎる。だからタイマーを

組み込んで、遅くしてしまえばいい。」

次は・・・・「このDCステッピングモーターは参考回路では電源を切った時にコイルの両端をショートするよう書かれてる。実際に電源を切っただけだと、すぐには止まらない。つまりモーターの電源を切った直後、コイルをショートして逆起電力を使って停止させている。古い機械はACモータ。これは何年も壊れなかったが、DCモーターはリレーがやられる。これを防ぐにはブリーダ抵抗をいれてしまえばいい。」


ねえ!ちょっと聞くけど、普通のオペレータが初めて操作する機械を見て調べて、中身を理解するには、どれだけ努力すればいいか想像できる? 確かにある程度予備知識は必要だろうけど。


・・・・・・・・・・


彼はそれだけ頑張ったてこと!こんなトラブルシューティングなんて普通は、わたしたちの仕事だと思わない?でも彼はやり遂げた。自分の努力で。ひとつひとつは、小さなアイディアだけど、でも着実にものにしてる。私が言いたいのはね、自分が理解できない事柄に出会ってしまったときに、理解しようとひとつひとつ積み上げる。それがある程度進んだとき初めてわかるということなの。彼は今ではおそらく私たちより知っている。この機械のことは。

これはある意味では、称賛するに値すると私は思う。だから褒めたのよ! おかしいと思うかどうかは人それぞれだけど、こんな小さなアイディアがぎっしり書かれているこの資料には一見の価値がある。

君はこれを見てどう思う?ほら!!


そう言ってファイルを開いて見せた。


設計者の彼はその資料を見てみた。しかしその表情からは価値などないと侮蔑といってもいい、薄ら笑いを浮かべた。


こんなもの、たいして価値があるように思えませんけど?パーツはメーカーの指定する使い方に従って設計すればいいでしょ?普通はそれで問題ないんだから!それにこれで全部でしょ?部長が言われるようには僕は感じません!


はあ~、あんたたちは人を侮るなってことを知らないのかなあ!

それにこの資料、そこにあるスチールラックの上段にはいってる全部そうなんだけど!!


それに、あたしが言ってたこと。その資料にもう書いてあるわ!

最後の10ページくらい?


え?  そう言って資料を開いて見てみると、さすがにわかったのか、顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうに黙ってしまった。


ね!彼はもう想定していた。電源が重要だって!だからそれを解決しない限り、機械の設置場所や環境によって動いたり、使えなかったりするでしょう。あんたの設計した限りでは。


※ この当時、もしかして今でも同じだが、アーク溶接とかいきなり電気たくさん使う機械で何かやってると、電気の変動が激しくなって、照明が明るくなったり、暗くなったり。まるで鉄工所みたいに。こんなとこで精密な作業や検査なんかできない。ちょっとなら、コンデンサ式をつかった。然しこれも一遍にたくさん使うなら、同じ結果になることが予想された。電気を使うのは、一定で、効率的じゃあないとやがて、作業者ごと別の建屋に隔離される。迷惑だから。仕事にも影響が出る。彼らが開発することになることは、十分予想できることだった。


さあ、もうそろそろやらないと今日中に終わらなくなっちゃうから、

始めましょう!あんたも手伝って!それとおチビちゃん?じゃないや、Cくん?だっけ。君も手伝って!君の力を借りないなんて勿体ないから! K山さん、いいでしょ?


うん! どんどん使ってくれていいぞ、そいつは俺の奴隷だから!


なあに?奴隷って?


俺は生涯、奴隷は一人と決めている!


なんかカッコつけてるけど、大分気に入られているみたいね!


玲さん(開発部長)はでっかいアルミケースを引っ張り出してきた。中身は、でっかい装置と、ぶっとい電源ケーブル一式だった。


これで一式!でもうちの連中、流石に3度目だから、今度は失敗しないだろうと思って、ステーとか、短い接続ケーブルとかまでは準備してこなかったから。K山さん、使えそうなものある?


俺の出番だな! 任せろ!すぐ持ってくる!

そう言ってすぐ出てってしまった。


あらあら!何が足りないか具体的に聞かないで行っちゃった。でも問題ないでしょう。私たちはツーカーだから。


さて、これを機械上部の空間につけんのよ! よいしょっと!そっち持ってて!


そう言って3人で装置を持ち上げ、設置場所につけたとき、K山が戻ってきて、そのままステーをつける。何したいかもうわかってるみたいだ。


ケーブル出して! そう言ったから、Cくんはケーブルをだした。


後ろから、ここに接続すんのよ! あれ?接続が逆だわ!これじゃ動くはずない! これ外して、そっちのケーブルに交換して!


設計者の彼が言った


なんだ!つなぎ間違いじゃないですか?そのままで使えたのに!


もとに戻そうか?それでもいいわよ!動くんなら。


・・・・・・・・・


なんか言いなさいよ!それともやっぱり電圧下がるからダメってこと?


冗談です!動きません。


なんだ!変なこと言わないでよ!動かすのが仕事なんだから!設置したユニットを配電盤から外して!それくらいできるでしょ!


はい。


Cくん!君ならわかるでしょ?後は配線つないでちょうだい!


分かりました!


そう言って接続した。でも単純だからすぐ終わってしまった。


さーて!それでは試運転開始! ただし、手回しで!


玲さんがスイッチをいれると、「グン!」と音がして、工場の

照明が一瞬暗くなった。


おいおい!玲ちゃん大丈夫か?


K山さん、いったい何しようとしてるかわかってる?この機械20台分を一台で仕事させようっていうんだから、多少はいろいろ起きるでしょ?但し、うちの連中が開発してるユニットが完成したら、もうちょっとスマートに立ち上がるはずだけど。電力も効率よくなるから違和感はなくなる。はず!では動かすわよ!


玲さんは、手回しで機械を回して肝心の溶接部分で「バババ!」と火花が散った。さらにハンドルを回すと、出来上がった製品がでてきた。

まあ、こんなもんでしょ!Cくん!後は君にやってもらうから。さてとスポット溶接時の圧力を通常に戻す!これでさっきの「バババ!」ってのはなくなるはず。でも高速に動かしたらどうなるかわからないけど。

作業は任せるわ!


はい!


そう言って、操作盤の前に立ったが、何が起きるかわからないから、ちょっと冷や汗をかきながら、躊躇していた。意を決してスイッチをいれると、機械は材料をマガジンラックから勢いよくのみこんでいく。


それじゃ想定の最高速度まで上げてみます!


そう言って仮設された速度調整用ハンドルを回していった。


「ビ・ビ・ビビビビビビ!」 溶接の光が強烈に出てきた。


ああ!やばい! そう言って玲さんは非常停止ボタンを押した!


君、目は大丈夫?!痛くない?


ああ、そうか! Cくんは理解した。鉄鋼の溶接の光と同じで、見つめてるとあとで目がごろごろして痛くなる。


大丈夫ですよ!これくらいなら何ともありません。しばらく直接光を見てれば、後から痛くなると思いますけど。


うーん。ちょっといろいろ対策が必要ね!まず、カバーと眼鏡、これはもってきてるから、つければいいけど。

それから前工程からの材料を投入するには、一人じゃあきついわね!

完成品を取り出してコンテナボックスにいれるのも手間だし。

じゃあ先に、手間のかかる完成品を入れるための台を組み立てましょう!

そう言ってパイプとつなぎとねじがセットになった、園芸用の台を

出してきた。Cくんが組み立てると、完成品が出てくる小さなベルト

コンベアのすぐ後ろに台を置き、左側に空のコンテナを積み上げ、台の上に一つ載せた。


説明すると、まず人は下から重いものを持ち上げるのは大変だけど、

上から下へ下げるのは比較的楽にできる。だからコンベアに乗ってきた

完成品をそのまま手でよけるようにしてコンテナに入れる。

そして一杯になったら右側に下ろす。代車かなんかを置いとけばさらに

楽でしょう。

次は、カバー。K山さん!つけて!


ハイ分かった!まかしとけ! そう言ってカバーを三方向から囲うよう

につけたが、金属の板が余ってしまって、玲さんに聞いた。


玲ちゃん!これは?


それは20個まとめてつかんで溶接するテーブルの手前につける。

穴あいてるから! ちょっと上からのぞき込むようにつける。わかった?


りょうかい!


さてあとは、人間の問題。いくらなんでも20台分の仕事をあんまり自動化しないでやるのは無理があるから、少なくても1.5人分の手間がかかる。これはどうしようか・・・


それと玲ちゃん、冷却は必要なんじゃないか?これでどうだ!

K山は業務用扇風機をもってきた。


気が利くわね!めずらしく。それでいいわ!囲ったから。機械の正面右あたりでつければ?それとホコリが舞い散るから、不純物は問題ない?


大丈夫だ!確認済みだから!


そうね!もし後で問題になるなら下側の電極に銅パイプ渡して冷却すればいい。じゃあそこまででいってみましょう! あ!念のため、扇風機の後ろにこのシート張りつけといて!ホコリ防止になるでしょ!


K山さん! 隣で作業していたCくんの同僚が話しかけてきた。


Cくんが作業担当でやるなら、俺たちが作業を手伝いますよ!


おお!助かる!でも人間は余るかもしれんから、作業方法がちゃんとできたとこで、係長と相談だな、こりゃ。その時はたのむぞ!


じゃあ稼働しましょうか?Cくん!


はい!


稼働を開始した。でも今までとまるでペースが違うから、非常にいそがしかった。


おっとと、こりゃ忙しいですよお!マガジンラックにいれるのと同時くらいにできあがってくるんですから!



ははは!やっぱりお前!何も考えていなかったな!当たり前だろそんなの! 提案者なんだから責任取ってちゃんとやれよ!大丈夫!問題あったら少しくらい速度落としても問題ないからな!お前を現場に戻してやるから!あと2か月くらいか? しっかりやるんだぞ!


K山さん!でもこんなに生産したら、前後の工程はパンクするでしょ?


玲ちゃん、そこは抜かりないから、この工程だけ丸ごと引き受けてるからここだけやればいいんだ!


そう、それじゃああたしたちは、これで引きあげるから、後は宜しく!


そう言って帰っていった。


電源に近い所で、単純に大容量のコンデンサなんかつけると、昔は 蛍光灯だから、電源の位相が狂って、工場の照明が一時真っ暗になることがあった。単体のスポット溶接機は、コンデンサ式もあった

から、昔の機械は意外と環境の変化に強いこともあった。

工場なんて、下手すると経路はわからないから、電源の降下なんて普通にあった。だからある程度大きな電圧降下になっても使える必要がある。今はどうか知らないが。でも経路が長ければ普通は下がるけど。電気たくさん使うんだから。


ここで加えて、電圧降下する機械が設計通り動かない事例を紹介する。特にDC系の機械。

ユニットが立ち上がるときに、大電流を必要とすることがあって、それが原因で動かなくなることがあった。結局従来型のトランジスタとコンデンサを使った、従来型のユニットに交換した。

最新式はダメだった。ICがダメ!すんごくでっかいコンデンサを前につければ、おそらく動いただろうが、現実的じゃない。電源はなんでも重要だ。みんな意識なんてしないけど。


--仕事は寝て待て! 高温炉担当部署の係長---


Cくんたちの工程からちょっと前工程に製品に熱を加える工程があった。

あまり応用が聞かなさそうに見えたため、他の仕事なんてできるはずも

ないと思って、生産が一段落してからは皆出勤しても立ち話や係長なんて横になって寝転んでいた。


係長!今日もいい気持ちで幸せそうですね!寝心地いいでしょ?そのベンチ!


何を言ってる!俺はお前らに仕事がちゃんと回ってくるように、一生懸命サボってるんだ!ちゃんとサボらないと仕事なんて来ないぞ!


無茶苦茶な言い訳をしてたが、仕事がないことはその通りで、K山は

呆れて、係長ほか数名に怒鳴った!


おい!お前ら!仕事ないことはわかるが、出勤して、横になって寝てることはないだろ!掃除とか、他のやつらを手伝うとかないのか!


K山さん! 俺たちはここに入ってきて、これしかやったことないんですよ! 今から他の工程なんて覚えてるうちに、会社なくなっちゃうでしょ! だから意味ないんですよ!


しょうがない! 仕方ないので、社長に相談したら、小さなプレートに

塗装したものを焼きつけしたいから、金属の箱でも準備して箱ごと

機械に通したら、今までとほぼおんなじで、仕事できるんじゃあないかと、いうことになった。


係長!ちょっと!


なんですか?


これを見てくれ!これを機械に通して中にあるものを焼きつけしたいんだ。どうだ?できないか?


係長が見てみると、焼きつけ塗装だとわかって係長から提案!


これを焼きつけしたいんなら、一度機械にいれてから、前後に移動させて、焼きつけする時間を稼がなきゃあなりませんよ。


でも、できるだろ?


そりゃあできますよ。最初時間を計って調整は必要だと思いますけどね。


じゃあ、やってくれ!


わかりました。 おいお前ら、俺の言う通りちゃんとサボったから仕事

が来たぞ!俺に感謝しろよ!

K山はあきれ返って、何も言う気になれなかったが、この職場は暑さでダラダラ汗をかきながら、作業しなければならなかった。

大変さは理解できるから、これ以上はいう気にはなれなかった。

地味だが、体力と忍耐力を必要とする、過酷な仕事だったから。


真面目にサボれなんて、初めて聞いたときはびっくりしたが、冗談でもいうことあるなんて思わなかった。でも仕事ないときはアピールしないとダメな時もある。みんな忙しいから。


--稼げるだけ稼ぐためには、なんでもやるしかない!--


最初の工程のほうでは、他にできそうなことが見つからず、元HMG下請け社員の提案で、知り合いの組み立て機械をつくる会社へ出稼ぎに行くことになった。この職場では、技術指導を必要としないほど詳しい人間がほとんどだったから、うってつけじゃあないかということになった。しかしやる内容は、組み立て、ハーネス(配線)の作成。金属加工。図面に従って電気工事みたいなことまで、多岐にわたる。本来ならそれぞれ仕事として、できるほどの人材だったが、会社の仕事のほうが、

職人みたいな仕事よりは良さそうだし、一応メーカーの社員だから、将来性もあるだろう。家庭の時間も作れるだろうということで、今の職場に来た人間たちだった。不満はあったようだったが、この際稼げるだけ稼いでおこうということと、使うだけじゃなく、一度組み立て機械をつくってみたかったという意見があり、決定された。再雇用後も有利になるだろう。組み立て機械を作る仕事したんだからと。


おい! 端子盤の159は動力につながるんだろ!間違ってるぞ!


こっちにもハーネス作ってくれよ!1mのもの30本くらい。


端子盤の番号カバーを000番から300番まで20個ずつ作ってくれ!どうせ最初は数わからんから。


誰かこっちでシャフト持ち上げるの手伝ってくれ! シャーリングマシンで切断するんだ!


リフトで、次の機械の筐体運んで来いよ!


今溶接して筐体作ってるんだから、ちょっと待ってろって!


パネルはまだか?


今取っ手つけてるから!


おい!先に塗装するんだろ?


みんな考えもバラバラ、段取りもバラバラで始めたが、そこは技術に自負がある社員たち。徐々にチームワークができてきて、なんとなく段取りが見えてきたら、スムーズにできるようになっていった。

お互い文句言いながら、2,3台組み立ててると。お昼になったから、食堂でみんなでお昼をとった。勿論、そこの会社の食堂だけど。


俺たちこんな、なんでも屋みたいなことまでして、今後どうなんだろう?このまま就職したりして!


俺は面白いと思うぞ?でもずっとこんなことはしたくないけどな。でも

ある程度できたら、後は予定はないって言ってなかったか?だからずっとおんなじ仕事じゃあないらしいよ、ここの会社は。


いつも使ってる機械は、こんな感じで誰かが作ったものだと思うと、ちょっと感謝というか、大変だっただろうなと思ってしまうな!


大量生産なんてできないし、時々作る機械が変われば全く違うし、思ったより大変だな!


いつもやる仕事じゃあないから、いい経験になるでしょうなんて言ってたけど、これじゃあ相当機械が高くても、なかなか飯食っていくのは大変じゃあないのかな? 不安定だし。


ほとんどは同じ機械だから、そのうち慣れるだろ?でも慣れた頃

にお仕事終わりって感じだと思うけど。


でも、悪くはないぞ!残業は極端には多くないし、夜勤ないからうちに帰れるし、今のうちだけは給料いいし。


鉄のアングルを切って溶接して仮止め、道具で固定後本付けバリ取り。ブースも持ってって塗装して乾かす。鉄板を切って塗装して穴あけ、取っ手つける。ヒンジ取り付け。 テーブル(鉄板)つける。

内部カムの軸受け部分を仮止めして寸法計る。軸受けの土台を溶接してつける。溶接部分を綺麗にして塗装する。

カムをつけて軸受けつけて、モーターとベルトつけたら大体下は終わり。上部の機構をとりつけて、ロッドでカムと機構をつないで組み立てる。マガジンあれば、マガジンつける。エアシリンダやエアホースなどつける。電磁バルブと配線をつけて出しとく、わかるように。水抜きや圧力調整器と圧力計を後ろ側につけて、エアをつないでおく。

手回しで動作を確認したら、機械によっては違うが、配電盤つけて制御装置を組み込む。端子盤つけて内部配線。端子カバーをつける。 

(先に制御装置と端子盤つけて配線しとけば楽だ!プレートあるし。) 各部にセンサーとスイッチをつける。各部配線と固定。端子カバー。

仕様にあれば操作盤も取り付ける。3Pか3Pとアース付き電源ケーブル3M作ってつける。穴開けて、パッキンつけとく。(予備穴)


制御装置の入出力見ながら、手回しして各部のチェック。プログラムを入力したら、一番遅くして試運転する。問題ないなら通常の速度で。

パネル取り付ける。スイッチと操作盤、電源ブレーカにON/OFFや表示など、レタリング、または印刷してシールを貼る。


一番最後に再度確認する。各部グリースアップ。銘板つける。

プログラムをシートに書いて、操作説明書と一緒にして、ビニール袋に入れておく。三文判で検査員シールにハンコ押して作って、後ろに張り付けておく。


みんな技術には自信があったから、文句も言わずやっていたが、普段の仕事と比べたら気が遠くなりそうだった。仕事終わったらみんなくたくたになって帰っていった。本当に大変だっただろう。お金を稼ぐってことはそれなりに大変なことだということだ。


組み立て機械を組み立てるなんて、分業してないととても大変だ!まさに気が遠くなる。自分は。だから高いんだろう。昔は金額聞いてびっくりしていた。今でも普通に高いんだと聞いているが。

いつも組み立てているなら話は別だろうけど。同じ機械なら。

(上記の内容は作者の想像だけど、機械をみてみれば主な部品を発注してから、下請けで仕事するならこのくらいはかかるだろうと判断した。当時の下請けは、筐体は高いから自分で作っただろうから。)

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